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『まかない君』の“浩平のモツカレー”を再現!

 福岡に長年住んでいると、他県の方から「モツ鍋とか水炊きとかよく食べる?」と聞かれる事があるんですが、我が家を含め周囲でも作っていると聞いた事はほとんどありません(←もしかしたら、うちの地域だけかも知れませんが…)。
 こういう行き違いはグルメ本でもあり、たま~に地元を紹介したガイドブックを見たりするのですが、高級グルメ系も庶民派グルメ系も「こんなお店、あったっけ…?」と全く見覚えがないお店が地元民御用達のお店として紹介されている事も度々で、我ながら福岡県民失格だな~と思います。
 こういう事はある程度仕方ないと思うのですが、「九州の人は唐辛子を胡椒と呼んでいる」という大嘘(←今まで胡椒と呼んでいる人を一人も見た事がありません…orz)を載せた某有名グルメ漫画には、未だに「こらーーーっ!」と言いたい気持ちになります;。

 どうも、関東風のモツ煮が大好きな当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『まかない君』にて浩平君が失われた誇りを取り戻す為に夕食に作った“浩平のモツカレー”です!
浩平のモツカレー図
 一見帰宅部風に見える浩平君ですが、実は正体不明の怪しい男達しか所属していないむさくるしい硬派なサークルに所属しており、非常に濃ゆ~い大学生活を送っています。
 残念ながら正確なサークル名や活動内容は分かっていないのですが、浩平君曰く「ボンクラのツクダ煮」「むくつけきボンクラ濃縮還元100%」な先輩方と色んな謎料理を自炊したり合宿したりする意外と活動的なサークルだそうで、椎名誠の怪しい探検隊シリーズに少し似ているな~と思いました←一見オタサー風に見えますが、本物のオタサーよりも肉食系というか生命力が強そうなのが特徴的で、肉体派な文学青年の集まりっぽいです)。
 ただ、椎名誠先生の野外サークルは自炊した料理を食べてキャンプして終わりではなく、お酒を飲んで一晩中ドンチャン騒ぎしたり、五キロある島の周囲を一周泳いだり、わざわざ雑魚を釣りに行ったりと肉食系な匂いがするのに対し、浩平君のサークルは自炊修行の為だけに山ごもりするというアクティブなんだか引きこもりなんだか分からない摩訶不思議な雰囲気で、地元の方に見つかったら即通報されないか読んでて心配になったものです。
 自炊と言っても単に料理するだけではなく、「ガスコンロひきずってうさぎとびとか、菜箸での逆立ち歩きなんかを特訓するよ」という冗談なんだか半分本気なんだか分からない活動もするみたいで、まるで昔の料理漫画に書かれてそうな料理修業だな~と苦笑しました『グルマンくん』の釜型の下駄を履いて崖に落ちぬよう走り続けるランニングとか、『鉄鍋のジャン』の巨大な青龍刀の上に立って重い中華鍋を振る練習とか、『将太の寿司』の超高速で動くマグロを素手で針一本打ち込んで仕留める試験とか、そういう死に直結する修行がサラッと出てくるのが熱血系料理漫画の恐ろしい所;)。
 また、登場する先輩もボンクラというよりは漫画チックなサバゲー軍団と呼びたくなる癖の強さで、ある人はつのだじろう先生画の忍者ハットリ君風、ある人は水木しげる先生の戦争漫画に出てきそうな兵隊風、ある人は劇画タッチの顔で突如豪快に笑い出す長髪男性というこってりしたキャラが勢揃いしており、浩平君が加わるとまるで袋菓子に入っているシリカゲルの小袋並に周囲から浮きまくっているのが印象的でした。
結局詳細は最後まで謎だった浩平君所属のサークル
 一回、浩平君がサークル合宿で料理を食べる貴重なシーンが描かれていたんですが、本当にサバゲーっぽい武装をした先輩方に囲まれており、普段着でヒョロヒョロした浩平君はどう甘く見積もっても捕虜にしか見えずポカーンとしたのを覚えてます(゜д゜;)。
 この時先輩達が作っていたのは、かつて弥生ちゃんが失敗したモツ入りのカレーで、生のモツではなくスーパーでよく売られている味付きモツを使用したのが功を奏し、「とりわけ我らの若い血をくるわせるのは…ミソ漬けモツの…カレーの匂い!」と大喜びで食されていました(←アウトドア料理なんて野生の極みなのに、美味しさの表現が19世紀末の退廃文学チックなのに激しく違和感がありますが…)。
 なお、意外なことですが、モツカレーは弥生ちゃんだけではなく過去に浩平君も大失敗したことがあるそうで、それがトラウマでずっとリベンジを考えていた料理だと語られていました。
 どういう失敗だったかと言うと、「下茹で済みのモツをそのままカレーにしたら、くさみが強すぎてえらく不評だった」という今の浩平君では考えられないケアレスミスで、確かにこれは心残りだったろうな~と思います。
 正直、当管理人も下処理済みって書かれていたら「もうこのまま料理に使っていい」という意味に解釈しがちで、過去にそれで「刺身用鯵の切り身をそのまま一口大に切り、食べたら小骨が口の中にザクザク刺さる凶悪な刺身を作ってしまった」という失敗がありましたので、浩平君に親近感を感じたものです(←こういうチェックミスゆえの失敗を繰り返したせいか、「そのまま焼いて下さい」「あとは調理するだけの状態です」という表記にすら疑心暗鬼になり、ついもうひと手間かけてしまう難儀な性格になりました;)。
一瞬、サバゲーかと思う武装に見えてびっくりしました;
 こうして、無事山から帰還した浩平君が合宿で作ったモツカレーを参考に自分なりのアレンジを加えて作ったのが、“浩平のモツカレー”です!
 作り方は簡単で、にんにく・しょうが・玉ねぎ・赤唐辛子・味付きモツをいためた後、トマト・カレー粉・野菜ジュース・オクラ・ししとう・玉ねぎを加えて煮込み、仕上げにウスターソースと塩で味を調えたら出来上がりです。
 ポイントは、味付きモツにちゃんと火が通ってから次の材料を入れることと、モツの脂を和らげる役割のトマトは気持ち多めに加えることの二点で、凶悪な個性を持つモツを如何に制御するかが成功の鍵であるように感じました。
 あと、浩平君はカレーの日だと「その方が楽しくない?」という理由でいつもご飯に何か炊き込むんですが(←こちらのカレーの時もそうでした)、今回は珍しく白ご飯をあわせています。
 恐らく、モツのように濃い具が入ったカレーだと、炊き込みご飯の味が負けるかチグハグするかのどちらかだったのが原因かと思われます←モツ煮とかこてっちゃんとか、確かにモツ料理には白いご飯が似合うイメージですもんね)。
 生のモツだと下処理の茹でこぼしが大変ですし、味が染みるのに時間がかかりそうですので、手間を考えると気軽には作りにくいですが、味付きモツならそれらの問題は一気に解決しますので、便利なレシピだな~と感心しました。
 試食した凛さんや佳乃さんによると「ふむ、こってりと味が深いな」「うん。いい、いい。くさみも全然ないしおいしいよ」な出来栄えだったそうで、ようやく浩平君は忌むべき過去と決別する事が出来たのでした。 
弥生ちゃんだけではなく、何と料理上手の浩平君もモツカレーにはかつて失敗してました
 モツもカレーも大好きですし、セールで味付きモツが安かったので再現することにしました。
 作中には詳細なレシピとコツがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、炒め作業。
 お鍋(又は大きめの深いフライパン)に油をしき、細かく刻んだにんにくとおろししょうがを入れて弱火でじっくりと火を通し、香りが立ってきたらみじんきりの玉ねぎを投入して中火でさらに炒めます。
 途中、種を取り除いて千切った赤唐辛子を加えて混ぜ合わせ、玉ねぎがほんのりキツネ色になるまで根気強く炒め続けます。
浩平のモツカレー1
浩平のモツカレー2
浩平のモツカレー3
 次は、煮込み作業。
 玉ねぎが充分に炒まったら味付きモツを投入して混ぜ炒め、モツが白っぽくなって火が通ったらザク切りにしたトマトとカレー粉を加え、トマトを木ベラでつぶしながら煮込みます。
浩平のモツカレー4
浩平のモツカレー5
浩平のモツカレー6
 加熱によってトマトがペースト状になるまで煮えてきたら野菜ジュースを注ぎ、し形切りにした玉ねぎも入れて煮込みます。
 段々煮詰まって全体にとろみが出てきたら、ヘタを取ったししとうと二~三等分に斜め切りにしたオクラを投入し、弱火にしてゆっくりと煮込みます(←玉ねぎもこのタイミングで入れてもいいそうですが、ししとう&オクラと玉ねぎの最適な煮え加減は同時入れだと難しいと思い、少しタイミングをずらして入れました)。
 やがて、カレーがいい具合にグツグツ煮えてトロっとしてきたら、ウスターソースと塩で味を調え、ぐるぐるとよ~く混ぜ合わせます。
浩平のモツカレー7
浩平のモツカレー8
浩平のモツカレー9
 味が調整できたのを確認したら火を止め、炊き立てご飯をよそった平皿に熱々のカレーをかければ“浩平のモツカレー”の完成です!
浩平のモツカレー10
 予想していた味付きモツの匂いは全くせず、これだけ見たら普通の野菜多めのカレーと変わらない感じで、カレー粉の力は偉大だな~と思いました。
 モツカレーは以前食べた事がありますが、原型を留めていない程煮込んだものでそこまで味が分からなかった為、こちらはどんな味がするのか楽しみです。
浩平のモツカレー11
 それでは、スプーンで一口分すくっていざ実食!
 いっただっきまーす!
浩平のモツカレー12


 さて、味の感想は…重厚感とあっさり感が両立して美味!いつもは居酒屋常連のおつまみモツが、オシャレ系欧風カレー店のヘルシー夏野菜カレーみたいな味に変身してます!
 野菜類の瑞々しいエキスと、モツの荒々しいまでにこってりした脂分をギュ~ッと濃縮し、限界まで磨きあげたようなとてもフルーティーなカレーで、水を一滴も使わない無水カレーだからこそ出せる武骨ながらも奥深いコクがたまりません。
 カレーの辛さは辛口でヒリヒリするくらいなのですが、一口食べて最初にくるのはトマトや玉ねぎを始めとする多くの野菜の強烈なまでに密な甘味で、液体というよりはカレー味の煮込み野菜ペーストといいたくなるようなもったりしたルーがまったりととろけます。
 最後に辛さが一気に来るのですが、同時に味噌を思わせる香ばしい味わいや様々な風味が舌をスーっと抜けていくのがバランスがよく、爽快でした(←砂糖を入れたと疑いたくなるほど糖度が高いのですが、あくまでも自然な甘さでべとつかず、さらりと清々しい後口なのが印象的)。
 味噌ベースのもつ煮風の下味がついたモツは、余計な臭みや脂っこさは一切ないのに噛めば噛む程ガツンと濃い旨さが舌に響く感じで、ウスターソースのスパイシーな風味や唐辛子の強い辛味が効いた個性的なカレールーの中でも抜群に存在感があります。
 モツから溶け出した肉汁は、旨味たっぷりなものの普通の肉よりもなかなか癖があるんですが、熟したトマトのフレッシュで甘酸っぱい果汁が脂をすっぽり包み込んで緩和させている為、びっくりするくらい洗練された仕上がりになっているのが特徴的でした。>
 ししとうのパリッとした歯応えとほのかな辛苦さ、オクラのザクザクトロッとした粘りと青みを帯びた味わいが心地よいアクセントになっており、夏野菜の爽やかさがまったりしたカレーをキリッと締めていたのがよかったです。


 意外と簡単に作れるのに、ここまで本核的な味になるなんてびっくりで、「無水カレーってすごい!偉大!」と唸りました。
 本当に手間いらずで思い立ったらすぐに作れますので、今度はきのことかゆで卵も入れたアレンジバージョンも試してみようかなと思いました。


P.S.
 無記名さん、ノリスケさん、kawajunさん、コメントして下さりありがとうございます。


●出典)『まかない君』 西川魯介/白泉社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

Comment

2018.10.16 Tue 00:17  |  モツ ウマそう!

どうも。先日一方的なファンレターを書いたノリスケです。あまりシツこくコメントを書くのもなぁと悩んだのですが、モツカレーが美味しそすぎだったもので…(また少し酔っております。) 私の料理マンガの守備範囲は寺沢マンガ(ミス味、ショウ寿司、くわせもん、喰いタン)、美味しんぼ、クッキングパパ、中華一番でしたが、このブログを拝見してから華中華も読むようになりました。まかないくんも手に取ってみたいと思います!
※ゴローさんの孤独のグルメはドラマの影響。

ちなみに再現料理はいつも1つの料理を何回も試してらっしゃいますよね?
(「〇〇したほうが良いです」的な文面と撮影解像度の高さからの勝手な予想)
実はとてつもなく大変な労力をさいてらっしゃるんだなぁと感銘しております。
今回も楽しく拝見させていただきました!
ありがとうございます!

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あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『どんぶり委員長』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『ミスター味っ子』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『BAR・レモンハート』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』


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※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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