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『ミスター味っ子』の“味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯”を再現!

 先日、とうとう我が家にも宅配ボックスが導入されたのですがこれがすごく便利で、ただでさえ通販ばかりなのにさらに回数が増えました。
 液晶パネルタイプでポチポチ入力してから取り出すのですが、宅配ボックスの色と相まってまるで金庫を開けるルパン三世のような気持ちに毎度なっており、中から宅配品を取り出す時「よし!ミッションクリア!」と心の中で呟いています。
 中身は何なのか知っているのですが、それでも欲しい物を箱から取り出す瞬間はいくつになってもわくわくする感じで、クリスマスプレゼントを枕元で見つけてはしゃいでいた子供時代を久々に思い出している今日この頃です。

 どうも、家の近くで何故か一つだけ採られず放置されてついている柿の実を見るたび『最後の一葉』を思い出す当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『ミスター味っ子』にて陽一君が山で採れた食材を駆使して即興で作った“味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯”です!
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯図
 それは、丼兄弟とのうどん勝負が終わって少し経った頃のこと。
 毎年恒例である隣町との合同キャンプツアーに参加した陽一君は、料理当番として自分の町の人達の食事を作る事になるのですが、運悪く食材を持った男性が足を滑らせて川に落ちてしまい、荷物を丸々失う羽目に。
 手元に残ったのはお米くらいという悲惨な状況になった陽一君は、隣町の町会長に料理当番として雇われていた有名な料理評論家・高平謙さんに食料を分けてもらえないかとお願いしに行くのですが、「だめだね」「こちらの材料をあんたたちに分けたりしたら、こちらの料理だって満足にいかなくなる」「わたしも請われて来た以上、完全な料理を出す責任がある」と断られてしまい、結局自分達の力で何とか材料を調達しなくてはいけなくなります←ちなみに隣町の町会長は、それらの争いを見て見ぬ振りをするという大人のズルさを発揮;。筋が通っている説明ではあるものの、無愛想な言い方でいらぬ恨みを買ってしまっている高平さんに対し、あえてだんまりを通して目立たないようにしている町会長は、なかなかの世渡り上手だと思います。陽一君は高平さんに怒っていましたが、「陽一君、後ろ!もう一人の責任者後ろ!」とドリフのお約束ツッコミばりに指摘したくなるワンシーンです)。

 なお、隣町の参加者達は助けるどころか「だいじょーぶなんじゃないの」「そっちにはミスター味っ子がいるんだからさ」「せいぜいおいしい料理作ってくださいな」と半笑いで煽っており、激怒した町の人たちとあわや一触即発の状態になります(←ここは『北斗の拳』に出てくる水と食料を奪い合う暴力の荒野なのでしょうか?)
 まるで、試合が白熱した時に繰り広げられる過激なサッカーサポーターの煽り合いのようで、いつフーリガン級の暴動が起きてもおかしくなかったのですが、陽一君が止めてくれたおかげで事なきを得ていました。
 同じく対立が激しい組み合わせといえば、きのこの山VSたけのこの里の泥沼バトルが真っ先に思い浮かびますが、あちらは直接顔を合わす機会がないのでネット上の口論で済むものの、こちらはなまじ隣同士で直接顔を合わせる分タチが悪くて危険だといえそうです。
実は何一つ間違ったことは言っていない料理評論家・高平謙さん
 その後、陽一君は丼兄弟の太郎さんや次郎さんと一緒に山の中に入り、夕食の材料になりそうな食べ物はないかと懸命に探し回ります。
 一応少年漫画ですので、「いきなり!黄金伝説」の濱口優さんや『海人ゴンズイ』のようにモリで魚を突きにいく派手なアクションシーンがあるのでは?と初見時は期待していましたが、近くに海があるにも関わらず全くナシでした←どうやら陽一君には、『トリコ』の美食ハンターみたいな才能はなかったみたいです;)。
 生で食べられる貴重なタンパク源を見抜いては、そのままモリモリ食べる姿に悲鳴が上がる定評のあるベア・グリルスみたいな専門知識やサバイバル能力がない素人の陽一君達に、山中での狩りという過酷なノルマをこなせるか心配でしたが、幸いにも陽一君は肉食系ではなく草食系だったせいか山中での収集は得意で、自生していたゆず・むかご・銀杏(←道端に落ちている銀杏を食べられるようにするには一週間近くかかるという野暮なツッコミは封印)を安全にゲットし、無事下山していました。

 ちなみに、むかごは山芋のつるに生えている肉芽ですので、下の方には100g1000円近くする天然物の高級食材・自然薯が埋まっていたはずなのですが、「醤油がなくて味付けできないから」という理由で陽一君はスルーしています。
 確かに醤油があった方が断然おいしいですが、輪切りにして焼くだけでも充分美味しい秋の味覚になったのにもったいない…と読む度に身悶えします(^^;)。
食材を求めて山中をさ迷う陽一君と、ここにきても薄着な丼兄弟のお二人;ゆず、銀杏、むかごなど、秋の山中だからこそ採れる食材をゲット!
 こうして、山中からゲットした旬の食材を使って陽一君が工夫の限りを尽くして作ったのが、この“味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯”です!
 作り方は意外と簡単で、むかごと甘納豆をご飯と一緒に炊き込み、最後にすりおろしたゆずの皮・ゆずの果汁・銀杏を加えて混ぜ合わせ、最後にゆずの皮の千切りを飾ったら出来上がりです。
 調味料がなくて強い味付けや香り付けが出来ない所を、陽一君は鮮やかで個性の強い風味を持つゆずを丸ごと使うことによってインパクトのある調味を施し、何ともいえない清涼感の漂うご飯に仕上げて周囲の度肝を抜いていました。
 初見時は、「銀杏・むかご・ゆずだけでも充分おいしそうなのに、何故そこに甘納豆を入れて一気に闇鍋風に…?」とすごく疑問でしたが、陽一君曰く「あと…あとひと味!何かが足りない気がする」という最後のひと味が甘味だったそうで、食べた人達は「酸味の強い混ぜご飯の中に、ふんわり甘い一点のアクセントが味わいを広げるっ」と絶賛していました。

 調べた所、甘納豆をご飯と一緒に炊き込むレシピはそんなに珍しいものではないらしく、特に北海道では小豆の代わりに甘納豆を使って作るお赤飯が一般的だと説明されているサイトもあり、むしろ正当派な味付けな事が判明して感心しました。
 考えてみれば、サツマイモや桜でんぶも甘いのにご飯とぴったりですし、『美味しんぼ』の「恥ずかしい食べ物自慢大会」でも大福を乗せたご飯にお茶をかけて食べる大福茶漬けが登場した事がありますので、甘味+ご飯は思ったよりもポピュラーな組み合わせなのかもしれません←大福茶漬けは原作の中でも「きもちわるい~」と拒絶されていましたが)。
山で自生していたゆずの果汁と皮を使って味付けし、清々しい味付けをプラス熟したての翡翠銀杏もいれ、秋の味覚盛りだくさんにしてました謎の紫色をした豆の正体は、何と小豆の甘納豆でした!
 ちょうどいいサイズのむかごだけがどうしても手に入らなくて諦めかけていたのですが、先日何とか手に入れることが出来ましたので再現する事にしました。
 作中に載っている大体のレシピと、文庫本に載っている辻学園様のレシピを参考にしつつ、なるべく忠実に作っていこうと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、食材の下ごしらえ。
 銀杏の殻を包丁の背で潰すなどして中身を取り出し、薄皮がついた状態のまま沸騰したお湯が入ったお鍋へ入れ、お玉の背で銀杏を鍋底にくるくる押し付けながら皮を剥きます(←大体二分くらいが目安です)。
 皮が全て剥けたらすぐに取り出し、余分な水分を拭いておきます。
※形が少々悪くなりますが、封筒に二重包みして電子レンジにかけて皮や殻を取り除く方法もあります。ただ、長くかけすぎると電子レンジ内で飛び跳ねたり焦げたりしますので要注意!
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯1
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯2
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯3
 ゆずは皮をしっかりこすり洗いした後水気をふき取り、半分は皮をすりおろして果汁をまぶし、半分は皮を薄く切り取って白い部分を取り除いてから千切りにします。
 むかごは流水で汚れを丁寧に洗い落として水気をきり、甘納豆は外側の砂糖の粒だけをさっと洗い流し、こちらも水気をきっておきます。
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯4
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯5
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯6
 次は、炊き込み作業。
 炊飯器(又はお鍋)へといだお米とお水を入れて三十分~一時間放置し、お米が充分に水分を吸ったら塩を加えてざっと混ぜ、その上にむかごと甘納豆を投入してそのまま炊きます。
 炊き上がったらすりおろしたゆずの皮と銀杏を加え、さっくりと混ぜます。
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯7
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯8
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯9
 具がご飯全域に行き渡ったらお茶碗に盛り付け、仕上げに千切り状のゆずの皮を散らせば“味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯”の完成です!
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯10
 ゆずのむせかえるような柑橘系の香りが湯気となって立ち上るのが何とも雅びな感じで、たったこれだけなのに高級な和食店でお食事しているような気分になります。
 甘納豆の形が崩れて分かりづらくなったのが残念ですが、果たしてこれが吉と出るか凶と出るか…食べて確認してみようと思います!
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯11
 それでは、炊きたて熱々の内にいざ実食!
 いっただっきまーす!
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯12


 さて、感想ですが…「あれ?意外とありかも!?」と頭が混乱する旨さ!ゆずの鮮烈な風味とわずかな塩味が、びっくりするほどご飯に合ってます!
 通常、混ぜご飯はどこを食べても大体の味わいは同じですが、こちらは一緒に食べる具によって味付けの印象がガラリと変わる感じで、その都度味が変化するのが面白いです。
 甘納豆は小豆のふくよかでコクのある甘味が優しくとろけ、まるでおはぎを連想する味わいなのですがあくまで甘さはほんのり程度でさっぱり控えめなのが食べやすく、ご飯についた塩気と引き立てあって後引く味に(←どちらかといえば「少し甘めのお赤飯」といった方が近いかもしれません)。
 むかごはパリッと皮を噛み破った途端、ねっとりホコホコとした里芋みたいに粘りのある実が野趣溢れる旨味と共に舌に広がるのが美味で、これぞ秋の真打ち味覚というイメージの芋ご飯の味に。
 銀杏はむちむちほっくりした弾力のある実と品のいいほのかな苦味が正統派な和の旨さで、料亭風あっさり塩味に仕上がっており、むかごを「男性的な動の味」とするならこちらは「女性的な静の味」というおいしさでした。
 これらのバラバラな良さを持つ具を、ゆずの高貴でこの上なく清々しい香気とフレッシュな酸味が一つにまとめあげており、最後はスーッと鼻を抜けるような爽やかな後口にしているのがよかったです。
 一言で例えるなら「秋の山の豊かな恵みを堪能できる滋味深い混ぜご飯」で、噛むごとに豊穣な大地の恵みで口の中がいっぱいに満たされていくのを感じました(←きのこご飯やサンマご飯も秋らしくていいですが、こちらは地味ながらもよりどっしり力強い味わいなのが通好みな感じ)。
 むかごから溶け出た粘り成分のせいか、ご飯全体がいつもよりもっちりした食感になっており、なんちゃっておこわ風な味わいになっているのが面白かったです。


 甘納豆は一緒に炊き込むと柔らかくなりすぎて食感の面白さが軽減される気がしましたので、こちらも銀杏同様後から混ぜ込む方式がいいかもしれません。
 高級食材は入っていませんが、思い出すと不思議と食べたくなるご飯で、酢豚にパイナップルみたいなおかず系+甘味が苦手な方以外におすすめしたい創作ご飯です。


P.S.
 ふにゃふにゃさん、ムーンライトさん、コメントして下さりありがとうございます。
 リクエスト受付の件ですが、当管理人ができる範囲でだけ再現させて頂く形を取っております。


●出典)文庫版『ミスター味っ子』 寺沢大介/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

Comment

2018.12.06 Thu 03:17  |  No title

いつも楽しく拝見しています。
おそらく件の柿は木守りですね。
今時風流なご家庭もあったことです。

無理のない程度での更新を心待ちにしております。

  • #-
  • ロッサ
  • URL

2018.12.07 Fri 23:17  |  ママー あれ食べたいよー

タイトルは隣町の女の子のセリ(以下略)。 当時はタカシ君のオヤツ(甘納豆やゆで卵)を20人ほどの大人たちで分けあえるものなのだろうか…と考えてはいけないことを心配したものです。マンガよりも美味しそうでした! 美味しく読みながら酒のツマミにさせていただきました! 次はなんでしょうねぇ。寒い時期になってきたから赤糸散らしの雪鍋とか。バカでかい昆布がいりますね… とにかく楽しみにしてます!

  • #-
  • ノリスケ
  • URL

2018.12.09 Sun 05:45  |  食い物の恨みは…

あんこさんおはようございます、いつも楽しく拝見しています。
このお話は、冒頭で「陽一くんのおかげで隣町に比べてキャンプの食事が良くてイイね!今回も頼むよ!」ってな感じで町の人々が陽一くんを持ち上げつつ、隣町をdisっているのを移動中のバスで散々聞かされて、隣町の町長さんが苦い思いをしているんですよね。その後のやり取りで、隣町の人々が陽一くん達を煽るのを止めないのも、冒頭での前置きに原因があるのかも。食べ物の恨みはオソロシイ(;´д`)
まあ、ラストでの隣町の人々の手のひら返しっぷりや、陽一くんの傷口に塩を塗り込む「俺の料理を食べて」発言など、負けた高平謙さんが気の毒過ぎるラストが印象的ですね(良い話風に締めようとしているので尚更…^^;)。
それにしても、銀杏と柚子が加わったおかげで、凄く色鮮やかな混ぜご飯になってますね!塩味と柚子の酸味が合うというのも新鮮な発見。季節感もいっぱいで美味しそう。
これからも再現料理記事、楽しみにしています。では、また〜。

  • #jkZ6tFIc
  • kawajun
  • URL
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2018.12.09 Sun 13:18  |  おやつは甘納豆とゆで卵

 当時としても渋いおやつの少年だなと思った次第ですが
山のご飯はいいとして海のご飯は鯛一匹と曲げわっぱ1箱分しか
ないので町内会で分けるには少なすぎないかと心配してみたり…
(キャンプ場の水道もあるので海水100%で炊いたわけではないと思うのですが)

 自分が子供のころ過ごした長野では林檎の果樹園がたくさんあるのですが、来年の豊作を願ってどの木も1つだけ果実を残してます。
確か美味しんぼで木守を使ってジャムを作る話があって、食べちゃっていいのかな…熟れ過ぎてるだろうにと思った記憶があるます。

  • #LSrZWcZg
  • ゴロー
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あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『どんぶり委員長』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『ミスター味っ子』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『BAR・レモンハート』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』


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・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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