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『どんぶり委員長』の“文明開化の香りするカレーパン丼”を再現!

 最近、夫から手塚治虫先生の『ミッドナイト』『シュマリ』という作品を紹介されて読んでいるのですが、これが面白くてすっかりハマっています。
 『ミッドナイト』は不思議なタクシー運転手が様々なお客さんを乗せる一話完結のお話、『シュマリ』は未開の北海道へ妻を捜しにやってきた元武士の男が数奇な人生を歩むお話なのですが、これが面白いです。
 潔癖で理想主義で頑固な十代の時に読んでいたら、また違った感想を持っていたであろうエピソードも結構あるのですが、今読むと「そういうこともあるよね」という感じで、時の流れをしみじみ感じます。

 どうも、『ゴールデンカムイ』といい、『シュマリ』といい、『ろくでなしブルース』といい、主人公の想い人よりも周囲の一途な女性キャラの方が魅力的だと思う当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『どんぶり委員長』にて委員長が是非にと吉田君にお願いして作ってもらった“文明開化の香りするカレーパン丼”です!
文明開化の香りするカレーパン丼図
 ある日、食堂でお昼ご飯を買おうと列に並んでいた委員長は、「カツ丼はじめました!400円」という冷やし中華始めましたノリで貼られているポスターに目が釘付けになり、一気にカツ丼気分になります。
 早い・安い・旨いと三拍子揃った立ち食い蕎麦屋さんでもカツ丼一杯七百円ぐらいするご時世、たった四百円で大盛りカツ丼が食べられるなんて、まさに学生の特権だと思います←社員食堂でもカツ丼はお手頃に食べられますが、その頃にはもう胃袋弱体の兆しが見えてきて、ヘビーな物を思うように食べられなくなっているのが切ない所)。
 そこで委員長は大喜びでカツ丼を注文しようとするのですが、後ろに並んでいた「ご飯はともだち!」な大食い系男子が『孤独のグルメ』の五郎さんの如く大盛り予告宣言をした為、急に恥ずかしくなって「カ…カレーパンください…」とひよっていました;。
 せめてカツサンドなら追体験しやすかったはずですが、トンカツは好きな豚肉料理ランキング男性部門で「圧倒的じゃないか、我が軍は」的人気を誇る男性オーラ全開な食べ物ですので、か弱いくらいに薄く白い食パン程度ではとてもごまかせないと思い、苦肉の策でオシャレに見えなくもない貴重な肉入りパンであるカレーパンに希望を託したものと思われます。
 まるで周囲の冷やかしが気になって素直になれず、正反対の行動をしては好きな女子からどんどん遠ざかっていく小学生男子のような行動で、人目や陰口にびくともせず欲しい物へ猛突進していく肉食系女子のポジティブさを見習って欲しいと感じたものです←そのまま真っ直ぐな心で年を重ねると、懐かしのオバタリアンへと進化する確率が激増するのが唯一の不安ですが…。現実のポケモンは残酷です)。
「委員長、カツ丼はじめたってよ」という展開だったのに…
 おかげで、「あーあ…何でパンなんて買っちゃったんだろ…」「朝ごはんも食パン食べたし…お昼にも食べるとどうも物足りないというか…味気ないというか…」とがっかり気分でパンを食べ始める委員長でしたが、一口食べるとその考えを一変!
 バターが香り高いクロワッサンといい、まろやかな甘さのアンパンといい、朝に食べたトーストとは一味違う味わいばかりで「思ってたより美味しい!!」と委員長は喜び、その結果「やっぱりオシャレな女子のランチといえば…パンよね!!さよなら!!どんぶり!!」と熱い手の平返しで丼とあっさり決別する始末で、危うく『どんぶり委員長』から『パン食委員長』になりそうな事態に発展していました;。
 かつて、『ルパン三世』にて永遠の魔性の女・峰不二子さんは「裏切りは女のアクセサリーよ」という名言を残しましたが、初心の極みな女子高生である委員長にすらそんな女の業が潜んでいたのかと思うと、何とも複雑な気持ちになったものです。
 しかし、メインのカレーパンを食べた時に「油で揚がったサクサクのパン生地と旨みが凝縮されたカレーとの素晴らしいマッチング…」「ああ!!これで、ご飯を思いっきりかっ込みたい!!」という丼脳が再び目覚め、目が合った瞬間ニュータイプの如く委員長の心を読み取った吉田君がその無茶苦茶な依頼を引き受ける事になっていました。
 低炭水化物ダイエットが常識レベルで世に普及した今、あえて炭水化物に炭水化物を乗せるというオラオラ攻めの姿勢はロンドン・コーリングばりにロックとしか言う他ありませんが(←男子にモテるオシャレ女子から一千光年遠ざかった印象)、フライドバターといい、グラタンコロッケバーガーといい、もこみち流ショートパスタ入りドリアといい、カロリーの暴力は狂気の沙汰ほど面白いので、読んでいてワクワクしたのを覚えています。
カレーパンがおいしいあまりに丼にして欲しいとお願いしてきた委員長;
 こうして、委員長の「何事も固定観念を捨てて行動してみないと、新しい事は生まれないと思うの」「そう…先人たちが洋のパンとインドのカレーを結びつけたようにね」という言葉に影響されて吉田君が作ったのが、この“文明開化の香りするカレーパン丼”です!
 作り方は簡単で、フライパン(又は丼鍋)へ醤油・みりん・お酒・お水・粉末鰹出汁を入れて煮立て、一口大に切ったカレーパンを加えて少し煮込み、溶き卵を回しかけて半熟になるまで火を通した後にご飯へ乗せ、福神漬けと刻みパセリをトッピングしたら出来上がりです。
 ポイントは、なるべくカレーパン全体にお出汁を含ませるようにして煮ること、溶き卵は最初に半量だけ入れて弱火で二分程煮てから残りの溶き卵を加えることの二点で、こうすると口当たり最高な丼に仕上がるとの事でした。
 委員長曰く、「そ…そ…想像を飛び越えてきたーっ!!!」「しっとりじゅわっとした食感と、後からやってくるカレーとお米の旨み…なんだか新感覚の和風カレーを食べてるみたい…!!」 「カレーパン、お米、卵、そして和風ダシ…それら全てがバランスよく調和し合って…カレーでもパンでもない…独立したカレーパン丼という新しい食べ物になっている…!!」だそうで、感激しながらかっ込んでいました。
 おまけに、丼物にしては珍しく全体的に柔らかくてお肉の塊もなくスルスル入るせいか、「カレーパン丼は飲み物です!!」というウガンダ=トラさんもびっくりな衝撃発言をジャンプ漫画によくある擬音をバックにしながらしており、吉田君から「それ、完全にデブキャラの発想だぞ…」と呆れられていました;(『TVチャンピオン極』のデブ飯選手権に登場した「日本のマヨネーズは世界一!」「油Party」「焼き豚ナポリタン丼は素晴らしい国宝ですね」に匹敵するパワーワードだと思います)。
カレーどころか、丼まで飲み物だと言い切ってしまった委員長;
 以前『クッキングパパ』の“パン丼”を再現し、パンとご飯はむしろ合うという結論は出ていたものの、カレーパンを卵でとじてご飯で食べていたのは後にも先にも『どんぶり委員長』だけで非常に興味津々だった為、再現する事にしました。
 作中には分量つきの詳細なレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、煮込み作業。
 フライパン(又は丼鍋)へお水、お酒、みりん、醤油、鰹出汁の素を入れて中火にかけ、沸騰したら一口大に切ったカレーパンを加えて煮込みます。
※三番目の画像を見てお分かりになる通り、カレーパンは丼つゆをものすごく吸ってフライパンから消失しやすい為、一人前作るだけでも通常の二~三人前くらいの量の丼つゆで煮る事をお勧めします…。
文明開化の香りするカレーパン丼1
文明開化の香りするカレーパン丼2
文明開化の香りするカレーパン丼3
 カレーパンが丼つゆを吸いきって煮立ってきたら、半量の溶き卵を回しかけてフタをした後弱火で約二分煮込み、さらに残りの溶き卵をさっと回しかけます。
 数秒経って半熟直前くらいになったらすぐに火からおろし、そのまま炊きたてのご飯をよそっておいた丼へ移します。
文明開化の香りするカレーパン丼4
文明開化の香りするカレーパン丼5
 具を全て丼に乗せたらその傍らに福神漬けを盛り付け、仕上げに上から刻んだパセリを散らせば“文明開化の香りするカレーパン丼”の完成です!
文明開化の香りするカレーパン丼6
 カレーパンだと言われなければ一口フライに見紛うまともなビジュアルで、一見しただけではカレーパン丼というエキセントリックな創作丼だとは到底分かりません。
 匂いも時々カレーの香りがほんの少ししますが、それよりも丼つゆの和な香りの方が先立つ感じで、完全に隠れています…。
 変り種料理は見た目が完全に隠れていても、匂いでその存在に気づく確率が高いので、大した擬態っぷりだと思います(←『攻殻機動隊』の光学迷彩レベルの見事さです)。
文明開化の香りするカレーパン丼7
 それでは、熱々の内にいざ実食!
 いただきまーすっ!
文明開化の香りするカレーパン丼8


 さて、感想は…本当に、カレーでもパンでもない新感覚な丼でびっくり!一食の価値ありと断言出来るおいしさです!
※本当は、委員長はこんなに運動神経が良くありませんのであくまで想像です
 出汁を吸ってフワフワテロテロのお麩みたいになったカレーパンの衣から、とろみが強くもったりとした餡のような舌触りのカレーがトロリと溢れるのを甘いご飯ががっちり受け止めており、一風変わった和風カレー丼に仕上がっています。
 意外にもカレーパンは溶けたり混ざったりせずそのままの形を保っており、スパイシーなカレー・和風醤油味の揚げ衣風のパン・甘辛い半熟卵が口の中に入って初めて一体化する感じで、単調さが微塵もないメリハリのある後味なのが印象的(←カレー南蛮ほどカレーがダイレクトに舌に来ない分、繊細さすら感じます)。
 作中で「カツ丼みたい」と言われていましたが、まさしくその通りな食感と醍醐味に生まれ変わっており、例えるなら「豚肉の代わりにカレーを包んで揚げた変わり種の特濃カツ丼」というイメージの一品で、一旦揚げたからこそ出る香ばしい風味と、ギュッと凝縮されている濃いカレーの旨味がご飯にぴったりでした。
 口当たり的にはクリームコロッケ丼にも似ていると感じましたが、こちらの方がご飯との相性も男飯度もこってりかつあっさり感も遥かに上で、個人的にはカツ丼に次ぐ完成度の高さだと思います。
 本物のカツの衣とは違い小麦粉の部分が分厚い為、パン自体が様々な旨味を吸って肉に匹敵するジューシーなおかずになっており、しっとりしつつも程よいコシが残ってコクのあるパンは、まるで油麩みたいな味わいだと感じました。
 カレーパンのカレーは揚げたパンに負けないよう作られるせいか、通常のカレーよりも粘度が強くかなり深みがあって濃厚、それでいて辛さと甘さのバランスがよくマイルドなのが特徴。
 その熟成された味つけはパンだけでなくご飯にもよく合っており、飛びきり上等で舌触りが滑らかなキーマカレーっぽくもあるな~と色々発見があって面白かったです。


 夫共々、真剣に「カレーパン丼という新しいジャンルがあってもいい」「お店で売れる」「一度食べたらハマる」と論じ合った程上出来な丼で、作者の市川ヒロシ先生の先見の明と料理センスの凄さに改めて驚いたものです。
 夫に至っては、「これが晩飯に出てきたら嬉しい」と評価していました。
 福神漬けのパリパリした歯触りと甘じょっぱさが箸休めとしてとても優秀でしたので、あらかじめ別皿にも多めに用意して頂く事を推奨いたします。


P.S.
 AKHさん、キンメさん、ほーりーさん、kawajunさん、コメントを下さりありがとうございます。


●出典)『どんぶり委員長』 市川ヒロシ/双葉社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

Comment

2019.04.30 Tue 17:50  |  飲み物(´;ω;`)

あんこさんこんばんは。

素敵な丼ものならぬ素敵な飲み物の再現に驚いていますが、この手のメニューはなぜこんなにも美味しそうなのだろう(´;ω;`)
かなり昔、あんこさんが東海林さんのピザ丼というのを再現された記事を読んだ時もすごく惹かれたのを覚えてます。
もちろん最近のパン丼も。
私がわりと風変わりなお料理が好きだからもありますが、カロリーやコレステロール的に禁断のメニューっぽいところがまた逆に魅力的なんですよね!
でもそんな軟弱な心配など忘れて、美味しいカレーパンを手に入れたら私も作りたいです。

承認ボタンと削除ボタンの件ですが笑笑
全然お気になさらないで下さい(>人<;)
例え全て削除になったとしてもあんこさんのブログの大ファンですので笑
返って気にして頂き申し訳ないです、コメント読んで下さってありがとうございました。

あ、今回は多分平成最後の記事になりそうですね。

令和の再現も楽しみにしております。

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プロフィール

あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『どんぶり委員長』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『ミスター味っ子』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『BAR・レモンハート』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』


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※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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