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『人情小料理 のぞみ』の“のぞみ風鮭ハンバーグ”を再現!

 先日、ある馬肉専門のお肉屋さんの前を通ったのですが、看板に「天高く!肥えております」というキャッチコピーが大きく書かれており、複雑な気持ちになりました;。
 「もしかして、例のことわざの語源は馬肉関連なのかな?」と気になって調べた所、実は古代中国の将軍の「北から匈奴が、春と夏に青草をたっぷり食べて力強く肥えた馬に乗って略奪しに来るから、秋には気をつけろ」と言った言葉が元になっているのだそうで、予想以上に殺伐とした話で驚きました。
 危うく「秋って馬刺しが一番美味しい時期みたいだよ~」と嘘の情報を流す所だったので、事前の確認作業はやはり大事だなと思いました。

 どうも、夫と『スーホの白い馬』のラストを語り合う度、「いくら夢の中でずっと一緒にいたいから作ってってお願いされても、愛猫の骨や皮や筋や毛を使って楽器は作りきれない…!」という結論に毎回達する当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『人情小料理 のぞみ』にて主人公・三蔵のぞみさんがある魚嫌いのお客さんの為に作った“のぞみ風鮭ハンバーグ”です!
のぞみ風鮭ハンバーグ図
 『人情小料理 のぞみ』とは、八年前に事故で亡くなった板前の夫の後を継いで小料理屋を営む女将・のぞみさんと周囲の仲間達が、すっかり寂れた自店やシャッター商店街を活性化する為に奮闘する、ヒューマンドラマ系料理漫画です。
 『華中華』の作画を担当されたひきの真二先生の絵のせいか、デジャブなキャラが多く、初めて見た時は「パラレルワールド!」「未亡人バージョンのハナちゃんだ!」と思ったのを覚えています(^^;)。
 しかし、心優しくて包容力のある性格はそっくりなものの、のぞみさんは和服の似合うしっとり落ち着いた大人の女性で、どこか艶のある雰囲気なのが特徴。
 恰幅がよくて女難の節がある酒屋・猪野山さん、優しく真面目でカッパ頭な八百屋・沙川さん、喧嘩っ早くて陽気な魚屋・猿渡さんといったズッコケ中年三人組凸凹常連トリオが、何だかんだ言いつつもマドンナ的存在のぞみさんの力になろうと協力するのが、見ていて微笑ましいです(←その名通り、どう見ても『西遊記』に出てくるキャラがモデルですね)。
 『美味しんぼ』みたいに薀蓄が並んだり、『ミスター味っ子』みたいに料理対決が繰り広げられたり、『中華一番!』みたいにド派手なアクションがあったりする訳ではないので地味ですが、目立たなくても一生懸命に頑張る人々の成長が描かれており、惹かれるものがある作品です。
すっかり寂れた商店街にある小料理屋の女将・のぞみさんが主人公
 単行本に載っている料理は題名通り和食系の創作料理が多く、それも既存の常識に縛られない、色んな技術を応用した斬新なレシピが多いのが特徴。
 卵かけご飯の焼きおにぎり・パルメジャーノと醤油のご飯・いわしのこしょう煮・小玉ねぎの味噌グリル・和風ロールキャベツなど、純和風ではないですが料理名を聞くだけで好奇心をそそられる物ばかりです(←この真面目なようで大胆な和食は、どことなく『美味しんぼ』のはるさんの料理を彷彿とさせます)。
 実は当初、のぞみさんは亡き夫・健さんの愛弟子だった淳さんに本格的な板前料理を教わり、一から修行をやり直そうとしていたのですが、後々淳さんから止められます。
 淳さん曰く、「健さんはこう言ったんです。のぞみさんの作る料理は俺たちプロの職人が作った料理とは違う味がする…あったかい味がするって」「だから、俺に料亭の味を教わるのもいいんですけど…のぞみさんだけが出せる料理…姉さんらしい味があってもいいんじゃないですか?」との事で、その言葉で夫亡き後、失われた味を再現しようと知らず知らずの内に自由な発想を押し殺していた事にのぞみさんは気づき、それ以来自分の心に素直になって料理を作るようになっていました。

 その昔、「歌が上手なだけでプロになれるなら、音楽の先生はみんな一流歌手になっている。技術だけではない何かを求めて、人は音楽を聞いている」というようなセリフをどこかで見た記憶がありますが、それは料理も含めた他の文化・芸術にも言える事なのかもしれないと、今になって思います。
 自分の理想を正確に具現化する為の技術も確かに必要ですが、例え荒削りであったり常識外れだったりしても、心に響く何かがやはり一番重要なのだと感じます。
それまでは亡き夫の味を追っていたのぞみさんですが、自分なりの味を追求する事になります
 今回ご紹介するのは、自分の味を手探りで模索し始めていたのぞみさんが、「魚なんか嫌いだよ」「ハンバーグがよかったなぁ」と言ったある魚嫌いのお客さんの為に即興で作っていた、“のぞみ風鮭ハンバーグ”!
 作り方はちょっと手が込んでおり、生鮭と木綿豆腐を手で練り合わせた後、みじん切りにした長ネギ・にんにく・にんじん・ピーマン・ベーコン・生パン粉・塩・こしょう・溶き卵を加えてさらに混ぜ、成型し真ん中をへこませたら粗くみじん切りにしたベーコンを乗せて全面に小麦粉をまぶし、両面を焼いて千切りキャベツの上へソースと共に乗せたら出来上がりです。
 ポイントは、生鮭は骨を取りつつスプーンで身をかき取って手でざっくりつぶして使うこと、木綿豆腐は一時間以上重しにかけてしっかり水気をきること、焼く時は最初からフタをして白ワインで蒸し焼きにすることの三点で、こうすると魚の旨味も活かしつつ臭みが消えたおいしいパテになるとの事でした。
 ソースは、ハンバーグを焼いた後のフライパンにトマトジュース・ウスターソース・醤油・こしょうを足して煮詰めた物を使うとの事で、こうするとびっくりするくらい深みのある味わいになるみたいです。

 肉と魚介類をミックスさせたハンバーグと言うと、『ミスター味っ子』『堺一馬特製豚肉抜きハンバーグ』や、『大使閣下の料理人』“ベトナム風ハンバーガー”を思い出しますが、生鮭とベーコンという組み合わせはかなり珍しく、味の想像が全くつかなかったのを覚えています。
 けれども、調べてみると鮭ハンバーグは「癖がなくておいしい」と色んな方がレシピをアップされているくらいポピュラーな料理らしく、驚きました(←かの有名な料理研究家・栗原はるみ先生レシピを考案されていました)。
 作中でもお客さんから「チョーうまいよ」「ファミレスのハンバーグよりずっと美味しいや!」と喜ばれており、のぞみさん共々ほっとしたものです。
なんと、スプーンでかき取った生鮭と木綿豆腐をベースにして作ります
 単行本を読んだ時からずっと気になっており、生鮭が安く手に入るようになったので再現する事にしました。
 作中には詳細なレシピが分量つきで記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、パテ作り。
 骨を抜いた生鮭から身をスプーンでかき出してボウルへ入れ、そこへあらかじめキッチンペーパー等に巻いて重石を乗せた後約一時間置いて水気をしっかりきった木綿豆腐を、手で潰しながら加えます。
 この二つを指で潰しあうようにしてざっくり混ぜた後、さらにみじん切りにした長ネギ、にんにく、にんじん、ピーマン、ベーコンを投入し、ざっと混ぜ合わせます。
※生鮭は包丁でみじん切りにしたり、細かく身をかき取るのではなく、指で細かくしすぎない大体のミンチ状にするのがミソです。
のぞみ風鮭ハンバーグ1
のぞみ風鮭ハンバーグ2
のぞみ風鮭ハンバーグ3
 パテに刻み野菜が行き渡ったら、生パン粉、塩、こしょう、溶き卵を入れ、粘りが出るまでよく練り合わせます(←お好みで小麦粉を入れてもOKです)。
 これで、パテは準備完了です。
のぞみ風鮭ハンバーグ4
のぞみ風鮭ハンバーグ5
のぞみ風鮭ハンバーグ6
 次は、焼き作業。
 先程のパテを等分に分けて空気を抜きながら丸く形を整え、真ん中を少しくぼませて中央に粗いみじん切り状にしたベーコンを飾り、前面に薄く小麦粉をふってまぶします。
のぞみ風鮭ハンバーグ7
のぞみ風鮭ハンバーグ8
のぞみ風鮭ハンバーグ9
 このパテを、油をしいてよく熱したフライパンへ並べてフタをし、数分かけて焼きます(←この時、ベーコンの面を最初に焼くとカリッとしやすい上、焼けたベーコンから出た肉汁が他の面にも染みて美味しくなります)。
 下の部分が焼けたらひっくり返し、白ワインを振ってすぐにフタをし、また蒸し焼きにします。
のぞみ風鮭ハンバーグ10
のぞみ風鮭ハンバーグ11
のぞみ風鮭ハンバーグ12
 ハンバーグが焼けたら火からおろし、千切りキャベツを盛り付けておいたお皿へ移します。
 その間、肉汁が残っているフライパンへトマトジュース、ウスターソース、醤油、こしょうを足して火にかけ、焦げつかないようゆっくり煮詰めてソースを作ります。
のぞみ風鮭ハンバーグ13
のぞみ風鮭ハンバーグ14
 ソースが煮詰まってとろみがついたら火を止め、そのままハンバーグの上へたっぷりかければ“のぞみ風鮭ハンバーグ”の完成です!
のぞみ風鮭ハンバーグ15
 見た目はごく普通のハンバーグ、匂いは本物のハンバーグにそっくりで、事前に鮭を使っていると言われなかったらまず分からないと思います。
 ハンバーグにキャベツの付け合せというのは珍しいですが、焦げ茶色のハンバーグに鮮やかな緑色がよく映えており、一体どんな味がするのか楽しみです。
のぞみ風鮭ハンバーグ16
 それでは、熱々の内に切り分けていざ実食!
 いただきまーすっ!
のぞみ風鮭ハンバーグ17


 さて、味の感想は…見た目以上にがっつり系な旨さで衝撃!一瞬魚入りだとは分からないくらい肉々しており、表面のベーコンのカリッとした部分が目新しくていいです!
のぞみ風鮭ハンバーグ18
 パテはふっくらとして柔らかいのですが、いい意味でふわふわし過ぎることはなくがっしりとした食べ応えのある口当たりで、食感だけなら豆腐入りの鶏ひき肉のつくねに似ていました。
 しかし、ベーコンの熟成された塩気を帯びた肉汁がたっぷり含まれているせいか、味的にはむしろ豚ひき肉のしっとりジューシーでボリューミーな味わいに近いです。
 噛むごとに溢れる色んな野菜の甘味と、鮭ならではのあっさりしつつも豊潤なコクが複雑に入り交じった、何とも新しい美味しさで、魚ハンバーグにありがちな臭みや淡白すぎるという欠点が全くない、純粋な旨味の塊みたいな仕上がりに驚きました。
 鮭は完全にみじん切りにするのではなく、手で砕くだけに留めている為たまに鮭の身の断片を噛み当てるのですが、酒蒸し風の品のいいホロッとした舌触りがしみじみ美味です(←この時だけ魚料理っぽさが出るので、不思議な感じ)。
 ピーマンのパリパリ感、にんじんのサクサク感、長ネギのシャキシャキ感、豆腐のふんわり感が口の中で賑やかに主張するのが歯に心地よく、いくらでも食べたくなる癖になる後味になっていました。
 ソースは昔ながらの洋食屋さん風にあるバーベキューソースみたいで、にんにくの力強い風味がガツンとくる奥深いスパイシーな甘辛さがたまりません。
 ピーマンとトマト風味のひき肉という組み合わせのせいか、ピーマンの肉詰めをどことなく彷彿とさせる所が面白く、どこか懐かしくて優しい味にほっこりしました。

 ソースや肉汁が絡んだ千切りキャベツのザクザクした歯触りがまたおいしくて、何個でも食べられそうなくらいすっかりハマりました(←正直、一馬君のハンバーグよりも肉らしさはずっと上でしry)。
 夫は豆腐入りのハンバーグがあまり好きな方ではないのですが、このハンバーグは「ほう!これはうまい!」と感心しており、バクバク食べていました。
 作るのに手間はかかりますが、それだけの価値がある料理だと思いました。


P.S.
 AKHさん、無記名さん、無記名さん、kawajunさん、ゆゆさん、上條由佳子さん、湖南さん、あやのさん、名無しの読者さん、コメントやアドバイスを下さりありがとうございます。
 日々におわれて細かいご返信が出来ず心苦しいですが、毎回必ず読んでは励まされておりますので、御礼申し上げます。
 お勧めしていただいた本、時間が出来たら是非読ませて頂きますね(^^)。


●出典)『人情小料理 のぞみ』 原作:毛利甚八 作画:ひきの真二 料理監修:Takeru/毎日新聞社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

Comment

2019.10.31 Thu 18:59  |  パラレルワールド笑

あんこさんこんにちは( ´ ▽ ` )

秋は鮭が食べたくなるので今回の再現メニューは季節にぴったりですね。
正直行程を読んだだけだとどういうものかな??と想像出来ませんでしたが、出来上がりはとっても美味しそう!
お魚のハンバーグには見えないですね。
世はヘルシー志向になっているので、カフェごはんのメニューとして出せちゃいそうな一品だなあと思いました(о´∀`о)

それからこちらの漫画は知らなかったのですが、のぞみさんがちょうどハナちゃんと楊貴妃さんを混合させたような雰囲気でちょっと面白かったです笑笑
あんこさんの影響で華中華を読むようになって、キャラたちにも愛着持ってきたので、こちらの漫画も読んでみたいなあと思いました。

次回も楽しみにしております。
寒くなってもきたので、あんこさんのペースでの更新で気長に楽しみにしてますね♪

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あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『どんぶり委員長』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『ミスター味っ子』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『BAR・レモンハート』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』


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・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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