『美味しんぼ』の“至高のメニューの鮭料理二種”を再現!

塩野七生先生の『ローマ人の物語』を久しぶりに読み返している最中で、現在ようやくネロの章まで読み進めました。彼は後半の暴君だったところばかりがクローズアップされがちですが、注意深く一生を探っていくと、外交手腕を中心になかなかの才能を持っていたことが窺い知れます。前皇帝・クラウディウスにとっては時期を得た死であっても、ネロに早すぎる皇帝の座を与えてしまったという点では相当に残念な事だったと私は思いました。
こんにちは、個人的に一番共感できる最高権力者はティベリウスなあんこです。

本日再現する漫画料理は、『美味しんぼ』の鮭対決にて海原雄山が至高の鮭料理として出した“至高のメニューの鮭料理二種”です!
鮭の皮焼き図鮭の中華風揚げ餅図
単純でありながら理にかなった料理法で素材のうまさを追求する事を好む海原雄山らしく、二つともシンプルに見えて実に巧妙な料理です。
例えば、一つ目の料理は鮭の皮のみを使用した「鮭の皮の焼き物」。
雄山曰く、昔北陸の方にいた殿様が「皮の長さが一尺の鮭があるのなら、百万石と取り替えてもいい」と言った逸話が残っている程、鮭の皮と脂が乗った腹はおいしく、通好みなのだそうです。
調理法は、鮭の腹側の身と皮を切り取って塩を振り、冷蔵庫で二~三時間寝かせて炭火で焼いた後に楊枝でとめるという簡単さですが、余計な事をしないのが逆に鮭の良さをギリギリまで引き出すみたいです。ちなみに、三つの内の一つは塩ではなく醤油と酒に漬けて一晩寝かせた物で、これはこれで全く別の味わいになるのだとか。
鮭の皮はおいしい!
二つ目の料理は、「鮭の中華風揚げ餅」。
これは「鮭の皮の焼き物」であまった鮭の赤身部分を使う料理。実は、海原雄山は前々から鮭の赤身を焼くとパサつきやすくなるのが気になっていたらしく、この料理はその欠点を補うために試行錯誤して考え出したとの事。
作り方は少し凝っており、鮭の赤身だけを包丁で細かくたたいた物にたくさんの長ネギのみじん切り・ゴマ油・塩・こしょうを練りこみ、それをラードなどを入れて作った中華風の揚げ餅の生地に包んで丸く整形してから揚げるというもの。作中で審査員がハフハフいいながらほおばる所がすごくおいしそうで、印象に残っていました。
揚げ餅の作り方
アフアフ食べる審査員
ついでに究極のメニュー側の鮭料理も紹介すると、菊の花びらとドレッシングをかけたキレイな生の鮭の刺身でした。見た目は結構おいしそうでしたし味も絶賛されていましたが、寄生虫の危険性を海原雄山から指摘されて惜しくも敗退してしまいます。作中で雄山が主張した「物を食べることの本質は、体を養い気を養うことだ」「美味のために食べ物で冒険することは、ものを食べることの本義に反する」という理論は正論なだけに、冒険をしがちな私には耳が痛かったです…;。
冒険は本義に反する!
タイミングよく昨日いい鮭をスーパーで見つけて買うことが出来ましたので、いい機会だと思って再現してみます。

という事で、レッツ再現調理!
一番目にとりかかるのは、鮭の皮の焼き物。まず、鮭から腹側の身だけを残すようにして皮をはぎ、三つの内一つは酒と醤油を混ぜた漬け汁に漬けて一晩置き、二つは作る二時間前に塩を軽く振って放置しておきます。
至高のメニューの鮭料理二種1至高のメニューの鮭料理二種2
これらを網でカリッとしてくるまで弱火から中火の火力で焼いてお皿に移し(炭火は用意できませんでした…再現度が低くてすみません)、皮を破かないよう注意して丸めて楊枝できっちりとめたら、鮭の皮の焼き物の出来上がりです。
至高のメニューの鮭料理二種3
二番目は、鮭の中華風揚げ餅作り。
ボウルに白玉粉、熱湯で練った上新粉、水、塩、こしょう、砂糖、ラードを入れてよく練り、ツヤが出てきたらラップをして冷蔵庫で一時間以上寝かせます。これで、揚げ餅の生地はOKです。
至高のメニューの鮭料理二種4
その間に、今度は中身の具作り。皮の焼き物を作る際に残った鮭の赤身を包丁で丁寧にたたいてペースト状にし、それを塩、こしょう、ゴマ油、たっぷりの長ネギのみじん切りと一緒にボウルに加えてざっと混ぜます。全体にゴマ油がなじんだら、準備完了です。
至高のメニューの鮭料理二種5至高のメニューの鮭料理二種6
この具を揚げ餅の生地に包み込み、丸くて平べったい形にします。
至高のメニューの鮭料理二種7至高のメニューの鮭料理二種8
至高のメニューの鮭料理二種9
これらのタネを170~180度に熱した油でじっくり揚げ、程よいキツネ色になったら取り出し、最後にキッチンペーパーで余分な油を切れば鮭の中華風揚げ餅の出来上がりです。
至高のメニューの鮭料理二種10
これらの料理を出来たての内にそれぞれのお皿に盛り付けたら、“至高のメニューの鮭料理二種”の完成です!
至高のメニューの鮭料理二種11
鮭料理のいい匂いがそこはかとなく漂い、見るからにおいしそうです。個人的に、鮭の中華風揚げ餅が思っていた以上の出来栄えだったので、食べる前から楽しみでした。
至高のメニューの鮭料理二種12

それでは、いざ実食!
まず最初に食べるのは、鮭の皮の焼き物。いただきます!
至高のメニューの鮭料理二種13
味はというと…鮭の皮と脂、おいしすぎです(´Д`*)。
塩味の方は、とにかく皮がパリッとした食感でそれでいて柔らかく、鮭本来のコクと旨味がたっぷり含まれている脂がジュワジュワ溢れてくるのがたまりません。塩がきいててちょっとしょっぱいですが、よく焼けた皮の香ばしさと腹側の身の甘さがそれをうまく和らげていた為、あまり気になりませんでした。唐人先生が「旨くて思わず笑いが吹き上げてくるわい!」と感激したのも頷けます。
醤油味の方は塩味の皮よりもやや固めで、その分味が凝縮されていました。醤油と酒のふくいくとした香りが皮をさらに深い味わいへとする事に成功しており、よかったです。塩味はご飯、醤油味はお酒に合いそうな感じでした。

お次は、鮭の中華風揚げ餅。いただきまーすっ!
至高のメニューの鮭料理二種14
さて、味の感想ですが…かなりウマママーーーッ!鮭の肉汁最高!
至高のメニューの鮭料理二種15
揚げたての状態をふーふー言いつつカリッという音をたててかぶりついた瞬間、「プジュッ!」と鮭のエキスが口の中へ勢いよく飛び出してきて、火傷をしかねない程一気に舌の上を満していきます…。表面はさっくり、中はもっちりしていてほのかに甘い中華風揚げ餅の生地と、香ばしいゴマ油の風味、シャキシャキした食感で爽やかな芳香を持つ長ネギとが見事に調和しており、熱々の内に食べると恐ろしいくらい美味です。作中で雄山が言っている通り、ラードやゴマ油のおかげでパサパサと味気無くなりがちな鮭の赤身が見事にしっとりとした舌触りに変化しており、むしろ新しい旨さを生み出していたのに感心しました。
一般的な中華風揚げ餅は中身が挽き肉である事が多く、そのせいで後口がくどくなりがちですが、今回の揚げ餅は鮭の赤身を多用したタネで作ったおかげか相当に後味が清々しく、まろやかだったのが特徴的でした。結構手間はかかりますが、これは是非また作りたい鮭料理です。

鮭は大好きな魚ですので、新しくレパートリーが増えて嬉しかったです!これからも頑張ったら何とか作れる範囲で、究極のメニューや至高のメニューを再現してみようと思います(・∀・)。

●出典)『美味しんぼ』 原作:雁屋哲 作画:花咲アキラ/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2010.02.18 Thu 23:53  |  

うわっ、今回も写真を見ただけでお腹が鳴り出しそうですw 香ばしく焼けた鮭の皮って最高に美味しいですよね。

究極VS至高の鮭料理対決と言えば……スパゲティ対決の時もそうでしたが、山岡さんが栗田さんとケンカしていたばかりに、大恥をかいて負けてしまった一番ですね。現在では冷凍・解凍技術が進歩したおかげで、ほとんど生と変わらない鮭の刺身が当たり前に食べられるようになりましたが、このお話が描かれた当時は、鮭の刺身なんて考えられないことでした。なのでこの話を読んだ時は、寄生虫の恐怖に震え上がったものですw

美味しんぼで鮭料理といえば、我らが富井副部長w が見栄を張って大量の新巻き鮭を引き取ったために、東西新聞の社員食堂で鮭尽くしの定食を出すことになる話もありました。あの鮭定食も素晴らしく美味しそうでしたね。

それはそうと雄山といえば男ツンデレの代表格ですが、山岡さんに対するそれ以上に、栗田さんへのツンデレぶりがいい味を出していると思いますw 
二人の結婚前後や出産前後では、栗田さんがツンデレ雄山に対して臆することなく向き合うエピソードが多く、その成長振りに感慨深いものがあります。
……まあ、それが高じて栗田さんはいつのまにか、夫と義父を手玉に取る図太い女みたくなっていくんですがw

  • #dZ2c3wmQ
  • 大鳥
  • URL
  • Edit

2010.02.19 Fri 00:40  |  大鳥さん、こんばんは。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

そう言って頂けると、とても嬉しいです(^^)。
私も鮭の皮は大好きで、どれくらい好きかと言うと妹が残すのを未だに毎回もらっている程大好物ですw。
おっしゃる通り、鮭対決の際も山岡さん達はかなり派手な喧嘩をまたやらかしており、見ているこっちの方が「あーあ、負けフラグたっちゃうよ」とハラハラさせられました;。
でも、最後らへんで普段は温厚な部長が「いい加減にしないか!」とわざと怒る事によって仲直りするくだりはじんわりくるので結構好きです。
今は冷凍技術が発達しているので山岡さん達のような心配をする事なく生魚を安心して食べられるので、刺身好きな私には大変ありがたいです。さすがに、アニサキス覚悟で食べれる程の勇気はありませんので…(^^;)。開発者や技術者の方々に、改めて敬礼!
それにしても、富井副部長の鮭定食をご指摘するとは…!実を言うと、今回作っている時ちょこっと思い出して「どうしようかな~」とか考えてました。大鳥さんの鋭さに、びっくりです(゜Д゜;)。いずれ挑戦してみますね。

かつては海原雄山の厳しい言動や頑固さに振り回されていた栗田さんが、逆に「山岡さんがかたくなになったのは、父親のせいでもあります!」とやりこめるまでに成長したのは、『美味しんぼ』ファンとして感慨深いです。確かに多少図太くなったので、初期のかわいい栗田さんを知る身としてはちょっと寂しいですが、「史上最強(凶?)の頑固者親子の完全和解と、三人の子育てと、究極のメニュー作りとを両立させるには、むしろこれくらいたくましくないと!」という思いもあるので、それでいいのだと納得しています;。

長くなってしまい、すみません!
これからも色々な漫画料理を再現していきますので、お時間が空いた時にまた見て頂けると幸いです。

  • #-
  • あんこ
  • URL

2010.04.26 Mon 05:22  |  

うまそう・・・ってことで朝ごはんを塩サケにしちゃった者です。もちろん、再現料理とは比ぶべくもないですが、美味しかったです。
そうですねー。寄生虫こわいけど生って言う鮭は回転寿司では今や定番。このお話の時代には冷凍技術が未開発だったんですかね?
それはそうと雄山先生、餃子対決の時に「うまければいいのだ!」とか言ってたような気も・・・

  • #-
  • URL

2010.04.26 Mon 13:17  |  名無しさん、初めまして。

こんにちは、当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

塩鮭と炊きたての白ご飯はすごく相性がいいので、名無しさんの書き込みを読んだ私までお腹がすいてきちゃいました(^^;)!特に、腹側の脂がたっぷり乗った所は至福の味わいだと思います。
最近は買い置きの鮭フレークで我慢していましたが、久々にジューシーな鮭も食べたくなってきたので、明日は塩鮭を網で焼いた物を朝食メニューにする事にします(・∀・)。
ちなみに、この鮭料理二種は手間はかかるものの鮭好きにはたまらないくらいすごくおいしいので、おすすめです!
今となっては冷凍技術が発展している為、安心して生鮭が堪能出来て幸せな時代だと思います(当時はともかく、今の視点だと山岡さんの考えは画期的で素晴らしい物だったんだと実感させられます)。
『美味しんぼ』は、今と昔では結構矛盾点があったりするので、私自身読んでいると「あれ?」と感じる事がしばしばあります;。ただ、やっぱりそういう時は基本「なかった事にしよう」モードになって見過ごす事にしていますw。

これからも色んな漫画料理を再現していきますので、お手隙の際にまた読んで頂けると幸いです。

  • #-
  • あんこ
  • URL
(編集・削除用)
管理者にだけ表示を許可

Trackback

URL
http://luckyclover7.blog27.fc2.com/tb.php/480-ebe86e5b
この記事にトラックバック(FC2Blog User)

プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

Copyright © あんこ