『築地魚河岸三代目』の“カツオのガワ”を再現!

一回漁船に乗って釣りをしてみたいと思うのですが、ろくに道具を持っていない上にいい機会がない為、ずっと先送りにしています。一度だけでいいので、『美味しんぼ』の山岡さんのように釣ったその場で魚を手際よく刺身にして食べてみたいのですが…今の所は店先で買うだけで精一杯って感じです;(チャンスさえあったら、みつどんさんのリクエスト通りアン肝船上蒸しを是非やりたいです^^)。
こんにちは、ネタをたずねて三千里なあんこです。

今回再現する漫画料理は、『築地魚河岸三代目』にて主人公・赤木旬太郎さんが跡目を継いだお店「魚辰」へ初出勤した翌日に食べさせてもらった“カツオのガワ”です!
カツオのガワ図
漫画『築地魚河岸三代目』とは、元銀行員で築地魚河岸の仲卸「魚辰」二代目の娘婿に当たる主人公・赤木旬太郎さんが全くの素人にも関わらず三代目を継ぎ、魚河岸で膨大な種類の魚介や様々な人達に囲まれながら人としても三代目としても日々成長していくという、人情系魚河岸グルメ漫画です。
この漫画の見所は、何といっても毎回のように詳しく紹介されるたくさんの魚介類!主な産地・鮮度の見分け方・捌き方・味の特徴・おすすめな調理法に至るまで丹念に描かれており、右も左も分からない初心者(例:当管理人)でもすぐに理解できるような親切設計になっています。また、本作にはアドバイザーとして実際に築地魚河岸で「堺静」というお店を経営していらっしゃる小川貢一さんと、その奥様である声優・平野文さんのお二人がご協力をなさっている為、かなり臨場感があって面白い作品に仕上がっています。
あと、他に魅力的なのは主人公である三代目・旬太郎さんの竹を割ったような爽やかなお人柄。最初こそ築地に不慣れですごく危なっかしいのですが、持ち前の明るく前向きな性格で色々な事に体当たりしながら挑戦していくその様子は、読んでいてとても清々しいです。そのせいか、周囲の人達も旬太郎さんに出会って影響を受けるとどんどんいい方向へ変わっていくので、まるで福の神だな~と思う事もしばしば(^^;)。座右の銘は、超がつく程の食いしん坊な為「自分で食べておいしいモノでなけりゃすすめられない」で、毎日のように売り物の魚を試食しているのですが、食べっぷりの良さが見事なのでついこちらまでその魚を食べたくなってしまいます。
魚介の知識・レシピ・ストーリーを楽しめて一石三鳥ですので、多くの方に是非読んで頂きたい作品です。
主人公・赤木旬太郎
そんな旬太郎さんが新米の時、一番最初に仲良くなった「魚辰」の先輩・木村拓也君(もちろん、同姓同名の別人です;)から作り方を教えてもらいながらご馳走になったのが、この“カツオのガワ”。拓也君曰く、故郷である静岡県御前崎の漁港の漁師さん達が「船の上で火を使わずに作って食べられる物」として発明した料理で、夏場になると無性に食べたくなる一品なのだそうです。ちなみに、何故「ガワ」と呼ぶのかというと答えは簡単で、作る際に氷が器の中でぶつかり合って「ガワガワ」という音が鳴るからだとか。
カツオのガワ誕生話
ガワという名称の由来
九州ではどちらかと言うと「冷汁」の方がポピュラーな為、どんな味なのかずっと気になっていました。最近段々暑くなる日が増えてきた事ですし、早速再現してみます!

という事で、レッツ再現調理!
まずは、主役である初カツオの準備。実を言うと、スーパーの鮮魚コーナーに並んでいたのは「かつおのタタキ」オンリーで生のカツオの切り身は一切置いてなかった為、勇気を出して中にいる職人さんに「すみませーん。タタキではなく、生のカツオの半身をください!」と直接お願いしちゃいました。すると、「え?カツオを生でですか?」と少し動揺されてしまったので、内心申し訳なかったです(^^;)。どうやら、うちの近所は初カツオをタタキで食べる方がほとんどのようです。この際、心配性な方は刺身でも大丈夫かどうか確認した方がいいと思います(私の場合、刺身OKと言われた上に特売価格のまま売って頂けたので嬉しかったです)。
この半身の初カツオから皮、骨、血合いを取り除いてサク(刺身用ブロックみたいなものです)に切り分け、粗いみじん切り状になるよう叩き切ります。あらかた刻んだら丼の底に入れてラップをし、冷蔵庫で冷やしておきます。
カツオのガワ1カツオのガワ2
カツオのガワ3
次は、具の用意。あさつきは小口切り、玉ねぎはみじん切り、しょうがはすりおろし、みょうがとにんにくは千切り、オクラはお湯で一~二分程火を通して流水で洗った後小口切りにします。
カツオのガワ4カツオのガワ5
カツオのガワ6カツオのガワ7
カツオのガワ8カツオのガワ10
その間、塩蔵わかめは水に漬けて戻し、熱湯へさっとくぐらせた後に流水でジャブジャブ洗って一口大に切り、ザルで水切りをさせておきます。
カツオのガワ9
ボウルにわかめとオクラ以外の具を全部入れ、そこへ別のボウルでやや濃い目になるよう水と味噌を溶いて冷やした汁を投入してざっと混ぜ合わせます(私は今回麦味噌を使用しましたが、静岡県を中心に作られている米味噌・相白味噌を使うとより本格的な味になると思います)。
カツオのガワ11カツオのガワ12
カツオのガワ13
汁と具がちゃんと混ざったら、先に準備して冷蔵庫にしまっておいた初カツオ入りの丼へ流し込み、かち割った氷を好きなだけ加えて浮かべます。
カツオのガワ14カツオのガワ15
この上にオクラ、わかめ、種を取った梅肉を仕上げに乗せれば“カツオのガワ”の完成です!
カツオのガワ16
透明な氷、赤い梅干し、緑色で星型のオクラが見るからに涼しげで、一目で「夏」を感じさせてくれます。野菜が多量に入っているので栄養バランスもいいですし、これは期待が持てそうです。
カツオのガワ17
それでは、ガーッと混ぜていざ実食!いっただっきま~す!
カツオのガワ18

さて、味ですが…まさに初夏の海の味!カツオ旨しっ!
細かく叩かれてトロ~ンとなったカツオの身から出汁や旨味成分が味噌汁へ混然と溶け込んでおり、がっつり濃いめな味になっています。氷でこめかみがキーンとなるくらいよく冷えており、おかげで最後までぬるくなる事なくゴクゴクと爽やかに飲みほす事が出来ました。にんにくやしょうがといった薬味の強い香味でわずかな生臭みもすっかり消えている為香りもいいですし、夏場にぴったりです。食べる前は「生のたたきを冷たい味噌汁に入れるってどうかるんだろう…」とドキドキしていましたが、実際に食すと「具沢山で豪勢な冷製味噌汁」って感じで美味でした。
サクッとしてちょっと辛い玉ねぎ、鮮やかな風味のあさつき、ザキュッと小気味良い歯触りのみょうが、ぬるぬるした粘りが楽しいオクラ、ツルッとして磯の旨味がすごいわかめなど、多くの個性的な具がカツオのおいしさをさらに押し上げてくれています。ワイルドで野趣溢れる料理なんですがしみじみといい味わいで、とても味噌だけの調味とは信じられませんでした。梅干しの思わず口をすぼめたくなるような強烈な酸味がいいアクセントになっていますし、これはご飯にかけてガーッと食べてもナイスそうです。香ばしさを重視する冷汁とは違い、ガワは生のみが持つフレッシュさを堪能する事に特化させた汁物だと思いました。

夏の楽しみ方はそれこそ色々ありますが、氷のガワガワという音を聞きながら初夏の宵を楽しむのもまた一興と思った再現でした。

◎追記
実はガワを食べた後、余ったカツオの部位を分厚い刺身に切り分け、作中でオススメされていた芥子醤油で食べてみました。
初カツオには芥子が一番!
カツオのガワ19
結果は、当たり前の如く美味!!
拓也君の言う通り、和芥子のビリッとして後を引かないドライな辛味は、脂がない分赤身特有のあっさりした旨さを持つ初カツオの刺身にぴったりマッチしていました。薬味である長ネギのシャキッとした歯触りも、張りのある身と相性が抜群でよかったです。新鮮なのでほとんど血なまぐささを感じないですし、強いて言うなら「活きがいい魚だからこそ楽しめる血の旨味」というものを実感できました。
冬の凍えるような寒い時期にはこってりと脂がのった魚が恋しくなるように、夏のうだような暑さには、この初カツオのようにキリッとした粋な味が人間の体には一番しっくりくるのだと感じました。江戸時代、わさびの葉の形が徳川家の「葵の家紋」に通じるとされていた為わさびはかなりの貴重品で庶民の口にはなかなか入らず、それゆえにやむなく芥子で刺身を食べるのが一般化していたそうですが、代用品とは思えないくらいいいです。生意気かもしれませんが、「芥子で初カツオを食べられなかった将軍は気の毒だな~」とつい思っちゃいました。

●出典)『築地魚河岸三代目』 作画:はしもとみつお 原作:大石けんいち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2010.05.22 Sat 21:40  |  かつお。

おおっ、「鰹」だ。
鰹と言えば、東海林さだお先生の「まるかじりシリーズ」に
でていた、「銀火丼」が思い出されます。
そうそう、鰹は今日の昼に今年初めて食べました。
(刺身の切り出しの中に、鰹のたたきが入っていたのです。)
料理漫画の世界で「おつまみ」だと、「ラズウェル細木」先生が
真っ先に思い浮かびます。
呑んべえ漫画の大家です。
お勧めはやはり、「風流つまみ道場」と「酒のほそ道」です。
(特に「酒のほそ道東京下町呑んべえ散歩」(平成15年刊)
には、ラズウェル先生自身が酒のつまみをつくるというコーナーが
ありまして、そこで「わさびトマト」・「戻りかつおのタルタル」・
「アスパラガス入り生春巻き」・「ヅケオクラ」といったものを
つくられいます。)では。

  • #-
  • 波多野鵡鯨
  • URL

2010.05.22 Sat 22:34  |  波多野鵡鯨さん、こんばんは。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

やっと初カツオが手に入りましたので、再現してみました(^^)。
確かに、東海林さだお先生の「銀火丼」もおいしそうでしたね。
今年はカツオが不漁みたいですのでやや高めの値段設定になるかもしれませんが、生でもたたきでも目一杯堪能しようと考えています。
それにしても、料理漫画界にラズウェル細木先生という方がいらっしゃるという事はかねがね聞いておりましたが、つまみ漫画を書いていらっしゃるという事までは知りませんでした。
飲ん兵衛さんだと聞き、すごく親近感が湧いていますw。
現在、新しい酒の肴を開発しようと日夜頑張っている最中なので、大変参考になりそうです。『風流つまみ道場』『酒の細道』という題名もそそりますね!
挙げられた料理の中では、「アスパラガス入り生春巻き」「戻りかつおのタルタル」に興味を抱きました。
善は急げといいますし、早速明日にでも『レモンハート』と一緒に古本屋へ探しに行こうと思います!

これからも色々な漫画料理を再現していきますので、お時間が空いた際にまた読んで頂けると幸いです。

  • #-
  • あんこ
  • URL

2010.05.24 Mon 18:03  |  TBありがとうございます。

はじめまして!
いつも更新、楽しみにしています。再現に賭ける意気込みと、アンテナの幅広さに読む度感嘆しきり、思わず言及してしまいましたが、まさかあんな無茶ぶりに反応頂けるとは(汗。
このお料理、これからの季節夏バテなんかでご飯をあっさり頂きたい時に最適ですね。ご飯にかけてざっぱざっぱと……。鰺の水なますは有名ですが、鰹の叩きを使うのは知らなかったです。ネーミングも粋ですね。

今後もモチロン愛読させて頂きます!

  • #-
  • みつどん
  • URL

2010.05.24 Mon 20:45  |  

とうとう『築地魚河岸三代目』の再現料理ですか。やっぱり、マンガの白黒とカラー写真だとカラー写真の方が美味しさが引き立ちますね。
『BARレモン・ハート』も購入される積もりのようですけれど、あんこさんは、お酒の方はどうですか?『BARレモン・ハート』を読むと酒のつまみより酒にお金を使いたくなってしまったりするんですよね。
これからも再現料理に期待しています。 

  • #-
  • oguogu
  • URL

2010.05.24 Mon 21:01  |  みつどんさん、初めまして。

こんばんは、当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

身に余るお褒めの言葉を頂けて、とても嬉しかったです。
冒頭で「初めまして」という挨拶をいたしましたが、正直みつどんさんの事ははてなブックマークやブログ記事にて何度も拝見しておりましたので、あまり初対面の気がしないです(馴々しくてすみません;)。
私も、前々からみつどんさんの美味しんぼ再現記事を読んでかねがね感心しておりましたので、こうしてコメントして頂けて光栄でした。
むしろ、実現不可能に近い無茶ぶりでない限りは(例:ゴムゴムの実を食べる、鮫の丸揚げを実況調理する等)ネタふり歓迎です!私の方こそ、プッシュして下さり感謝です(^^)。
このカツオのガワは、これからの時期にすごくおいしい料理ですので本当におすすめです。みつどんさんのおっしゃる通り、ザッパザッパとかっこめるし冷たいのでたまらないですよ~。
それにしても、アジの氷なますもウマーそうですね。今度挑戦してみようと思います。

これからも色々な漫画料理を再現していきますので、お手隙の時にまた読んで頂けると幸いです。

  • #-
  • あんこ
  • URL

2010.05.24 Mon 21:32  |  oguoguさん、こんばんは。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

はい、『築地魚河岸三代目』再現もしちゃいました;。コメント欄にておすすめされて初めて読んだ時から「絶対に再現するぞ!」と燃えていましたので、今回はすごく力を入れました。
なので、少しでも原作の楽しさや魚の魅力を多くの方に知って頂けましたら何よりです。
私も、実際に作ってみてあまりの色鮮やかさに感嘆したので、作ってよかったと思いました。
『Barレモンハート』は、七巻まで買い揃えてただ今少しずつ読んでいる最中です。
私はお酒が比較的好きな人間ですので、正直もう虜になりかかっています(^^;)。作りたいな~と思うカクテルもいくつか出来ました。
普段は食べる事ばかりに夢中で、飲み物はビール・ワイン・焼酎・手作りスクリュードライバーのローテーションになってしまいがちな日々ですが、この作品を読んでいるともっと色々なお酒を飲んでみたいという好奇心がどんどん湧いてきます。

これからも様々な漫画料理を再現していきますので、お手隙の際にまた読んで頂けると幸いです。

  • #-
  • あんこ
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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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