『クッキングパパ』の“クリ・イモ・トリ煮”を再現!

母は山口県出身なせいか、私が幼い頃から様々な山口の郷土料理を作ってくれました。その内の一つが「瓦焼きそば」で、和風パリパリ焼きそばとも言うべき独特の旨さに夢中になっていたのをよく覚えています(その為、『クッキングパパ』の“そば焼き”には一種の懐かしさを感じました)。ただ、物心つく時から住んでいる地が福岡だった為、かなり最近まで「福岡の郷土料理」だとずっと勘違いをしていました;。他にも勘違いしている料理がないか、近い日にもっと調べてみようと思います。
こんばんは、一度「突撃!隣の晩ごはん」風に各家庭の味を知る為にお箸を片手に食べ回りたいというとんでもなくハタ迷惑な野望を持っている管理人・あんこです。

今日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて夢子さんが田中君に作ってあげる為におばあちゃんから習った“クリ・イモ・トリ煮”です!
クリ・イモ・トリ煮図
今ではすっかりおしどり夫婦な田中君・夢子さん夫妻ですが、実を言いますとお二人は告白&プロポーズが一気に済んでしまった感じな為、恋人だった期間がゼロに等しいです;。ただ、その前から何度もお互いの事を理解しあう機会があったり、両思い同然な歯がゆい描写が繰り返しあったので、もはや相手をよく知る為にわざわざ付き合う必要はなかったのかもしれません。『クッキングパパ』は様々なキャラクター達の人生が交差している為、どの視点から見ても非常に興味深くて面白いのが特徴的ですが(荒岩夫婦の視点、まこと君の視点、カツ代さんの視点など)、中でも田中君・夢子さん夫婦の視点は一、二を争う程読み応えがあるのではないかと個人的に感じました。お二人を見ていると、うまくいくご縁という物はどんなに遠回りでも自然とうまくいくものなのだな~としみじみ考えさせられます。
今回再現するのは、そんなお二人の仲が徐々に≪結婚≫の二文字へ向けてジワジワと進み始めていた頃に、夢子さんが田中君に「今まで食べてきた中で一番おいしかったと思う料理」と言って振舞った秋だけしか楽しめない旬の煮物・“クリ・イモ・トリ煮”。
元はと言えば、夢子さんのおばあちゃんが実家で昔から作り続けていたオリジナル家庭料理で、その名通り栗・里芋・鶏の手羽先をカツオ節と昆布の一番出汁で品ふんわり煮て作る煮物です。おばあちゃん曰く「死んだじいさんも、この料理が大好きでな―。毎年、秋になるのを待ちかねて作りよったど」との事で、私もいつか夢子さん達のように料理で思い出を語れるようになりたいな~ととても羨ましくなりました(^^)。このエピソードを読むたび、誰かから「今まで食べてきた中で、一番おいしかったよ」と言われるような料理を作れる日が来るよう日々精進をしたいと、改めて襟を正す思いにさせられます。
幼き頃の夢子さんが一番おいしいと思った食べ物
特に豪華な材料を使う訳ではありませんが、地味ながらも印象に残る料理だった為、初めて読んだ時から絶対再現したい!と思っていました。ちょうど近所の八百屋さんで品質のいい栗や里芋を見つける事が出来た事ですし、早速再現してみます!

という事で、レッツ再現調理!
まずは、それぞれの素材の下ごしらえ。栗は鬼皮ごと熱湯で二~三分くらい茹でてザルにあけ、さっと冷水で冷やします(原作にはない手順ですので恐縮ですが、こうすると一気にむきやすくなります)。この栗を包丁と指を駆使して、鬼皮→渋皮の順にむきます。正直、この作業は慣れないと手を痛みやすい上に結構時間がかかりがちですが、うまくむけると楽しくてスカッとする為あっという間に無我の境地に至れます(´∀`)。
クリ・イモ・トリ煮1
クリ・イモ・トリ煮2クリ・イモ・トリ煮3
里芋は皮をむいて小さめの物はそのまま、大きめの物は乱切りにして面取りし、柔らかくなるまで下茹でします。ちなみに、下茹でをどうしても省略したい場合は塩をまぶして流水で揉み洗いをすると、余分なぬめりが取れて味が断然染みやすくなります。
クリ・イモ・トリ煮4
クリ・イモ・トリ煮5クリ・イモ・トリ煮6
鶏の手羽先(又は鶏の手羽元。骨付きの鶏肉を使うのがポイントです!)は、やや多めに油をひいて熱したフライパンで焦げ目がつくくらいジリジリと中火で焼きます。やがて両面がこんがり焼けてきたらザルに取り出し、熱湯をふりかけて油を程々に抜いておきます。これで、材料は準備万端です。
クリ・イモ・トリ煮10クリ・イモ・トリ煮11
その間、昆布とカツオ節をたっぷり使って濃い一番出汁を作り、漉し器orキッチンペーパーをしいたザルで丁寧に漉しておきます。実は、日本風のシンプルな出汁はコンソメなどといった洋風の出汁とはまるで正反対の性質を持っており、鮮度が命だと言われています。時間が経てば経つほど味も香りもガクンと落ちてしまいますので、出来ればなるべく煮物を作る寸前に出汁を取る方が、より美味しくなると思います。
クリ・イモ・トリ煮7クリ・イモ・トリ煮8
クリ・イモ・トリ煮9
次は、煮る作業。先程用意しておいた一番出汁、栗、里芋をお鍋に入れ、弱火~中火の好きな火加減でコトコト静かに煮ます。この時から既に何とも言えないふくよかないい香りが台所中に充満する為、否応なしに期待で胸が高鳴ります(・∀・)。
クリ・イモ・トリ煮12
栗に火が通ったら醤油、料理酒、塩、みりんで味付けし、そこへ油抜きを済ませてある鶏の手羽先を里芋や栗が崩れないようそっと入れます。その上に落としフタをし、約十分~二十分程煮込みます。
※通常の煮物の煮汁より薄めで、お吸い物より少々強いくらいの塩梅が最適です。
クリ・イモ・トリ煮13クリ・イモ・トリ煮14
クリ・イモ・トリ煮15クリ・イモ・トリ煮16
クリ・イモ・トリ煮17クリ・イモ・トリ煮18
全体的に軽く味が染みこんできたら火を消し、そのまま煮汁ごとお皿へ盛り付ければ“クリ・イモ・トリ煮”の完成です!
クリ・イモ・トリ煮19
作中で田中君が「むは~っ、いい香りばい~~っ!!」と言っていたのが激しく納得できる程、心をとろかすような品のいい芳香です。昆布・カツオ節・手羽先が合わさるとこんなにも艶やかな香りになるのかと、思わず感嘆しました(実際、鶏肉が苦手な母が「これは私も食べたい」と言ってくれたので嬉しかったです)。見た目も栗の黄色が目にまぶしい如何にも秋って感じなので、澄んだ出汁と共に早く食べたい!と画像を撮っている間中ずっとウズウズしていました(^^*)。
クリ・イモ・トリ煮20
クリ・イモ・トリ煮21
それでは、ほっかほかの内にいざ実食!いっただっきま~す。
クリ・イモ・トリ煮22

さて、味はというと…作中に書いてあった通り、ふうわり優しい味で美味しいです!これなら、秋がくるのを待ち遠しく思うのも頷けます。
田中君と夢子さんのいい笑顔
煮汁はまるで上等なお吸い物みたいで、少し濃い目なもののスルスルいけちゃいます。例えるとするならば「鶏風味のコク出汁お吸い物」って感じで、程よく効いた鶏肉のコクや醤油ベースのあっさりサラッとした味わいがたまらなく絶品でした。一度しっかり焼いたおかげでほんのり香ばしい後口で、手羽先の骨からにじみ出てきた濃い旨味エキスやチラチラと舌へ乱反射してくる脂分を、昆布と鰹の典雅極まりない深いお出汁がどっしり受け止める為、飲めば飲む程虜になります。手羽先は脂がすごいので重たい後味にならないか心配だったんですが、下ごしらえの際にお湯できっちり流したせいか脂どころか臭みもなく、大変すっきりした印象の煮物でした。
この素晴らしい煮汁をまんべんなく染み込ませた煮物がまた絶品で、ほっくりポクポクした歯触りがおいしい栗、ホコホコした食感とねっとり力強い味わいが特徴的な里芋、ジューシーな肉汁と柔らかく煮上がった弾力ある肉質が嬉しい手羽先など、いずれも一口食べたらすぐに幸せ気分になれる味わいです。特に栗の存在が非常に重要で、じゃがいもと里芋の舌触りを足して二で割ったような不思議な口どけといい、そこにあるだけで演出出来る秋らしさといい、個人的に一番気に入りました。海鮮汁とは対照的な、秋の山の恵みをしみじみ実感出来る贅沢な料理です。

熱々を頬張るのはもちろん、冷めてからも出汁がきいていておいしい為、お弁当向きでもあるという優れ料理です(既に実験済みです^^)。とにかく、見た目からは想像出来ないくらい並外れた味わいですので、「一口食べるだけでも感動出来るような煮物が食べたい」という方には、是非おすすめです!私もつい、相方・マサル君にご馳走したくなっちゃいました;。

●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2010.10.09 Sat 23:10  |  

あんこさん、こんばんは

実はこの料理ですが・・・・・・
私作ってみたいとすごく思ってた料理なんです

以前コンビニで、クッキングパパのお袋の味の話をまとめたコミックが売ってて
その中でこの料理のお話が載ってたんです

なぜだかわからないんですが、料理は特に珍しいものではないんですが
どことなく印象の強い感じがしました。

再現料理のお写真を見ていても、秋らしさを感じるオレンジ色で、
すごくおいしそうですね。
若干栗をむくのが面倒ですがw私も作ってみたくなりました。

ちなみに、私は生まれも育ちも両親の出身も北海道なので、
他の地域の人がどんなものを食べているのかとても気になりますw

  • #pQ10pJ/g
  • 玲音
  • URL
  • Edit

2010.10.10 Sun 05:33  |  玲音さん、こんばんは。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

おお~、そうでしたか!
私自身、思い入れの強い漫画料理でずっとあこがれていた末での再現でしたので、そうおっしゃって頂けますととても嬉しいです。
そういえば、私も以前にコンビニコミックの『クッキングパパ』を何度か立ち読みした事があります;。
レシピが少々読みにくくなっているものの、ジャンル別に別れている為探しやすいのが助かりますね(^^)。

玲音さんのおっしゃる通り秋らしい見た目・味・香りですので、恐らく気に入って頂けると思います。
正直、甘く煮られていない栗でもこんなにおいしいとは、今まで想像も出来ませんでした。
ただ、栗→里芋と連続でむく為、手の疲労にはお気をつけ下さい(私は人指し指と親指が少々筋肉痛になりました^^;)。
何と、玲音さんは北海道生まれの北海道育ちでしたか~!
前に母から「北海道はおいしい物がいっぱいよ~」と聞いて以来、すごく憬れています(^^*)。
余所のおうちのご飯って教科書では習えないようなユニークかつウマーな料理を結構見掛けるので、気になります。
その土地によって好まれる素材や味付けなどがあるそうですので、私も興味深々です。

これからも色々な漫画料理を再現していきますので、
お手隙の時にまた読んで頂けますと幸いです。

  • #-
  • あんこ
  • URL

2016.10.07 Fri 00:04  |  

昔の記事へのコメントで大変恐縮ですが、記事を参考にさせて頂きました。
実家から栗が送られてきたもので、なんとかダメにする前に食べようとレシピを探していたところ見つけた次第です。

仰る通り、栗、サトイモと剥くのが大変でしたが、作ってよかったです。
見た目に反して大変手間のかかる料理ですね・・・
実家に感謝して頂きます。

  • #-
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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
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 …『BAR・レモンハート』
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 …『夢色パティシエール』


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