『おいらん姐さん』の“石焼豆腐と海老飯”を再現!

大変お待たせして、申し訳ございませんでした。昨日更新するというお約束を破ってしまい、誠にすみませんm(_ _)m。実は昨日、夜中に出掛け先から実家へ無事帰れたのですが、疲れがたまっていたせいか即座に爆睡してしまいましたorz。三時間睡眠でも、八時間睡眠したのと同等な体力回復を行える布団や枕があったらな~としみじみ思います。
どうも、そういう夢のような道具は手に入らなかったものの、相方・マサル君から少し早い誕生日プレゼントとしてデジカメをプレゼントしてもらえて狂喜している管理人・あんこです。

今回再現する漫画料理は、『おいらん姐さん』にて主人公・なみじ達が同じ店に住んでいる料理上手なお女郎・朝雲さんにご馳走してもらった“石焼豆腐と海老飯”です!
石焼豆腐図
海老飯図
漫画『おいらん姐さん』とは、まだ<花魁>や<太夫>という地位が形骸化する前で華やかだった頃の吉原を舞台に、新嬉楼という中堅クラスの遊女屋で「地獄太夫」というあだ名で呼ばれる程施虐の芸(SとしてMを責め苛む技術)に長けていた上級女郎・橋立花魁と、その禿(かむろ。花魁の妹分みたいな遊女見習い)として雑用をこなしつつ素朴な視点から遊郭を眺める幼い少女・なみじを主人公として紡いでいく遊郭ロマン漫画です。
『おいらん姐さん』の見所は、遊郭を舞台にしたとは思えないくらい明るくウィットに富んだストーリーと、読んでて痛快な人情噺!「吉原物」は、その暗い歴史のせいか負の側面がクローズアップされた重たく沈鬱なお話にどうしてもなりがちなのですが、本作はそういう面を最小限に抑え、あえてお江戸や吉原の賑やかな日常を描ききる事に成功しています。また、基本的に『おいらん姐さん』は一話完結の形式で話が進んでいくのですが、どのラストもほっとするか、もしくはほろ苦い程度で終わる物ばかりですので、安心して読む事が出来ます。天下の大商人・紀文との意地をかけた戦い、ちょっとしたお江戸板・探偵物語、天女の如き美貌とは裏腹に鬼のような心を持つトップ・仏御前との争い、そしてなかなか実らない橋立花魁の恋愛やなみじの微笑ましい初恋など、面白いストーリーは目白押しですので、お江戸好きには是非お勧めしたいです。
何より、主人公であるなみじが何だかんだ言いつつも「オイラん姐さん」と読んで慕う橋立太夫のキャラクターがとても魅力的で、読んでいて飽きません。気の強い性格、きつい喋り口、鉄火肌な性分を持つ上にSMの女王様として活躍するせいで「地獄太夫」として名を馳せていますが、元はといえば商人の娘で芯は優しく、おまけに困った人間がいたら憎まれ口を叩きつつ助け船を出す女性な為、自然と応援をしたくなる憎めない女性です(^^)。あと、なみじも少女らしい活発さと愛らしさが入り混じった正統派主人公ですので、こちらも読んでて目が離せない感じです(返す返すも、二巻で中途半端なまま連載がとまっているのが惜しまれる作品ですorz)。
主人公でありコメンテーター・なみじ地獄太夫こと橋立花魁
今日再現するのは、橋立花魁となみじが生活している遊女屋・新嬉楼でイマイチ芽が出ない為に岡場所送り(下位の遊女を置く店が集まった場所。当時、ここへ移されると境遇がよくなる事はまずないと吉原の遊女達から恐れられていました)にされそうになっていた朝雲さんが、台所の余り物やお客さんが残した仕出し料理を使ってチャチャッと作り上げた料理・“石焼豆腐と海老飯”です。
いつもは名前通りボ~ッとしている為愚鈍扱いされていた朝雲さんですが、実を言うと元は料理人の娘で、料理の腕はかなりの物。この時、朝雲さんの手元にあったのは橋立花魁が二階から残り物として持ってきた伊勢海老の塩焼き、台所の片隅にあった木綿豆腐とご飯だけだったのですが、朝雲さんは手際よくこれらの夜食を作ってなみじや橋立花魁達から歓声と賞賛の声を受けていました。
作り方は双方共に簡単で、石焼豆腐は木綿豆腐をごま油でじっくりと焼いたら出来上がり、海老飯は塩茹でにした伊勢海老を三つ葉と共にご飯へ乗せて熱い味付き合わせ出汁をかければ完成です(前者は「豆腐百珍」、後者は「素人包丁」という江戸時代の本のレシピを参考にしたと欄外に書かれてありました)。
元々は料理人の娘だった朝雲さん
中でも、私が特に気になっていたのが石焼豆腐。そのまま食べるのではなく、後々調味料をかけてから頂くのですが、何と醤油だけでなく大根おろしも乗せて食べるのがこの料理のポイント。香ばしく焼けた豆腐に醤油をジュッとかけるだけでもウマーそうなのに、さらに大根おろしまで乗せて食べるとは…なんて贅沢なんだろうと初めて読んだ時は(´Д`*)ハアハアしました。
ちなみに、この料理二種をきっかけに朝雲さんは「料理上手なお女郎」として冷えてパサパサした仕出し料理に飽き飽きしていた顧客をジワジワと掴んでいき、無事岡場所送りを免れる事に成功するのですが、そりゃ~こんなプロ級のお料理までついてくるなら当然人気が出るに決まっている!としみじみ感じました。…ただ、このサービスの効力は私と同じく食いしん坊なお客さん限定ですので、結構客層が限られる気がしますが;。
大根おろしと醤油で食べる石焼豆腐…(´Д`*)
どうしても食べてみたくて仕方がなくなった為、拙いながらも早速再現してみます!

という事で、レッツ再現調理!
まずは、伊勢海老の下準備。お手軽に作るのでしたら車海老でもOKだとレシピには書いてありましたが、今回は夢を実現させたかったのであえて伊勢海老を使用する事にしました(^^*)。伊勢海老は丸ごと塩茹でにされた物を用意し、頭ごと殻を真っ二つにします。その際、伊勢海老の殻はものすごく固くて頑丈ですので、手を切らないように細心の注意を払います。
石焼豆腐と海老飯1
石焼豆腐と海老飯2
きれいに殻をむいて海老味噌をふき取ったら背ワタを取り除き、一口大のサイズに手でほぐすか包丁で切り分けます。驚くべき事に伊勢海老のエキスは他の海老とは段違いにすごく、何とまな板に捌いた跡と香りが少々残ってしまう程でした(゜Д゜;)エビノオウオソルベシ。なので、どうしても匂いを残したくない方はラップやキッチンペーパーを敷いてから捌いた方がいいかもしれません。
石焼豆腐と海老飯3
石焼豆腐と海老飯4
その間、昆布とカツオ節で合わせだしを煮出しておき、醤油と塩で軽く味付けをしておきます。この時、味はやや濃いめにつけた方がキリリと味が決まりやすいので推奨いたします。
それにしても、上等なお出汁という物はどうしてこんなに美しい黄金色なのだろうと、途中うっとり眺めてしまいました(´∀`)。
石焼豆腐と海老飯5石焼豆腐と海老飯6
石焼豆腐と海老飯7
次は、石焼豆腐作り。木綿豆腐をキッチンペーパーで包んだら重しを乗せ、しっかり水気を切ります。やがて、程よい具合に木綿豆腐から余分な水分が出きったら一センチ~一センチ半の厚さ・ちょっとだけ縦長の大きさに切ります。
石焼豆腐と海老飯8石焼豆腐と海老飯11
この豆腐を、ごま油(今回、私は太白胡麻油と純正ごま油を3:7の割合にブレンドして使いました。太白は上品さ、純正は力強さを演出してくれます。最近は竹本油脂さんという、未だに圧縮法でごま油を抽出しているメーカーさんのごま油がお気に入りです^^。その内、『美味しんぼ』86巻の胡麻油料理もこれで再現したいと考え中です)を多めにひいて熱したフライパンで両面をこんがりと焼き、焦げ目がつくまで火を通します。
石焼豆腐と海老飯12石焼豆腐と海老飯9
石焼豆腐と海老飯10
この隙に、炊き立てご飯を盛ったお茶碗の上に伊勢海老と刻んだ三つ葉をどっさり乗せておきます。
※出汁で並々と満たしたい場合はどんぶり容器を使用した方がいいと思います。
石焼豆腐と海老飯13
焼けた豆腐は大根おろしを添えてあるお皿へ盛り付け、海老入りご飯の方は上から熱々のお出汁をトポトポ注げば“石焼豆腐と海老飯”の完成です!
石焼豆腐と海老飯14
短時間で簡単に作れたのでやや拍子抜けしましたが、一見する限りでは手が込んでそうに見えるので嬉しい気持ちになります。キツネ色の焼き目がついている石焼豆腐といい、赤・緑・白の色合いが美しい海老飯といい、正直予想以上の仕上がりです。写真を撮っている間中、伊勢海老やごま油、お出汁、三つ葉の芳しい香りが鼻腔に絶えず流れ込んできていた為、お腹がグ~グ~鳴り止まなくて困ってしまいました;。
石焼豆腐と海老飯15

それでは、いざ実食。
まず一番目は、石焼豆腐。ごま油の香りがとてもそそる一品です。
石焼豆腐と海老飯16
原作通り大根おろしを乗せて醤油をたらし、いっただきっまーす!
石焼豆腐と海老飯17
さて、味ですが…これはすごくおいしいです!ただの豆腐だと油断していると、意表を突かれます!
一味違った豆腐でウマー
両面にこんがり焦げ目がついてびっくりする程香ばしくなったごま油風味の豆腐を、ほんのり甘苦い汁気でジュワッと舌の上へ溢れんばかりの大根おろしが淡く優しく包みこみます。外側はしっかりむっちりと噛み応えのある歯触り、中側はふっくらトロリとした舌触りに仕上がっている食感の妙といい、ごま油と醤油であっさりかつ濃いめに調味された味付けといい、見た目よりも意外に力のある味わいなのが特徴的でした。一言で例えるなら「豆腐の和風コク旨ステーキ」って感じで、ごま油の強烈なのに不思議とどこかさっぱりしているコクが効果的に活かされている料理だと思いました。
大豆だからこそ生み出せる植物由来の肉々した感じがウマーで、本物の肉とまではいかなくてもなかなかの満足感を得る事が出来ます。また、たっぷりの油で半ば揚げ焼きにしたせいか外側は若干揚げ出し豆腐に通じるものがある薄い膜がはられており、それが豆腐の旨味をがっちり封じ込めていたのに感心しました。日本酒とビールがこよなく合う上、はんぺんにちょっと似た食べ応えが堪えられない料理です。

二番目は、海老飯。お出汁とご飯を混ぜて、いただきま~す!
石焼豆腐と海老飯18
味の感想はと言うと…出来立てをかっこむと、無我夢中になるくらい美味!やはり、伊勢海老は海老の王者です!
なみじも泣いて喜んでいました(^^;)
喉が焼け付けそうな程熱っつい醤油風味の合わせ出汁と、そのお出汁を吸ってサラサラになったご飯、そしてうっすら塩味がついている伊勢海老を一気に口の中へ流し込むと、恐ろしい程箸が進みます。一見、カツオ節や昆布の味しかしなさそうなシンプルお出汁に見えますが、いざ啜ってみると伊勢海老ならではの濃密な旨味エキスがふんだんに溶け込んでおり、何とも贅沢で複雑な味わいがするのが印象的でした。正直、伊勢海老の事を「普通の海老でも変わらないんじゃ…」と甘くみていた事を反省です(車えびとロブスターのいい所取りってイメージの味です)。
これだけでも相当にすごい旨さなのに、そこへ三つ葉の風雅極まりない鮮やかな香りとシャキシャキした歯触りが加わると、もう完璧としか言いようがない味でした。表面は歯に食い込むくらいプリップリな弾力、中心はしっとりジューシーな口当たりの伊勢海老が、ただの出汁茶漬けを立派な懐石風料理に仕立てているのに感嘆です。とにかく伊勢海老の存在感がすごく、ある意味これは汁かけご飯というよりもはや立派な海老料理の一種だと感じました。

伊勢海老は結構高価なので、そう頻繁に本家の海老飯を作る事は叶いませんが、その代わり車海老で代用して作ってみても十分においしそうです。一方、石焼豆腐は必要な材料はごま油・豆腐・大根くらいものですので、これからはちょくちょく作って食卓に並べようと思いました(^^*)。同じお江戸物として、『みをつくし料理帖』の鰹飯といい勝負だと感じた再現でした。

P.S.
大変心苦しいのですが、時間がなくなってしまいましたのでコメント返信は明日にまとめてする事にいたします。長い間お待たせしてしまい、申し訳ございません。

●出典)『おいらん姐さん』 鈴木あつむ/実業之日本社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2010.10.27 Wed 23:06  |  ご無沙汰してます

お久しぶりです。
お誕生日おめでとうございます

2010.10.28 Thu 20:06  |  ほくほくさん、こんばんは。

当ブログの管理人・あんこです。

お祝いコメントをして下さり、ありがとうございます(^^*)!
実を言いますと、誕生日は来月の六日なのでかなり気の早いプレゼントだったと思います;。
新しい歳を迎えても、バシバシ頑張りますね!

  • #-
  • あんこ
  • URL

2010.10.28 Thu 23:16  |  伊勢海老は高いので・・・。

ついに「おいらん姐さん」ですか、待ってました。
海老飯は、当時掲載誌を買って作って食べた覚えがあります。
私がやったときは、伊勢海老ではなく、ブラックタイガーでしたが・・。
「おいらん姐さん」は連載自体は完結しているのですが、
いかんせん「3巻がでない。」という状態にあります。
いつになったら出るのだろうと思いつつ、半分諦めていたりもしますが。
作者のすずきあつむ先生は、料理漫画だと、
「最後の食卓」というのがあります。
(どこかの有名人と同姓同名の医師と看護婦さんのお話です。)では。

  • #-
  • 波多野鵡鯨
  • URL

2010.10.29 Fri 21:55  |  波多野鵡鯨さん、こんばんは。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

大分お待たせさせてしまい、申し訳ございませんでした;。
原作みたいに伊勢海老で作ると深みのあるおいしさでウマーでしたが、ブラックタイガーで作っても普段用として十分おいしそうですね(^^)。
何と、『おいらん姐さん』はとっくに完結していたのですか~!
何だか、尚更三巻が読みたくなってきました。どんなラストなのか、知りたくてたまりません!
…しかし、いつになったら出版されるのかと考えるとかなり歯がゆいですorz。
それにしても、すずきあつむ先生の作品で料理漫画があるとはちょっと意外でした。
『最後の食卓』、早速探し出して是非とも読んでみようと思います(^^*)。

いつも参考になるいい漫画情報を親切にも教えて下さり、感謝です。
これからも色々な漫画料理を再現していきますので、
お手隙の時にまた読んで頂けますと幸いです。

  • #-
  • あんこ
  • URL
(編集・削除用)
管理者にだけ表示を許可

Trackback

URL
http://luckyclover7.blog27.fc2.com/tb.php/637-ba463f73
この記事にトラックバック(FC2Blog User)

プロフィール

あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

Copyright © あんこ