『美味しんぼ』の“鯛の南蛮仕立て”を再現!

近頃、「もしうさくん先生が東京でまたサイン会をするなら、今度こそは東京に行きたいな~」と考えているのですが、いかんせん福岡在住&休みを言い出しにくい&金銭状況逼迫の三大問題が脳裏をかすめる為、いつも計画段階で頓挫してしまいますorz。ただ、私の場合お会いしても何も言えずに「あ…ありがとうござ…ボソボソ」と蚊の鳴くような声でしか喋れない不審者としてスゴスゴ帰ってしまいそうなので、それが一番賢明なのかもと思ったりしています;。
どうも、見た目はごつくてまるで岩盤みたいな顔をしたがっかり容姿な人間のくせに、中身の方は小動物のように小心者だという鬱陶しい管理人・あんこです。

今回再現する料理は、『美味しんぼ』にて山岡さんが老舗呉服店の若女将・かおりさんへお姑さんに認めてもらう為に教えた料理“鯛の南蛮仕立て”です!
鯛の南蛮仕立て図
山岡さん夫妻の間に子どもが生まれて間もなかったある日、お二人とおチヨさんは「ニュー・ギンザ・デパート」の社長兼山岡さんのよき友人・板山秀司さんによって銀座の老舗呉服店「梨原」の若女将・かおりさんを紹介され、深刻な悩みを相談されます。
かおりさんは四年前に現在の呉服店に嫁いで以来早く馴染んでお店をちゃんと継げるよう努力し続けているのですが、元々平凡なサラリーマン家庭に育っていたが為になかなか家風やしきたりという物が理解できず、それが原因で「梨原」の実質的な実権を持つお姑さんから認められていない状態。それでもかおりさんはめげずに「ニュー・ギンザ・デパート」内に出来た支店で頑張っていたのですが、先日「もうすぐ前当主だった主人の七回忌をする時期だが、今回は各界から著名人を特別に五十人程招き、うちの力になって頂けるよう主人が好物だった鯛の頭料理を供養代わりに食べてもらっておもてなしをしたい。だが、外国人や若い人が多い集まりになるから、人によって好き嫌いが分かれる調理法である兜煮などをお出ししたら逆効果になりかねない。そこで、出来の弱い嫁であるかおりを鍛える為にも、新しい鯛の頭料理を考えてもらうという大任を任せたい」という無理難題を押し付けられます。かおりさんは元々寛大で気が強くない方でしたが、お姑さんのあんまりないいようについ「させて頂きます。お義父様のご供養になるような鯛の頭料理、用意します」と言ってしまいます。
困り果てたかおりさんは板山さんを通じて山岡さんに何かいいお料理はないでしょうかと相談しますが、あまりの難題ぶりにさすがの山岡さんも「と、頼まれてもなぁ…」と最初は渋ります。しかし、傍にいたおチヨさんが「難しそうだから先生に聞いてみようかねえ?」と言うと山岡さんは「余計な事をするな!誰が、雄山なんかに!」と反応してしまった為、「はい、じゃあ決まり」となしくずし的に引き受けることになってしまいました;。本当、山岡さんは海原雄山氏の事となると後先考えずにムキになるな~と苦笑してしまいます(^^;)。
そこで、山岡さんが考えた末に選んでかおりさんに薦めたのが、博多にある日本料亭「稲垣」の主人・稲垣正廣さんから教わったという独特の鯛の頭料理・“鯛の南蛮仕立て”です。
作り方はそこそこ手がかかるものですが基本的には簡単な方で、白ネギで香り付けして塩と荒挽きこしょうで味付けした鯛の頭を、こんがり焼いた白ネギや合わせ出汁と一緒にお皿へ盛り付けて白髪ネギを飾れば出来上がりです。一見ごく普通の日本料理に見えるものの、鯛の兜煮とは正反対な繊細な味わいを楽しめる上、魚特有の臭みが白ネギで消されているとかなり好評で、かおりさんは見事喝采を浴びるのでした。
博多にあるお店なので、一回行ってみたいです。…お給料が上がったらorz
実を言いますと、このお姑さんはお話の最後で「これで、私も嫁と息子に全てを任せる事が出来ます」と言ってかおりさんの事をみんなの前ですんなり認めます。どうやら、本当は優しい性格で人一倍かおりさんを応援したかったものの、早く一人前になって欲しいが故にわざと厳しくていた模様で、内心「ツンデレだーΣ(゜Д゜;)!」と少し萌えてしまいました;。この話を元に、新ジャンル・姑萌えのアニメ「しゅうとめ!」を製作するのは如何でしょう?…はい、調子に乗りすぎました、すみませんorz。
お姑さんツンツンバージョンbefore

お姑さんデレデレバージョンafter
初めて読んだ時から、「博多にもこんな洗練されたオリジナル料理があるのか(←地元民なのに失礼)」「おいしそう」と興味しんしんでした。食べたい時が作り時ですので、早速再現してみます!

という事で、レッツ再現調理!
まずは、鯛の頭の下準備。鯛の頭は強めに塩を振って数十分放置させた後に熱湯をかけて霜降りにし、ウロコや汚れをボウルに張った水かぬるま湯で丁寧に取り除いておきます。鯛の頭は複雑な構造になっているので、ウロコを完全に取りきるのが結構難しい食材ですが、ここで取りきらないと後々食べづらくて味が半減してしまうので注意深く作業します(水中で作業すると、ウロコが飛び散りにくいのでお勧めです)。
鯛の南蛮仕立て1
鯛の南蛮仕立て2
下ごしらえの済んだ鯛の頭をキッチンペーパーで十分に拭き、荒挽き黒こしょう→小麦粉(しっかりではなく、軽~く打つ程度で可)の順に味付けと衣付けを済ませておきます。
鯛の南蛮仕立て3
鯛の南蛮仕立て4
この鯛の頭を、白ネギの青い部分と油をたっぷり敷いておいたフライパンの上に乗せ、鯛の頭の上にもさらに白ネギの青い部分を大量に乗っけてフタをしてじっくり蒸し焼きにします。ちなみに私の場合、香ばしさを出したかったのでごま油特有の匂いが全くなくて上品な風味の太白胡麻油を使用しました。
鯛の南蛮仕立て5
鯛の南蛮仕立て6
鯛の南蛮仕立て7
その間、カツオ節と昆布で合わせ出汁を煮出して漉し器で漉し、白ネギの白い部分をオーブンの天火でこんがり焼け目がつくまで焼いておきます(オーブントースターで代用しても大丈夫です)。
鯛の南蛮仕立て8
鯛の南蛮仕立て9
やがて、鯛の頭に八分目くらいの火が通ったらフライパンから取り出し、再度油を敷いたフライパンで両面とも火が通りきるまで焼き上げます。この時、鯛の頭から潮っぽいような何ともいえない香りが漂い出す為、うっとりします(´Д`*)。
※油は少し多めにした方が、鯛の皮がフライパンにくっつくかずに済むのでおすすめです。
鯛の南蛮仕立て10
鯛の南蛮仕立て11
鯛の頭がいい具合に焼けたら、先程の白ネギを底に並べた鉢の中に入れ、そこへ熱々になるまで温めなおした合わせ出汁をヒタヒタになるまで注ぎます。
鯛の南蛮仕立て12
お出汁を注ぎ終え、仕上げに鯛の頭の上へ白髪ネギを多すぎず少なすぎず飾りつければ“鯛の南蛮仕立て”の完成です!
鯛の南蛮仕立て13
白ネギの素晴らしく香ばしい香りとお出汁の芳しい匂いが交じり合ってお皿周辺に広がり、嗅ぐごとにため息が出ます。確かに兜煮の野趣あふれる料理も捨てがたいですが、この“鯛の南蛮仕立て”のように洗練に洗練を重ねた料理も悪くないと感じました。おつゆに浮かんでキラキラと光る脂が何とも美味しそうです。
鯛の南蛮仕立て14
それでは、この黄金色に輝くおつゆをほじった鯛の頭の身になじませていざ実食!いただきまーすっ!
鯛の南蛮仕立て15
鯛の南蛮仕立て16

さて、味はというと… 今までの鯛料理には類を見ないおいしさ!頭だからこそ味わえる鯛本来の旨さが印象的な料理です。
鯛の頭が苦手なお客さんにも好評でした
骨から食べれる部分をほじるのはちょっと面倒ですが、うっすら塩が効いて白ネギの香味が移っている上にゼラチン質や脂分が豊富でプルプルトロンと口でとろけそうな鯛の身はかなり美味な為、まるでカニを食べている時みたいな宝探しの気分を楽しめました。個人的に気に入ったのは一番濃厚でコクが深い目玉周辺の肉、しっとりジューシーな舌触りの頬肉、脂と肉汁のバランスがちょうどいいヒレ付近の肉で、どこを食べても違う味だったのでかなり面白かったです。荒挽き黒こしょうのちょっぴり刺激的な辛さが単調さを防いでいますし、内心「鯛の頭でよくぞここまで洋風らしさを出したな~」と感嘆しました。
一方、おつゆはどうかと言うとこれまた格別なお味です。白ネギの滋味豊かな甘味と香ばしさ、そして鯛の頭から大量ににじみ出た旨味をたっぷり溶け込ませた油が隅々まで行き渡っており、もはやスープだけでも立派な一品料理になっていました(一口啜るごとに脂がべっとり唇に張りつくので少しヌルヌルするんですが、その割には信じられない程さっぱりした後味なのが特徴的)。鰹と昆布の合わせ出汁を使っているのに不思議と洋風なシーフードスープっぽい感じなのがよかったです。また、焼いた白ネギの柔らかい歯触りはいい箸休め、白髪ネギのシャキシャキした食感はなかなかのアクセントになっているので、ある意味この料理は白ネギが第二の主役だと思いました。

鯛の頭と言うと、どうしても「鯛の兜煮」や「鯛の兜焼き」が最初に頭の中で連想されますが、これからは“鯛の南蛮仕立て”も立派な鯛の頭料理として思い浮かぶだろうなと思いました。白ネギと油がいい仕事をしているので、鯛の頭が苦手な方にも是非おすすめしたいです(^^)。

●出典)『美味しんぼ』 原作:雁屋哲 作画:花咲アキラ/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2010.11.15 Mon 16:31  |  出ましたね!

コショウとネギがポイントみたいですね~。鯛の頭から凄く良い味が出そうです!

この回を読むと外国人や若者もちゃんと箸を持ってる所がなんとなく気になってしまいます(^_^;)


この料理、せっかくなのでお正月にでも作ってみますね!

  • #1n9Tsjm2
  • ぱぴぴ発狂食品
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  • Edit

2010.11.15 Mon 19:26  |  ぱぴぴ発狂食品さん、こんばんは。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

はい、まさしくその通りです!
荒弾き黒コショウとネギがいい具合に鯛の頭の癖を旨味に変えてくれる為、相当に美味です。
恐らく、この時は偶然日本の行儀作法に精通した若者・外国人の方がいらっしゃったんだと解釈しています;。
それにしても、お正月に鯛の頭料理を作ったらかなり華やかでめでたい席になりそうですね!
ぱぴぴ発狂食品さんにそう言って頂けますと光栄です。

これからも色々な漫画料理を再現していきますので、
お時間が空いた時にまた読んで頂けますと幸いです。

  • #-
  • あんこ
  • URL

2010.11.17 Wed 15:15  |  

はじめまして!
私も「美味しんぼ」大好きで料理本買いました、ただ「じゃあオメェ、どんだけ再現したよ」と言われたら東○楽×イー△ルスのリーグAクラス入り確率ぐらいに思ってください…すいません。
ごぼう鶏飯は定番になりました。
ああと「昨日なに食べた?」の塩鮭の炊き込みご飯も定番になりました。
そんくらいでご勘弁ください。

こちらのHPへは「美味しんぼ」に登場の「牡蠣どんぶり」の作り方が掲載されている、ということで辿り着いたのですが。
鯛の南蛮仕立てをやっておられる、ということで見入ってしまったのですよ。おおっ家庭料理でもできるのか!?と期待してしまって。
やってみたいです~牡蠣どんぶりも再現したらば(今、食べ切れなかった生牡蠣があるので)再コメしたいです。

2010.11.20 Sat 09:01  |  HANADUMAさん、こんにちは。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

『美味しんぼ』の料理本は色んな名作料理が分かりやすく
レシピが説明されているのがいいですね。私も重宝してます。
いえいえ、再現料理に上下なんて存在しないので、
HANADUMAさんも立派な再現料理人だと思います(^^)!
勝手ながら、「同志だ~!」と嬉しい気持ちになっちゃいました;。
ごぼう鶏飯と塩鮭炊き込みご飯はかんたんでおいしいので、
我が家でもすっかり定番化しています。

何と、牡蠣どんぶりがきっかけでしたか。非常に光栄です。
鯛の南蛮仕立ては、意外と簡単に作れるので実は初心者向けだと思います。
おこがましくて恐縮ですが、当ブログがHANADUMAの充実した食生活のお力添えに
少しでもなれる事が出来たのでしたらありがたいです。

これからも色々な漫画料理を再現していきますので、
お手隙の際にまた読んで頂けますと幸いです。

  • #-
  • あんこ
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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
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 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
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 …『夢色パティシエール』


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 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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