『なんちゃって駅弁』の“ますのすし”を再現!

これは名漫画『だめよめにっき』に書かれていたネタですが、この季節になると「鍋の素」ならぬ「鍋の後」という商品が発売されないかな~と常々思います。お鍋を心行くまで堪能した後に残る、色々な旨味エキスが渾然と混ざり合った珠玉のお出汁…はっきり言って、これ程究極な旨さのお出汁はそうそうないのではと個人的に考えています。ただ、こういうのは自分で作るからこそ愛着が持てるものかもしれないので、商品化は難しいだろうな~と半ば諦めています。
どうも、お鍋の後は必ず雑炊にするのが信念の管理人・あんこです。

本日再現する漫画料理は、『なんちゃって駅弁』の記念すべき第一話にて主人公のお二人が手作りした駅弁“ますのすし”です!
ますのすし図
漫画『なんちゃって駅弁』とは、東京に本社を構える中小企業「丸亀商事」に勤める料理上手な総務・森口ヒロトさんと、入社したばかりの元気一杯な二十歳の社長室勤務の事務・宮本寿乃さんが、ワンマン気味でちょっと偏屈者だけど根は優しい社長・亀さんの為に全国の様々な駅弁を再現してお昼時間に手渡していくという駅弁系グルメ漫画です。
初対面の宮本さんから「何なの…この安心感!超草食系って感じ」と思われるくらいのんびり穏やかな性格の森口さんと、ドジばっかりなものの無邪気でいつも笑顔が絶えない宮本さんの名(迷?)コンビっぷりや和気藹々とした言葉のやり取りが見ていて楽しく、「も~面倒くさい!ちっとも簡単じゃないじゃないー(´Д`;)!」と料理が苦手な宮本さんが悲鳴を上げるのを森口さんが「そうかな;?」と眺めている様子はなかなかに微笑ましくて、読んでいるとつい口元が緩みます。そして、そのお二人が心を込めて作るなんちゃって駅弁を毎日美味しく平らげる大の駅弁ファンな亀さんのキャラもなかなかユーモラスで、普段はムスッと不機嫌そうな顔をしているのに駅弁を食べる時は何ともいえない笑顔になる為、毎度萌えさせられます(^^*)。この他にも、素直になれず亀さんと喧嘩してばかりの息子専務、バリバリのキャリアウーマン兼バツイチママの平島主任といった個性的な登場人物が勢ぞろいですので、駅弁だけでなくストーリーだけでも面白く読める内容に仕上がっているのが嬉しい作品です。
あと、この漫画の最大の見所は、毎話欠かさず紹介される人気駅弁の分かりやすくて詳しいオリジナルレシピ!横川駅の“峠の釜飯”、森駅の“元祖いかめし”、門司港駅の“かしわめし”など、全国各地で愛されている多くの駅弁の作り方が具体的な絵入りで細かく説明されている為、読んでいる内に「これなら自分でも作れるかも…」という好奇心が否応なく刺激されます。
人の為に作るお弁当からこそ、手間をかけたいという信念。
今回再現するのは、全国人気駅弁ランキングで毎年常に上位を占めている富山県の駅弁・“ますのすし”。昭和四十五年に発売されて以来多くの方の支持を得ている代表的な駅弁で、日本の鮭の中でも群を抜いて美味なさくらますが使われているのが特徴だと紹介されていました(何と、お米もお酢も富山県産だというこだわりっぷり!)。作中の記述によると、最近の“ますのすし”は女性や子どもにも喜ばれるようにますを生っぽく仕上げてご飯も軽く詰められているとの事で、内心「なるほど、一見変わっていないように見えても時代と共にアレンジされていってるんだな~」と感心しました。ただ、亀さんは昔ながらのしっかりお酢がきいたますと酢飯が好みだそうで、森口さんは最近の方ではなくそちらの方を再現していました。
本物ではなく、なんちゃって駅弁
他の駅弁再現は手間と時間がかかるものがほとんどな為尻込みしていましたが、この“ますのすし”ならかかるのは時間だけで済みますので、勇気を出して再現してみようと思います。

という事で、レッツ再現調理!
まずは、ますの下ごしらえ。ますは良く切れる包丁で薄~く削ぐように切り取ってキッチンペーパーへ一枚一枚丁寧に置き、その上から塩を軽くパラパラッと振りかけて約二十分~四時間の間放置しておきます(生っぽい今風のますがいいなら短く、きっちり締まった昔風のますがいいなら長くが鉄則です)。
ますのすし1
ますから水分が出て身が引き締まったら酢水で塩をしっかり洗い流し、キッチンペーパーでサッと水分を拭き取ります。この時、うっかり普通の水で洗っちゃうとますが水っぽくてベチャベチャな感じになってしまいますので、要注意です。
ますのすし2
これらのますを平たいお皿かバットに敷いてお酢をヒタヒタになるくらいまで注ぎ、約二十分~四時間の間浸しておきます。ちなみに作中ですと、森口さんは「亀さん柚子が好きだから喜ぶぞ~」と言いながら柚子酢をちょろっと加えていましたので、私も見習って柚子果汁を適度に足しました。
※私の場合、お酢は大豆由来の優しい酸味が特徴的な醸味酢を使用しました。
ますのすし3
下の画像は、お酢に漬けて四時間経過したますの様子。大分白っぽい色になって桜色はやや薄まっていましたが、柚子風味のお酢のふくよかな香りがふんわり漂うのが何ともおいしそうでした。実はこの時点で我慢できず、何枚かつまんでそのまま食べてみたんですが、日本酒に合う粋な純和風のおつまみって味わいで十分ウマー(゜Д゜)でした。
ますのすし4
その間、固めに炊いたご飯へ合わせ酢を少しずつ入れながらしゃもじで切るようにして混ぜた特製酢飯を作っておきます。ここにも柚子果汁や柚子酢を入れると、より料亭風の本格的な味になるのでお勧めです。
ますのすし5
次は、詰め作業。流水でざっと洗って水気を拭いておいたクマ笹をわっぱの中へ隙間なく敷いて(クマ笹がない時はラップでもOK)酢飯をまんべんなく詰め込み、そこへお酢をキッチンペーパーで拭き取ったますをこれまたぎっちり敷き詰めます。
※わっぱは市販されている丈夫な作りの物を使うほうが本当は望ましいですが、私はよりそっくりな見た目&気軽に作りたかったので、以前買って食べた際に洗って取っておいた本物の“ますのすし”のわっぱを使用しました;。“ますのすし”のわっぱは丁寧に洗って干しておくと何度でも再利用できるので、重宝してます。
ますのすし6
ますのすし7
ますのすし8
ますを隅の隅まで並べ終えたら笹で封をして押し固め、フタをして重石を乗せます。このままたっぷり一晩は寝かせ、ますと酢飯をじっくり馴染ませるのが“ますのすし”最大のポイントです。二~三時間程度で重石を取ってしまうと妙にスカスカになって味の一体感もガクンと下がるので、「果報は寝て待て」くらいの心境でほうっておいた方がおいしくなりやすいです。
ますのすし9
ますのすし10
下の画像は、一晩経った“ますのすし”の様子。しかし、ここまできたら徹底的にこだわりたかったので、作中にて最高の食べ頃だと書かれていた十二時間後までさらに放置しました(^^;)。もちろん、この段階で食べてしまっても大丈夫です。
ますのすし11
気が済むまで重石を乗せ終えたらわっぱのフタを開け、クマ笹をゆっくりほどいたら“ますのすし”の完成です!
ますのすし12
桜の花を思わせる美しいピンク色のますの身と、目にも鮮やかなクマ笹の濃い緑色の対照的な色合いがキレイで、見るからにおいしそうです。思った以上に本物とそう変わらない外見だったので、笹の葉を取った時は思わず飛び跳ねそうなくらい歓喜しました(母は「そっくり!」、父は「何だこれ、買ってきたんか?」と発言;)。唯一、柚子の香りが鼻をくすぐるのが本家とは違うところで、味が今から楽しみです。
ますのすし13
それでは、ナイフでケーキみたいに一人前に切り分けていざ実食!いただきまーす!
ますのすし14
ますのすし15

さて、味の感想ですが…作った本人がびっくりしてしまう程、本物のますのすしとそっくりな出来!強いて言うなら、酢飯の酢加減が少々違うくらいです!
心のこもったなんちゃって駅弁で、社長もにっこり
余程レシピが的確なのか本物のますのすしとほぼ同じおいしさで、もしこれを黙ったまま差し出したら、余程のますのすしフリークの方以外はまず見分けがつかないんじゃないかな~と感じました。塩とお酢でしっかりしめられて程よく引き締まった歯応えになったますといい、笹の葉の清らかな香気が移っていてやや固めの弾力に仕上がった酢飯といい、まさに理想的な味わいです。作中で実際に作られていたレシピ通りに柚子果汁を加えた為、厳密な意味での再現ではないかもしれませんが、オリジナルの方は「長い間守られ続けられた昔ながらの本格的な味」、なんちゃっての方は「現代風にアレンジされた上品で繊細な味」といった印象で、それぞれありだと思いました。
ただ、食べ進めて行く内にやはり100%同じという訳ではない所もチラホラ見られましたが(ますのしめ具合がちょっと異なる・使う酢が完全に同じ物ではないので風味が違うなど)、それはそれで手作りっぽさが出ていて十分許容範囲に入るのではと個人的に感じました。余計な水分が抜けて旨味が凝縮されたますはまるで「締めサバ風」と例えたくなる味わいで、押し寿司っぽい旨さが堪能出来るのがよかったです。はっきり言って、ここまで高いクオリティで作れるとは予測不可能でしたので完全に意表をつかれました。

『なんちゃって駅弁』はこの他にも多くの有名な駅弁を再現していますので、これからもちょくちょく好きな駅弁を作って記事にしていこうと考えています(^^)。正直、「あの駅弁が実際に自分でも作れた!」というこの感動は、癖になりそうです。今度は、“有田焼カレー”か“極黒豚めし”を再現出来たらな~と思っています。

●出典)『なんちゃって駅弁』 原作:守靖ヒロヤ 作画:上農ヒロ昭/実業之日本社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2010.12.17 Fri 20:12  |  きゃー!

うわ~!個人的に鱒寿司大好きという事もあって、凄く良いです~!!腹減りました~!今までで一番食べたくなりました☆それにしてもこの写真が!食べたいです~

  • #1n9Tsjm2
  • ぱぴぴ発狂食品
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  • Edit

2010.12.18 Sat 01:00  |  管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

  • #

2010.12.19 Sun 19:59  |  遂になんちゃってが。

これはいい作品ですよね。
現在は第2部が連載中です。
第2部は「幻の(になってしまった。)駅弁を再現」しております。
しかし、「熊笹の葉」ってどこで手に入れるのだろう・・。では。

  • #-
  • 波多野鵡鯨
  • URL

2010.12.19 Sun 21:51  |  

うわー美味そう!
こんなに綺麗にできるものなのですね

  • #-
  • とおりすがり
  • URL

2010.12.22 Wed 22:47  |  ぱぴぴ発狂食品さん、こんばんは。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

そうおっしゃって頂けますと、大変嬉しいです(^^)。
ます寿司は私も好物ですので、今回の再現も燃えました。
手作りだと好きなしめ加減・好きな酸味の酢飯になるので、
一度は試す価値アリだと思いました!

これからも色々な漫画料理を再現していきますので、
お手隙の際に又読んで頂けますと幸いです。

  • #-
  • あんこ
  • URL

2010.12.22 Wed 22:53  |  ゑさん、こんばんは。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

お寿司は私も大好物で、握り寿司・巻き寿司・押し寿司・ちらし寿司・
蒸し寿司・茶巾寿司・棒寿司など、どれもこれも飽きる事がありません。
私の作った方のなんちゃってます寿司は作る人間の技量のなさが露骨に
出た未熟な出来ですが、お褒めの言葉を頂けて非常に光栄でした!

はい;。不思議な事に、疲れている時やストレスが溜まっている時でも
再現料理をする為に台所へたつと、あっという間に疲れが吹っ飛びます。
なので、気がついたらにやにやしている為、我ながら不気味です;。

お気遣いをしていただき、感謝です(^^)。
これからも色々な漫画料理を再現していきますので、
お手隙の際に又読んで頂けますと幸いです。

  • #-
  • あんこ
  • URL

2010.12.22 Wed 22:57  |  波多野鵡鯨さん、こんばんは。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

はい、本当に面白くて興味深い作品なので、ついつい見入っちゃいます。
実を言いますと、相方・マサル君共々第二部を雑誌にて拝見し続けてます。
「甘すぎるそぼろ」の幻駅弁も、いずれ再現してみたいです(^^)。
実は、熊笹の葉は通販にて購入いたしました。
結構リーズナブルなお値段で手に入りやすいですし、枝のついた物をあえて
購入するとちまきにも流用できるのでおすすめです。

これからも色々な漫画料理を再現していきますので、
お手隙の際に又読んで頂けますと幸いです。

  • #-
  • あんこ
  • URL

2010.12.22 Wed 22:58  |  とおりすがりさん、初めまして。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

そうおっしゃって頂けますと、とても嬉しくて光栄です。
ます寿司は手軽に作れる割に結構簡単ですので、おすすめです。

これからも色々な漫画料理を再現していきますので、
お手隙の際に又読んで頂けますと幸いです。

  • #-
  • あんこ
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プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
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 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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