『酒のほそ道』の“カキカレー”を再現!

私はかなりゲンキンな人間なので、仕事上での失敗が一度も無いまま帰宅すると「はははは、今日もご飯とビールが美味しっ(゜∀゜)!」と晩ご飯を心行くまで貪れるのですが(悲しい事に、そんな日は月に数えるくらいしかありません…)、大失敗を起こした日は「私は何てダメ人間なんだろう…」と比較的食が細くなります。その為、そんな時はおいしそうな料理が出てくる番組を見て強制的に食欲を湧かせています;。意外にも、グルメ番組ではない「帰れま10」が見ててなかなかお腹がすきます。
どうも、油断して食べたローソンの「プレミアム黒蜜ときな粉のロールケーキ」のきな粉の香ばしさ、黒蜜クリームのすっきりした甘みに感動した管理人・あんこです。

本日再現する漫画料理は、『酒のほそ道』にて岩間さんの上司・前田課長が休日に家族サービスの為に作ろうとした“カキカレー”です!
カキカレー図
前田課長とは、主人公・岩間宗達さんを始めとする同じ部署の部下をよく飲みに連れて行ってくれる気前のいい上司で、岩間ちゃんと負けず劣らずおいしいお酒と料理に目がない食いしん坊な大人です(但し、お酒が入ると果てのない薀蓄が多くなるのが玉にキズ;)。初登場時は岩間さんから内心「うっとうしいタイプ」「こうるさい」「鼻毛が気になる(?!)」などとボロクソに思われていた気の毒なお方ですが;、巻を重ねるごとにどことなく憎めない愛嬌を感じさせるようになった準レギュラーキャラです。岩間さんには何だかんだうるさがられていますがしょっちゅうつるんで一杯やっているいい飲み仲間で、やや年齢が近い観がありますが上司と部下・友達・擬似親子を程よくブレンドしたような距離感が読んでいて面白いです(^^)。
意外にもこの前田課長、ご家庭では奥さんとお子さん達に弱いらしく、職場では厳格でそこそこ恐れられているのに家では「パパ~、ご飯まだぁ?お腹すいたー」というブーイングを受けても強く言い返せない典型的なマイホーム・パパ。家族との交流を持ちつつ料理好きな一面を活かす一石二鳥な手段として、週末は奥さんの代わりに課長がみんなに家庭サービスとして晩ご飯を振舞うのが半ば恒例化しているとの事で、たまたま居酒屋でその話を聞いていた岩間さんとかすみちゃんはちょっと驚いていました。作中で岩間さんは胡散臭そうな顔をしていましたが、こういう「普段とは違う特別感を味わえるご飯」は案外交流を持ついいきっかけになりやすいので、個人的には見上げた心意気なんじゃないかな~と思います。…まあ、当ブログ管理人の父のように納豆ラーメン得体のしれない臭気の卵焼きでは、どう転んでもマイナスイメージの会話しか生まれませんでしたが…orz。
最近、週末は家族に料理を作るのがマイブームの上司
ちなみにその際、白ワインでカキをつまんでいた前田課長が「そうだ、明日はカキを使った料理にするか。カキの料理って何があるかなぁ」「ホイル焼きじゃつまんないし、グラタンやフライはありきたり…」と相談してきたのに対し、気を利かせたかすみちゃんが「これなんてどうですか?」とお勧めしたのが、今回再現する“カキカレー”です!
作り方は結構単純で、カキを茹でて取っただし汁で炒めた野菜類やカレールーを煮込み、仕上げに茹でカキを加えて混ぜれば出来上がりです。かすみちゃんが言うには「カキの養殖が盛んな松島の方で、家庭料理としてよく作られているんだそうです」みたいで、茹でカキだと物足りない場合はあらかじめ白ワインでさっとソテーしておいたカキを具用として投入してもいいんだとか。ちなみに、漫画の横に添えるようにして書かれているラズウェル細木先生の随筆によると、まだお肉が貴重だった戦後の時代、松島の方々が身近にたくさんあったカキをお肉の代用品として入れてカレーを作ったらおいしかったので広まったのが“カキカレー”発祥話とのことでした。ただ、今となってはむしろお肉よりカキの方が贅沢品ですので、現代の視点から見るとかなり豪勢なカレーだな~と読んでてお腹がすいてきました(´Д`*)。
海辺の町では家庭料理となっている牡蠣たっぷりのカレー
その後、かすみちゃんの話を聞いて私同様すっかり乗り気になった前田課長は、翌日気合を入れてカキカレー作りに取り掛かります。しかし、鮮度のいい生カキが手に入ったのに気をよくした前田課長はついカレー用に用意した白ワイン風味の焼きカキや出汁を取った後の茹でカキを全て平らげてしまい、そのせいで具なしのカキカレーを家族に提供して「パパー、カキ入ってないよ~」とイマイチな反応を取られちゃっていました(それにしても、カキのないカキカレー…カツの入ってないカツ丼並に微妙な料理ですね。ご家族はさぞかし無念だった事と思います^^;)。
家族そっちのけで、楽しそうなカキカレー休日を過ごす;!
おまけに、天罰なのか白ワインによる二日酔いとカキの匂いがするゲップで前田課長はうんうん苦しみながら寝込んでしまい、おかげでせっかくの二連休を台無しにしてました。う~ん、おかしいような気の毒なような…;。ふと、「美味しい物は計画的に」という教訓が頭に思い浮かんだお話でした。
牡蠣と白ワインの食べすぎで散々な日曜日に…
もうそろそろカキの最盛期が過ぎ行こうとしているのに気づき、「これは今再現しなければ!」とおおいに焦りました。近所で特売になっていた生食用カキと加熱用カキを使い、早速レシピ通り再現してみようと思います!

という事で、レッツ再現調理!
まずは、カキの下ごしらえ。カキは塩水でさっと簡単に汚れを洗い流すに留め、ザルで余分な水気を落とします(あんまり長時間放置すると、網の跡がカキについて食感が台無しになるので要注意です)。カキについている水滴があらかた落ちたらグラグラに沸かした強火の熱湯の中へ投入し、お湯が白く染まりだしてカキがまだ半生の内にすぐザルで取り出します。この作業をもたついてしまうとカキが情けないくらい小さく干物みたいに硬くなるので、短時間勝負を心がけます。
カキカレー1
カキカレー2
取り出した茹でカキはそのままザルで水気をきってからボウルに入れて自然に冷まし、カキから出たスープは短時間だけ沸騰させて風味を濃縮させておきます。これで、カキの下ごしらえは完了です。
※この時に使うカキは生食用でもいいですが、どうせ後々火が通りきってしまう事を考えると、加熱用カキを使った方がより味が濃厚に仕上がると思います。最近は一部の生食用カキも味が向上してきましたが、こと「完全に通して食べる」事に限って言うとやはり加熱用カキの方を使用した方とぐっとおいしくなります。
カキカレー3
カキカレー4
次は、煮込み作業。一口大の適当な形に切ったたまねぎ、にんじん、じゃがいもをフライパンでざっと炒めて薄く塩とこしょうで下味をつけ、表面に火が通ったら水と共に鍋へ入れてアクを取りながら中火で約三十分以上コトコト煮ます。台所中がカキならではの磯の香りでぶわ~っと染まっていく為、目をつぶるとまるで海に来た気分に…なるのは無理があるとしても、気分的に盛り上がります(^^;)。
カキカレー5
カキカレー6
野菜類に熱が通りきったら一旦火を消し、お好みのカレールーを割りいれて溶かし込みます(私の場合、日頃から愛用している「ジャワカレー・辛口」を使いました!お手頃価格の割にスパイスが比較的効いているので、大好きです^^)。グルグル混ぜている内にカレールーが溶け切ったら再び火をつけ、弱火でじっくり煮込みます。
カキカレー7
カキカレー8
二十分くらい経過してスープとカレールーが一体化してきたら今度は茹でカキを投入し、さらに煮ます。三~五分くらい経ったら火を消し、隠し味として醤油をちょろっと垂らしたらフタをしてそのまま一晩寝かせます。
※実を言いますと、『酒のほそ道』に上記のような記述は一切ないのですが、個人的に「和風カレーの隠し味に醤油を使うと、絶大な効果を発揮する」「カレーは一晩寝かせるとびっくりする程おいしくなる」という信念がある為、あえて手を入れちゃいました。忠実な再現でなくなってしまい、申し訳ございません。
カキカレー9
一夜明けた翌朝にカレー鍋を見て味がなじんでいるのを確認したら、再度弱火~中火にかけます。カレーが全体的に温まってきたら、生食用カキを白ワインで軽くソテーしてプリンプリンにさせた半生の焼きカキを白ワインの汁ごと加え、お玉でざっと混ぜてすかさず火を消します(この際、火入れしすぎるのは厳禁です)。
カキカレー10
カキカレー11
カキカレー12
白ワインと焼きカキがカレールーに混ざったら炊き立てご飯をカレー皿へよそい、その上へルーと具を好きなだけ注ぎ入れれば“カキカレー”の完成です!
カキカレー13
匂いの方はガツンと「カレー!」って感じで、カキの香りはそこまでしない為拍子抜けします。けれども、よ~く注意して嗅ぐとそこはかとなくカキの匂いがちらっと漂うので、ほっとします;。茹でカキと焼きカキの両方を使用した甲斐あってカキがどっさり入っていて、どこを掘ってもカキ!カキ!!カキ!!!思わず、「カキの出血大サービスな露天掘り」という言葉が頭を駆け巡りました;。
カキカレー14
それでは、出来立てほやほやの内にいざ実食!いっただっきまーす!
カキカレー15

さて、味の感想はと言うと…不思議と和風な感じのルーで、かなり美味!お肉を一切使っていないはずなのに、なかなか濃厚な味がします!
実際に作る前は「薄味でさっぱり控え目な味なのでは…」と予想していたのですが、カレー全体にカキ特有の舌へジンジン響いてくる強烈で深い潮風味のお出汁がはっきり効いたパンチのある味わいで、旨味成分が強い割に後味はあっさりしている為一旦食べると病み付きになります。
硬くなるギリギリ寸前まで加熱されたカキの方は、プリンップリンしてジューシーな柔らかい弾力、ツルンとした喉越し、どことなくミルキーで甘いおつゆとで口の中がぱっと華やぐおいしさ(乳製品を入れていないのに不思議とまろやかな口当たりに仕上がったのは、恐らくこのおつゆの力が大きいと思います)。そして、前日からカレーと一緒に熟成されたカキはシコシコと噛み応えのある歯触りや、ほんのり舌を刺激する苦みがたまらないワタ部分とが融合した大人の味的なおいしさで、それぞれ甲乙つけがたかったです。具が少ない分、一般的なシーフードカレー程派手さや重厚なコクはないのですが、イメージとしては「ゆったりと押し寄せて来る穏やかなさざ波」を連想するような優しいコク、落ち着いた旨さが印象的で、いくらでも食べれちゃいそうな爽やかな食後感がいい感じでした。
この自然な甘味たっぷりのカキと、ジャワカレー辛口の特徴であるスパイシーかつピリ辛な味わいのルーがぴったりな相性で、互いが互いを引き立て合っているのがよかったです。じゃがいもやにんじんのホクホクした食感、玉ねぎのとろけそうな舌触り、白ワインのすっきりした風味がこのカレーの完成度をより高めていますし、お肉の代わりと思うのが失礼なくらい大満足な料理でした!

後日、作中のようにカキを除いてよそったカキなしカレーも食べてみましたが、これはこれであっさりしみじみと味わえる感じで悪くなかったものの、やはりどこか物足りない味で今一つって感じでした;。とにかく、カキを入れれば入れるほどすごく深みが増すので、カキは最低でも三パック用意して調理されることをおすすめいたします。

●出典)『酒のほそ道』 ラズウェル細木/日本文芸社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2011.02.22 Tue 21:06  |  

こんばんは。

写真を見るだけでも豪勢さが伝わる料理ですね!
白ワインやカレースパイスなどのおかげで、牡蠣の臭みもなさそうですし、とても美味しそうです。

和風な感じのカレーということで、長ネギを加えてカレー丼にするのも良さそうですね。

再現お疲れ様でした!

  • #-
  • あおまるねこ
  • URL

2011.02.28 Mon 20:59  |  あおまるねこさん、こんばんは。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。
このたびはご返信が大変送れてしまい、誠に申し訳ございません。

あおまるねこさんのように料理上手な方にそうおっしゃって
頂けると、とても光栄で自信がつきます(^^)。
白ワインとカレースパイスがカキの旨みを消すかと思いきや、
意外にも引き立てあっていた為びっくり&感心した再現でした。
実はカレーうどんにも流用したのですが、これもウマーでした。
また作った際は、カレー丼も試してみようと思います!

これからも色々な漫画料理を再現していきますので、
お手隙の際に又読んで頂けますと幸いです。

  • #-
  • あんこ
  • URL

2012.01.16 Mon 07:42  |  はじめまして

カキカレーの検索でこちらに寄らせていただきました。
数々の漫画レシピの再現、お見事です。
片っ端から拝見しておりますが、まだまだ見きれません。
カキカレーはだいぶアレンジしてしまいましたが作ってみました。
とても美味しかったです。
URL のブログ文中からこちらにリンクさせていただいております。
事後で申し訳ありません。
今後も再現レシピを楽しみにしております。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
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 …『ぶたぶた』シリーズ
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 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
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