『酒のほそ道』の“チーズ・イン・ロールキャベツ”を再現!

 最近、焼肉屋のユッケに関する数々のショッキングなニュースを見てびっくりすると同時に、これからどこでユッケを食べたらいいんだろう…と暗澹たる気持ちになりました(←ユッケもレバ刺しも大好物な人間)。とりあえず、当分は同じくらい大好物なホルモン焼きを食べる事によって生肉料理を我慢しようと思います。
 どうも、こういう時信頼できる肉屋さんが身近に居たら…と思わずにはいられない管理人・あんこです(近所の贔屓にしていた肉屋さんは、とっくの昔に潰れてしまいました…残念です)。

 本日再現する漫画料理は、『酒のほそ道』のおまけレシピコーナーにて宗達さんが春向きのおつまみとしてご紹介していた“チーズ・イン・ロールキャベツ”です!
チーズ・イン・ロールキャベツ図
 『酒のほそ道』はその題名通り、大抵がお酒orおつまみに関するお話ばかりですが、お酒のおつまみとは言えないような定番料理が取り上げられる事もままあります。その内の一つが、ロールキャベツ。原作者のラズウェル細木先生の随筆から抜粋すると、「たまにとーっても食べたくなる。だけど、心底うまいと思うようなものはなかなかない」という何だか微妙な立ち位置の料理との事で、言われてみれば確かにロールキャベツに対して強烈な印象はあまり抱いた事がないような気がします。ロールキャベツの味自体はほんわか癒される感じでとてもおいしいんですが、他の洋食料理と比較すると地味で目立たない部類に入るので、感動するほど美味なロールキャベツを見つけるのは結構至難の業っぽい予感がします。お店で食べたくなるような技術的要素の大きい一品ではなく、家でも手間さえ惜しまなければそこそこの味になる所も影響しているのかもしれません。
 けれども、本作の主人公・岩間宗達さんは会社の後輩達と一緒に有名な洋食屋へ行った際に、「やっぱロールキャベツは家庭で食いたいんだよ。女房の手料理って感じかな」「男の一人暮らしだとまず作らないだろ」と、むしろ家庭的だからこそいいというような誉め方をしていました。言われてみれば、いちいち挽き肉をこねたり、キャベツを破かないように下ごしらえしたり、丁寧にクルクル巻いて煮たりと小さい手間があちこちでかかってくる為、自分ひとりだけの時に作る気はまず起きない料理ですのでなるほど!と納得しました。岩間さん曰く、「仕事を終えて帰ってくると、家の中にトマトソースのいい匂いが満ちていて、キッチンではまさに女房が料理の真っ最中。ひとっぷろ浴びて出てくると晩酌の準備が整っていて、食卓に着くとホカホカのロールキャベツがドーンと出てくる」「グビグビグビーッとビールで喉を潤したら、ロールキャベツへおもむろにナイフを入れてパクッとほおばれば、口の中にじゅわーと広がる肉汁と、キャベツの甘み…な~んてたまんないなーっ!」というのが最も理想的なロールキャベツを食べるシチュエーションだそうで、同じく独身ばかりの仲間内で大変盛り上がっていました。う~ん、お気持ちは分からないでもないですが…まるで『孤独のグルメ』の五郎さん並に細々としたこだわりに思わず苦笑してしまいました(一度、二人を引き合わせてうんちく勝負やこだわり勝負をさせてみたいです^^;)。
ロールキャベツは、料理店というより家庭の味
 ただ、宗達さんたちがロールキャベツと理想の妻像をワイワイ語り合っている時、たまたま後ろの席に居た見知らぬ男性が「幻想だよ」「幻想!」と静かに言い放って出て行った為、皆さん一気に夢から覚めて(゜Д゜)ポカーン顔になっているのが何ともシュールでした;。男性の年恰好からすると、既に何十年と連れ添っている奥様がいそうな感じでしたので、つい「現実はそんなに甘くないんだよ!」という主張が口をついてでたんだろうな~と少々複雑な心境になりました;。この男性が帰宅した後、せめてお茶漬けセットだけでも机の上に用意されている事を祈らずに入られませんでした…。
 さて、今回再現するのは残念ながらこのお話に登場した本格派ロールキャベツではなく、コンソメスープ・ベーコン・チーズを使ってぐっとお手軽に作る“チーズ・イン・ロールキャベツ”。作り方は簡単で、茹でた春キャベツのへにベーコンと溶けるチーズを乗せて巻き、爪楊枝できっちりとめた後にコンソメスープでさっと煮立てたらもう出来上がりです。ラズウェル先生が言うには「ベーコンの変わりに豚肉の薄切りでもうまい」「電子レンジで加熱するだけにしてもいい」ようで、こしょうをたっぷりきかせるのが美味しくなるコツだとの事でした。タネを作らなくて言い分相当に調理時間が短縮できるので、私のようなズボラ人間には嬉しいロールキャベツです。
なかなか意味深なセリフを残して去っていきました;
 この料理は春キャベツを使用するのが好ましいと書いてあったので、旬真っ盛りな春キャベツが登場するまでうずうずしながら再現するのを待っていました。最近ようやくこれぞという春キャベツが手に入ったので、早速再現してみようと思います。

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、春キャベツの下準備。春キャベツは芯を大きくくり抜いてから沸騰したお湯に浸けていき、外側から葉を一枚一枚、少しずつ茹でて柔らかくしては煮えすぎないうちにお皿へ取り出していきます。その際、慌ててはがそうとすると破けてしまうので慎重かつ迅速に作業を行います。なお、あんまり高温過ぎるとキャベツはすぐに煮えすぎて色も食感も悪くなるので要注意です(葉が余った場合、味噌汁・温野菜サラダ・塩と胡麻油の和え物にするとおいしく消費できます)。
チーズ・イン・ロールキャベツ1
チーズ・イン・ロールキャベツ2
 軽く茹で上がった春キャベツをキッチンペーパーでしっかり水気を拭き取ったらまな板の上に広げ、その上にベーコン→とろけるチーズを乗せてクルクル巻きます。基本的にベーコンもチーズも自分好みのものを用意して大丈夫ですが、チーズはピザ用チーズみたいにパラパラしたものを使うとチーズのコクが少ない、ちょっと残念な出来になる可能性が高いので、なるべく塊っぽいサイズのチーズを使用する事をお勧めします。
チーズ・イン・ロールキャベツ3
チーズ・イン・ロールキャベツ4
 ベーコンとチーズを春キャベツでがっちり巻いたら、似ている最中にほどけてしまわないようしっかり爪楊枝でとめます。これで、ロールキャベツの原型は用意完了です。
 ※太いスパゲティを爪楊枝代わりに使うと、丸ごと食べられちゃうロールキャベツになります。
チーズ・イン・ロールキャベツ5
チーズ・イン・ロールキャベツ6
 次は、煮込み作業。春キャベツをゆでたスープをザルで越した物を鍋に戻しいれ、コンソメキューブを投入して塩、こしょうで味付けします。その際、こしょうはやや強めに効かせた方が後々キャベツの甘味とあいまって抜群に美味しくなります。
チーズ・イン・ロールキャベツ7
チーズ・イン・ロールキャベツ8
 別の鍋にロールキャベツをギチギチに詰めたら、そこへ先ほどの特製コンソメスープを流し込み、弱火~中火でアクを取りつつクツクツ煮込みます。少しでも強火にすると一気に吹き零れるので、火加減にはご注意した方がいいです。また、煮込みつつこまめに味の微調整も行います。
チーズ・イン・ロールキャベツ9
 春キャベツが煮え、中のチーズがトロトロになったのをお箸で触った感触で探り当てたら火を消し、スープと一緒にお皿へ盛り付ければ“チーズ・イン・ロールキャベツ”の完成です!
チーズ・イン・ロールキャベツ10
 春キャベツの目にも鮮やかな明るい緑色が如何にも春らしい感じで、冬キャベツで作ったロールキャベツとは違って見るからに柔らかそうな葉が印象的でした。ベーコンとチーズの香りは以外にも控えめで、それよりは春キャベツ特有のふくよかな香りの方が先立っているのが意外でした。果たして中身はどんな感じが、食べる前から楽しみです。
チーズ・イン・ロールキャベツ11
 それでは、外側をナイフでスパッと切り、中からトロッととろけ出してきたチーズをキャベツやベーコンに絡ませていざ実食!いっただっきまーす!
チーズ・イン・ロールキャベツ12

 さて、味はというと…春キャベツらしい爽やかな味わいが何とも優しくて旨し!ビールがキュキュッと進む一品です!
 春キャベツの素直な甘さ、どことなくミルキーな後味、くたくたに柔らかく煮上がっているのにまだまだ張りが残っていて瑞々しい歯触りがかなり美味で、思わず目尻が下がります。キャベツ本来の風味が活きた淡いコンソメスープを、こしょうのビリッとした辛味が引き締めているのが春キャベツの旨味をさらに引き立てていて、非常にバランスのいい仕上がりでした。中に入っているベーコンの旨じょっぱい脂分と、トロトロにとろけたチーズのこの上ないコクや塩っ気を春キャベツがすっぽり包みこんでいて、一緒に頬張ると見事に調和した味わいが堪能出来ます。イメージとしては「春キャベツとベーコンの重ね蒸しに、とろけるチーズをさらにはさんじゃいました」って感じの味わいで、幾重にも重なった春キャベツをジャクッと噛み破るとスープがジュッと染み出るのがたまりません。
 キャベツとベーコンだけだったら恐らくもっと単調な味になっていたと思いますが、厚切りにして巻いたチーズの濃厚な旨さが春キャベツもスープもワンランク上にグレードアップさせていて、なおかつちょっとリッチな気分になれました。特にコンソメスープへの影響がすごく、チーズが効いてまろやかになりつつこしょうのピリ辛さが後口をキレよくしているので飽きずに飲み干せます(正直、それまではロールキャベツのスープはやや淡泊なように感じてそうおいしいと感じる事はなかったんですが、このロールキャベツのスープは群を抜いておいしかったです)。

 粒マスタードをつけるとポトフ風、和辛子をつけるとおでん風の味わいになる感じで、ケチャップをかけてもまた一味違った旨さになります。挽き肉を使ったオーソドックスなロールキャベツもいいですが、こういう簡単に出来て気楽に楽しめるなんちゃってロールキャベツも同じくらいいいな~と感じました(^^)。今度は冬キャベツでも試してみたいと思います。

●出典)『酒のほそ道』4巻 ラズウェル細木/日本文芸社
     『酒のほそ道』18巻 ラズウェル細木/日本文芸社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2011.05.07 Sat 12:48  |  

ユッケが食えなくたって、九州には、安全で美味しい馬刺があるじゃないですか。
福岡の皆さん、もっと、もっと、馬刺を食べましょう!!
(ちなみに私は、以前、熊本と福岡に住んでいたことがあります。)

それにしても、色々と考えさせられる事件ですね。
私自身、深く考えもせずユッケを貪ってきましたが、これでは、半生のタニシで命を落とした魯山人を笑えません。
お子さんにユッケを食べさせた親御さんを責める気にはとてもなれません。私が親でも、多分同じことをしたでしょう。
しかし、今後は、せめてこれを教訓に、同じ悲劇を繰り返さないようにしたいと私は思います。

ロールキャベツは、スープや具が自由自在で、人によって好みが色々なのが、また面白いと思います。私は、おでんに入ってるのが好きですが。
今回、春キャベツを生かすためにコンソメ味なんでしょうけど、具がチーズとベーコンということで、トマト味も合いそうですね。
クリーム味は・・・どうだろう?

美味しんぼで山岡が作ってた、フグの白子入りロールキャベツの再現をキボンヌ(死語)。

  • #-
  • おっさんX
  • URL

2011.05.07 Sat 23:11  |  

ロールキャベツは美味しいですね。実は、大好物なのですよ。自分で作るのには手間が掛かりすぎるというか、一人暮らしにはロスが多すぎて作りませんけれど。
私は、チーズ入りのロールキャベツは食べた事がありません。しかし、チーズ入りのハンバーグなどから考えると相当に美味しそうに思えます。
それにしても肉のミンチとチーズを合わせる事を考えたのは誰なのでしょうね。昔の「洋食」には無かったと思うのですけれど。考えた人が日本人なら天才だと思います。

  • #-
  • oguogu
  • URL

2011.05.10 Tue 22:13  |  おっさんXさん、こんばんは。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

確かに、馬刺しはとってもおいしくてなおかつ安全ですよね。
小さい頃からよく「馬刺し」と書かれた個人商店を見てきて
数え切れないほど食べてきた身ですので、何だか無性に食べたくなっちゃいました;。
馬刺しって見た目に寄らずとっても繊細な味わいで、どこまでもしなやかで
柔らかい肉質なのでむしろ牛刺しよりもおいしいんじゃないかと思うことも多々あります。

私自身、美味しい食べ物を求めたり、他のかたがたに楽しんで
頂きたいと思うあまりに安全性が「?」な料理を食べたり、勧めてきたり
してきた身ですので、今回の事件を深刻に受け止めております。
食は体を健やかにする事ができると同時に、命を奪う事も出来る一面がある事も否めません。
100%完全に安全な料理はこの世には存在しませんが、それでもせめて
明らかに危険性が分かる食物、信用できないお店は避けて自衛したいと考えております。

確かに、トマト味がかなり合いそうなロールキャベツでした(^^)。
おでんのロールキャベツも味わい深いので、個人的に好きな具の一つです。
そういえば、『美味しんぼ』に白子入りロールキャベツ出ていましたね;。
あれを初めて見た時「白子だけで食べた(ry」と思ったものでしたが、
冬になったら実際どうなのか試してみようと思います;。

これからも色々な漫画料理を再現していきますので、
お手隙の際に又読んで頂けますと幸いです。

  • #-
  • あんこ
  • URL

2011.05.10 Tue 22:24  |  oguoguさん、こんばんは。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

手のこんだロールキャベツは、本当に美味しいですよね!
私の母は、角きりにした小さいじゃがいもを入れたりしてましたが、
これも時折ホコホコしておいしかったのを覚えています。
確かに、ロールキャベツは面倒な手順が多いので自分の為だけに作るとなると
敬遠しちゃいます;(私の場合、キャベツと挽き肉の重ね蒸しでよくごまかしています;)。
oguoguさんのおっしゃる通り、ミンチ肉とチーズの組み合わせは至福の味ですよね…。

これからも色々な漫画料理を再現していきますので、
お手隙の際に又読んで頂けますと幸いです。

  • #-
  • あんこ
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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
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※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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