『おかわり飯蔵』の“和風刺身麺”を再現!

 実を言いますと、小さい頃から私はあまり「運命」という言葉が好きではありません。似て非なる発想の「引力」や「ご縁」という言葉はそこまで抵抗がなく、むしろ好きなのですが、「運命」は始まりから終わりまで一方的に筋書きが決められているかのような響きで、何やらむっとしてしまうのです;(ご不快でしたらすみません)。正直、自分なりに悩み迷いつつも懸命に進んできた道が全て誰かの手によってかっちり決められてきたのだとしたらやりきれない心境になりますので、仮に何かそういう設定のような物が本当にあるとしても、大きな流れは変えれずとも小さな流れだけは自分で選択可能な仕組みだったら嬉しいな…と思う今日この頃です。
 どうも、上記のようなたいそれた余計な心配をせずともごくごく平凡で何の変哲もない人生が確定していそうな管理人・あんこです。 

 今回再現する漫画料理は、『おかわり飯蔵』にて主人公・飯蔵さんが離婚寸前のある新婚夫婦の為に作った創作料理・“和風刺身麺”です!
和風刺身麺図
 飯蔵さんがお世話になった恩人の一人に、原宿で結構大きな古道具屋さんを経営しているものの、パンチパーマ・グラサン・アロハシャツというトリプルで怪しい外見な五十代くらいの男性・荒関さん(通称:社長)がいます。飯蔵さんが古道具屋<JIN>を営むきっかけになった人物で、年齢は何十歳も違うものの公私共に何かとお世話になっているとの事でした。けれども、飯蔵さんをかわいく思うがあまりに時々行き過ぎた親切をする事が多く、初登場時など飯蔵さんのお店の看板を「相変わらずセンスのない看板やなァ…店頭はお客様が入りやすくせなアカンと言うたのに(´・ω・`)ヤレヤレ」という理由で、無断でお店によじ登ってぶら下がりカッターナイフを使いビリビリと引き裂いてしまうというかなりショッキングな行動を取っています;。その様子は一見するとまるで妖怪クモ男のようで、普段は心の広い飯蔵さんもさすがに顔を真っ赤にして爆発寸前になっていましたが、この期に及んでなおも図々しく「まあまあ、ハンちゃん!笑顔よぉ、笑顔っ(゜∀゜;)アタフタ!」とごまかしにかかる辺り憎めないキャラだと思いました;。ちなみにこう見えてこの社長、意識的にしろ無意識的にしろ飯蔵さんに多大な影響を与えていますので、いつかご紹介できればと考えています。
一見怪しいおじさんに見えますが、一応やり手の社長さんです;
 そんなラテン系のノリで根っから明るい社長ですが、その甥で銀行員をやっている詩郎さんはどこか根暗な雰囲気が漂う少し神経質な男性で、ネット上にて知り合い三年後に結婚した妻・リカさんの気を逆撫でしてばかり。古い道具に手を加えて生まれ変わらせる事を仕事にする社長とは正反対で何でもすぐに捨ててしまうタイプで、最終的には「古くてぼろい」という理由だけで深く考えもせずに飯蔵さんに売った古時計が、実はリカさんの亡き父の形見だったという事件がきっかけで別居してしまい、早くも新婚三ヶ月目にして離婚の危機に晒されてしまいます…。
 リカさん曰く、「相変わらず、自分の話しかしないのね。七時までに帰ってご飯を作れとか、家庭に入れとか…私だって詩郎との生活は大事にしたかったけど、せっかく積み上げてきた仕事を途中で投げ出したくないのよ」「いつぞやの夕食の時は、そうめんは手抜きだってひどく怒ったし」「あなたが好きで勧めてくる刺身も牛乳も、私は嫌い」との事で、詩郎さん本人が嫌というよりは相手の気持ちを思いやらずに自分の意見を押し付けてくる姿勢が耐えられなかった様子。個人的に、「合わない」という事実よりも「合わせようとしない」という意識の方がより深刻な問題だと感じていますので、リカさんが悲観的になる理由も分からないではないな~と思いました。
新婚生活もつかの間、すれ違ってしまった詩郎さんとリカさん夫妻
 けれども、ひょんな事でお二人の成り行きを一部始終見ていた飯蔵さんは詩郎さんの尋常ではない落ち込み具合を見ていて放っておけなくなり、荷物をまとめて出て行こうとしていたリカさんに「気持ちはよう分かるけど…落ち着いて一緒に飯でも食べらんね。とにかく、二人はコミュニケーションが不足しとるんよ」「案外、これが二人の問題を解決してくれるかもしれんどぉ」と言い、リカさんが苦手な刺身のパックを差し出して呼び止めます。当然、リカさんは訝しんで帰ろうとしますが社長とヒロイン兼新米編集者・さくらさんが必死に呼びとめ、飯蔵さんに急いで場を和ませる為のお料理を作ってもらいます。そうして僅か十分足らずで飯蔵さんが即興で作り上げたのが、この“和風刺身麺”と“洋風刺身麺”です(“洋風刺身麺”は、近い内に改めてご紹介いたします^^)!
 作り方は比較的簡単な方で、小さく切った刺身・すった山芋・生わさび・刻みネギ・そばつゆを混ぜた物を茹でたそうめんの上にかけ、仕上げにちぎった海苔をかけたらもう出来上がりです。あまりにもお手軽なので、三十代になるまでそうめんすら茹でた事がなかった詩郎さんでも「たったこれだけ?!」と言わせしめていました;。飯蔵さんが言うには、女性向きな“洋風刺身麺”と違いこちらの“和風刺身麺”は男性向きだそうで、山かけそばや刺身好きな方には堪えられない料理だとの事でした。
 味も見た目も全く違う“和風刺身麺”と“洋風刺身麺”ですが、実はこの二種の料理は詩郎さんとリカさんご夫婦に、間接的にしろ非常に大事な事を教えてくれます。本当は今すぐにでもしゃべっちゃいたいですが、ここから先を書くと“洋風刺身麺”記事を書く時に困ってしまうので、今回はここまでに留めておきます(^^;)。
その場つなぎの一言で編み出された、偶然の産物なそうめん料理です;
 どんどん蒸し暑くなっていくのと比例して、当管理人の体力もすごい勢いで減っていってしまっている為(その為、最近は更新が間遠でした;。ご心配をおかけし、申し訳ございません)、もう一度元気を取り戻す為にも早速作中のレシピ通り再現してみようと思います!

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、そうめんの上にかける具作り。既に刺身サイズになっているマグロ、甘エビ、イカ、タコ、ホタテ(今回、作中で明記されている魚介類を用意して使用しました)を流水へさっと一瞬だけくぐらせた後水気を拭き取り、包丁でさらに食べやすい小さなサイズへスライスします。
 ※ホタテの場合、横にスライスしてから小さく切るのもいいですが、縦割りにして切ってもシャキッとした心地よい歯ざわりになるのでお勧めです。
和風刺身麺1
和風刺身麺2
 ボウルへすりおろした山芋、練りわさび、刻みネギを入れ、まんべんなく混ぜ合わせます。面倒な時はこの時に全ての材料を一緒くたにして入れて混ぜてもOKですが、この段階でわさびとすりおろした山芋がしっかり一体化するまでよく混ぜた方が味が一段とアップする上に食べやすくなるので、なるべくきっちり混ぜる事を推奨します。
和風刺身麺3
和風刺身麺4
 そこへそばつゆ(市販されている普通の麺つゆでも大丈夫です)、先程下ごしらえしておいた刺身類を全部投入し、よく混ぜます。濃い目の味がお好きな方は、おろした山芋が茶色く染まるまで入れてもOKです。これで、具は一応出来上がりです。
 それにしても、パッと見だとまるで焼く前のお好み焼きのタネみたいだったので、思わずこのままフライパンに広げて焼いてしまいたい衝動に駆られました;。実際、そうしても美味しそうです。
和風刺身麺5
和風刺身麺6
 この具を冷蔵庫で冷たくなるまで冷やし、その間にそうめんを茹でて冷水で冷やしてからザルで水気をきっておきます(そうめんは、「揖保の糸」がダントツ美味しいのでお勧めです!)。やがて余計な水気がなくなったのを確認したらそのままお皿へ盛りつけ、上から具をトロ~ッとかけます。その際、そうめんも具も高く積み上げる事を意識すると見た目がぐんとよくなります。
和風刺身麺8
和風刺身麺7
 具を好きなだけそうめんにかけたら軽く炙って香りを立てておいた海苔を指でちぎりながらふりかけ、お箸と共に机へ運べば“和風刺身麺”の完成です!
和風刺身麺9
 甘エビのピンク、マグロの赤、ネギの緑、とろろの白、海苔の黒など、意外にもカラフルな仕上がりでびっくりしました。さすがにパスタに見えるとまではいえませんが、それでもパスタ風に見せかけた新しい創作麺料理には十分見えます。そうめんはボリューム感と栄養がそんなにないのが欠点でしたが、このそうめんは見事にそこらへんの課題を克服しているな~と感心しました。
和風刺身麺10
 それでは、そうめんに味付きとろろをしっかり絡めて刺身と一緒にお箸でつまみ、いざ実食!いっただっきま~す!
和風刺身麺11

 さて、味の感想ですが…一口食べたら止まらなくなる程ウマーーー!作中でさくらさんが言っていた通り、涼しげな夏向きの料理です!
予想以上の旨さに衝撃を受け、背後で雷がスパークしてる詩郎さん^^;
 上にかかっている山芋には、カツオの濃い風味が効いてうっすら甘辛い味わいが特徴的なそばつゆが隅々まで混ざっており、その粘りがそうめんへトロトロ~としっかり絡んでいくので一気にズルズルッといけちゃいます(そうめんが極細なのが効を成し、とろみの中にそのまますっぽり包み込まれているみたいな状態になっている為すごくひんやりと口当たりがいいです)。噛んでいく内、徐々にわさびのツーンとくる和の辛味が刺身やそうめんのおいしさを最大限に引き出していくと同時に全体をぐっと引き締めており、おかげで最後まで飽きずに食べられました。例えるとするなら「わさび風味の海鮮とろろそうめん」って感じで、ネギのシャキッとした歯触りと鮮やかな香りがいいアクセントになっています。
 定番の山掛け風になったマグロ、とろろの淡泊そうで割と強烈な味に負けないくらい甘いイカ、コリコリした歯応えと山掛けのぬるぬる感がいい対比になっているタコなどの具が特にこのそうめんとぴったりな相性で、具としても単品としてもそのまま楽しめる程高クオリティな出来栄えでした。そうめんの他にもそば、冷麦、パスタなどと合わせてもなかなかいけそうだと思います。そこそこボリューム感があるのに食欲のない時でもツルンと軽くいけそうな、創作和食っぽい一品でした。

 刺身に出来る新鮮な魚介類をたっぷり使うので材料費が高くつくのが難点ですが、それさえ除けばまさに夏に最適な贅沢そうめんです!とろろでしっかりスタミナがつく上、暑い時でもすいすいとお箸が進むので夏バテ気味の体にガツンと効く感じでした(^^)。調理工程自体は簡単ですので、色んな方に是非お勧めしたいです。

●出典)『おかわり飯蔵』 原作:魚柄仁之助 作画:大谷じろう/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2011.07.16 Sat 19:45  |  

なるほど、山芋やオクラと麺つゆを合わせた物を予め冷やしておくというのは思いつきませんでした。今まで麺つゆは冷やしても山芋などは常温でしたから。この一手間で今年は麺類が一段と、さっぱり食べられそうです。

  • #-
  • oguogu
  • URL

2011.07.19 Tue 22:34  |  oguoguさん、こんばんは。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

実を言いますと、おかわり飯蔵にははっきり「冷蔵庫で冷やす」
という記述はないのですが、とろろにしろお刺身にしろ、どれも温まると
味が極端に落ちてしまうので、あえて冷やすという工程を加えさせていただきました。
この方がそうめんにもしっくりきて舌触りも涼しげなので、おすすめです。
ただ、ちょっとでしゃばりだったかもしれません。気に障りましたら、申し訳ございません。

これからも色々な漫画料理を再現していきますので、
お手隙の際に又読んで頂けますと幸いです。

  • #-
  • あんこ
  • URL

2011.07.23 Sat 22:21  |  

そうですか、冷やすのは、あんこさんの工夫ですか。
素晴らしい工夫だと思います。
これからも一工夫で美味しくなる方法がありましたら教えて下さい。

  • #-
  • oguogu
  • URL

2011.08.16 Tue 21:55  |  oguoguさん、こんばんは。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

ありがたいお言葉、感謝いたします。
その昔、冷たい料理は直前までキンキンに冷やすと
また格別だと料理本で見て以来実践していた為、
ついつい書き足しくなって記事に付け足しちゃいました;。
これからも、邪魔にならない程度に足していきたいと思います。

これからも色々な漫画料理を再現していきますので、
お手隙の際に又読んで頂けますと幸いです。

  • #-
  • あんこ
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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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