『華中華』の“枝豆チャーハン”を再現!

 小学校時代の夏、校門前にアイスキャンデー屋さんがよく来ていたのをふと思い出しました。アイスと言ってもハーゲン○ッツみたいなリッチ味のクリーミーな代物ではなく、清涼ジュースをそのまま固めたかのような質素極まりない味だったのですが、むせかえるように暑い日差しの中かじるジュース味しかしないシンプルなアイスキャンデーはからからに乾いた喉を素早く潤してくれた為、格別のおいしさだったように記憶しています(確か、パイン味とオレンジ味が人気だった気が…)。
 どうも、アイスキャンデーと一緒に売られていたアイス最中はアイスキャンデーよりさらに百円高かったからあんまり売れていなかったと言うどうでもいい事まで思い出してしまった管理人・あんこです。

 今回再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんが実家から届いた枝豆を使って<上海亭>のお客さん達の為に作った“枝豆チャーハン”です!
枝豆チャーハン図
 前回、運よくタダで手に入れることが出来た石焼ビビンバの器で豪華な“秘密の中身はなんじゃろな?チャーハン”をお客さん達へ振舞えたハナちゃんですが、その日の後片付け後、まるでそのご褒美かのようなタイミングで康彦さんから婚約指輪をプレゼントされます。何でも、康彦さん曰く「本当はプロポーズの時とか、結納の時にプレゼントするものなのに…俺、忘れちゃってて。お袋に言われて、慌てて用意したんです(´Д`;)」との事で、思わず「お義母さん、グッジョブ(゜∀゜)b!」と心の中でガッツポーズをとってしまいました;。たとえ儀礼的なものだとしても、やはり目に見える絆の最たる物である指輪でをもらえるのともらえないのとでは結婚に対する心構えが大分変わってきますので、康彦さんが忘れたままではなくてよかった~とほっと一安心です(ただ、指輪ではなくても互いにとって重要な意味のある物だったら何でもいいのかも…と、ふと思いました)。
 当然の如く大喜びしたハナちゃんは、「康彦さん、私…とっても幸せです、ありがとう!」といつも以上に元気一杯になりますが、すぐにある事に気付いて落ち込みます。そのある事とは、職場では結婚した事実を勘付かせる事を一切してはいけないという、直属の上司・陳料理長との約束。修行中に許可なく結婚した見習いは容赦なく退職してもらうという、<満点大飯店>創業以来のルールからハナちゃんを守る為に陳料理長が考えた苦肉の策で、もちろんハナちゃん自身もその心遣いは痛いほどよく理解していた為、仕事をしているほぼ一日中婚約指輪をはずして過ごす生活を過ごします。
 けれども、内心せっかくの好意で婚約指輪を贈ってくれた康彦さんに対して申し訳ないと思っていたハナちゃんは、終業後の夜遅くに公園で一人寂しげにふさぎこみます。そこへ登場したのが、今となってはハナちゃんの守護霊というだけでなくもはや親友的存在になっている幽霊・楊貴妃さん。料理人として生きる事と、好きな人と一緒に生きる事を両立する為には仕方がない事とはいえ、目に見えない制約が多いこれからの生活に不安を感じるハナちゃんの悩みを軽すぎず、重すぎず静かに耳を傾ける楊貴妃さんの姿は、『華中華』の中でも指折りの名シーンだと思います。
 このシーンの中で、個人的になかなかの名言だと思うのが、指輪をする機会が限られている事を気にするハナちゃんへ楊貴妃さんが静かに語った「だったら、こうやって人目がない場所で時々はめればいいのさ!愛する康彦を思ってね。これは世界中でただ一人、ハナちゃんだけのものなんだよ」「人前で指輪が出来なくても、あんたは康彦の婚約者なんだ。それを忘れちゃダメだよ」という言葉。
 婚約届、指輪、結納、結婚式、各方面への結婚報告…どれも夫婦になる二人にとっては大事な事だとは思いますが、それはあくまで元からある絆や決意を補強する副要素に過ぎず、結局は互いが互いを夫(妻)だと強く認識して尊重しあう意思が何よりも大事なのだと、この場面を見て思いました。ここら辺を読み返すたび、あえて苦難の道を選びつつも決してめげずに立ち上がるハナちゃんの幸多き前途を祈らずにはいられません(´・ω・`)。
人前では婚約指輪をはめられない華ちゃんを慰める楊貴妃さん
 その翌日、徳島の実家から届いていた採れたての枝豆を見てハナちゃんがピンと閃いた夏の新作チャーハンが、この“枝豆チャーハン”です!
 作り方は通常のチャーハンよりも一工夫加えられている感じで、塩ゆでしてそのままむいた枝豆を具に、そしてフードプロセッサ-にかけてペースト状にした枝豆を溶き卵に入れてそれをチャーハン作りに使うという、異色のチャーハン。こうする事によって枝豆の違った味わいを二倍堪能出来る上、枝豆だからこそ出せる美しい薄緑色に染まったチャーハンを視覚で楽しむ事が出来ると作中で説明されてました。実を言いますと、枝豆にはアルコールの分解速度を速めて二日酔いを防ぐビタミンC、余計な塩分や水分を排出させるカリウム、肝臓の負担を和らげるレシチンやサポニンといった栄養素が豊富に含まれている為、ビールにぴったりかつ体にもいいというまさに夢のような食べ物だったりします(^^)。その為、夏になると特にビールの消費量が多くなる方には打ってつけなチャーハンだと、初見時は大変感心したのを覚えています。
枝豆ペーストをチャーハンに入れるのがポイント!
 なお、このチャーハンは<上海亭>のお客さん達に大好評で、中には仕事中だというのに「二日酔いにもいいなら、ビール頼んじゃおうかな」などとおちゃらけてみせる男性もいたくらいでした;。当管理人自身大のビール好きで、久々に読んでいるうちにたまらなくなった為早速レシピ通り再現してみようと思います!

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、枝豆の準備から。枝から外した枝豆を多めの塩でこすり合わせるようにして塩もみし、数十分放置して塩味をしみこませます。時間が経過したら、沸騰させた塩入りの熱湯へ枝豆を投入し、三分~五分ゆでます。この時、ゆですぎると旨みも塩味も抜けてイマイチな仕上がりになってしまうので、要注意です。枝豆が茹で上がったらザルにあけてそのまま水をかけずに荒熱を取り、余分な水気が落ちたら洗い流さずに冷蔵庫で冷やせば塩湯でした枝豆の出来上がりです。この枝豆のさやから、枝豆を全部むいておきます。
枝豆チャーハン1
枝豆チャーハン2
 むき終えた枝豆は二等分にし、半分はそのままの状態、もう半分はフードプロセッサ-ペースト状になるまで細かく砕きます。このペーストっぽくなった枝豆を溶き卵が入っているボウルへたっぷり入れて溶きます(ただ、画像の量はさすがに入れ過ぎですので、程ほど大目くらいがベストだと思います。ちなみに、当管理人は残った枝豆ペーストでなんちゃってずんだもちを作りました^^;)。
枝豆チャーハン3
枝豆チャーハン4
 枝豆ペーストが溶き卵に行き渡ったらホタテパウダーを加えて風味付けし、さらに混ぜます。これで、枝豆の下ごしらえはOKです。枝豆についた塩味で十分ですので特に味付けは必要ありませんが、塩っぽい出来が好きな方はこの時点で枝豆に塩をパラパラふっておくのもありです。
枝豆チャーハン5
枝豆チャーハン6
 次は、チャーハン作り。フライパンに油とスライスしたしょうがを入れて弱火でじーっくり熱して香味油を作り、しょうがの香りが油全体へしっかり移ったのを確認したらしょうがスライスを取り除いて中火にします。フライパンが十分に熱されたら、先程の枝豆ペースト入溶き卵→硬めに炊いた冷やご飯の順に投入し、お玉の腹か木ベラでつぶしほぐすようにしてざっと混ぜ合わせます。その際、あんまり力を入れてご飯をほぐすとご飯粒がグチャグチャになって舌触りが悪くなり、ねちゃっと粘りのある仕上がりになってしまうので慎重かつ大胆に行います。
枝豆チャーハン7
枝豆チャーハン8
枝豆チャーハン9
 卵でご飯がコーティングされたら控えめの塩で軽く調味し、続けて枝豆、刻みネギ、こしょうを加えてよく炒め合わせます。最後に醤油を鍋肌にそってちょこっとかけてさらに混ぜます(塩も醤油も、枝豆の塩分がある分を考慮して入れた方がいいです;)。
枝豆チャーハン10
 枝豆と枝豆ペーストがチャーハン全域に混ざり、味見をして好みの火加減になっていたら火を止め、そのまま出来立てを丸くお皿へ盛れば“枝豆チャーハン”の完成です!
枝豆チャーハン11
 緑色のチャーハンを食べた事は今までに一度もなかった為、結構違和感を感じます(^^;)。ただ、枝豆の夏を感じさせる清々しい香りがほわっと漂う為、危機感よりは「匂いならおいしそう…。一体、どんな味なんだろう」という好奇心のほうが先立ちました。枝豆のぷっくりした質感が、見るからにたまりません。
枝豆チャーハン12
 それでは、具の枝豆とチャーハンをれんげですくっていざ実食!いっただっきまーす!
枝豆チャーハン13

 さて、味の感想はと言いますと…思わず「えっ?!」と驚いてしまう程よく出来た一皿。ビールのお供として最適な夏用チャーハンです!
 枝豆を一部ペースト状にして加えたおかげで豆本来のコクある甘味が口の中でストレートにブワッと溢れだし、噛めば噛む程枝豆の濃密な旨さがじわ~っと強く広がっていきます。それも単に甘いだけではなく、塩茹でした枝豆だけが持つ絶妙かつ癖になる塩加減が全体的に効いている為、あのほのかに甘塩っぱい味わいがご飯粒に染みているのがいい感じでした。
 枝豆の味・香り・食感が十分に活きたチャーハンで、枝豆に含まれる自然な油分や旨味成分が強烈な割には非常にさっぱりした食後感なのが特徴的です。具として入っている枝豆のぷりんとした口当たりとサクサクした歯触り、ペースト状の枝豆のポロポロはらりとした優しい舌触りがダブルで口の中を程よく刺激し、そこへ長ネギの鮮やかなシャキシャキ感とキレのいい風味が後口をキュッと締めるのがとても爽やかな印象でした。
 最初は「何だかモソモソしてそう」と心配でしたが、荒過ぎず細か過ぎずな中挽き状態になった枝豆が卵のフワフワ感と一体になっていた為、思っていたよりもボソボソした感じはなかったです。茹でた枝豆ならではの素朴な滋味がたまらなく好きな方には堪えられない程美味に感じるチャーハンで(もちろん、枝豆は普通くらいにしか感じられない方でもびっくりする事請け合いなお味^^)、枝豆のよさがちょうどよく凝縮された一品だと思いました。

 枝豆を入れすぎるとモソモソした舌触りになるので注意が必要ですが、そこさえ気をつければとってもおいしく食べられるチャーハンですので、夏場には一食の価値ありな料理だと感じました。ビールのおつまみになると同時に二日酔い対策まで出来る優れチャーハンですので、夏の間にちょくちょく作ってみようと思います(^^)。

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
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 …『夢色パティシエール』


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