『大市民日記』の“キャベツと玉ネギとベーコンのスパゲティ”を再現!

 先月、大分県へ旅行に行った際にローソンへ立ち寄ったのですが、店舗限定の鶏から揚げが店内で売られていたのに感心しました(福岡の方だと、「○○店限定」として商品が売られているのは珍しい方です)。個人的にこういう限定物は大好きなので早速購入して食べてみたんですが、スーパーで売られているお惣菜から揚げよりもずっとおいしかったので感動しました。にんにく醤油ベースの濃い味なんですがお酒にもご飯にも合いそうな旨さで、こんな美味しいから揚げが全店で出てくれたら…とちょっと本気で思いました。
 どうも、大分県の鶏料理は当たりばかりでハズレが皆無だったのに驚嘆した管理人・あんこです。

 今回再現する漫画料理は、『大市民日記』にて主人公・山形さんが同じアパートに住む山田さんと一緒に食べた“キャベツと玉ネギとベーコンのスパゲティ”です!
キャベツと玉ネギとベーコンのスパゲティ図
 一見ものすごくハードボイルドで、事実孤独と自由を愛する根っからの個人主義者な山形さんですが、実際のところは意外と面倒見がよく、シリーズを通して結構な数の知人達を助けたりご飯をご馳走したりしています。その為、実は山形さんの部屋へ誰かが遊びに来るシーンはそこそこ多いです。特に初期は、山形さんが台所で何か作っていると「いい匂いがする~(´Д`*)」とアパートの住人達が次から次へと引き寄せられていくパターンが何度もあり、その様子はまるで江戸時代の長屋付き合いみたいな和気藹々とした空気を髣髴とさせるものがあった為、読んでいてほのぼのしたのを覚えています。
 山形さんのように大勢といるよりも一人の時間を好むタイプの人は、下手をすれば「冷たい」「偏屈者」「付き合いが悪い」というマイナスイメージで見られがちですが、山形さんの場合付き合う時はとことん付き合い、力になるべき時はとことん力になるという人情味のある性格だからこそ、なんだかんだ言われつつ周囲の人達から慕われるんだろうな~と感じます。この作品を読んでいると、一人で好きなものを好きなだけ食べて自分の信念を貫く生き方の魅力と大事さを学ぶと同時に、誰かと「美味し!」「おいしいね~」と言い合いながらご飯を食べ、限られた時間だけでも寄り添って生きていく事も人生をより豊かにするのに重要な一要素だなのだという事をも実感してなりません。
 本日作ってみるのは、同じアパートに住む元銀行員のバーテン見習い・山田さん(35)が夜中に部屋へ遊びにやって来た際、山形さんが「晩メシ作るかー!」と言ってあっという間に作って見せた夕食・“キャベツと玉ネギとベーコンのスパゲティ”。作り方は本当に簡単で、キャベツ・玉ねぎ・ベーコンを炒めた物に茹でたスパゲティをドドッと加え、醤油のみで味付けしてあさつきを飾り付けるだけでもう出来上がりです。
 山形さん曰く、「スパゲティはやたらと楽で簡単で、何と組み合わせても美味しなので、まさに独身男の宝だよ」だそうで、このスパゲティの他にも沢山のお手軽スパゲティを作中で作ってはおいしそうに食べています。中でも、個人的に「ここまで簡単でいいのか(゜Д゜;)?!」と驚愕したのは、同じ巻に載っていた“ひきわり納豆スパゲティ”。こちらなど、何とよく混ぜたひきわり納豆と茹でたスパゲティを混ぜ合わせて醤油でちょちょんと味付けするだけで完成だというのですから、最初読んだ時はかなり衝撃だったのを覚えています。
山形さん曰く、スパは男の料理だそうです
 その後、山形さんは山田さんと「さァ、食うぞ山田くーん!」「はーい!」と実に楽しそうな会話をしつつ、この“キャベツと玉ネギとベーコンのスパゲティ”をお箸でズォーッ!というすさまじい音をたてながら勢いよくすすって「くー、いける!」と感極まった表情をしてビールをゴキュッとあおっていました。たったこれだけの描写なのに、何度読み返しても食欲がぶりかえしてくるので『大市民』は本当に偉大です。ちなみに、下の画像はその時の光景ですが、パッと見だとスパゲティというよりはまるで熱々のラーメンを食べているような壮絶なすすりっぷりで、未だにちょっと噴出してしまいます(^^;)。さすがに人前では無理ですが、自宅で一人の時に一度だけ試してみたい食べ方です。
男二人、暑さの中でスパゲティをずぞぞっとすすっている絵面は迫力です;
 こうも暑いと正直台所に立つのが億劫になりますが、たったこれだけの調理工程なら何とか頑張れると考え、再現してみる事にしました。幸い、ちょっとしたポイントまで作中に記載されていましたので、早速作ってみようと思います!

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、材料の下準備。キャベツは適当な大きさにザク切り、玉ねぎは一センチ幅くらいの大雑把なくし切りにし、ベーコンはあやや分厚い拍子切りに包丁で切っておきます。山形さんの場合、作中で何かと高級なベーコンやハムを使用することが多い為、当管理人もそれに倣い会社で分けて頂いたお中元の高級ベーコンを使用しました。
 ※こういうシンプルな料理を作る時、出来るだけ高級なこだわり食材を使うと旨さが倍以上跳ね上がるので、こういう料理の時のみちょっと奮発してみる事をおすすめします。
キャベツと玉ネギとベーコンのスパゲティ1
キャベツと玉ネギとベーコンのスパゲティ2
 次は炒め作業。フライパンへベーコンを入れて少し炒め、油分が徐々に出てきたら玉ねぎとキャベツを加えて何も味付けせずにひたすら炒め合わせます。この時気をつけるのは、とにかくキャベツ・玉ねぎ・ベーコンを通常のスパゲティソースを作る時よりもたっぷりめに入れるという事。何しろ味付けが醤油だけという単純さの為、野菜やベーコンの旨味エキスが効いていないとどうしても味気なくなってしまいます。その為、具の多さ=味の完成度に直結しやすいですので、心持ちくらいにでも多めに入れる事を推奨いたします。
キャベツと玉ネギとベーコンのスパゲティ3
キャベツと玉ネギとベーコンのスパゲティ4
 キャベツがしんなりしてくるまで炒めたら、もう具の出来上がりです。その間、太目のスパゲティ(当管理人の場合、ディ・チェコの1.6mmを使いました)を大量の塩入りの熱湯で茹でて湯きりをしておきます。
 ※太ければ太いほど、うどんに似たような不思議なおいしさに仕上がります;。実を言いますと、こちらのレシピをアレンジして出汁を加えた汁気大目の“キャベツと玉ネギとベーコンのスパゲティ”を作ったことがあったのですが、時間が経って麺が延びるとロー○ンの和パスタに近いような独特の味わいになったのでちょっと興味深かったです。
キャベツと玉ネギとベーコンのスパゲティ5
キャベツと玉ネギとベーコンのスパゲティ6
 野菜とベーコンなどの具が入っているフライパンに、湯きりをしたスパゲティをドサッと投入してよーくかき混ぜます。やがて、具・汁気・スパゲティが段々混ざってきたら醤油をお好みの分量だけちょいちょいと垂らして、また菜箸で徹底的にグルグル混ぜ合わせます。この時、中途半端にしか混ざっていないとバラバラな仕上がりになりますので、結構しっかり混ぜた方がいいです。
キャベツと玉ネギとベーコンのスパゲティ7
キャベツと玉ネギとベーコンのスパゲティ8
 全体的によく混ざり合ってきたらお皿へ盛りつけ、仕上げに刻んでおいたあさつきを上からパラパラと散らせば“キャベツと玉ネギとベーコンのスパゲティ”の完成です!
キャベツと玉ネギとベーコンのスパゲティ9
 …なんと言いますか、スパゲティと言うよりは焼きそばにそっくりな見た目だったので少々戸惑いました;。しかし、ソースの匂いは一切せずに醤油のふくよかな香りがぷ~んと鼻をくすぐる為、焼きそば疑惑は割りと早くはれます(´∀`)。キャベツの鮮やかな緑色と、醤油を吸ってほんのり茶色に染まった麺の対比が非常においしそうで、見ているだけでどんどん食欲がわいてきました。
キャベツと玉ネギとベーコンのスパゲティ10
 それでは、スパゲティと具を一口分お箸でつまみ、いざ実食!いただきま~すっ!
キャベツと玉ネギとベーコンのスパゲティ11

 さて、味の感想は…スパゲティというよりはどことなくうどんに似た不思議なおいしさ!フォークよりもお箸でズルズルッといく方がウマーです。
 一口食べた第一印象は「…スパゲティで作った釜あげうどん?それとも、麺つゆで味付けしたコシの強い和風焼きそば?」っていう感じで、和伊折衷どころか完全に和風寄りな麺料理だと思いました。例えるならば「野菜たっぷりの和風生醤油スパゲティ」というイメージで、うどんやそば以上にシコシコしていて喉越しよく頂けるのがよかったです。醤油だけで味付けしたはずなのに、ベーコンの旨塩っぱさと程よい脂分、野菜類のエキスがしっかり麺に絡んでいる為、まるで麺つゆや出汁醤油で味付けしたみたいな非常に奥深い味わいに仕上がっていました。麺にがっちり染みた生醤油のストレートな旨味と、やや濃いめなのにとてもあっさりした後味が癖になる一品でした。
 肉汁を吸ってしんなりしたキャベツのザクザク感、玉ネギの濃い甘味とサクサクした歯触り、厚切りベーコンのこってりした旨味がこの和風なスパゲティにぴったりで、食欲がない時でも次から次へとスルスル平らげる事が出来ます。また、面白い事にベーコンの塩味と玉ネギやキャベツの甘さがプラスされたせいか全体的にほのかに甘辛い味で、単に醤油だけで調味したとは考えられないクオリティで感心しました。個人的に、このスパゲティはタバスコか唐辛子を加えたピリ辛風にしてもいけるのでは…と思います。

 これまで当管理人は、「スパゲティソースは色々味付けしないとおいしくならない」という固定観念がありましたが、今回このスパゲティを食べてその意識は粉々に打ち砕かれました(^^;)。手抜きかつ簡単でも、おいしいものはおいしいという料理の原則を改めて思い知らされた気分です。醤油だけで作ったとは考えられないほど凝った味なので、これは一食の価値ありです。

●出典)『大市民日記』 柳沢きみお/日本文芸社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2011.09.04 Sun 19:12  |  

いつも楽しく拝見しています♪
今回もおいしそうな料理を再現されているなーと思いながら
見てたんですが、簡単そうだったんで僕も作ってみましたっ♪
そうすると、やっぱりおいしくってボクの得意料理にレパートリーされそうです^^
んでも、パスタゆでるときに昆布茶使うと、コクがでておいしくできたんでお勧めですっ♪
これからも、楽しみにしてますのでお体にどうぞお気をつけてっ^^

  • #-
  • クー・レン
  • URL

2011.09.23 Fri 15:15  |  クー・レンさん、こんにちは。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

おいしそうなお料理だというお言葉を頂けて、とても嬉しかったです。
このスパゲティは簡単な割にはおいしく出来るので、お金が無い時や
時間がないときに重宝しています。私自身、すっかりレパートリーに加わりました。
それにしても、昆布茶を使うというアドバイスに思わず
「なるほど!」と膝を打ちました。和風味なので、それはものすごくあいそうですね。
早速、明日のお昼にでも試してみようと思います(^^)。

これからも色々な漫画料理を再現していきますので、
お手隙の際に又読んで頂けますと幸いです。

  • #-
  • あんこ
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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
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 …『土曜日ランチ!』
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 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
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 …『夢色パティシエール』


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