『クッキングパパ』の“荒岩流スパゲティブラック”を再現!

 PS3のパズルゲーム『キャサリン』では、幕間で様々な偉人の言葉が登場してくるのでその都度納得するのですが、その中で一番「深い…!」と思ったのは、「男というものは、自分を愛している女を恨み、どうでもよい女を愛したがる」という言葉。調べてみると、元はシュニッツラーという小説家が呟いたという台詞らしいのですが、男性に限らず追ってくる者は安く見え、反対に自分が狙う対象は実際以上に高く見える人間の心理をうまく表現した名言だと思います。
 どうも、追った経験のみで追われた事はついぞなかった管理人・あんこです。

 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にてイタリアへ行った荒岩主任がレストランでご馳走された“荒岩流スパゲティブラック”です!
荒岩流スパゲティブラック図
 福岡県メインのお話が主軸となっているイメージのある地元密着漫画・『クッキングパパ』ですが、全巻をざっと読み返してみますと、実は結構他県や海外へ行っているお話がそこそこ多かったりします(イタリア・韓国・ドイツ・アメリカ・東南アジアなど)。ちなみに、一番初期に荒岩主任が行った外国はイタリアで、この時は料理や趣味の為ではなく≪モモ≫というリスのぬいぐるみをイタリア進出させる為という仕事関係の理由で旅立ってました。文化も言葉も食事も違う慣れない海外で、田中君と共に色々と苦労していた様子でしたが、仕事も料理研究もなんだかんだいいつつ成功させていた荒岩主任は超人だな~とつくづく感心します(^^;)。この「イタリア編」では、かなり本格的な“ビシソワーズ”、“メルシーチキン”、“オムレツのパニーノ”、“レモンのリゾット”、“ソルティークレープ”などのレシピが詳しく紹介されていますので、いつか全制覇してみたいです。
 この時、荒岩主任達はその頃イタリアで急成長していた大手スーパー<ステンダ>の仕入れ係・ソフィア=サビーニさんと出会い、公私共にお世話になっています。最初の出会いは、イタリア人独特の習慣・シェスタ(一言で言ってしまえば、昼寝です;。正直、「仕事中に仮眠が取れるとは羨ましい!」と感じました;)で一旦仕事を中断した田中君が、「せっかくイタリアに来たんだから、市内見物しとこうっと(・∀・)!」と考えて町中を適当にぶらついていた際、たまたま入ったスーパーで見かけたソフィアさんに一目惚れしてナンパみたいな声かけをしたのがきっかけ。当初田中君は仕事の事はすっかり忘れ、映画『ローマの休日』に出てくるアン王女そっくりな美女・ソフィアさんに対して「もっと仲良くなりたいな~」と思って近づいただけだったのですが、偶然ソフィアさんが<ステンダ>本社の子ども用品仕入れ担当だった事から話はどんどん広がっていき、遂には何とイタリア各都市にある<ステンダ>支店で≪モモ≫を大々的に売り出すと言う相当に大きな契約にまで商談成立しちゃっていました;。初見時は、まさか田中君の助平心がここまで役立つ結果になるとは想像もしていなかった為、「田中君の運のよさは異常」だと半ば感動したのを覚えています;。
イタリアで出会ったアン王女似の女性・ソフィアさん
 今回再現するのは、ソフィアさんのお父さんが開いているレストラン・「スクアーロ・ビアンコ」へ案内された荒岩主任、田中君、ティートさんがご馳走されたスパゲティの内の一つである“荒岩流スパゲティブラック”。
 作り方はオーソドックスなレシピに比べると少々シンプルな方で、オリーブ油・ニンニク・唐辛子・玉ねぎ・アンチョビを炒めたフライパンへイカやイカスミを加えてさらに混ぜ、最後にスパゲティを入れてパセリをかけたら出来上がりです。お料理本やお料理サイトで紹介されているレシピでは、大抵ホールトマトが加えられて酸味や香りをプラスしている事が多いのですが、ソフィアさんのおとうさん(そして、料理を振舞われた時にレシピを推測して学んだ荒岩主任)はイカスミを出来る限りそのまま生かした味付けにこだわる為なのか、あえて入れていないのが特徴的です。田中君とティートさん曰く「こら、ほんとうまか~!」「イヤー、コレハローマデモ1、2位ノ味デスヨッ」だそうで、そのあまりの美味しさから三人揃って「デザート?」と聞いてくるソフィアさんのお父さんに対して、元気よく「ノンノーン!スパゲティ、モア(´∀`*)!」とおかわりを要求していました;。
何と、ソフィアさんのお父さんのお店でした;
 イカスミはこれまでレトルトのスパゲティソースでしか味わった事がなく、あまり強い印象は無かったのですが(強いて言うなら、口の中がお歯黒状態になってしまうのに毎度びっくりします^^;)、本物のイカスミを使用したらどんな感じになるのか急に興味が出てきました。せっかく巻末レシピが手元にあることですし、早速再現してみようと思います!

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、食材の用意。イカはワタ袋や墨袋を破らないよう慎重に中身を抜き出し、イカの身は骨・皮・その他の不要な部分を手と包丁で取り除いて輪切りにし、ゲソは吸盤部分の硬い骨を指でこそげとってから食べやすい長さのブツ切りにします。墨袋は少し切れ目を入れ、ボウルへイカスミを絞っておきます。
 ※使用するイカは、大き目サイズだったらスルメイカ・ヤリイカ・すみイカなど基本は何でもOKです。ただ、刺身用のイカだと何故か墨袋が破れて貴重なイカスミがほとんど流れでちゃっている物が比較的多いので、気をつけて選んだ方がいいと思います。
荒岩流スパゲティブラック1
荒岩流スパゲティブラック2
 玉ねぎ、にんにく、アンチョビ、パセリはみじん切りにし、赤唐辛子は種を取ってから輪切りにしておきます。ちなみに、パセリは冷凍庫で一度洗って水気を切った物を冷凍しておくと、使うときに簡単に砕ける上大変日持ちするようになるのでお勧めです。これで、前段階は終了です。
荒岩流スパゲティブラック3
荒岩流スパゲティブラック4
 次は、炒め作業。フライパンにオリーブ油、先程のにんにく、赤唐辛子を入れて弱火でじっくり火を通し、いい香りがしてきたら玉ねぎを加えて中火で炒め合わせます。玉ねぎの炒め加減はお好みで大丈夫ですが、個人的にはほのかに透き通ってうっすら茶色くなってきたかな~?くらいがちょうどいいと思います。
荒岩流スパゲティブラック5
荒岩流スパゲティブラック6
荒岩流スパゲティブラック7
 玉ねぎが炒まってきたらアンチョビを投入してさらに混ぜ、全体に火が通ってきたらイカとイカゲソを加えて軽く炒めます。その内、イカに五分くらい火が通ったら白ワインを適量そそぎかけ、弱火~中火で約三分程度炒め煮します。その間、スパゲティが茹で上がる直前くらいになるまで手配しておきます。
荒岩流スパゲティブラック8
荒岩流スパゲティブラック9
 やがてイカに火が通り、玉ねぎやにんにくがとろっとしてきたらイカスミを投入し、さらに弱火で一~二分煮こみます。この時、イカスミはボウルにあらかじめて入れておかなくても、墨袋を直接指で押し出してフライパンの中へたらしてもOKです(しかし、当管理人みたいに不器用な方でしたら、最初にイカスミを準備しておいたほうが慌てなくていいと思います)。イカスミが程よく煮詰まってきたら火を止め、アルデンテに茹で上がったスパゲティを加え、よ~く混ぜ合わせます。
 ※イカスミをふつふつ煮ていると、面白い事にシナモンっぽい複雑に甘い香りが湯気となって立ちのぼってきたので、どういう味がするのかますます予想がつかなくなっちゃいました;。
荒岩流スパゲティブラック10
荒岩流スパゲティブラック11
 スパゲティとイカスミソースがしっかり絡み合ったらお皿へ高く盛りつけ、仕上げに細かく刻んだパセリをぱらぱら散らせば“荒岩流スパゲティブラック”の完成です!
荒岩流スパゲティブラック12
 不思議な事に、ほんのり料理とお菓子の中間みたいな甘やかな香りが漂ってくるので、時間が経つにつれ「がっつりスパゲティを食べる」というよりは「洗練されたイタリア料理を食べる」とでも言いたくなるようなかしこまった気分になりました。レトルトの物よりも大分黒色が薄いので見た目のパンチは弱いですが、パセリの緑・赤唐辛子の赤、イカスミの薄黒色、イカの白色がきれいなので、食欲はそそられます。本物のイカスミは、一体どんな味なのか…非常に気になります。
荒岩流スパゲティブラック13
 それでは、スパゲティとイカをフォークでクルクルと巻きつけていざ実食っ!いただきま~す!
荒岩流スパゲティブラック14

 さて、味の感想ですが…イカスミの旨さが麺全域に絡んでいて美味しっ!様々な旨味成分が交差している、大人の味って感じです!
 イカスミの深くてコクのある甘味と、玉ネギの素朴な甘さが口の中で複雑に入り交じって膨らんでいくのが大変美味で、他のスパゲティにはない独特な美味しさに仕上がっています。にんにくがイカのわずかな臭みをかき消すと同時に力強い風味をプラスし、唐辛子のピリッとくる辛みが後口を程よく引き締めている感じで、様々な味がする割にはしっかり調和しているのに感心しました。意外にもイカスミは見た目によらず繊細かつ奥深い味わいが特徴的で、イカの身に酷似した自然でとろけるような甘みと、わずかに舌を刺激するまろやかなほろ苦さが印象的な面白い味でした。正直、イカスミのみのシンプルな調味だったら辛党やしょっぱい物好きな方にとってやや物足りない味になっていたかもしれませんが、アンチョビの程よく熟成された旨辛い塩気が加わってやんわり押さえていたので、いい具合にバランスがとれた一皿に仕上がっています。
 イカの旨味エキスがギュッと詰まっているのに、びっくりするくらいあっさり上品な味わいなので病み付きになります。プリプリシコシコとした弾力がたまらないイカや、コリコリした歯触りのゲソがこのスパゲティにぴったりで、まさにイカ尽くしなパスタ料理でした。イカスミはイカワタほど癖が強くないのに同じくらい密度が濃いので、より万人向きなお料理です。あと、イカ本体やイカスミの旨味エキスをたっぷり吸い込んでホロホロに煮えた玉ネギが地味~に味わい深く、これをスパゲティに絡めて食べるとまた違った旨さが堪能出来ました。

 レトルトのイカスミスパゲティは何度か食べた事があったのですが、本物のイカスミを使用した手作りの物を食べるのは初めてだった為、いい勉強になりました。食べてみる前は、レトルトのイカスミスパゲティよりもずっと癖のある味なんじゃないかな~と予想していたのですが、思っていたよりもずっと甘みが強かったので驚きました。今度はトマトを入れるタイプのイカスミスパゲティも食べたいな~と、ただ今思案中です(^^)。

●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2011.09.10 Sat 22:06  |  

そうですか、イカスミスパゲッティは、そんなに美味しいのですか。私も、お歯黒になるのが嫌で敬遠していたのですけれど、あんこさんの感想で無性に食べてみたくなりました。

  • #-
  • oguogu
  • URL

2011.09.10 Sat 23:46  |  烏賊墨は・・。

服につくとなかなかとれないそうです・・・。
そういえば、イカ墨ブームなんてのもありましたねぇ。
イカ墨ももういまでは完全に定着した感がありますが
私は「イカ墨」を食べたことがないのです。
(ワタはホイル焼きにして食べますが・・・。)
そうそう、9/3・4日にSF大会がありまして、6年ぶりに参加してきました。
柳原望先生にサインをいただきつつ、
このサイトの話などもしたりなんかして。では。

  • #-
  • 波多野鵡鯨
  • URL

2011.09.12 Mon 12:35  |  

こんにちは。初めまして、いつも楽しく拝見しています!
お料理、上手なのでしょうね。画像で伝わってきます。
私もつくりたくなりました。。。
クッキングパパ、私全巻持っていてかなり愛読しているのですが、いつも金丸産業に勤めたい。。。って思います。

  • #-
  • tyobiyw
  • URL

2011.09.23 Fri 16:29  |  oguoguさん、こんにちは。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

正直、食べる前はレトルトのイカスミソースと
あんまり変わらないのでは…と漠然としたイメージだったんですが、
鮮度が違うせいかとにかく甘さとコクが違いました。
お歯黒は私も嫌だった為躊躇していたのですが;、不思議な事に
レトルトよりもお歯黒被害は相当控えめでしたので、
そういう意味でも本物のイカスミ使用のスパゲティはおすすめです。

これからも色々な漫画料理を再現していきますので、
お手隙の際に又読んで頂けますと幸いです。

  • #-
  • あんこ
  • URL

2011.09.23 Fri 16:35  |  波多野鵡鯨さん、こんにちは。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

確かに、一回ついたらなかなか落ちなさそうですよね;。
イカスミスパゲティのほかにも、イカスミパンやイカスミピラフ、
イカスミカレーなど色々と定着していますし、波多野鵡鯨さん
のおっしゃる通りもはや日本の食文化にしっかり組み込まれている感じがします。
不思議と、レトルトのイカスミよりも本物のイカスミの方が
のちのち汚れを落とすのが楽な気がしました;。
それにしても、柳原望先生に教えて頂いたとのお言葉に、
ただただ恐縮しまくりです;!「ご不快になられたらどうしよう…」という
不安でいっぱいですが、柳原先生の御目にもし留まる日が来ても
恥をかくような事態にならぬよう、精進しようと思います。

これからも色々な漫画料理を再現していきますので、
お手隙の際に又読んで頂けますと幸いです。

  • #-
  • あんこ
  • URL

2011.09.23 Fri 16:39  |  tyobiywさん、初めまして。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

まだまだ未熟な身ゆえ、過分なお褒めのお言葉に
恐縮しておりますが、とても嬉しくありがたかったです。
『クッキングパパ』の料理はどれもこれもはずれなしですので、
個人的に料理漫画ベスト3に入る作品だと思います。
確かに、金丸産業はフレンドリーでいい会社ですよね。
荒岩主任みたいに料理上手な上司手作りの夜食とか、憧れます。

これからも色々な漫画料理を再現していきますので、
お手隙の際に又読んで頂けますと幸いです。

  • #-
  • あんこ
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・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
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 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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