『貧民の食卓』の“切り干し大根と豚の味噌炒め”を再現!

 先日、仕事から帰ってドアを開けようとしてふとインターホン近くを見ると、そこには大きな蝶か花のような飾り物が。「誰が飾ったのかな~?」と不思議に思いつつ顔を近づけると(視力が極端に悪い為、近寄らないとあまり物が見えません;)、それは飾り物ではなく田舎名物・発育のいい巨大な蛾がぴたっと身じろぎもせずに止まっていました。当然、近所迷惑な大声で叫んでしまったのは言うまでもありませんorz。
 どうも、夏場に車に乗っているときは虫が無尽蔵に入ってくる為車窓を開け放つのは厳禁な区域に住んでいる管理人・あんこです。

 今回再現する漫画料理は、『貧民の食卓』にて主人公・赤柿留吉さんが久々に帰った田舎の実家で作った“切り干し大根と豚の味噌炒め”です!
切り干し大根と豚の味噌炒め図
 それは、ある暑い夏の日の事。夏休み中、家で留守番していた中学生の長女・千夏ちゃんは、田舎にある父方の実家からかかってきた「く、苦しい~。助けて~死にそおや~」「もーあかん。すぐ来てくれへんかったら、死んでまう~」というおばあちゃんからの電話にびっくり仰天します。心配した千夏ちゃんは「いつもの事や」で軽く流そうとする赤柿さんをどついてせっつき、大急ぎで列車を乗り継いでおばあちゃんの待つ実家へ帰ることにします。毎度の事ながら、グータラな赤柿さんの腰を上げさせようと必死な千夏ちゃんの様子が可愛らしいのでほのぼのします。
 しかし、いざ実家にたどり着いてみると、そこには元気に川で魚を素手で獲ろうとする泳ぎ回るおばあちゃんの姿が!どうやらおばあちゃんは赤柿さんの予想通り体調的には全然元気だったものの、毎年漬けている梅干しをかびさせてしまったり(何でも、「梅干しにカビを生やしたらその家には死人が出る」という迷信があるのだとか…。出典元が気になります)、裏の畑が荒れ放題になったりしたのを気に病んで少々心細くなった模様で、それでちょいとばかり大げさに助けを呼んだみたいでした;。その有様を目の当たりにした千夏ちゃんは「口先だけなんは親子そっくりや!」と呆れますが、「かわいい孫が来てくれたから元気が出た~(´∀`*)」とニコニコするおばあちゃんを見てやれやれという風に弟・ハジメ君と一緒に笑っていました。赤柿さんも最初は「元気そうやないか」と突っ込んでいましたが、おばあちゃんと「留吉、知ってるか?うさぎはな、寂しいと死んでまうねんで」「80のもののけババアが何メルヘンゆーてんねん。後ろで昔の友達がはよこっち来いゆーてんで」「へらず口きく口はどの口や!一人でおっきなったよーな顔せんときや(`Д´#)!」という親子漫才をしている内に事の真偽をうやむやにしてしまってました;。何だかんだ言いつつとても仲睦まじい様子だったので、お互いに会いたい気持ちを素直に表現できなかったからおばあちゃんの方から強引に呼び寄せちゃったんだろうな~と苦笑させられるシーンです(^^;)。
久々に再会するや否や、親子漫才を始める赤柿親子;
 この時、おばあちゃんが「何もあらへん…あるのはこれだけ」と言って出してきた豚の薄切り肉、ナス、ピーマンと、実家の戸棚をガサゴソあさって見つけ出した切り干し大根とで赤柿さんが即興で作った夕食のおかずが、この“切り干し大根と豚の味噌炒め”!作り方は簡単で、ごま油でしょうが・赤唐辛子・豚の薄切り肉・ナス・ピーマン・水で戻した切り干し大根を炒め、仕上げに味噌や砂糖などを合わせてあらかじめ用意しておいた味噌タレを入れて混ぜたらもう出来上がりです。
 赤柿さん曰く「しわくちゃババアが、娘(モガ)に若返り!」したような味だとの事で、脳内でかつてモダン・ガールとして一世を風靡したかつての若かりし日のおばあちゃんの姿をイメージ画像として思い浮かべてました。当初、このコマを見た時は「仮にも実母とはいえ、女性を切り干し大根に例えるのはいかがなものか…;」とちょっと気の毒に思ったものでしたが、案の定おばあちゃんは当然の権利として赤柿さんに「誰が切り干し大根やねん!」と雷を落とし、一度などは「えらそーな事ゆうて、小学校あがってもよれよれのおっぱいしゃぶりたがったんは誰やねん!?え!?もっぺんしゃぶらせたろか~!!」という恐ろしい衝撃発言をして、赤柿さんを「そらおかん、ゴーモンやで!」と慌てさせていました;。
切り干し大根を瑞々しい味にすると宣言する赤柿さん
 その後、何だかんだ言いつつも赤柿さん一家とおばあちゃんは「切り干し大根がシャキシャキしてて美味しい~」と賑やかな食卓を囲み、他にもカブトムシをとりに行ったりや縁側でスイカを食べたりして田舎の夏を十分に謳歌していました。実はこの時、おばあちゃんは赤柿さんが眠っている隙に千夏ちゃんへ「あんたらのとーちゃんくらいやで、文句言いつつほいほい実家に来てくれんのは」「結局、かけた愛情の分だけ今返してもろとる思たら、涙が出るほど嬉しいわ」とこっそり漏らしています。ケンカするほど仲がいいとはよくいったものだと感じたエピソードでした。
何だかんだ言って実家に帰る末っ子に、おばあちゃんは愛情を感じています
 夏になるにはまだ程遠い時期なのですが、近所の八百屋さんで大安売りされていたナスとピーマンを見て何を作ろうか考えた時にこのレシピをふと思い出して作りたくてたまらなくなった為、作ってみることにしました。早速、巻末レシピ通り再現してみようと思います!

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、食材の下ごしらえ。切り干し大根は流水でさっとぬらした後にちょっと塩を振って塩もみしてからまた洗い、約五~十分水に浸けて戻します。水を吸った切り干し大根がぶわ~っと膨らんできたら水気をギュッと絞り、包丁で適当な大きさにザク切りにします。
切り干し大根と豚の味噌炒め1
切り干し大根と豚の味噌炒め2
 ナスとピーマンは棒状に切り、ナスは水にさらしたアク抜きをしておきます。豚の薄切り肉は三~四センチ幅に切り、しょうがは皮をむいて千切りにし、赤唐辛子は水に浸けて種を取ったら小口切りにします。その際、ボウルに味噌、砂糖、日本酒を入れてよく混ぜ合わせ、味噌タレを準備しておきます。これで、用意はOKです。
切り干し大根と豚の味噌炒め3
切り干し大根と豚の味噌炒め4
切り干し大根と豚の味噌炒め5
 次は、炒め作業。フライパンにごま油、千切りしょうが、輪切り赤唐辛子を入れて熱し、香りが立ってきたら豚の薄切り肉を投入して炒めます。豚肉の表面に火が通ってきて油がにじみ出てきたら切り干し大根を加え、ほぐすようにしてよく混ぜ合わせます。
切り干し大根と豚の味噌炒め6
切り干し大根と豚の味噌炒め7
切り干し大根と豚の味噌炒め8
 豚肉の油分と切り干し大根が馴染み始めたらナスを入れて炒め、やがてナスが油を吸って少しヘタッとしてきたらピーマンを投入してさらに混ぜ合わせます。ピーマンがシャキッとした最適の炒め具合になる直前になったら、先程用意しておいた味噌タレを入れ、具によく絡ませながら炒めます。
 ※この時、黒ゴマや白ゴマをパラリと散らしてもいいそうです。
切り干し大根と豚の味噌炒め9
切り干し大根と豚の味噌炒め10
切り干し大根と豚の味噌炒め11
 全体に味噌タレが行き渡ったら火を止め、お皿にそのまま盛りつければ“切り干し大根と豚の味噌炒め”の完成です!
切り干し大根と豚の味噌炒め12
 見るからにご飯が進みそうなイメージで、食べる前からワクワクしてきます(^^)。意外にもあれだけたっぷり入れたはずの切り干し大根はあまり目立たず拍子抜けしましたが、味噌の香りに混じって大根特有の懐かしい匂いがするのですぐに入っているのが分かります。炒め物は大抵こってりそうな見た目ですが、これはさっぱりしている印象を受けるので食欲がないときでもついお箸がのびそうです。
切り干し大根と豚の味噌炒め13
 それでは、熱々の内にご飯へ乗せていざ実食!いただきま~すっ!
切り干し大根と豚の味噌炒め14

 さて、味の感想ですが…切り干し大根の小気味良い食感が何ともウマーーー!ご飯のおかずにもビールのおつまみにも向いている、万能料理です!
おばあちゃんがモガに若返る旨さだと赤柿さんは言っていました;
 ナスの皮のキュッキュムッと楽しげな歯触りと身のとろけそうな舌触り、豚肉のがっしりした食べ応えと強いコク、ピーマンのパリッと瑞々しい食感とほろ苦さ、切り干し大根の心地よいシャキシャキ感とお腹に優しいボリューム感が、甘じょっぱい味噌ベースの味わいとうまくなじんでいて美味です。しょうがのキリリと爽やかかつ引き締まった風味が全体によく効いていて、そのせいか豚肉の脂分でご飯がバクバクいけちゃう味なのにも関わらず軽い食べ口でした。大根と味噌を一緒に炒めると相性がここまでいいとは、正直驚きです。にんにくが入っていない為こってり感は欠けていますが、その分お腹にに負担がかからない優しい感じの後口で、切り干し大根からにじみ出ている独特の甘苦いおつゆとあいまって非常にヘルシーな一品でした。
 切り干し大根が様々な食材から染み出た旨味出汁と味噌味をたっぷり吸い込んでおり、噛めば噛む程お出汁がジュワッと溢れ出すのがたまりません。柔らかいのにしなやかな歯応えがある切り干し大根が、病み付きになります。通常よく食べる、にんにく入りの豚肉とナスとピーマンの味噌炒めはガツンと濃厚な味で男性的なイメージですが、こちらはしょうがや切り干し大根を加えてやや和風のさっぱり味に仕立てたせいか女性的なイメージの炒め物でした。

 味噌の種類を代えて作るだけで結構味が変わるので、色々試してみても面白そうに感じました。熱々でも美味しいですが冷めても十分に美味しくいただけるので、汁気をきったらお弁当のおかずとしてもいける感じです。切り干し大根は煮ても焼いてもいける素晴らしい食材なので、どんどん活用したいな~と思った再現でした。

●出典)『貧民の食卓』 おおつぼマキ/新潮社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
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