『華中華』の“戻り鰹チャーハン”を再現!

 部屋の大掃除をしていた時、クローゼットの奥からアルバムが出てきてしばしノスタルジーに浸りました。幼かった頃の自分と今の自分とを見比べて「老けたな~」と思ったり、今の知人達の風貌を思い返しながら当時の写真を見返して「変わったな~」「全然変わってないな~」という二択の感想を抱いたりと結構楽しかったですが、大学卒業式の日に撮った記念写真に映っている猪八戒のような自分の顔を見てやっと現実に戻り、過ぎ去った昔の事よりもドンドン肥大している現在の体型の方を何とかせねば、という結論に達しました。
 どうも、先日アンパンマンに似てきたと指摘されてショックを受けた管理人・あんこです。

 今回再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんが数ヶ月ぶりに再会したお友達・玉環さんの為に作った“戻り鰹チャーハン”です!
戻り鰹チャーハン図
 前回、康彦さんと慌しい休日を過ごしてろくに眠れなかったハナちゃんはうっかり電車の中で爆睡し、横浜中華街付近で降りるはずが正反対の位置にある成田空港駅に到着してしまいます。そのおかげで、こっそり朝早くに寮に戻って外泊がバレないようにする計画がおじゃんになってしまった上に満点大飯店へも大幅に遅刻してしまう事が確定してしまい、「下手すると、クビになっちゃうかもしれない…」とハナちゃんは途方に暮れます。この時一緒にいた楊貴妃さんは、何百年も幽霊をやっているせいかどっしり大きく構えて「別にいいじゃないか、あんたには上海亭も嫁ぎ先の家もあるんだから!」などといとも簡単にあっけらかんと言ってのけますが、この度の極秘結婚に関して大きく力になってくれた満点大飯店の上司・陳料理長の元で基本の中華をみっちり学びたいと考えているハナちゃんはどうしてもそうは思えず、今からでも急いで出勤して駄目元で謝ってみる事を決意します。
 しかし、決意していざ横浜中華街へ向かおうとしたハナちゃんの前に、思いがけない救世主が現れます。その人の名は、中国でも有数の巨大投資グループの筆頭格である楊社長の一人娘・楊玉環さん!まだハナちゃんが満点大飯店で働き出した物語初期の頃、中国進出を目論んだ満点大飯店の現オーナーが楊グループから援助をしてもらう為に友好の証兼調理見習いとして財閥一族から預かったのが玉環さんで、何と楊貴妃さんの実家の血を引き継ぐ末裔だという触れ込みで来日していました(←が、楊貴妃さん自身の口で「嘘ね」と一蹴されています;。というのも、楊貴妃さんの一族はかの有名な安史の乱の際に一人残らず抹殺された為、子孫が残っている訳がないとの事。仕方がない事とは言え、楊貴妃さんの心境を考えると少し切なくなります)。当初は「わらわ」「~じゃ」「~ぞよ」というまるで時代劇のお姫様のような日本語を使う、どこか抜けていてちょっぴりわがままな典型的お嬢様のように振舞ってた玉環さんですが、結婚する為に中国へ帰る事になった際にそれは周囲を欺いて満天大飯店のあらゆる技術を盗み取る為の仮面だった事をハナちゃんに打ち明け、最後の最後でお互いの本当の姿を分かり合ってから帰国していきました。ちなみに、どうしてハナちゃんだけに心を開いたかと言うと、ハナちゃんだけが玉環さんに対して打算なしに心優しく誠実に接してくれたからとの事。、ここら辺のくだりを読むと、ハナちゃんの人徳の素晴らしさをしみじみ感じ取ると同時に、たとえ相手がどのように応対してきたとしても誠実にあろうとする寛容の心の大切さを実感します。
思いがけず着いた空港駅で、これまた思いがけない再会をしたお二人
 実は、玉環さんはハナちゃんのチャーハンをもう一回食べる為に再び上海を発って日本へやって来たとの事で、ハナちゃんから事情を聞くやいなやすぐさま満点大飯店のオーナー室へ直行して「急な来日でそなた達に断る時間がなく、急遽お華に空港へ迎えに来させたのじゃ」と言って見事ハナちゃんの遅刻を不問にさせ、その上丸一日ハナちゃんをお店から連れ出す許可までとっていました(^^;)。相変わらず強引な性格だな~と苦笑しつつ、上海に帰ってからもなおも変わらない様子に安堵させられる一コマです。
 こうして、玉環さんの機転のおかげで何とか窮地を脱したハナちゃんは心底ほっとし、「横浜へ戻ってきた私に、相応しい食材でチャーハンを作って欲しいの!」という玉環さんの希望をかなえる為に一日かけてデパートめぐりをします。この時、お二人は宮崎産のブランドマンゴー・松坂牛・本マグロの大トロなどの高級食材を目の前にして様々な会話をしているのですが、お二人の金銭感覚の違いや昨今の食事情が垣間見えてなかなか面白いので、個人的にはおすすめなエピソードです(特に、かの有名なマンゴー≪太○の卵≫の値段を見てハナちゃんが「あのマンゴー二個分が私の給料…(´ω`;)」と苦笑いする場面は、ハナちゃんの苦労が垣間見えて何だか不憫な気持ちになりますorz)。
デパートで、玉環さんにぴったりなチャーハンの食材探し
 そんなこんなで食材選びに大分迷うハナちゃんでしたが、ひょんな事がきっかけで「美味しければ高くてもいいんじゃないの?」と如何にもブルジョワっぽい発言をした玉環さんに対して「五百円で召し上がってもらい、元気を出していただく…それが上海亭のチャーハンなんです!」「上海亭では、安くて美味しくて元気の出る料理以外、作りたくないんです」と言い返したのをきっかけに、今が旬で安くておいしく、しかも戻ってきた玉環さんにぴったりなのは戻り鰹だ!とチャーハンのアイディアが閃きます。こうして、喜び勇んで上海亭へやって来たハナちゃんが期待に胸を膨らませて見守る玉環さんの目の前で手早く作り上げたのが、この“戻り鰹チャーハン”です!
 作り方は比較的簡単な方で、にんにく・しょうが・青じそ・長ネギ・醤油・お酒・みりんで仕込んだ漬け汁に漬け込んだ戻り鰹を溶き卵に浸けてからさっと焼いて取り出し、それを基本チャーハンに混ぜ合わせたらもう出来上がりです(実を言いますと、香味野菜を入れてたたき風に仕上げる事を即興で思いついたのは、上海亭のおじいさんの発案。こんなに手軽に味を向上させるとは、さすがプロですね^^)。ハナちゃん曰く、「旬の戻り鰹はお安い」んだそうで、これなら旬を大事にする日本人らしさを演出できる上に味の割には安く出す事が可能との事でした。確かに、旬真っ盛りの食材は安くて美味しいと一石二鳥なので、これを日頃の食卓に活かさない手は無いと思います(^^*)。
 その後、“戻り鰹チャーハン”は玉環さんに「凄く美味しいわ。こんなに美味しいチャーハンは、中国では味わえない。ハナちゃんにしか作れないわ!」と大絶賛されますが、皮肉にもこのチャーハンの美味しさが玉環さんにある決意を固めさせることになります。それは、「上海万博に向けて出店するチャーハン専門店の総料理長になって欲しい!」という、今のハナちゃんからすればとても応えられない壮大な野望。何でも、元々玉環さんはこの話をハナちゃんに持ちかける為に来日したとの事で、今の私では無理ですと断るハナちゃんに対して「嫌とは言わせぬ(`・ω・´)!わらわはそちをスカウトする為に戻って参ったのじゃ!」「ま、どうせそなたが満点大飯店に遅刻した本当の理由を言えばクビじゃろうからのぉ~!」と、とうとう脅しまでかけてくる非常にまずい事態に陥ってしまいます;。果たして、このままハナちゃんはなすすべも無く上海へ半ば引きずられるようにして総料理長にされてしまうのか?!それは、次のお話で語ろうと思います。…それにしても、女性が主人公の漫画だと大抵結婚を機に周辺が落ち着いてくるパターンが多いというのに、ハナちゃんの場合は逆にトラブルばかりで一向に落ち着く気配が無いので、少々気の毒になります;。
漬けにした戻りカツオを、溶き卵につけて焼くのがミソです!
 戻り鰹の時期はもうそろそろ終わりに差し掛かってきているため(九月~十一月が戻り鰹の旬です)、せっかくの旬が終ってしまう前に作らねば!と一念奮起しました。巻末のレシピ通り、早速再現してみようと思います!

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、戻り鰹のヅケ作り。平たい容器かバットに醤油、日本酒、みりん、おろしにんにく、おろししょうがを入れてよく混ぜ、大雑把な千切り状にした青じそと刻んだ長ネギを投入してざっと混ぜ合わせます。味の濃さは各々のお好みでOKですが、あんまり濃すぎるとしょっぱくなって戻り鰹本来の味が損なわれてしまうので要注意です。これで、漬け汁は準備完了です。
戻り鰹チャーハン1
戻り鰹チャーハン2
 この漬け汁へ、厚さ一センチの刺身状に切った戻り鰹を隙間無く詰めながら入れて漬け込み(ラップをぴっちりかぶせるとより浸かりやすいです)、約三十分以上放置します。これで、戻り鰹のヅケの出来上がりです!これは生のまま食べても美味なので、この時点で食べきっちゃうのもありです。
 ※漬け汁の濃さを舐めてちょうどよくおいしい程度に留め、一晩以上漬け込んでも味わいがさらに深まって美味しいです。
戻り鰹チャーハン3
戻り鰹チャーハン4
 この戻り鰹のヅケに溶き卵を衣代わりに絡め、熱したフライパンで素早く両面を焼きます。あんまり焼き過ぎると身がパサパサになってしまいますので、溶き卵が固まったくらいでささっと器に取り出すのがコツです。こうして下ごしらえをしておくと、漬け汁でチャーハンが水っぽくなったりせずにパラリと混ざりやすくなります(溶き卵ではなく、小麦粉か片栗粉をつけて焼いてもいいとレシピ欄にてご紹介されていました。)。
戻り鰹チャーハン5
戻り鰹チャーハン6
 次は、チャーハン作り。あらかじめ、中華鍋(又はフライパン)で以前に作り方をご紹介したハナちゃん流基本チャーハンのレシピ通りに基本チャーハンをさっと作っておきます。この基本チャーハンに、先程取り出しておいた卵の衣がついた戻り鰹のヅケ焼きを加え、鰹の身が崩れないよう慎重に優しく混ぜ合わせます。
 ※木ベラで混ぜるのではなく、鍋を数回ゆっくりあおって合わせるだけに留めてもOKです。
戻り鰹チャーハン7
戻り鰹チャーハン8
 戻り鰹のヅケ焼きと基本チャーハンが混ざったのを確認したら火からおろし、器へ丸く盛って青じそを原作の完成図通り飾れば“戻り鰹チャーハン”の完成です!
戻り鰹チャーハン9
 火が通って一段と香り高くなったにんにくとしょうがのいい匂いがたまらなく、すきっ腹の時だと否が応にも食欲が掻き立てられます。チャーハン自体は色味の乏しい茶色一色な為、そのままだとあまりそそられませんが、ここに青じその緑色がプラスされると、俄然美味しそうに見えます。
戻り鰹チャーハン10
 それでは、出来立てほやほやの内にいざ実食!いただきま~すっ!
戻り鰹チャーハン13

 さて、味はと言いますと…旬の戻り鰹の味わいが十二分に堪能出来て旨し!今の時期だからこそ楽しめる、秋らしいチャーハンです!
玉環さんもお墨付きな秋の味覚のチャーハン^^!
 鰹のヅケ焼きは鰹のたたきにかなり酷似した味なのですが、火が入る事によって濃厚な脂のコクがより際立って複雑な旨味に仕上がっており、中がほんのり半生でしっとりジューシーな為噛み締めるとハラハラと淡くほどけていくのが美味でした。一言で例えるならば、「鰹のたたき風さっぱりピカタ」ってイメージです。鰹の回りにくっついている卵の衣も鰹の旨味エキスを染み込ませていて優しい口当たりで、それが鰹をふんわり包みこんでいるのが思わず口元がほころんでしまう程おいしかったです。また、ヅケの漬け汁を存分に吸い込んだネギや青ねぎのしんなりジャキジャキした歯触りが大変小気味良く、いいアクセントになっていました。
 脂が乗った戻り鰹のこってりした旨味を活かしつつ、同時に適度にあっさりさせてもいたのがナイスな一皿です(←意外かもしれませんが、チャーハンと一緒に食すといい具合に中和されるのでそのまま食べるよりも箸が進みます)。にんにくのがっつり濃いワイルドな風味としょうがのすっきり爽やかな香りが染みた香味醤油味が鰹とぴったりで、おつまみ兼夕食とするには最適なチャーハンでした。中華風のようで和風という複雑な味わいで、ビールが進みます。鰹の奥深い出汁が漬け汁に溶け込み、それがチャーハンへ行き渡っているので全体の一体度がすごかったのが印象的でした。

 とにかくお酒がすすむ逸品で、特にビールとの相性が抜群でした!カツオのヅケ焼きはチャーハンにいれずにそのまま食べても美味ですので、おつまみとしても最適な料理です。カツオではなく、マグロの赤身部分を使って作ってみてもよさ気な気がしました。

○おまけ
 原作通り、青じそを上に乗っけるだけ…という見た目に抵抗がある方は、チャーハンを丸く整形せずにバラッと乗せて飾り付けたり、下の画像のようにチャーハンの周りに飾る事をおすすめします(^^;)。
戻り鰹チャーハン11
戻り鰹チャーハン12

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2011.11.15 Tue 18:02  |  ネギは?

ヅケに使ったネギや青ネギは取り出して一緒に炒めるのですか?
それとも別に添えて一緒にいただく感じですか?
記事中には記載がありませんでしたので、教えていただけると助かります。

  • #KSU7AGRY
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2011.11.17 Thu 10:05  |  

華中華は正直嫌いな漫画だな………
何でもかんでもチャーハンにするのはいいが、最近はチャーハンにするために素材の味を殺しまくってる気がする。
タイトルが華チャーハンならともかく、チャーハンに仕立てるために素材の味を殺してどうする?
料理漫画ではなく、どんな素材でも無理やりチャーハンにする漫画だと思う。悪い意味で。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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