『風流つまみ道場』の“大根と鶏手羽のビール煮”を再現!

 基本的に当管理人はどんなビールでも「おいしい」と言って飲むタイプですが、そんな中でも未だに忘れられない特別なビールが存在します。それは、去年の夏に旅行した由布院にて見つけた「はかり屋」という地酒屋さんで飲んだ、「由布の森」という地ビール。じっとしているだけで汗がにじんでくる猛暑の中、店の中へちょっと入った所にある縁台に座りながら緑の濃い木々を眺めつつ飲んだキンキンに冷えた地ビールは、乾いた喉にはりつきそのままスーッと浸透していくようでした。とにかくフルーティで麦の風味もしっかりあるのに飲み口がこの上なく爽やかなのが印象的で、喉越しかかなりよくてゴクゴク飲みやすい為、夏場に飲むにはまさに最適なビールなのではと感動したのを覚えています。
 どうも、今の所コンビニでも気軽に買えるビールの中で一番値段的にも味的にもバランスが良くて美味しいのはキリンの一番絞りだと思う管理人・あんこです。

 今回再現する漫画料理は、『風流つまみ道場』にて主人公・錦ちゃんが余ったビールを見事に再利用して作った“大根と鶏手羽のビール煮”です!
大根と鶏手羽のビール煮図
 まだ年が明けて間もなかった頃、いつもの如く馴染みの洋風居酒屋<WINE Napa BEER>で錦ちゃんが一人でのんびり飲んでいると、このお店の看板ウエイトレス・ルミちゃんから半ば愚痴交じりの相談を持ちかけられます。何でもルミちゃん曰く、マスターは最近瓶ビールにハマっていてほぼ毎日と言ってもいいくらい飲んでいるもののしょっちゅう飲み残してしまっているとの事で、おかげでお店の冷蔵庫は飲みかけの瓶ビールでいっぱいになって邪魔で仕方がないと嘆いていました。マスターが言うには「いや、何かやたらと飲みたくなるんだけど、一口か二口でもう満足してしまうんだよね」だそうで、ルミさんが「だからっていちいち栓を抜いてちゃもったいないでしょ~」とまるでお母さんのように諭しても「だって、冷たいのが飲みたいんだもん」という子どもみたいなダダをこねていました;。正直、ビールは一度栓を開けて放置するとすごいスピードで劣化して恐ろしく不味くなってしまうので、もしマスターみたいな行動を目の前で取られたら「135ml缶で我慢しなさい(゜Д゜#)!」と思わず怒りの雄叫びを上げてしまいそうです;。ただ、瓶ビールからコップに注いで飲むと缶ビールよりも本格的な感じがして情緒と言いますか、美味しそうなイメージがより強くなるので、瓶ビールにこだわるマスターのお気持ちも分からないでもないな~と渋々納得したのを覚えています。
ビールを全部飲みきれずに残してしまうという罰当たりなマスター;
 そんな時、「飲み残しのビールを使ったおつまみ教えてくれないかなぁ~」と両手を合わせておねだりするマスター(余談ですが、当管理人はこのシーンを初めて見た時のび太君を思い出しました;。思えば、錦ちゃんは世話好きな性格といい体型といい、ドラえもんにちょっと似ている気がしないでもないです)の為に錦ちゃんが一肌脱いでチャチャッと即興で作り上げたのが、“大根と鶏手羽のビール煮”です!
 作り方は時間こそかかるものの基本的には簡単で、小麦粉をつけて焼いた鶏手羽先・玉ねぎ・にんじん・大根をマスタードと塩で味付けして煮込でから冷まして味を染みこませ、仕上げに塩、こしょう、バターで味を調えて少し煮たら出来上がりです。錦ちゃんが言うには、このお料理にぴったりなお酒は白ワインかハイボール、サワーだとの事です。ちなみに作者のラズウェル先生の巻末コメントによりますと、ビールの本場であるヨーロッパではビールで野菜やお肉を煮込むことはよくある事だそうで、特にビールの場合は全体の味にほろ苦さをプラスするので酒のおつまみ的煮込み料理にはもってこいなお酒だと語られていました。意外な事に、ビールは洋食以外の色んな料理の隠し味に使っても結構いけるらしく、ラズウェル先生は何とお味噌汁(!?)にちょろっと入れてみてもコクが出て美味しくなると文中にてご紹介しています。お酒を飲みすぎた次の日の朝にお味噌汁を飲むのは定番なので大いに納得なのですが、逆にお味噌汁を美味しくする為にビールを加えるとは思ってもいなかった為、その発想の転換ぶりに脱帽しました。以前、知人からインスタントコーヒーの代わりにビールを隠し味にしたビーフカレーのレシピを教わった事はあったのですが衝撃度はそれ以上ですので、いつかお味噌汁にも是非試してみたいです。
大根とビールの煮物という新しい組み合わせに感心!
 その後、マスターとルミちゃんは“大根と鶏手羽のビール煮”を試食して大満足するのですが、懲りないマスターは「また喉が渇いちゃった~」と言ってまた新しく瓶ビールを開けて一口だけ飲み、呆れるルミちゃんと錦ちゃんを前にして「いいじゃん、余ったのはまたビール煮すれば」とすっかり開き直ってしまっていました;。せっかく錦ちゃんがアイディアをくれたというのに、一難去ってまた一難といった体になって再度頭を抱えたルミちゃんが気の毒でなりませんorz。
すっかり開き直って調子に乗るマスターは、まるで両さんのよう;
 フリッターなどの揚げ物にビールを隠し味として使うのは以前から聞き及んでいましたが(『味っ子』のフライ対決でも紹介されていましたね)、洋風とはいえ大根の煮物とビールを合わせるとは想像の斜め上を行っていたため、前々から気になっていました。ちょうどセールでいい大根が手に入ったことですし、早速レシピ通り作ってみようと思います。

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、鶏手羽先の下準備。鶏手羽先に小麦粉をまぶして余計な粉をはたき、オリーブ油を中火で熱したフライパンへ並べて両面がこんがりキツネ色になるまで焼きます。鶏手羽先が焼けたら一旦取り出してお鍋に入れ、その上からお好みのビール(高級な物から安い物まで何でもOKです!)を注ぎます。
大根と鶏手羽のビール煮1
大根と鶏手羽のビール煮2
大根と鶏手羽のビール煮3
 そこへ、鶏手羽先を焼いたフライパンをそのまま使って約五分程度炒めておいたみじん切りの玉ねぎとにんじんを投入し(野菜類を炒める前に鶏から出た油は三分の一程捨てておいた方が後口がくどくならずに済むのでおすすめです)、フタをして弱火~中火の間でしばらくコトコト煮込みます。
大根と鶏手羽のビール煮4
大根と鶏手羽のビール煮5
大根と鶏手羽のビール煮6
 ビールのアルコール分が大体飛んだかな?というくらいになったら途中でマスタード、塩、皮をむいて二センチくらいの厚さの輪切りにしてさらに半分に切った大根を入れ、フタをして三十分以上煮込みます。落し蓋をして煮ると、もっと味が染みやすくなるのでナイスです。
大根と鶏手羽のビール煮7
大根と鶏手羽のビール煮8
 大根の中にまで火が通って爪楊枝がスッと刺さるようになったら一旦火を止め、約十~十五分放置して冷まします(冷ます行程によって味が具の中心にまで染み通るので、必須の作業です)。時間が経過したら再度火をつけ、具が温まってきたのを確認したら塩、荒挽き黒こしょう、バターで味と風味を整えて少々煮ます。
大根と鶏手羽のビール煮9
大根と鶏手羽のビール煮10
 鶏手羽先と大根に煮汁が十分に染み込んできたら火を止め、熱々の内に器へ盛り付ければ“大根と鶏手羽のビール煮”の完成です!
大根と鶏手羽のビール煮11
 ビールとバターのおかげでついている照りツヤがきれいで、見ているだけで食欲がわいてきます。ビールの効用で手羽先がズルズルに柔らかくなっているのが驚きで、お皿へ移しかえるのに苦労しました;。ビールと大根をあわせるのは初めてなので味の想像が全くつきませんが、間違いなくおいしそうなので期待は膨らみます。
大根と鶏手羽のビール煮12
 それでは、冷めないうちにいざ実食!いっただきま~す!
大根と鶏手羽のビール煮13

 さて、味の感想ですが…ビールの旨味が全体効いてておいしいです!白ワインやサワーにぴったりな洒落たおつまみ煮物でした!
 ビールのおかげで鶏手羽先がものすごく柔らかく煮えており、お箸で持ち上げるだけで勝手に骨から肉がズルッとはがれていくのに驚きです。口に含むと肉部分はしっとりホロホロ、皮部分はふるふるトロリと舌の上でとろけちゃうような極上の煮え加減で、バターの香り高い濃厚なコクと野菜の優しい風味の出汁を含んで鶏肉とは思えないくらいこってりした味わいに変化していたのに感心しました。
 大根にビール風味の煮汁がよく染みてジュワッとジューシーに、そしてほろ苦くなっているのが美味で、その苦味が大根本来の甘味を引き立てているのがよかったです。一言で言うなら「塩バター味の苦甘洋風煮物」って感じで、基本の味付けは塩味のみなのにも関わらずボリュームのある味わいが特徴的でした。
 マスタード独特のスパイシーな風味と荒挽き黒こしょうのビリッとくるキレのいい辛味が煮物全体を引き締めていて、途中で味がくどくなり過ぎるのを防いでいます。また、よく煮込まれてもはやペースト状になった玉ネギとにんじんが大根や鶏手羽先にもったり絡み、なんとも言えない淡い甘さをプラスしているのがナイスでした。余った煮汁はトーストパンにつけて食べたり、カレーのスープベースに足して深みを増させたりするのに役立ちましたし、冬にはもってこいな一品だと思います。

 いつも猛スピードで飲み干す為ビールを余らせる事はほとんどないのですが、これはわざとビールを飲み残して作る価値ありだと感じました。鶏肉と大根を食べつくした後に残ったにんじんと玉ねぎのソースは、スパゲティソースに流用できるので二度美味しいです(そのまま和えるのも、ミートソースみたいにトマトなどを足して改良するのもお勧め)。正直、ビールがここまで煮物の隠し味として優秀とは思ってもみなかったので、錦ちゃんの言う通り色んな食材で色々試してみたいな~と思いました。

●出典)『風流つまみ道場』 ラズウェル細木/芳文社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
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