『クッキングパパ』の“ふぐ天丼”を再現!

 先日、仕事帰りに混雑した電車内でボーっと立って車掌さんのアナウンスを聞いていると、「体の不十分な方、お年寄りの方、妊娠された方、小さいお子様をお連れの方には、席をすすんで譲ってあげましょう」という例のアナウンスの最中、何がどう間違ったのか「妊婦中の方」という単語が聞こえて思わず(゜Д゜)という顔になってしまいました;。特に訂正せずそのままアナウンスは終ったので、もしかしたら車掌さんも疲れていたのかもしれない…と、当管理人も回らない頭を必死に動かせながら強引に納得しつつ帰路につきました。
 どうも、日頃から紛らわしい言い間違いが多くてご迷惑ばかりかけている管理人・あんこです。

 今回再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて<丼のひとみ>の店主・守君が田中夫妻に作った冬のみのスペシャル丼・“ふぐ天丼”です!
ふぐ天丼図
 夢子さんが田中君と結婚して息子・元輝君が生まれ、一年くらい経ったある日の事。夢子さんは久々に故郷・鹿児島へ里帰りし、中学時代からのお付き合いであるお友達・かなさん、ナオさん、エミさんと久々に集合し、つかの間の再会を楽しむ事になります。何でも、夢子さんは中学校時代に吹奏楽部に入ってクラリネットを吹いていたそうで、トロンボーン担当のかなさん、フルート担当のナオさん、ソプラノサックス担当のエミさんとよくつるんでは「ブラバン四人娘」として散々やんちゃな事をしていたと懐かしそうに語っていました。そんな四人も今となっては全員子持ちの奥様として落ち着いた感じでしたが、昔の面子で集まると当時の記憶が蘇ってすっかり少女のような表情に戻っており、中学校の下校途中によく立ち寄っていたというなじみの喫茶店で近況報告や「身近版・あの人は今?」情報で何時間も盛り上がっていました。実を言いますと、当管理人も去年の同窓会に参加した際に似たような空気になった事があった為、どこも数年ぶりに会えば同じような雰囲気になるんだな~と少々甘酸っぱい心境に陥りました(普段は標準語に近い言葉で話しているのに、当時の仲間と会うと途端に方言バリバリで遠慮なくしゃべってしまう夢子さんの言動の変化には思い当たる節ありまくりです^^;)。
ブラバン四人娘だったかつての中学生は、今やすっかり主婦
 その後、夢子さん達はかなさんの発案で母校・薩摩中学校の体育館へ遊びに行き、「私がここでソプラノサックスを吹いてー」「そうここ、ここ。トロンボーンがうるさくってな~」「いっぱい練習したなー、運動会の前とかもな~」などと、身振り手振りを交えながら思い出話につい熱が入ります。
 中でも印象深かったエピソードは、体育館裏にある塀越えのお話。今となっては信じられないことですが、中学生くらいの頃の夢子さんは結構お転婆だったらしく、かなさん達と一緒に学校帰りの近道としてセーラー服姿のまま頻繁に体育館の裏にある塀をこっそり乗り越えていたとの事。しかし、お年頃の女の子達がスカートのまま塀越えをするのを快く想わなかったご近所の誰かさんが学校側に通告のお電話を入れたようで、その情報を元に待ち伏せしていた生活指導の安藤先生が夢子さん達ブラバン四人娘を校長室へ連行!その結果、四人組は校長先生と安藤先生にダブルで「女の子がはしたない!」と言われてこってり叱られてしまったとかなさんは悔しそうに話していました;。正直、塀越えはもちろん数々の規則違反(とは言っても、学校帰りのジョ○フル立寄りや夜間集合といったぬるい違反のみでしたが…)を学生時代にした事がある身としては、「近道くらいいいじゃないですか~」と心情的に夢子さん達の味方に回りましたが、先生達は先生達で「世の中には色んな人間がいるのだから、女子たる物パンツが見えるかもしれない極めて危うい行動は慎む事!」と心配になってつい親心が炸裂してしまったのかもしれません;。
 その後夢子さん達は昔の血が騒ぎ、実に十数年ぶりの塀越えを実行しています。この時の元・ブラバン四人娘の表情は実に活き活きとしていて、個人的にかなりお気に入りのシーンです。時が経つという事は、すなわち常に少しずつ変化する事を自動的に強いられているという事で、それが原因で非常に歯がゆくほろ苦い心境になってしまう事もしばしばあるのですが、こうやってかつての悪友達と当時の記憶の欠片を拾いあって笑いあい、明日への活力にする事が出来るのであれば、歳を取る事は決して怖くないと思います。嬉しかった事も、辛かった事も、美しい部分も、汚い部分も、全てをごちゃ混ぜにして共有出来る誰かと共に生きていけるのは、本当に素晴らしいことだと心から感じさせられます。
かつて習慣だった塀越えを活き活きとするかなさんが魅力的(^^)
 翌日の夜、すっかりリフレッシュして田中君が恋しくなった夢子さんは、息子・元輝君と共に博多駅に降り立ち、久々の再会に感激する田中君からいきなり抱きつかれるという猛烈な出迎えを受けて思わず赤面になっていました;。そして、ついでに博多周辺で晩ご飯を食べてから帰宅しようとなった三人は、結婚したばかりの守君とひとみさんがいる<丼のひとみ>へ立ち寄り、「とびっきりの丼を頼むぜ!」とリクエストします。そんな時、守君が「冬のみのスペシャル丼です!」と自信を持って出したのが、この“ふぐ天丼”です。
 作り方は、見た目に寄らず意外とお手軽!塩をまぶして水分を抜いた後、片栗粉と小麦粉をまぶしたぶつ切りのかなとフグ(別名:白サバフグ、身かきフグ。トラフグよりは大分味は落ちますがその分格段に安く、庶民のフグとして親しまれています)を高温の油で揚げて濃い目のつゆにくぐらせ、もみじおろしと揚げた青じそと一緒にご飯へ盛りつけたらもう出来上がりです。「フグ」と聞くと高級そうでとても簡単には手が出せないイメージがありますが、このかなとフグは高くても一パック数百円(運がよければ、見切り品を二百円くらいで手に入る事も!)と貧乏な時の味方なので、懐が寂しい時でも気安く手が出しやすいのが嬉しい食材です(^^)。そのくせ、フグの特徴である淡いようで深い旨味はちゃんとある為、そこまで奮発しなくとも気楽に贅沢気分が楽しめるので「守君、いいところに目をつけたな~」と初見時は感心したのを覚えています。事実、あまりの美味しさに田中君も「うまか~!」と満面の笑みになっており、夢子さんも「博多に帰ってきた―って気がするわ」と大喜びしていました。
田中君の熱烈な歓迎ぶりに、思わず周囲の人たちも笑顔
 初めて読んだ時から、「冬には絶対再現したい!」と再現熱が燃え盛っていた漫画料理です。巻末レシピにて詳細なレシピがあることですし、早速再現してみようと思います!

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、各食材の下準備。かなとフグ(小さめなサイズから大振りな物まで幅広くありますが、お好きな物でOK!身がぷりぷりに張っているのがおすすめです)は身を適当なぶつ切りにしてから塩を振り、そのまましばらく置いて余分な水分を抜きます。その際、身がぶ厚く切れ過ぎてしまった場合は数箇所に包丁で切れ目を入れたほうがいいです。
ふぐ天丼1
ふぐ天丼2
 その間、つゆ作り。小鍋にみりんを入れて強火にかけ、沸騰してアルコール分が飛んだらカツオ節と昆布の合わせ出汁、醤油を投入してよく混ぜ合わせ、そのまま中火で少し煮詰めます。少し量が減ったと思ったら味見し、やや濃い目の味付けになったことが確認できたらつゆは準備完了です(このつゆは丼つゆにもなりますので、ご飯にかけてちょうどいいくらいが無難です)。
ふぐ天丼3
ふぐ天丼4
 大根は皮をむいて中心に菜箸を思いっきり突き刺して穴をあけ、そこに種をとって水で戻しておいた赤唐辛子を差し込み、おろし器でゆっくり慎重にすりおろしてもみじおろしを用意します。また、この段階で青じそを水洗いして適度な水気が飛ぶまで乾かしておきます。
 ※もみじおろしを作る時、焦ってガシガシすりおろしと赤唐辛子がすぐに飛び出たりしてキレイな赤色になりにくいので、慌てずのんびりシャリシャリするくらいがベストのスピードです。
ふぐ天丼5
ふぐ天丼6
 次は、揚げ作業。ビニール袋に小麦粉と片栗粉を入れてよ~く振って混ぜ、そこへキッチンペーパーで水気をそっと拭いておいたかなとフグを加え、全面に粉がつくように何度も振って衣をつけます。この時、余分な粉はきっちり振り落としておかないと油がものすごく汚れて再利用できにくくなってしまう上、衣もぶ厚くなってしまいがちですので要注意です。
ふぐ天丼7
ふぐ天丼8
 この衣付きのかなとフグを、中温に熱した揚げ油でカラッと揚げます(揚がったら自然とプカプカ浮き上がってくるのですぐ分かります)。後々つゆへつけられる事で流れるので気にしなくても大丈夫ですが、もし油が気になる方は揚げた後にキッチンペーパーで数秒油分を切ってもいいです。なお、かなとフグを揚げている間につゆを温めておきます。
ふぐ天丼9
ふぐ天丼10
 揚がったかなとフグをすかさず温められたつゆへジュッと浸け、そのまま丼によそった炊き立ての白ご飯の上へどんどん乗せていきます。また、かなとフグを全て挙げ終えたら間髪いれずに乾かしておいた青じそを素揚げにし、キッチンペーパー上にてさっと油をきります。
 ※青じそは何故か上げるとクルクル曲がって揚がりやすいので、菜箸で抑えつつ揚げた方が形が崩れにくくてナイスです。
ふぐ天丼11
ふぐ天丼12
 丼ご飯にかなとフグの唐揚げを好きなだけ乗せ終えたらつゆを適度にちょろっとかけ、もみじおろしと素揚げにした青じそを傍らに飾りつければ“ふぐ天丼”の完成です!
ふぐ天丼13
 つゆで見るからにツヤツヤとそそる色合いに染まったかなとフグの唐揚げ(天丼ですが、作り方自体は唐揚げっぽいのでそう呼びます;)、目にも鮮やかな緑色に揚がった青じそ、ほんのり赤いもみじおろしの配色が食欲をそそり、香ばしい香りとあいまって一刻も早く食べたい気持ちに駆られる丼です。かなとフグは福岡や山口だと馴染み深い食材ですが、天丼風にして食べた事は今まで一度も無かった為、一体どんな味わいなのか非常に気になります。
ふぐ天丼14
 それでは、熱々の内にいざ実食!いっただっきま~すっ!
ふぐ天丼15

 さて、味はと言いますと…かなとフグの唐揚げが飛び上がる程旨し!これぞまさしく、真冬の贅沢です!
ようやく博多に帰ってきた実感を丼のひとみで感じる夢子さん
 正直、かなとフグは火を通し過ぎるとすぐに身がぱさついてしまう扱いがなかなか難しい魚なのですが、こうやってさっくり唐揚げにするとフグ本来の貫禄のある旨味がギュッと封じ込められて逃げない為、しっとりかつ弾力のある味わいを堪能する事が出来ます。キスよりも重厚、ヒラメよりも肉厚、その他の白身魚よりもぐっと複雑で深い肉質がフグの特徴で、特にこのかなとフグの場合は塩を振って余計な水分を抜いた物をぶつ切りにしてさっと揚げた為、プリプリしつつグイグイと歯を押し返すその食感はまるで唐揚げにした鶏肉のようでした(味は全く違いますが…)。
 フグ自体についたほんのり塩味と、衣に染み込んだ甘辛いつゆがご飯と抜群の相性で、そこそこボリュームがあるはずなのにどんどん入ってしまいます。また、一見地味ですがみりんのサラッとした甘さとカツオ節のキリッとした辛めの出汁が効いた上品なつゆが大した名脇役で、これがたっぷり絡んだご飯は唐揚げとの一体感が殊更上がっていました。
 片栗粉と小麦粉を半々にした衣を使ったせいか、極薄でカラッとして脂っこくない理想の揚げ上がりなのがよかったです。もみじおろしのわずかな辛さと甘味が唐揚げをさっぱり食べさせるのに役立ち、青じその素揚げは爽やかな香りとサクサクパリパリと砕けていく儚い歯触りがいい箸休めになっていました。

 このかなとフグの唐揚げは丼にして食べるのはもちろん、おつまみとして単品で食べてもかなりいけそうだと想いました。揚げ物にしては珍しく冷めても十分おいしいのが特徴ですし、仮に相当時間が経った後でも卵とじにして天とじ丼っぽく味付けしてからご飯に乗せると気にせず頂けます。かなとフグはこの時期本当にお買い得な食材ですので、色んな方にお勧めしたいです(^^)。

●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2011.12.08 Thu 18:08  |  

美味しそう!

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2011.12.12 Mon 04:06  |  

かなとフグいいなー。関西では全く手に入らないのですよ。
ところでこのフグ肝茹でて食べるとおいしい、珍しいふぐですよね。

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  • 【2ch】ニュース速報嫌儲版
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プロフィール

あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
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