『華中華』の“豆腐の餡かけチャーハン”を再現!

 その昔、ある少女漫画雑誌のおまけ冊子にて「漫画家おすすめの夜食メニュー」という特集があったのですが、その中で中森衣都先生(代表作:「エプロンまま子のお元気レシピ」)という方がご紹介されていたぐちゃぐちゃ豆腐丼の美味しさに衝撃を受け、未だに私の中では定番メニューとなっています;。作り方はものすごく簡単で、温かいご飯の上に冷奴、ネギ、カツオ節のふりかけ、醤油をかけてぐちゃぐちゃにかき混ぜて食べるという見た目が極悪な丼なんですが、味は浅いようで深いので混ぜご飯系メニューがお好きな方に是非推奨したいです。
 どうも、家でカレーを食べる時は途中で全部ガーッと混ぜてから食べてしまうという下品な食べ方がデフォルトな管理人・あんこです。

 今回再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんが幼い日の記憶をヒントにして作った三百円チャーハンシリーズ第三弾・“豆腐の餡かけチャーハン”です!
豆腐の餡かけチャーハン図
 前回のお話から少し経った頃、ただでさえ寒いというのにさらに強い寒波が横浜中華街で猛威を振るうになり、その影響でハナちゃんのいる満点大飯店では島野さんがホールで披露しながら作る熱~いふかひれ餡に人気が集中するようになって連日大賑わいになります。島野さんが言うには「寒波で凍りつきそうな日は、おこげみたいな餡かけ料理は体の芯から温まる」だからこそふかひれ餡のおこげは美味しさが倍増・その真価を発揮してお客様から余計人気が出るのだそうで、最近厨房での雑務だけではなく実演販売も時々するようになったハナちゃんは、その時々の状況によってお客様に喜ばれる料理を考えながら作ることの重要さを肌で感じ取ります。実演販売はお客様の目の前で作る分疲労の度合いが激しそうですが、お客様の正直な声や生の反応を確認できるという利点もある為、ハナちゃんにはいい刺激になった模様です(^^)。
 この事からハナちゃんは、早速上海亭でも三百円の餡かけチャーハンを作ってお客様の体も懐も温かくさせたいと考えるようになるのですが、三百円で採算が取れ、尚且つがっかりされない餡かけの具のアイディアがなかなか思い浮かばず苦悩します。確かに、五百円の餡かけチャーハンだったら海鮮物や肉類のどちらかを足してボリュームを出したりとか、もしくは代わりに野菜を盛りだくさんにするとかなど色々工夫のしようがありそうですが、チャーハンに使うご飯や卵の代金もひっくるめて三百円となると、用意できる食材は相当制限されるのでかなりの難題だと思います;。かといって、ただ単に素の餡だけかけて出したら見るからに痛々しいチャーハンになりそうですし…これは正直、プロでも悩むのでは?と初見時には感じました。
 そんな時、ハナちゃんは道端でリヤカーでの行商をサボって商品である豆腐を凍らせてしまった豆腐屋の青年&青年の不注意に大激怒している父親らしき豆腐屋の主人と偶然出会います。豆腐屋の主人曰く、凍った豆腐は「全体にスが入り、黒っぽい気泡が一杯で売り物にならない」との事で途方に暮れていましたが、ハナちゃんは凍った豆腐を見て突如新しい餡かけチャーハンのレシピが閃き、破格の値段で凍った豆腐三十丁を全て買い取る事にします。ちなみにその価格は一丁当たり十円で、合計金額にしても何とたった三百円!普段はあまりにもお人よし過ぎるハナちゃんですので、見ているだけでハラハラさせられる事が多いのですが(例:一ヶ月の給料が三万円、CM出演のギャラを海老一箱で済まされる等)、今回は珍しくお得な買い物をしていたのでほっと胸を撫で下ろしたのを覚えています;。
餡かけの具に悩んでいたハナちゃんは、凍った豆腐を見てぴんと来ます
 その後、ハナちゃんが幼い日の記憶を紐解きながら作り上げたのが、この“豆腐の餡かけチャーハン”!作り方は餡かけにしては比較的簡単で、しょうがの香味油・豆板醤・ホタテエキスパウダー・日本酒・醤油・こしょうなどの調味料で長ネギと水気をきった凍った豆腐を炒め、水溶き片栗粉を入れて餡にした後基本チャーハンの上へかけたら出来上がりです。ポイントは凍った豆腐の下処理で、そのままではなく手で挟んでぎゅっと水を絞ってから料理に使うのがコツとの事。こうする事により、凍った豆腐は俄然プリプリした食感になる上、味が格段に染みこみやすくなるのだとか。具は二種類だけですのでちょっと寂しい感じに見えますが、物が豆腐なだけに腹持ちがよさそうですし、味付けに工夫が凝らされているので三百円にしては十分良心的なチャーハンだと思います。
 何でも、ハナちゃんは小さい頃実家の中村食堂のお手伝いをしていた時にうっかりお店の豆腐を全部凍らせてしまった事があったそうなのですが、ハナちゃんの失敗を知ったお父さんは怒るどころか「誰にも間違いはあるんや。これから気ぃつければいいんじゃ!」「あはははは。なーに、凍ったら使えんと限ったもんやあらへん!」とおおらかに笑い飛ばし、上記の凍った豆腐の再利用法(肉豆腐に使用するなど)をハナちゃんに教えてくれたのだそうです。このエピソードを読むと、ハナちゃんの臨機応変で柔軟なお料理の数々はお父さんの教えや姿勢によるものも多分にあるのではないかと感じさせられました。
 この“豆腐の餡かけチャーハン”は上海亭のお客さんにはもちろん、怠け者だった豆腐屋の青年に豆腐の良さを再確認させてしまうほど大好評で、ハナちゃんの試みは無事成功に終るのでした(^^*)。
件の豆腐屋の息子さんも感心した出来栄えです^^
 豆腐の餡かけだったら何度か食べたことがあるのですが、凍った豆腐を使った餡かけは生まれてこの方一度も食べたことがない為、前々から気になっていました。面白そうなので、早速巻末レシピ通り作ってみようと思います!

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、豆腐の下準備。豆腐は冷凍庫に入れて一晩放置して凍らせ、カチンカチンになったのを確認したら冷蔵庫に保管場所を移し丸一日かけて自然解凍させます(お湯で無理やり解凍させる方法もあるにはありますが、舌触りがガクッと落ちるので自然解凍の方がお勧めです)。中まで解凍出来たのを確かめたら両手で挟み込み、潰しすぎないよう気をつけながら水気をギュ~ッと絞り出します。
 ※木綿豆腐、絹ごし豆腐のどちらでもOKです!絹ごし豆腐だとなめらかで滑るような食感が楽しめ、木綿豆腐だと豆腐の味が際立つ感じでより迫力満点に仕上がります。
豆腐の餡かけチャーハン1
豆腐の餡かけチャーハン2
 次は、餡作り。フライパンにスライスしたしょうがと油を入れて弱火にかけ、油に香りがついて香味油になったのを確認したらしょうがを取り除いて豆板醤を加え、軽く火を通しながら混ぜます。豆板醤の赤色が香味油に溶け込んでスパイシーな匂いがしてきたら斜め切りにした長ネギを投入して混ぜ合わせ、そこへ先程の水気をきった凍り豆腐を丸ごと入れ、お玉(または木ベラ)で砕き崩しながら炒めます。
豆腐の餡かけチャーハン3
豆腐の餡かけチャーハン4
豆腐の餡かけチャーハン5
 豆腐が大雑把に崩れたら、ホタテエキスパウダー、日本酒、醤油、こしょうを加えてやや濃い目に味付けし(水分が少なすぎる場合は、お水をちょっとだけ足すのもありです)、水溶き片栗粉を三回に分けながらダマにならぬよう丁寧に混ぜ、自分好みのとろみをつけます。これで、餡の出来上がりです!
 その間、中華鍋(又はフライパン)で以前に作り方をご紹介したハナちゃん流基本チャーハンのレシピ通りに作った基本チャーハンを用意し、お皿へ丸く整形して乗せておきます。
 ※餡が濃い目なので、バランスが良くなるよう基本チャーハンは少し薄味に作った方がいいです。
豆腐の餡かけチャーハン6
豆腐の餡かけチャーハン7
豆腐の餡かけチャーハン8
 基本チャーハンの上へ熱々に温めなおした凍り豆腐の餡をたっぷりトロトロ~ッとかければ、“豆腐の餡かけチャーハン”の完成です!
豆腐の餡かけチャーハン9
 凍った豆腐は予想以上に砕けやすく、結果写真の通りやや細かくなり過ぎてしまったので少し落ち込みましたorz(パッと見なら、色の薄い鶏ひき肉に見えなくもないです;)。しかし、香りそのものはホットな感じでとても食欲をそそる感じで、見るからに体が温まりそうでした。麻婆豆腐とも普通の餡かけとも違う印象なので、実食タイムが楽しみで仕方がありません!
豆腐の餡かけチャーハン10
 それでは、熱い内にいざ実食!いただきま~す!
豆腐の餡かけチャーハン11

 さて、味の感想ですが…ピリ辛で刺激的なのに、どこか懐かしく優しいお味。ゆるめの餡がチャーハンにトロトロ絡むのがたまりません!
 餡かけチャーハンはがっつり濃いめなオイスターソース味が多いイメージがありますが、このチャーハンは海鮮餡かけ等によくあるあっさりシンプルな塩味系の味付けな為、比較的軽くスルッと頂く事が出来ます。普通の餡かけ豆腐みたいなツルンと柔らかい食感とはひと味違うふんわりした淡い不思議な口当たりで、強いて言うなら卵白入りの中華あんにちょっと似た捉えどころのないフワフワ加減が印象的な餡でした。凍らせた豆腐を食べるのは初めてですが、高野豆腐の気泡の密度をもっと少なくさせて尚且つ瑞々しくさせたようなプルプルした舌触りがよかったです。気泡が幾重にも重なって層となっている為、普通に煮た豆腐よりもスープをジュワッとたっぷり含んでいるのが特徴的でした。
 中華あん豆腐と麻婆豆腐を足して二で割ったような複雑な味わいで、豆板醤のピリリとくるドライな辛さとホタテエキスの甘いお出汁がうまく調和した餡がスタンダードなチャーハンにぴったりマッチしています。麻婆豆腐に比べると肉や甜麺醤が入っていない分かなりさっぱりした後味で、ホタテの旨味が効いた塩気が口の中に広がった後舌へジワジワ辛味が響いてくるという何とも言えないバランスに感嘆しました。長ネギのシャキシャキ感がいい箸休めになっていますし、体がすぐに温まるのでお気に入り決定です!

 作中で島野さんが言っている通り、凍りつくそうなくらい寒い日に食べる餡かけ料理は最高です。それまでうっかり凍らせてしまった豆腐は、渋々湯豆腐にした後温玉+ポン酢に絡ませて食べていたのですが、ギュッと絞って餡かけにした方がぐっと美味しくなると思いました。安上がりですし、当分お世話になりそうなレシピです。

●出典) 『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
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 …『夢色パティシエール』


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