『華中華』の“苺のデザート・チャーハン”を再現!

 去年見つけて以来、密かに再現を考えている料理漫画があります。それは、佐賀県鳥栖市に実在するレストラン・<ドールハウス>をモデルにして描かれた『幸せレストラン』。お客さんの背景にある様々な事情を読み取り、その人に一番あったお料理をお出しする主人公の義母・有子さんの作る料理が本当においしそうで、読むたびため息をつきます。中でも、第一話に登場した夏の特別メニュー“フォアグラ丼”や第二話に出てきたおからが出ない特別な大豆パウダーで作った豆腐を使用した“うずみ豆腐ご飯”が印象強く、これらも年内に作りたいな~と夢見ています。
 どうも、フォアグラと聞くと某漫画の影響ですぐあん肝を思い出してしまう管理人・あんこです。

 今回再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんがお義母さんの通っているヨガ教室の方々に振る舞った“苺のデザート・チャーハン”です!
いちごチャーハン図
 三浦半島に春が訪れた頃、ハナちゃんは大農家で嫁ぎ先でもある斉藤家へキャベツの収穫を手伝う為、休日を利用して康彦さんと義両親の元へやって来ます。かつてお姑さんである淑子さんは、息子・康彦さんと結婚する前にハナちゃんが申し出た平日は中華街で料理修行・お店が休みである週末だけ義実家へ戻ってくるという休日婚のお話に猛反発し、最初は「この話はなかったことにしてもらいます!」と怒ってその場を立ち去った事もあったのですが(詳しくはこちら)、ハナちゃんが二十歳とは思えないほどよく出来た娘さんでしかもプロ級の料理上手と知ってからはガラリと一変!今では婦人会の集まりの度に「うちのお嫁さんは、どんな食材も美味しいチャーハンにしてしまう達人なのよ(´∀`*)!」とお嫁自慢に余念がない、優しいお義母さんになっています;。一度など、休日にしか帰れないハナちゃんを惜しんで「これで、華子さんが毎日いてくれたら文句ないんだがなぁ」と残念がるお義父さんに「あんた、それは違うよ。康彦は農家を手伝わせる嫁をもらったんじゃなくて、世界一の料理人を目指している華子さんと結婚したんだよ!」という思いやり溢れる言葉を言い聞かせています(^^)。正直、お店・寮・義実家の行き来する毎日を過ごしているハナちゃんの苦労は並大抵の物ではありませんが、こうやって夢に対して理解を持ち、控えるどころかさらにバックアップしてくれる義両親を持ったハナちゃんはかなり幸せなお嫁さんといえるのではないかと思いました。身近で分かってくれる人がいるのといないのとでは疲労の度合いに雲泥の差がありますので、こうやって日頃から元気付けられている事こそがハナちゃんのエネルギーが尽きない最大の理由なのかもしれません。
 しかし、淑子さんがいつもの如く婦人会の集まりの一環であるヨガ教室で声高にお嫁自慢をしたり、その回りで婦人会のメンバーの方々が「三浦半島の名物のイカを使って斉藤さんのお嫁さんが考えたイカチャーハン、今じゃこの三浦の名物だもんね!」「横浜中華街の一流の味が家で食べれるなんて、いいわね~」と盛り上がったりするのが気に触った婦人会のメンバーである主婦・松原さんは、「何でも美味しいチャーハンにするなんて…そんなの信じられないわ!」とつい横槍を入れます。恐らくこの時、単に待つ原さんは虫の居所が悪くて口が滑っただけだと思うのですが、すっかり浮かれていた淑子さんは「あら、あなたは料理が苦手だから信じられないのよ」と松原さんのコンプレックスを刺激して火に油を注ぐような事を言ってしまった為お互い後には引けなくなってしまい、最終的には何と松原さんが「じゃあ、オタクのお嫁さんが苺を使ってチャーハンを作るっていうのなら信じてあげるわ!」と挑発し、淑子さんが売り言葉に買い言葉で引き受けてしまうという大変困った事態に発展してしまいます。
売り言葉に買い言葉で、いちごでチャーハンを作ることになってしまいました;
 結果、数時間後にヨガ教室のみんなを自宅へ呼んで実際に苺チャーハンを食べに来てもらう約束までしてしまった淑子さんはすっかり弱りはて、すぐに帰宅して台所で昼食の支度をしていたハナちゃんと康彦さんに苺チャーハンを作ってくれるよう必死にお願いします(失礼ながら、このシーンを見るといつも『ドラえもん』の王道であるのび太君の「ドラえも~ん(つД`)!」という泣きつきシーンを思い出してしまいます;)。この時、夫である康彦さんは完全に気が動転して「そんな勝手な事を言って、華子さんを困らせないでくれよぉ」と慌てますが、ハナちゃんは淑子さんが買ってきたいちごを手にとって「おいしそう!やっぱり、いちごは果物の王様ですね!」とのんびり言いつつも、頭の中では驚くべき速さでチャーハンのアイディアを練ります。大抵、このような無理難題を言われたらほとんどの女性がオロオロするばかりだと思うのですが(当管理人はそれに加えてパニック状態になりそうです;)、ハナちゃんは「いちごチャーハンは不味そうだから無理」と頭から決め付けて逃避せずに「いちごでチャーハンを美味しく作るにはどうするべきか」という逆転の発想で臨んでいたので、さすが本職の料理人だと感心させられました。このシーンを見るたび、ある本に載っていた「逆境はむしろチャンス」という名言を思い出します。
 そして、ハナちゃんがしばし熟考した後に思いつき、淑子さんや康彦さんを加えた三人で力を合わせて作り揚げたのがこの“苺のデザート・チャーハン”です!作り方はチャーハンとは思えないほど変化球な感じで、バター・グラニュー糖・いちごを炒めておいたフライパンへ牛乳でお米を炊いて用意したミルクライスを投入して混ぜ、最後にミントの葉と生のいちごをトッピングしたら出来上がりです。途中まではまるで洋菓子のレシピみたいですが、ご飯を入れるあたりが異質で何とも奇妙な印象を受けます;。ハナちゃんが言うにはこのチャーハンは冷ましてから食べるのがポイントだそうで、通常のチャーハンみたいにパラパラさせずにリゾット風に仕上げるのが特徴だとのことでした。調べた所、リゾットの本場であるイタリアでは果物をお米と合わせて料理に使うことはそんなに珍しい事ではないとの事で、あながちハナちゃんの考えは的外れではない事が分かりました。やっぱり、ハナちゃんはすごいです!
斉藤家みんなで力をあわせ、いちごチャーハン作りに力を注ぎます!
 その後、ハナちゃん達は早速斉藤家にやって来たヨガ教室の皆さんに“苺のデザート・チャーハン”を振舞うのですが、これが大好評!チャーハンの味もさる事ながら、引っ込みがつかなくなってしまった松原さんに初対面にもかかわらず温かく出迎えてくれたハナちゃんの人柄の良さもあり、松原さんは素直に「ごめんなさい、変な難癖つけちゃって…」と謝り、淑子さんも松原さんに軽々しい発言を謝罪して一件落着しました。個人的に、人も料理も「こんな○○なら、うまくいかせるのは絶対無理!」と頭ごなしに決め付けてしまわず、根気強く誠意を持って向き合えばきっといい結果が得られるはずという教訓を感じたエピソードでした。
最終的にはみんな仲直りし、めでたしめでたしな結末です^^
 初めて読んだ時は「いちごとチャーハン…う~んorz」と再現するかどうかを悩みまくりましたが、一体どんな味がするのかという好奇心の方が大きく膨れ上がったので、再現を決意しました。近所でもようやくいちごの価格がちょっぴり下がってきたので、勇気を出してチャレンジしてみようと思います!

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、材料の準備。いちごは塩水で細かい汚れを洗い流した後にキッチンペーパーで丁寧に水気を拭き取り、包丁でヘタを切り取って半分に切っておきます(飾り用のいちごはそのまま使用するので、一部は切らずに取っておきます)。ミントの葉は流水でさっと洗い、そのまま自然乾燥させます。
いちごチャーハン1
いちごチャーハン2
 その間、研いだお米をザルにあけて約三十分程度置いておき、時間が経過したら牛乳と一緒に文化鍋(又は炊飯器)に入れて普通のご飯同様に炊き上げます。その際、すぐに炊くのではなく一時間くらい牛乳をお米に浸透させてから炊いた方がいいです。ご飯が炊き上がったら全体をしゃもじでざっくり切るように混ぜ合わせ、少々蒸らします。これで、特製ミルクライスの出来上がりです。
 ※これは個人的な感想ですが、牛乳の脂肪分がいちごの味をまろやかに引き立てる印象を実食時に受けたので、低脂肪乳ではなく成分無調整の牛乳を使う事を強く推奨します。
いちごチャーハン3
いちごチャーハン4
 次は、炒め作業。中火で熱したフライパンにバターを入れてゆっくりじっくり溶かし、そこへグラニュー糖を投入したらよく混ぜ合わせながら溶かし合わせていきます(グラニュー糖は少な目よりは多めの方がおいしいです)。この時、熱しすぎて焦がしてしまわぬよう細心の注意を払います。
いちごチャーハン5
いちごチャーハン6
 バターとグラニュー糖がほぼ溶けきったら、半分に切っておいたいちごを加えて軽く炒め煮にします(この時、ゆるめないちごのジャムと呼びたくなる程美味しそうに煮えていた為、思わず少しだけトーストに塗って食べてしまいました;。お味の方は、フレッシュなシロップ煮みたいで美味だったです^^)。いちごに火が通ってきたら特製ミルクライスを投入し、米粒を潰さないようにしつつもしっかり混ぜ合わせます。
 …正直、特製ミルクライスを入れる時軽い息切れと動悸とめまいが当管理人を襲いましたが、「ネタを見てせざるは勇無きなり!」と最終的に心を決め、おりゃ!と入れました。果たして吉と出るか、凶とでるか…久々に心臓に負担がかかる実食タイムとなりそうですorz。
いちごチャーハン8
いちごチャーハン9
 いちごと特製ミルクライスが混ざったら火を止めてよく冷まし、お皿に丸く盛って仕上げに飾り用のいちごとミントの葉を飾り付ければ“苺のデザート・チャーハン”の完成です!
 ※飲み物は紅茶がぴったりとのことでしたので、ダージリンを淹れて添えてみました。
いちごチャーハン10
 最初はさぞかし抵抗感のある仕上がりになるのだろうな~と戦々恐々でしたが、実際に作ってみると見た目が予想以上に可愛らしくて色合いも綺麗なのにうっとりしました。香りもバターと砂糖と牛乳の甘やかで心とろかす匂いがたまらなく、目をつぶって嗅いだらチャーハンだと分かる方はまずいないと思います;。食紅も何も入れていないのに鮮やかなピンク色に染まったご飯が美しく、まるで桜餅のもち米のようだと感じました。
いちごチャーハン11
 それでは、スプーンですくっていざ実食!いっただっきまーすっ!
いちごチャーハン12

 さて、味の感想ですが…意外や意外、決してゲテ物ではない味わいにびっくり!ご飯だというのにデザート感覚で食べられるとは、驚きです!
 一口食べてパッと頭に思い浮かんだのは、子どもの頃によく食べた「いちごミルク」。コンポート以上ジャム未満みたいな柔らかさに仕上がっているいちごと、ミルク粥っぽく優しいまろやかな口当たりのミルクご飯がいちごから出て来た甘酸っぱいエキスによって一つにまとめあげられており、思っていたよりもずっとおいしくて衝撃でした。
 温まったミルク特有の心落ち着く甘やかな香りやいちごのフレッシュな香りが入り交じっているのが食欲をそそる上、味の方は例えるとするならば「練乳バター風味のいちごミルクリゾット」という感じだった為、個人的にはそこまで違和感なく食べる事が出来ました。ミルクを吸って外側はふっくらホロっと、中心はアルデンテのような煮え加減のミルクご飯はプチプチした食感で食べやすく、どこかフランス菓子の「リ・オレ」やライスプディングを彷彿とさせるものがあります。
 バターの豊かなコクと風味が効いた、ミルキーでやや甘めの一品でした。お米の素朴な甘味と、いちごの爽やかな甘さが口の中に溢れ返り、何だか幸せな気持ちになれる一風変わった料理です(ただ、チャーハンというよりはリゾットの方が正しい表現だと感じます;)。甘いご飯に抵抗感を感じられる方にはとっては苦手な味かもしれませんが、おはぎのようなお米を使ったおやつが大好きな方でしたら気に入って頂けそうだと思いました。

 レシピ欄の末尾にある筆者コメントで「アイスクリームやあんこを添えてもおいしいですよ」と書かれてあったので、食べている途中に恐る恐る試してみましたが、確かにどちらも合っていて感心しました。お米の甘さと牛乳の甘さは相性がいいのかアイスクリームと食べると米粉のアイスクリームに酷似した自然な美味しさが、そしてあんこと食べるとおはぎを髣髴とさせる味がして満足でした(^^)。人を選ぶおやつですが、決してネタ料理ではないお勧め料理です。

●出典) 『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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