『風流つまみ道場』の“菜の花とタイの昆布締め棒寿司”を再現!

 漫画『あたしんち』がもうじき連載終了すると聞き、感慨深い心境になっています。その昔、今はもう存在しない小倉の某デパートで勇気を出し、お小遣いのほとんどを出して初めて買った千円近くする漫画は『あたしんち』だった為、懐かしいような寂しいような複雑な気持ちです。
 どうも、小学校~高校時代にかけては古本屋は今ほどポピュラーな存在ではなかった事も合わせて思い出ししみじみした管理人・あんこです。

 今回再現する漫画料理は、『風流つまみ道場』にて主人公の錦ちゃんが自分用に用意して結局いつもメンバーに食べられてしまった“菜の花とタイの昆布締め棒寿司”です!
菜の花とタイの昆布締め棒寿司図
 ある日、徐々に春めいた陽気になってきたのに浮かれた錦ちゃんは、会社に行く前に自分一人の晩酌用にと鯛のお刺身と菜の花を昆布に挟んで“菜の花とタイの昆布締め”の下準備をし、「今夜は自宅で晩酌だ」とウキウキ気分のまま出社します(余談ですが、当管理人は干ししいたけや干し貝柱といった乾物を水に浸けて出かける時には似たような高揚感を感じます;)。けれどもその晩、錦ちゃんがいい具合に漬かった昆布締めをお皿に盛りつけてあらかじめ冷やしておいた吟醸酒をテーブルにセッティングし終えたまさにその時、なじみの居酒屋<夕月>が臨時休業していて行き場をなくしたいつもの常連メンバー達と恵梨花さんがこぞって押しかけてきた事により、成り行き上みんなでワイワイ飲むことになります。
 当初は戸惑っていた錦ちゃんでしたが、ちょうど「これで横に恵梨花さんがいれば最高なんだけど…」と妄想してやや残念がっていた所でしたので、思っていたとは違う形とはいえ半分夢が叶った事を嬉しく感じているようでした。こんなにけなげで料理上手な男性は他にはいないので、『風流つまみ道場』を読んでいるとずっとフリーの状態な恵梨花さんに「隣にこんなにいい人がいるよ~」と言いたくてウズウズするのですが、残念ながら実質的な最終巻である四巻でも恵梨花さんにはその気が全くない模様でした;。ただ、<夕月>の大家さん兼常連客でもある恵梨花さんのお父さんは錦ちゃんの料理の腕を知っていて大変気に入っているようで、恵梨花さんの気も知らず「錦之介君を婿に迎えたら、いつもとびきりのつまみを作ってもらえるからいいな~(´∀`)」と密かに応援サイドにまわっている感じでしたので、ひょっとしたら将来二人の仲が急速に発展する可能性はなきにしもあらずかもしれません。それにしても、狙った訳ではないにしても未来のお義父さん(?)の胃袋をがっちりつかんだ錦ちゃんは、大した物だと思います(^^;)。
<夕月>メンバーが臨時休業で行き場をなくし、錦ちゃんを頼ります;
 その後、錦ちゃんは恵梨花さんを含む<夕月>のメンバーに“菜の花とタイの昆布締め”をご馳走するのですがこれがかなり大好評で、恵梨花さんから「日本酒にぴったりですね!」と喜ばれて気を良くした錦ちゃんは、この昆布締めを応用してもう一品おつまみを作ります。それが、この“菜の花とタイの昆布締め棒寿司”です!
 作り方はそう難しくなく、日本酒でさっとぬらした昆布に数時間~一晩挟んで作った“菜の花とタイの昆布締め”にわさびをぬり、梅酢で作った酢飯と一緒にラップで包んで巻きすで形を整えたらもう出来上がりです。錦ちゃんが言うにはこれも日本酒がぴったりな料理との事で、梅酢で香り豊かなな酢飯を作るのが春らしさを演出するポイントだと語っていました。この初春に相応しい“菜の花とタイの昆布締め棒寿司”もみんなから高評価で、恵梨花さんからも「錦之介さん天才!やっぱり来てよかったわ」と言われた錦ちゃんはすっかりデレ~ッとした顔になってご満悦の様子でした;。しかし、おつまみがとびきり美味しい→飲兵衛は当然酒量が増える→飲めば飲むほど酔っ払って出来上がってくる→酔っ払い達からもっとおつまみをせがまれる→やっぱり美味しい→当然酒量が増え(以下略)という恐怖の無限ループに陥る可能性は必然的に高くなる為、あんまり浮かれてばかりはいられないのが現実;。案の定、この日の飲み会は酔っ払ってすっかりタチが悪くなった<夕月>メンバーに何時間も居座られた錦ちゃんが、際限なくおつまみを要求されてまるで繁盛している飲み屋の店員さんの如く忙しく切り盛りするという無秩序な居酒屋状態と化してしまってましたorz。その為、思わず「錦ちゃん、残業お疲れ様(つД`)」と言いたくなった一話でした。
すっかり居酒屋みたいになってしまった錦ちゃんの部屋;
 近所のスーパーでようやく菜の花が出回り始めてきた時、真っ先にこのレシピを思い出しました。せっかくですので、作中のレシピ通り再現してみようと思います!

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、“菜の花とタイの昆布締め”作り。タイは生食用のサクを薄めのお刺身状に切り分け、ごくごくわすかなお塩をふって水分をにじませておきます。一方、菜の花は塩入りの熱湯で一分程度茹でてすぐに冷水が入ったボウルにとり、清潔な布巾かキッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ります。
菜の花とタイの昆布締め棒寿司1
菜の花とタイの昆布締め棒寿司2
菜の花とタイの昆布締め棒寿司4
 このタイと菜の花を、日本酒で両面湿らせておいた幅広の昆布でそれぞれ二段に挟んでラップにぴっちり包み、軽く重しを乗せて冷蔵庫で数時間~一晩放置します(この料理は昆布の質が命なので、いい物を奮発した方がベストです。なお、使用した昆布は保存できず煮付け用などになってしまいますが、ちゃんとお出汁も取れます)。
菜の花とタイの昆布締め棒寿司5
菜の花とタイの昆布締め棒寿司7
菜の花とタイの昆布締め棒寿司6
 時間が経ったら冷蔵庫から取り出し、昆布から一つ一つ丁寧に取り出します。この時、タイや菜の花から昆布の旨味がギュッと詰まった粘度のある糸(お出汁を濃縮したみたいな味わいがします)が少し引いていたら、上出来な“菜の花とタイの昆布締め”の出来上がりです。
 ※サンドする時間が長すぎると食材の水分が抜けすぎてしまうので、浸け時間はその都度加減する事をおすすめします。
菜の花とタイの昆布締め棒寿司8
菜の花とタイの昆布締め棒寿司9
 次は、いよいよ棒寿司に仕立てる作業。炊き立てのご飯が入っている器へ、梅酢(梅干しの容器の底に溜まっている液体です)を加えた寿司酢を回しかけて切るようにして混ぜ、特製酢飯を準備します。その間、広げたラップの上に先程のタイと菜の花を彩りよく乗せ、わさびをお好みの量だけぬっておきます。
菜の花とタイの昆布締め棒寿司12
菜の花とタイの昆布締め棒寿司13
菜の花とタイの昆布締め棒寿司14
 そこへ、さっきの特製酢飯を乗せてラップでぴったり包んでひっくり返し、巻きすでキュッキュッと力を込めすぎないよう注意しながら形を整えます。この時、昆布締めと酢飯をなじませようとして力を込めてしまうと酢飯が団子状になって口当たりが重くなってしまいますので、要注意です。
 ※“菜の花とタイの昆布締め”は繊細な味わいでそこまでご飯を必要としない食材の為、酢飯の量はサバ寿司を作る時よりもやや少なめにした方が量的にぴったりな仕上がりになると思います;。
菜の花とタイの昆布締め棒寿司16
菜の花とタイの昆布締め棒寿司17
菜の花とタイの昆布締め棒寿司18
 昆布締めと酢飯がぴったりくっついて整形出来たらラップを外し、酢水で湿らせた包丁で切り分けて器に盛りつけ、傍に醤油と日本酒を添えれば“菜の花とタイの昆布締め棒寿司”の完成です!
菜の花とタイの昆布締め棒寿司19
 ほんのり飴色がかっているタイと、目に眩しい鮮やかな緑色の菜の花のコントラストが美しく、見るだけでも十分楽しめるお寿司です。最初は菜の花を昆布締めにしたら色合いが悪くなるのではないかと心配でしたが、実際に試してみると綺麗な緑色はそのままだったのでほっと一安心しました。日本酒とよく合いそうな、お客様向けの一品です。
菜の花とタイの昆布締め棒寿司20
 それでは、醤油にちょちょんとつけていざ実食!いただきまーす!
菜の花とタイの昆布締め棒寿司21

 さて、味の感想ですが…さざ波のようにジワジワ押し寄せる美味さが印象的!昆布の力によって遥かに滋味溢れる仕上がりになっています!
 なめらかな弾力はそのままにほんの少し水分が抜けてキュッと引き締まったタイの「シコシコ」「コリコリ」とした食感が歯に心地よく、噛めば噛む程昆布の旨味成分がにじみ出てくる為スルメみたいにいつまでも噛んでいたい衝動に駆られます。徐々に淡く舌へ効いてくる塩気がちょうどいい塩梅で、おかげでタイに含まれている品のいい脂が生の時よりもぐっと引き立っていました。菜の花はそこまで水気がなくなってはおらず、茹でた後と同様の瑞々しい歯触りのまま。例えるとするならば「昆布出汁が芯までしっかり染み込んだおひたし」というイメージで、菜の花特有のほろ苦さと昆布の旨みが調和してなかなか美味でした(心持ち、苦味がいい加減で和らいでいる気がします)。
 梅酢が入って典雅な風味がプラスされた酢飯と、ツンとくる辛味が堪えられないわさびが昆布締めのタイや菜の花の味わいをさらに高めています。押し寿司風にされたのが功をなし、昆布締めと酢飯を一緒にしっかり噛み締める事によって単品で食べるよりもずっと素材の味が分かりやすく楽しめる感じでした。昆布の旨味で本来持っている甘さが引き出されたタイや菜の花に、梅酢の鮮やかな香りや自然な酸味がぴったり合っていて、何とも趣深い一品です。

 サンマの昆布締めは以前も試してみたことがありましたが、タイは昆布との相性がさらによかった為大満足な再現でした。家で簡単にお店っぽい味が実現できちゃうので、タイの代わりに他の色んな白身魚で試してみるのも面白そうだと思います。

○おまけ
 これは作中でラズウェル先生もおっしゃっている事ですが、この昆布締めは棒寿司にせず“菜の花とタイの昆布締め”として、レモン醤油で食べてもいいおつまみになります(^^)。何でも冷やした吟醸酒と一緒に食べるとたまらないとのことでしたので、再現後早速こちらのバージョンも試してみましたが、棒寿司とはまた違ったよさがあって美味でした。
菜の花とタイの昆布締め図
菜の花とタイの昆布締め棒寿司10
菜の花とタイの昆布締め棒寿司11

●出典)『風流つまみ道場』 ラズウェル細木/芳文社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2012.03.06 Tue 18:12  |  買いました!

あんこさん、こんにちは。いつも楽しく拝見しています。

こういう「漬けてしばらく後のお楽しみ」的な料理は食べるまで
のワクワクが楽しいですよね。僕も餃子用の干ししいたけとか、
水に漬けて仕事に出るクチなので記事に共感する事しきりです。
(余談ですが、干ししいたけってホントに強烈な出汁が出ますよ
ね。嫌いな人には地獄でしょうが、好きな者にはたまらんです。)
あ、あと『クッキングパパ』に(どの巻か忘れましたが)出ていた
「染み卵」(要するに味付け卵です)。半熟卵を作って殻から取り
出し、漬け汁に漬けて12時間位。これも出来上がりが楽しみに
なる料理ですね。

で、何が「買いました」なのかと言うと、『花のズボラ飯』の
2巻を買いました! 都心の書店で早売りをしていたので。
『エレガンスイブ』本誌で連載を追いかけていないので、今夜
読むのが今から楽しみです!それとは全く関係無いのですが、
『てんむす』5巻と『行徳魚屋ロマン スーパーバイトJ』2巻も
買いました。こちらも楽しみです~。

取り留めの無い話を長々すみません。これからもブログ記事、
楽しみにしています。では~。

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あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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