『華中華』の“沢庵チャーハン”を再現!

 先々週くらいから桜がどんどん開花してきている為、「時間が出来たらお花見をしたいな~」とウキウキしていたのですが、そうこうしている内に先週きた台風並みの大風や連日どしゃぶり続きという天候の悪さがたたって桜はどんどん散っていっており、早くも周囲の桜の木が半数近く葉桜に変わりつつあるのを見て落胆していますorz。
 どうも、「♪春がきて~君は~綺麗に~なった~♪」という有名な歌とは正反対で、春になるたび花粉症で顔面が悲惨な事になる管理人・あんこです。

 今回再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんが横浜開港150周年を記念して開国博の期間だけ儲け度外視で出す事を決めた“沢庵チャーハン”です!
沢庵チャーハン図
 実を言いますと、このお話が掲載されていた2009年当時は横浜が開港されて150年目を迎える大変ありがたい年で、作中でも現実と同じく4月28日~9月27日まで横浜市が一丸となって開港150周年記念事業「開国博Y150」に取り組んでいた様子が活き活きと描かれています。当然、横浜中華街の数ある名店がこの一大イベントを見逃すはずがなく、その結果各店で様々な開港150周年記念メニューが売り出されて中華街全体が不況の暗いムードをふッ飛ばす程賑やかな活気に包まれている状態だと、作中でハナちゃんは語っていました。こういう「○○周年記念」というおめでたいフレーズと、それに伴う華やかで明るいムードは街を行きかう人々を自然と浮き浮きさせる何かがありますので、周囲をざっと見回しても特にそんな予定が当分なさそうな管理人はハナちゃん達が羨ましくなってしまいました。
 そんな中、ハナちゃんが修行している満点大飯店ではカリスマシェフとして奥様層から支持を集めている島野さんが考え出した「横浜新世紀中華フルコースディナー」という派手な企画が持ち上がります。島野さん曰く「この満点大飯店は中華街の一流店ですわ。いくら、開港150周年だからといって150円なんてお値段は似合いませんわ!」との事で、他のお店では真似できない150品目の食材を駆使した豪華なフルコースを、何と15,000円(?!)というスペシャル価格で出す事に決め、各方面から賛否両論を浴びせられていました;。恥ずかしながら、当管理人はこれまで一回の食事にかけた最高額は8,000円前後がせいぜいな為、軽くその2倍はする価格をその場でぽんと出せてしまうブルジョワ達を虜に出来る島野さんを改めて尊敬します(^^;)。
 一方、ハナちゃんも上海亭で出せるような開港150周年記念チャーハンを考え出そうと日々頭を悩ませるのですが、そんな時楊貴妃さんから失恋の悩みを相談された事から新しいアイディアが思い浮かびます。というのも、楊貴妃さんがデートの誘いをして振られたのが何とあの有名な僧侶・沢庵和尚だったからで、楊貴妃さんが悩ましげに「とっても物知りで優しくて…アタシ、ちょっと惚れちゃったのさ」「それで、今度横浜でデートしようと誘ったのに、体よく振られちゃったって訳さ」と切々訴えるのも上の空で、ハナちゃんは「タクアン…タクアン…」と頭の中がすっかり沢庵入りのチャーハンの事で一杯になり、楊貴妃さんから怒られちゃってました;。それにしても、沢庵和尚と楊貴妃さんという奇想天外な組み合わせは予想もしなかったので、単行本で見たときはびっくりしたのを覚えています(この他にも、楊貴妃さんは徳川慶喜や源頼朝とも飲み友達だと衝撃的な事実を語っていたので、二度驚きました;。正直、参加できる物ならものすご~く参加したいです…)。
何と、沢庵和尚に惚れてしまった楊貴妃さん
 その際、ハナちゃんが「…たく、人の失恋もチャーハンにしようなんて…(´Д`;)」と楊貴妃さんから半ば呆れられつつ、沢庵を使ってあれこれ試作した末に生み出されたのがこの“沢庵チャーハン”です!作り方はかなり簡単で、塩出しして千切りにした沢庵をごま油・おろししょうが・醤油で炒めて味付けしたものを基本チャーハンに加えて混ぜ合わせたらもう出来上がります。
 元々ハナちゃんは、ほとんど儲けが出ないとしても横浜開港150周年にちなんだ150円の記念チャーハンを開国博の期間に時々お出ししていきたいと考えていたとの事で、その為味もおいしく材料費も低価格に抑えられる沢庵はまさにうってつけな食材だと話していました。楊貴妃さんが言うには「沢庵を炒めて、チャーハンに合う醤油としょうがの味がついているけど…シャキシャキ感を残しているところなんか、さすがだねハナちゃん」だそうで、あんまりおいしかったのか失恋がぶり返したのか、その後楊貴妃さんは「沢庵の幽霊も、アタシとデートしてここに来れば食べられたのにさ…お馬鹿さん!も~っ、ヤケ食いしてやる!!」とかわいらしく拗ねながら“沢庵チャーハン”をバクバクかっこんでいました;。これは単なる思い込みかもしれませんが、満腹になると怒りや悲しみは空腹時に比べると大分マシになっている事が多いように感じますので、楊貴妃さんのようにヤケ食いするのはある意味健康的で効果的な発散方法なのかもしれないな~と思いました。
しょうが醤油がきいた沢庵の味付けと炒め加減に感心する楊貴妃さん
 ちなみに、この“沢庵チャーハン”は一部のお客さんから「いくらなんでも侘し過ぎるだろうが!」と大声で言われてしまい、一時店内は静まり返ってしまいます。しかし、憤然として出て行こうとするそのお客さんに対し、上海亭のおじいさんは「お気に召さないチャーハンをお出しして、申し訳ございません」と謝った後、ある昔話をします。
 それは、1859年当時まだ貧しい漁村だった横浜に港を築き、贅沢も言わずにその頃のお昼の定番だった握り飯と沢庵漬けだけで一生懸命働いてきたご先祖達のお話。江戸末期に現在の横浜港の基礎を築いた人達が、文句一つ言わずに握り飯と沢庵だけで頑張って来たからこそ今の自分達が横浜の地で生きている、だからこそ沢庵を使ったチャーハンを横浜開港150周年記念のチャーハンとして出す事に踏み切ったんです…とおじいさんは淡々と語っていました。
 今の繁栄があるのも、先人の方々ががむしゃらに働いてきた日々があっての事。だからこそその方々に対する感謝の念を忘れてしまわないよう、当時を象徴するご飯と沢庵をこれまた上海亭を象徴するチャーハンでまとめ上げた“沢庵チャーハン”を記念メニューにする事を、上海亭のおじいさんとおばあさんは許してくれたのだとこのシーンで初めて分かりました。最終的にお客さんは感動して軽はずみな言動を謝り、“沢庵チャーハン”を美味しく食べてくれた為、また店内を和やかなムードへ戻っていたのでほっと一安心です。
横浜開港120周年に対する上海亭のおじいさんの想い
 近所のお店をうろうろしている時、ウコンだけで着色したおいしそうな手作りの沢庵を見かけ、瞬時にこのチャーハンの事が頭に思い浮かびました。せっかくですので、作中のレシピを元に作ってみようと思います!

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、沢庵の下準備。沢庵は薄切りにしてボウルに移した後水を入れ、そのまま水にさらして塩出しをします(塩気の強い昔ながらの沢庵なら、手でしっかり揉んで塩出しした方がいいです)。沢庵から程よく塩分が抜けたら手でしっかり絞って水気をきり、包丁で千切りにします。
沢庵チャーハン1
沢庵チャーハン2
 熱したフライパン(又は中華鍋)にごま油をひいたら先程の千切り沢庵を投入し、そこへおろししょうがを加えて炒めながら混ぜます。段々しょうがのいい香りが立ちのぼってきたら醤油を鍋肌に沿わせながら入れ、やや濃い目に味付けします。沢庵全体にしょうが醤油の味が軽く染みたら、沢庵の準備はOKです。
 ※沢庵は長く炒めるとカリカリサクッと、サッと炒めると半生シャキシャキに仕上がりますが、お好みの炒め加減にして大丈夫です。ちなみに、当管理人的にはあまり火を入れすぎずしゃっきり仕上げた方が食感がいいように感じました。
沢庵チャーハン3
沢庵チャーハン4
 その間、中華鍋(又はフライパン)で以前に作り方をご紹介したハナちゃん流基本チャーハンのレシピ通りに作った基本チャーハンを用意し(沢庵は結構塩分があるので、薄味に作った方がいいです)、そこへさっき作っておいた沢庵炒めを投入してざっと手早く炒め合わせます。
沢庵チャーハン5
沢庵チャーハン6
 基本チャーハンに沢庵炒めがあらかた混ざったらすぐに火を止め、お皿へ丸く盛りつければ“沢庵チャーハン”の完成です!
沢庵チャーハン7
 見た目は色味が乏しくいかにも地味な感じですが、しょうが醤油の香りが色濃く漂うチャーハンの蒸気がとてもおいしそうで、おなかがすいている時にこの匂いを嗅ぐとたまらないものがあります(大根の煮物っぽい香りでした;)。香ばしく炒められた沢庵が見るからに食欲をそそる感じで、どんな味か楽しみです。
沢庵チャーハン8
 それでは、熱々の内にいざ実食!いただきまーす!
沢庵チャーハン9

 さて、味はと言いますと…郷愁を誘われるどこか懐かしいおいしさ。沢庵の魅力が余す所なく活かされていてほのぼのします!
 表面は下味が染みてカリッと、中は半生状態な千切り沢庵の「シャキシャキ」「パリパリ」「ボリボリ」「コリコリ」といった歯に非常に心地よい食感が特徴的で、味はもちろん音も美味しいって感じなのが気に入りました。炒り卵のふんわり優しい口当たりと対照的なのがより歯応えを際立てている為、病み付きになります。しょうが醤油のキリリと爽やかな風味やほのかな辛味を帯びた塩気、そしてごま油の香ばしい旨さが沢庵の素朴な味わいを損わせる事なく引き出しており、おかげでオーソドックスな基本チャーハンともばっちり合っていました。
 一口食べると、まずチャーハンのコクある塩味がきた後すぐにしょうがの鮮やかな香りがフワッときて油分を軽減させ、噛んでいく内に段々沢庵と醤油の味が入り交じる事によって生まれた独特の甘辛さが増していくという印象で、中華風のようで和風のような複雑な味でした。また、そこそこ火が通っているせいか大根ならではの自然な甘味がぐんとアップしており、そのエキスが染み込んだご飯の一粒一粒が大変味わい深かったです。しょうがのおかげでチャーハンなのにさっぱりした後口へと仕上がっている上、体がほかほか温まってくるのが肌寒い季節にはもってこいで、冷めても美味でビールとも相性がいい素敵な一品です。

 質がよくて美味しい沢庵であればある程完成度が増す一皿で、中毒になるようなアクの強さはないものの、ある程度時間が経つとふと「また食べたい」という衝動に駆られるような飽きの来ない料理です。沢庵の炒め具合やきり方で意外と味が変化するので、また色々アレンジしながら作ってみたいと思いました。

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2012.04.10 Tue 13:08  |  

横浜市歌には、ちょうど今回のエピソードのような一節があります!
むかしは貧しい漁村だったけど、いまや世界に比肩する大きな港になった…というような。
詞もメロディーもとてもいいです。(作詞はなんと、森鴎外)
市立小中学校ではよく歌うため、子どもから大人までとても親しまれています。
原作の方はもしかしたら市歌をご存知なのかなぁなんて思いました。

  • #aYDccP8M
  • じゅんこ
  • URL
  • Edit
(編集・削除用)
管理者にだけ表示を許可

Trackback

URL
http://luckyclover7.blog27.fc2.com/tb.php/787-9feeb23a
この記事にトラックバック(FC2Blog User)

プロフィール

あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

Copyright © あんこ