『華中華』の“新ジャガチャーハン”を再現!

 実は数年前、当管理人はフランス王妃マリー・アントワネットが国民の間にじゃがいもの存在を広める為にじゃがいもの花を飾って夜会に参加した事があるというエピソードを聞いたことがあり、その事実を知った当時はかなり驚いたのを覚えています。今では信じられないことですが、じゃがいもはその昔「悪魔の実」としてなかなか食用としては認められなかったそうで、そのイメージを払拭する為に様々な人達が尽力したみたいです。それにしても、じゃがいもの花は小さくて白い清楚なイメージの花ですので、華やかで豪奢なイメージのあるバラを好んだマリー・アントワネットは一体どのように頭へ飾り付けたのか少し興味があります。
 どうも、野菜は食べられるだけでなく花もかわいいものが多いのでまさに一石二鳥だと思う当管理人・あんこです。

 今回再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんが夫・康彦さんと後輩・原田明菜さんの為に早朝作った“新ジャガチャーハン”です!
新ジャガチャーハン図
 高校を卒業してすぐに満点大飯店に就職したハナちゃんが、もうすぐ勤続三年目を超えようとしていたある日、ようやく後輩と呼べる新入社員の女の子が新しく入社してくる事になります。お名前は原田明菜さんという方で、年齢はかつてのハナちゃんと同じくまだ十八歳という初々しい経理事務見習い。この春からハナちゃんと同じ独身寮に入寮して既にお隣さんになっていて、そのせいかハナちゃんは何かと原田さんの事を気にかけてはさりげなく声をかけたり、帰りが夜遅くなった時もなるべく一緒に帰るようにしたりと心を砕いています。
 そのせいか、原田さんは社会で仕事をする事も一人暮らしをする事も初めてで戸惑い半分不安半分の様子でしたが、ハナちゃんが「だろうね、私もそうだったもん…でも大丈夫、すぐ慣れるよ!」と優しく励ましたりしているのが功をなし、「華子先輩がいてくださるので頑張れます!」とかなり精神的に安定している感じで読んでいる側もほっとさせられました。正直、新入社員にとって先輩運がいいか悪いかはその後の社会人生活に多大な影響を及ぼすといっても過言ではないと思う為、こういうシーンを見ると他人事ながらハラハラしてしまいます(^^;)。
ハナちゃんの新しい後輩・原田明菜さん。まだ十八歳です
 そんなある日、ハナちゃんはいつも通り原田さんと一緒に寮へ帰って一息ついていたのですが、夜更けだというのに外からコンコンという密やかなノック音が聞こえてきた為「え、楊貴妃さん?いつもだったら黙って通り抜けてくるのに…」と怪しみつつドアを開けます(それにしても、幽霊が毎晩無言でドアをすり抜けてくるのが日常化してしまったハナちゃんは何気に適応力高すぎだと感心します;)。すると、なんとそこには三浦半島にいるはずの夫・康彦さんが!何でも「…ゴメン…華子さんに会いたくて来ちゃった!」のだそうで、そんな嬉しい言葉を聞いたハナちゃんは矢も盾もたまらず康彦さんを自室に入れ、つかの間の逢瀬をつつましく喜びあっていました。ご夫婦だというのに、こうやって人目を忍びながらこっそり会わなければならないなんて切ないような気がしますが、楊貴妃さんが別のシーンで言っていた通り「案外、二人とも忍び逢いを楽しんでいるかもよ!」という可能性も高いので、心配には及ばないのかもしれません。
 けれどもタイミング悪く、康彦さんを招き入れた直後に原田さんがハナちゃんの部屋を訪ね、田舎から送ってきたという新じゃがを手渡して「あの…実は相談事があって…お部屋にお邪魔してもいいでしょうか」とお願いされてしまいします。しかし、部屋に康彦さんがいるのを見られたら一巻の終わりな為、ハナちゃんはやむなく「ごめんね、今日はもう眠たくて…また今度ね!」と言って原田さんのお願いを断り、原田さんから「寂しい時はいつでも遊びに来てって…言ってくれたのに」とがっかりされていました。このシーンを見ると、相談事をするにも受けるにもタイミングって重要だな~とため息をついてしまいます;。
わざわざ会いに来てくれたご主人・康彦さんの気持ちが嬉しいハナちゃん
 そして翌朝、昨夜の事が頭に引っかかっていたハナちゃんは、原田さんから頂いた新じゃがで康彦さんの朝食と原田さんへの差し入れを同時に作り上げる事にします。その際、ハナちゃんが朝早くから手際よく作り上げたのが“新ジャガチャーハン”です!作り方はいつもと少々違っており、千切りにした新じゃが・鮭フレーク・卵をごま油で炒めてご飯を投入して混ぜ、塩・こしょう・刻みネギを投入して炒め合わせたら出来上がりです。珍しく基本チャーハンを使わないレシピですが、その分さっぱりしてそうで、これなら確かに朝でも比較的抵抗感なくいただけそうな一皿です。ちなみに、新じゃがの皮には栄養があるのでそのままよく洗ってからそのまま使うのがポイントだそうです。
 この“新ジャガチャーハン”が出来あがるとハナちゃんは一人前だけお皿に盛ってラップをかけ、いそいそと原田さんの元へ持っていって「夕べはごめんね、原田さん。これ、頂いた新じゃがで作ったチャーハンよ、食べてね」と昨日のお詫びをしていました。おかげで根が素直な原田さんはすぐに不信感をなくし、すっかり機嫌を直して「やっぱりいい人なんだ、華子先輩!」と喜んでいた為、ひとまずは一件落着といったエピソードでした。
昨夜相談に乗れなかったお詫びに、新じゃがで作ったチャーハンを渡します
 最近、新じゃががようやく手頃なお値段になって出回るようになってきて安心して購入できるようになった為、再現を決行する事にしました。巻末のレシピに忠実にそって、早速再現しようと思います!

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、新じゃがの下準備。新じゃがはなるべく皮が薄い新鮮な物を選んでよ~く泥を洗い流し、皮をむかずにそのまま千切りにします。全て千切りにしたらまた流水で澱粉を洗い落とし、水気をしっかりきっておきます。この新じゃがを、ごま油を入れて熱しておいた中華鍋(又はフライパン)に投入して軽く炒めます。
 ※新じゃがであればどんな品種でもOKですが、個人的にはメークインの方がおすすめです。
新ジャガチャーハン1
新ジャガチャーハン2
新ジャガチャーハン3
 新じゃがの表面に油がなじんできたら鮭フレークを加えて炒め合わせ、そこへ生卵を落とし木ベラ(又はお玉)で潰しながらさらに混ぜ、続けてご飯を投入して混ぜ合わせます。ちなみに、ご飯全体へ卵を絡ませるのを意識しながら混ぜる事と、新じゃがに火を通しすぎない事が最大のポイントです。
新ジャガチャーハン4
新ジャガチャーハン5
新ジャガチャーハン6
 やがて、ご飯と具がほぼ混ぜ終わって全体がパラッとしてきたのを確認したら、塩とこしょうで味の微調整をおこないます。味見をしてちょうどいいかチェックできたら刻みネギを加え、ざっと混ぜ合わせます。
 ※鮭フレークの塩分でちょうどいい塩気がつきますので、塩は最小限の量で大丈夫です。
新ジャガチャーハン7
新ジャガチャーハン8
 チャーハン全域に刻みネギが行き渡ったら火を止め、そのままお皿へ丸く盛りつければ“新ジャガチャーハン”の完成です!
新ジャガチャーハン9
 鮭フレークのピンク色が図らずも春っぽさを演出しているように見えたため、ほんのり心がなごみました。しんなり炒められている新じゃががおいしそうなことは勿論の事、ネギの緑色や卵の黄色が組み合わさって彩り鮮やかな一皿になっているので食欲をそそります。
新ジャガチャーハン10
 それでは、出来たての内にいざ実食!いただきまーす!
新ジャガチャーハン11

 さて、味の感想ですが…春にぴったりな穏やかでほんわかした美味しさ!鮭とじゃがいもの相性の良さを再確認しました。
 鮭フレークの塩分だけで味付けしたせいかほんのり淡い薄塩味が全体に効いており、噛むごとに塩鮭特有の何とも言えない甘じょっぱさを帯びたコクがじんわりにじみ出てきます。塩や醤油を入れず食材が持つ自然な塩気で調味した為チャーハンにしては珍しく優しい味わいで、そのままだと物足りなくなってしまう所をこしょうのピリリとくる辛味が程よい刺激を足していたのでバランスの取れた旨さでした。
 新じゃがのサクサクホクホクした食感の中に、時折新じゃがの特徴である薄皮のシャリシャリした歯触りがアクセントとして活きていて、おかげで味にかすかな変化が生まれるのがよかったです。ここに長ネギのシャキシャキ感や炒り卵のまろやかさが混ざるとさらに軽やかな口当たりで、確かにこれなら朝一番でも負担なく頂けそうな印象を受けました。
 新じゃがに絡んだごま油の香ばしい風味や、しゃきりした歯触りの良さとが思わずきんぴらっぽい味だと連想させられるのですが、調味料が極限まで控えられて甘辛くはなく、よって新じゃがの初々しい旨味は全く損なわれていないので、強引に例えるとするならまるで「鮭と新じゃがの塩きんぴらチャーハン」という感じだな~と思います。また、いつもと違って卵を仕上げの段階で直接フライパンで突き崩しながら混ぜた効用か卵が心もちふんわりしたイメージで、柔らかかったのが印象的でした。

 新じゃがは普通のじゃがいもよりも水気が多い分使い道がある程度限定される食材ですが(コロッケやジャーマンポテトといったホクホク感重視の料理には向かないらしいです)、このようにチャーハンにしてしまうと気になりませんでした。新じゃがは皮が薄くてそのまま食べられる分栄養豊富ですし、春の内になるべく摂取したい食材です。

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2012.05.15 Tue 22:44  |  華ちゃんの炒飯は。

いつ読んでもおいしそうです。
フランスでのジャガイモの普及というと
「パルマンティエ」の話もありますねぇ。
ジャガイモ畑に仰々しい監視と柵をつけ、昼間は人を近づけさせないようにするが、夜は監視を解き「わざと盗みやすいよう」するという方法で
普及させたというおもしろい話です。では。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
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