『クッキングパパ』の“新肉ジャガ”を再現!

 じゃがいもを見るたび、母が昔よく作ってくれたじゃがいものきんぴら(通称:じゃがきん)を思い出します。ごま油と赤唐辛子がアクセントになった甘辛醤油味のおかずなのですが、これがご飯にぴったりで、シャクシャクした歯ざわりとあいまって食が進んだのを覚えています。よく考えたら炭水化物同士の組み合わせなのですが、そうとは思えないほど軽く頂けるのでかなりおすすめです。
 どうも、生のリンゴとじゃがいもは食感がそっくりだと思う管理人・あんこです。

 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて荒岩主任が東京で部下の工藤君と義弟の根子田さんの為に作った“新肉ジャガ”です!
新肉ジャガ図
 夢子さんが田中君と結婚して寿退社したすぐ後、人員補填の為荒岩主任達のいる営業第二課へ入社してきた営業社員・工藤君は、荒岩主任がその腕前を認めるほどの料理上手。長い顔と丸い鼻がチャームポイントで、普段は気が弱くオドオドしがちですが料理の事となると急に活き活きとした表情になって饒舌になるのが微笑ましいです(^^*)。どうやら、工藤君はその内気すぎる性格が災いとなって趣味を分かち合える友人が長らくいなかったそうなのですが、荒岩主任に手作り弁当を見つかって以来意気投合するようになってからは一緒に色々料理しあったりして生活に張りが出ている様子で、読んでいてほっとしたのを覚えています。おかげで福岡在住時代はかなり早い段階から周囲に手作りお菓子や料理をしょっちゅう作っては持ち込めるような環境になっていた為、「無口だけどすごい特技を持ったヤツ」としてみんなの人気者となっていました。
 工藤君が転勤で東京支社へ行った現在も荒岩主任との仲は良好で、タイミングが合う時はお互いに「これはどうだ!」と思える創作料理を作りあってお酒を飲むシーンが何度かあった為、料理好きがする事は自然と似通う物なんだな~としみじみしました(当管理人とその家族も、自分の自信料理を作りあっては試食するので親近感が湧きます^^)。
 今回ご紹介するエピソードは、そんな工藤君が荒岩主任と久々に再会したある初春の日の出来事。知人の結婚式に出席する為に有給をとって東京へ訪れた荒岩主任は、東京支社で今では立派に営業として活躍する工藤君をたずねて「せっかく東京に来たから、君の顔を見てから帰ろうと思ってな」という嬉しい一言を言ってすぐに立ち去ろうとするのですが、繁忙期ではないからと工藤君の上司は気を利かせ、荒岩主任に東京観光をさせるようにと工藤君を早めに退社させることにします。思いがけない荒岩主任の訪問を工藤君は大変喜び、何と最終的には夏風邪で寝込んでいた妹・味知さんの夫である義弟の根子田さんを看病する為に東京で一泊する事にした荒岩主任に「ボ…ボクも今夜ここにいていいですか?」「せっかく久しぶりに会えたから…もっと長く一緒にいたいです」とお願いして、とうとう味知さん宅に泊まりこんでしまうくらい舞い上がっていました(見る人が見たら怪しいと疑われそうな一幕ですね;)。ここまでいくともはや慕うというレベルを超え、まるで柴の子犬が尻尾をぶんぶん振って大好きなご主人にじゃれついているような観すらあったので、荒岩主任も口では「何だ、気色悪いヤツだな~;」と照れつつも満更でもない様子で共に家飲みをしていました;。
義弟の看病の為、日帰りのはずが東京に一泊する事になりました;
 そんな時、工藤君が作ったオリジナルのしいたけパスタを食べて創作意欲を刺激された荒岩主任が、台所にある新じゃがを使って手早く作り上げたのがこの“新肉ジャガ”。作り方は風邪でぐったり寝込んでいた病人の根子田さんが思わず起き上がって覗きに来てしまうくらい面白いもので(←荒岩主任の作った卵酒&にんにくしょうが雑炊を食べてぐっすり寝て体力回復したのを差し引いたとしても、結構凄い事だと思います;)、指で薄皮をめくっておいた新じゃがを豚バラ肉の脂で丸ごと揚げ焼きにし、昆布・みりん・砂糖・醤油でコトコト煮込んだら出来上がりという肉じゃがにしては結構個性的なレシピです。ポイントは新じゃがにたっぷり豚肉の脂を染み込ませて表面を焼き固める事で、こうするとじゃがいもは煮崩れない上にこってりかつほっこりした格別な出来栄えになるのだそうです。荒岩主任が言うには “ヤング肉じゃが”以来初めて考えた新しい発想の肉じゃがとの事で、指で皮が簡単にむけてしまうほど新鮮な春の新じゃがだからこそおいしく作れる一品だと自信満々に紹介していました。
何と、一回豚の脂で新じゃがを揚げちゃいます
 荒岩主任は当初自分と工藤君用のおつまみとして作った様子でしたが、おなかがすく内に風邪が治ってきた根子田さんはすっかり食欲が戻り、唖然とする荒岩主任と工藤君を尻目に「うま~い!」と食べたり、写真を撮りまくったりしてお二人を呆れさせていました(^^;)。おまけに、根子田さんはこの“新肉ジャガ”を毎月雑誌で連載している「わが家の夕食」というコーナーのネタにするとまで豪語していましたので、内心「たくましいな~;」と半ば感心しました。たとえ転ぼうが風邪を引こうが全て仕事のネタとして昇華する根子田さんのプロ精神は見事なものがあるので、是非見習いたいと感じました。
すっかり風邪が完治したネコタさん^^;
 最近、身の回りのスーパーで新じゃががようやく出回るようになったので再現を決意しました。作中のレシピを元に、なるべく忠実に再現しようと思います。

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、新じゃがの下ごしらえ。新じゃがは採れたての新鮮な物を選んで流水で泥を落とし(新しい物であればある程、薄皮がむきやすいので便利です)、指先と爪を使いこなしながらツーッと薄皮をむいて水に浸けておきます。もし皮がむきにくいタイプだったら、包丁の背で丁寧かつ慎重にこそげ落とすようにして皮をはがす事をお勧めします。
新肉ジャガ1
新肉ジャガ2
 次は、炒め作業。フライパン(又は中華鍋)へやや多めの油を入れて中火で熱し、豚バラスライスを加えたらカリカリ状になるまでじっくり火を通します。この時に豚バラスライスから出た脂の量と質でじゃがいもの旨さが決まる為、豚バラスライスはなるべく品質がいい物を選ぶ事を推奨します。時間がたち、全ての豚バラスライスがかりっとしたら一旦豚バラスライスを取り出して油分をきっておきます。
新肉ジャガ3
新肉ジャガ4
 先程の豚の脂がたっぷり残っているフライパンを再度中火にかけ、しっかり余分な水気を拭き取った新じゃがを丸ごと投入して上下をゆすってひっくり返しながらよく炒めます(後々煮るので、中心にまで火を通さず表面だけ焼ければOKです)。新じゃがの表面にこんがりとした焼き目がついて香ばしい香りがついてきたら一旦火を止め、キッチンペーパーに取り出します。
 ※もったいないですが、この時フライパンに残っている豚の脂はもう使用しませんので捨てても大丈夫です。ただ、豚の脂を使って炒め物をすると美味しいので、他の料理に転用するのもありです。
新肉ジャガ5
新肉ジャガ6
新肉ジャガ7
 ここまできたら、いよいよ煮込み作業。大きめのお鍋に水と昆布を入れて中火にかけ、徐々に沸騰してきたらみりん、砂糖、揚げ炒め新じゃがを加えて煮ます。やがて新じゃがの中にまで火が通ってきたら醤油で味付けし、その上にとっておいたカリカリの豚バラスライスを乗せて落し蓋をし、さらに煮込みます。ひと煮立ちしたら一旦火を止め、そのまましばらく冷ましおいて味を染み込ませます。
 ※あっさりした味がお好きな方はこのまま仕上げてもいいですが、もう少しこってりめな味がお好みな方は一回新じゃがと豚バラスライスを取り出し、お出汁をとろみがつくまで煮詰めてから具を戻しいれて絡めるとさらに深い味になって美味になります。なお、昆布は最後に別に取り出しますが、佃煮風にして食べても勿論美味しいです。
新肉ジャガ8
新肉ジャガ9
新肉ジャガ10
 味が染みた新じゃがと豚バラスライスをお出汁ごと温めなおして皿に盛り付け、仕上げに根っこを切り落としたカイワレ大根をどっさり散らせば“新肉ジャガ”の完成です!
新肉ジャガ11
 肉じゃがというとどうしても茶色一色に見えがちで色味に乏しいイメージがありますが、“新肉ジャガ”の場合上にたっぷりカイワレ大根が乗っているので煮物にしては色鮮やかな感じなのが特徴的です。豚の脂の甘いような何ともいえない香りが食欲をそそる感じで、一体どんな味がするのか興味津々です。
新肉ジャガ12
新肉ジャガ13
 それでは、熱々のほこほこな内にいざ実食!いただきま~す!
新肉ジャガ14

 さて、味の感想ですが…既存の肉じゃがをさらに洗練させた新しい美味しさ!新じゃがの良さがが際立つアイディア煮物です!
 揚げて程よく水分が抜け、ほんのり香ばしくなった新じゃがの表面に豚肉特有の甘い脂分がしっとり染み込んでいて、噛むごとに豚の脂のコクがジワジワと少しずつ溶け出して口に広がっていくのが味わい深いです。豚バラ肉の脂は旨味が濃い反面量が過ぎるとしつこくなるのが欠点なのですが、これはちょうどいい分だけしか染みていないので最後までおいしく頂けました。丸ごと使っているのでじゃがいも特有の土っぽくて力強い美味さが煮汁の味で半減する事なく、そのまま楽しむ事が出来ます(ふかし芋に似た醍醐味でした)。
 豚バラ肉はカリカリにしてから煮たせいか、脂身が瞬く間に溶けて赤身部分がハラリと簡単にほどけていく為非常に柔らかく、味付けがほのかに甘辛いのもあってまるで「極薄で薄味仕立てな豚の角煮風」とでも言いたくなるような味わいだと感じました。舌に脂の甘味がさっととろけた後、カイワレ大根のシャキシャキした新鮮な食感とわずかな辛味が口の中をさっぱり洗い流す為、キレのいい爽やかな後口なのが印象的です。
 新じゃがはホコホコ感が少ない代わりに、サラリとしたなめらかな舌触りと瑞々しさが特徴的で、どちらと言えば淡泊な味わいなのですが、この肉じゃがはうまい具合にその特性を活かしつつ足りない部分を補っています。作中ではこってりだと言われていますが、予想していたより遥かにあっさりした大人向けの肉じゃがでした。

 “ヤング肉じゃが”もかなり独創的な料理だと思いましたが、この“新肉ジャガ”もなかなかいい勝負だと感じました。まさにこの季節でしか取れない瑞々しい新じゃがだからこそ作れる、季節感溢れる肉じゃがでした。おかずというよりは、酒肴として供したい一品です。

●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2012.04.09 Mon 01:17  |  いつも

楽しく読ませてもらっています。

料理マンガが大好きなのですが、再現など考えにも及ばなかったので
このサイトを見つけてから毎日通わせてもらっています。

おいしそうな料理と、率直な感想。

そして、読ませる文章力に憧れます。

僕自身は、現在IHの一口ということもあり、再現どころが自炊すら覚束ない日々ですが、こちらのサイトを肴に毎晩美味しく飲ませてもらっています。

草葉の陰からこっそりと、酒片手に応援しています。

  • #JalddpaA
  • はやと
  • URL
  • Edit

2012.04.21 Sat 03:01  |  連続コメント3

あんこさん、こんばんは。

この話では、根古田さんの「一日中寝ていて寝飽きた」というセリフが
なんだか実感がこもっていて良かったですね~。では~。

  • #SFo5/nok
  • kawajun
  • URL
  • Edit

2012.04.22 Sun 18:22  |  

毎週日曜日にたくさん作って一週間の常備菜にしています。
「なんちゃっておばんざい」です。
青ねぎを散らしてもうまし!

  • #-
  • コイキント
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あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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