『華中華』の“嫁と姑の愛情たっぷり海老チャーハン”を再現!

 実はその昔、中国では「嫁ぐ」という字を「帰ぐ」と書いて読まれていた事があります。
 どうしてかと言いますと、「まるで我が家に帰るかのごとく、婚家に嫁に行って欲しい」「嫁いだ家で、元から家にいた人間の如く溶け込んで欲しい」という願いがあって自然と読まれるようになったからだそうです(詳しくは、漢文の「詩経」にその一文が記載されています)。
 初めてこのお話を知った学生時代は「なるほどな~」と感心したものでしたが、逆に考えればそのように言い聞かせないと実家を恋しがる女性が如何に多かったか…という事情が今なら垣間見えるようで、内心複雑になっている今日この頃です。

 どうも、今も昔も義実家とのお付き合いと言う物は骨が折れるものだと相場は決まっているのだな~と考えると暗澹とした心境になっている当管理人・あんこです。
 

 本日再現する漫画料理は、ハナちゃんが三浦半島の義実家で報酬代わりに貰ったエビを使用して作った“嫁と姑の愛情たっぷり海老チャーハン”です!
嫁と姑の愛情たっぷり海老チャーハン図
 ある初夏の日、ハナちゃんは新婚ほやほやのご主人・康彦さんと三浦半島の海岸へドライブをしに来て、つかの間の蜜月を楽しみます。
 一応、週末になったら康彦さんの待つ三浦半島の義実家まで帰って一緒に過ごす休日婚を採用していますので、日曜日になったら必ず会えるお二人なのですが、それは同居結婚の宿命でお義父さんとお義母さんの四人で過ごすようになっている為、二人っきりになる機会はほとんどないというのが実情だったりします;。
 そのせいか、ハナちゃんの住む満点大飯店の社員寮へ康彦さんがこっそり泊まりに行ったり、今回のように最初から二人でどこかへ遊びに行ったりするシーンが『華中華』には結構ある為、ラブラブ期を満喫するのもなかなか大変なものだと読むたびに苦笑してしまいます(^^;)。
 しかし、運悪く島野さんが満点大飯店に内緒でCM用のパーティー料理を作るというアルバイトをしている現場に出くわしてしまい(気の毒な事に、康彦さんはちゃんと結婚した身であるにも関わらず、まるで浮気現場にいる間男かのように慌てて物陰に隠れていました;)、朝から働いてクタクタだった島野さんから秘密の厳守と、撮影の後片付けを命じられて午後の時間が完全に潰れてしまうことになっていました。
 せっかくの休日にこういう仕打ちをされたら、大抵の人は不満たらたらになりそうなものですが(例:当管理人;)、向上心の高いハナちゃんは「島野さんが特別にこしらえたパーティー用の中華料理が見れるなんて、いい勉強になります!」と前向きに喜び、撮影終了後に率先して後片付けをします。
 が、困ったことに片付けをしているハナちゃんの姿を見た監督がハナちゃんの明るくひたむきな笑顔にすっかり心惹かれ、その後姿を勝手に撮って<今を懸命に生き、努力する…その先に、未来がある><21世紀のシンデレラ>というコンセプトでCMを作ることを決めてしまいます。
 後に、この事がとんでもない波乱を巻き起こす事になってしまうのですが…それは、また次のお話でご紹介します(^^)。
思いがけぬ事に、何とハナちゃんはCM出演する事に!
 撮影終了後、ハナちゃんはギャラ代わりに撮影で残ったエビを一箱もらい、何と日が暮れてもハナちゃんが戻ってくるまでずっと車で待っていてくれた康彦さんと共に義実家へ帰ります。
 この康彦さんの優しい心配りといい、義実家に帰宅して一通りの話を聞いた後に「とんだ休日になっちゃったわね、華子さん」「その島野ってやつ、カリスマだかなんだか知らないが、酷い上司だな!」と憤ってくれた義両親といいどうやらハナちゃんは大切にされているみたいだと感じることが出来るのでほっとさせられます…まあ、残念ながらこちらも後々恐れていたありがちな火種が燃え上がってくるのですが…こちらもいつか詳しく書かせてもらいます;)。
 そしてその日の夜、ハナちゃんがお義母さんと協力しながらもらってきたエビを使って作り上げたのが、この“嫁と姑の愛情たっぷり海老チャーハン”です!
 作り方はなかなか凝っており、下処理して日本酒・塩・ごま油で下味をつけたエビを長ネギと一緒に炒めて具を用意し、その時に出たおつゆを入れて混ぜた溶き卵で作った基本チャーハンに具を入れて混ぜたら出来上がりです。なお、仕上げにカラッと揚げたエビの殻を飾り付けるのがハナちゃん流だとの事でした。
 ハナちゃんが言うには、上海亭で使うにはエビは少々高価なので作れてはいない物のエビチャーハンの構想自体は既に出来ていたとの事で、随所にハナちゃんならではの工夫や学んだ知識が活かされているのに感心します。
 例えばエビの下処理にしてもそうで、通常は片栗粉などをまぶして揉んで水で洗い流すやり方が主流になっているのですが、島野さんから「エビは洗ったら味が落ちてしまう!」という指導を受けてからは、背ワタを取ってからは水ではなくキッチンペーパーで汚れを拭き落とす島野さん式でハナちゃんは下ごしらえをしています。
 また、エビから出た旨味たっぷりのおつゆを溶き卵に加えたりするのはもちろん、エビの殻を揚げる際に副産物として完成したエビの香味油をチャーハン作りに使用したりと、エビを最大限にアピールしようというハナちゃんの意気込みが感じられる料理で、読んでいるだけで「よくぞここまで…」とその成長ぶりに目を見開かされました。
撮影の御礼という事で、余った海老を一箱もらってました
 その後、斉藤家の皆さんで仲良く食卓を囲んで“嫁と姑の愛情たっぷり海老チャーハン”は賞味され、ハナちゃんは「やっぱり、華子さんのチャーハンは一味違う!」と大いに誉められるのでした。
 ちなみにこの時、ハナちゃんはカリカリになったエビの殻を手で砕き、チャーハンに振りかけて食べても美味しいとみんなにお勧めしていましたが、「へ~そりゃいい、俺もやろう!」「じゃあ、私も!」と特に抵抗なく受け入れられており、終始和やかなムードで食事は終っていました。
 これは当管理人の勝手な感想ですが、こういうちょっと変わったおすすめのマイルールを勧める時って「引かれないか」「否定されないか」「微妙な空気にならないか」という恐怖の3H(一つBがありますが、どうか見逃してください;)に結構ビクビクドッキリするタイプなので、ハナちゃんの屈託のない素直な勧め方が羨ましいです;。
この頃はまだ、完全にトラブルなしの仲良し家庭だったんですが…;

 有頭エビがスーパーで売られる事が何故か激減した為「どうしよう…」と焦っていたのですが、最近ようやくまた出回りだした為、「今だっ!」と思い再現する事にしました。
 巻末に載っているレシピ通り、早速作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、エビの下ごしらえ。有頭エビを身・殻・頭の三つに分け、殻と頭は流水でさっと洗って水気をきったら180度に熱した高温の油でパリパリになるまで揚げて、キッチンペーパーで余分な油分をきっておきます(殻と頭は特に水洗い厳禁と書かれていませんでしたし、外側の部分なので念の為洗い流しました)。
 油はエビの風味が色濃く漂う香味油、エビの殻は飾り付けに使う唐揚げになりますので、大事にとっておきます。
嫁と姑の愛情たっぷり海老チャーハン1
嫁と姑の愛情たっぷり海老チャーハン2
 エビの身の方は、洗わないまま爪ようじ等で背ワタを取り、キッチンペーパーで汚れを綺麗に拭き取ります。
 汚れを落とし終えたらボウルに入れ、塩、日本酒、ごま油を加えてもみ、下味をつけます。
嫁と姑の愛情たっぷり海老チャーハン3
 このエビを、油を入れて熱しておいた中華鍋(又はフライパン)で軽く炒め、表面の色が変わりかけたくらいで素早く大量の刻みネギを投入し、ざっと炒め合わせます。
 ※もし、エビに火が入り過ぎそうになった場合は一旦取り出してから後で長ネギと合わせます。また、思った以上におつゆが出なかった場合は、最終手段として日本酒をちょこっと加えて炒めるのもありです。
嫁と姑の愛情たっぷり海老チャーハン4
嫁と姑の愛情たっぷり海老チャーハン5
 エビに火が通るか通らないかくらいで別皿に取り出し、出てくるおつゆをザルで越しながら溶き卵に加えてよくかき混ぜておきます。
 なお、溶き卵には何も味付けしなくて大丈夫です。
嫁と姑の愛情たっぷり海老チャーハン6
嫁と姑の愛情たっぷり海老チャーハン7
 ここまできたら、いよいよ最終のチャーハン作り!
 先程用意したエビのエキス入り溶き卵とエビの香味油を使い、中華鍋(又はフライパン)で以前に作り方をご紹介したハナちゃん流基本チャーハンのレシピ通りに基本チャーハンを作り上げ、仕上げに別皿に取っておいたエビと長ネギの炒め物を加えて手早く混ぜます。
嫁と姑の愛情たっぷり海老チャーハン8
嫁と姑の愛情たっぷり海老チャーハン9
 チャーハンと具がしっかり混ざったら火を止めてお皿へ丸く盛り、回りにエビの殻と頭の唐揚げを飾り付ければ“嫁と姑の愛情たっぷり海老チャーハン”の完成です!
嫁と姑の愛情たっぷり海老チャーハン10
 揚げられて美しい紅色に染まった海老の殻と、ギリギリの火加減で淡い赤と白色に焼きあがった海老の身の対比が色鮮やかで、見るだけで食欲がわいてきます。
 作中ではビールと一緒に食べられていましたが、確かにこれはビールにあいそうです。
 香りの方も、殻の香ばしさが鼻腔へ流れ込んできてひどく魅惑的なので、すきっ腹にはたまらないものがありました(^^;)。
嫁と姑の愛情たっぷり海老チャーハン11
 それでは、出来たてホカホカの内にいざ実食!
 いただきまーす!
嫁と姑の愛情たっぷり海老チャーハン12


 さて、味の感想ですが…エビの風味がしっかり活きた贅沢な一皿で旨し!見た目よりも遥かにさっぱりしていてエビの香りが強いです!

 適度に火が通ってプリプリしている甘いエビの身と程よい塩味がついたチャーハンがよく合っており、互いに引き立てあっています。
 当初はエビの下処理はこれでいいのか心配だったのですが、実際に試すと片栗粉をまぶして水洗いした物よりもプリプリ感はわずかに下がっていたものの、エビ本来の風味と旨さをよりストレートに感じる出来栄えだった為俄然気に入りました。
 
揚げ物やエビチリみたいに食感重視な料理を作る時はともかく、炒め物を作る時は島野さん式のやり方が向いているように感じます。
 エビや長ネギからにじみ出た出汁が効いて淡い口当たりになった炒り卵と(出汁巻き卵のジュワッと感に通じる物があります)、エビ殻からふんだんに溶け出したエビエキスがご飯粒一粒一粒にじんわり染み込んだチャーハンが合体する事によって複雑かつ濃密な味わいのエビチャーハンに仕上がっていました。
 全体的に広東料理を思わせる素材の味をシンプルに引き出した上品な薄塩味なのが特徴的で、例えるとするなら「広東風あっさり香りエビチャーハン」というイメージです。
 また、エビ殻と頭の唐揚げも口の中で簡単にパリパリと香ばしく砕けてチャーハンにちょうどいいアクセントになるのが美味で、唐揚げというよりは「濃厚でリッチなエビ揚げ煎餅」という感じでした。


 海老の下処理は使用用途に応じて帰るべきなのだな~と考えさせられた再現でした。
 身も殻もエキスも、海老の全てを丸ごと楽しむ事が出来るとても贅沢なチャーハンです。
 海老の殻はちゃんと揚げると本当に軽くパリパリっとした歯ごたえに変化するので、チャーハンにかけなくてもそのままおつまみにして食べるのもありだと感じました。

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
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