『クッキングパパ』の“おろし卵納豆キムチそば”を再現!

 先日、普段行かない遠いスーパーへ買い物に行ったのですが、精肉コーナーに鶏のきんかん(卵巣)がまるでレギュラー商品のような顔をして鎮座していた為、驚きました。
 近づいてじっくり観察した所、きんかんの別称通り本当に金柑の実にそっくりで、「これを甘辛く煮たら一体どんな味がするんだろう」「白身は全くなくて黄身だけというけれど、普通の黄身とはまた違った味なのかな」など、どんどん興味が湧いてきました(ただ、何分遠地で途中腐りかねなかった為、渋々購入は諦めましたorz)。
 どうも、鶏のガラや魚の内臓といった物は平気で触れても、何故かイカの内臓を触る事は未だに恐ろしいと感じて苦手な管理人・あんこです。


 今回再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて田中君と新人・江口君が荒岩主任をあっと言わせようとして考え出した“おろし卵納豆キムチそば”です!
おろし卵納豆キムチそば図
 『クッキングパパ』が六十巻を越え、荒岩主任やケイコちゃんが出世した頃、田中君の下に新入社員の江口君が部下として新しく配属される事になります(思えば、田中君が新人教育をしたのは梅田君と工藤君だけでそれ以降は全くご無沙汰だったので、かなり久々に任された感じです)。
 大抵、入社一年目の新入社員は慣れない事ばかりで戸惑い、その結果どんなに元気な人でも多少は大人しくなりがちなのですが、江口君の場合良くも悪くも大学時代の明るいノリや能天気でルーズな性格をフルに出したまま社会人生活をスタートしていた為、最初見た時はかなり大物な印象を受けました;。
 しかし、既に前代未聞の問題社員・田中君である程度免疫が出来ていた営業第二課のみんなは、早くも「まーたエグッチ(江口君のあだ名)か…」と黙認する雰囲気にすぐなったので、初見時に内心「偉大なる先人に救われたね、江口君!」と声をかけたくなったのを未だに覚えています(^^;)。
 また、田中君自身江口君を見て行動パターンやドジ加減がかつての自分をほうふつとさせるのか、しょっちゅう憎まれ口を叩きつつもよく面倒を見ていたり、江口君の方も田中君の事を恐れつつも慕っていたりでなかなかうまくいっている為、おかげで今やすっかり金丸産業指折りの最強師弟コンビになっています。

 さて、そんな陽気な江口君ですが、一時期何故か荒岩主任を避けるような素振りをしては挙動不審になっていたのを田中君に目撃されており、とうとうある日その様子を見かねた田中君から「な~にやってんだお前は」と指摘されます。
 その理由とは意外なもので、何と「小さい頃から敵わない完全無欠なお父さんと、荒岩主任が重なって見え、コンプレックスが刺激されて萎縮するから」というもの。
 実は、江口君のお父さんは家族の誰からも頼られて愛されているかなりの人格者で、幼い時から何度も間近でたくましさや心の広さを見せ付けられてきた江口君は「俺はこうはなれない…」と常に自信を失っていた模様(正直、江口君は何だかんだ言いつつ相当なファザコンだと思います;)。
 その為、全くの別人とは分かっていても、お父さんにそっくりな荒岩主任を見るとどうも落ち着かないというのが、江口君が荒岩主任をつい避けてしまう理由との事でした。
お父さんと荒岩主任がダブってつい怖気ついてしまう江口くん
 一部始終を聞いた田中君は、江口君からナチュラルに「その点、先輩はいいスね。そういうデリカシーがなくて」と新人とは思えぬ失言を漏らされて遠慮なくゲンコツを食らわせつつも、そのコンプレックスをなくしてあげようとし、「(荒岩)係長の得意なものは何だと思う?料理だ」「係長があっと驚くような料理を作って、ギャフンと言わせるのはどうだ?!」「前に工藤からすごいそばを教わった事があるから、今まで見た事もないようなそばを作るぞ!」と提案します。
 しかし、せっかく材料を揃えて江口君のアパートで試作をしてみたものの、普段全然料理をしない二人に傑作な創作そばを一から考え出すのは相当に困難で、二人は夜遅くまで試行錯誤します。
 中でも超がつくほどの失敗作だったのは、田中君作のフルーツそば(バナナ・スイカ・みかん・ぶどう・梨がふんだんに乗った一品。食べたら思わずひっくり返ってしまう迷品です)江口君作のあんこそば(粒あん・生クリーム・ミントの葉がどっさりデコレート。一口すするたびに涙が止まらない珍品です)で、最終的にはしくしく泣きつつも全部完食しながら試作を続けていました。
 …この光景を見たら、恐らく荒岩主任は「努力は認めるが、その情熱を仕事にも(以下略」と突っ込む事が用意に想像出来るので、この場にいないのが返す返すも残念です;。

 そして、数々の失敗を経た末にようやく田中君と江口君が見つけ出した、まさにザルそば界の新風とも言える創作そばが、この“おろし卵納豆キムチそば”です!
 作り方はかなり簡単で、納豆・刻みネギ・大根おろし・生卵・そばつゆ・醤油をよく混ぜ合わせた物をザルそばの上へどばっと乗せ、そこにキムチもトッピングしたらもう準備OKです。
 これは、工藤君から教えてもらった冷奴そばに影響を受けた田中君が納豆を入れてみようとしたのを、江口君が「先輩、納豆かけただけじゃ芸がないでしょー」「俺の親父がですね、昔納豆に卵と大根おろしを入れたのをよく作ってくれたんですよ」と色さりげなく助言した事がきっかけで誕生したレシピ。
 その際、珍しく冴えた田中君がキムチを投入するのを思いついた事でこの形におさまったようですが、確かにこの組み合わせは考えた事がなかったな~と二人に感心しました。
 ※他にも“ちらしそば”と“サラダそば”が登場していましたが、“おろし卵納豆キムチそば”ほどのインパクトは残念ながらなかったので省略しました;。
荒岩主任をあっといわせる料理を作って自信をつけようという田中君あんこそばを作って思わず泣き出してしまう田中君と江口君orz
 その後、喜びと酔いがあいまった田中君と江口君は、夜十一時二十分という色んな意味でギリギリな時間帯に荒岩家をたずねます(←呆れた事に、創作そば三種にすっかり気を良くしたお二人は、何とビールで景気づけをしてから参上したのでした;)。
 当然の権利として荒岩主任は不機嫌そうに出迎え、「一体何だ、こんな時間帯に?」と当たり前の疑問を口にするのですが、それには答えず田中君と江口君は「俺たち二人で作ったんです~!」「食べて~、とにかく食べてみて~!」と異様なテンションでおそばを突き出した為、とうとう諦めた様子で全種類試食していました(´∀`;)。
 どうやら、このお騒がせな二人組は途中から童心に返って目的が何だったのかを忘れていたようなので、人騒がせだな~と苦笑しました(素面だったら青白くなりそうな事態ですが、幸か不幸か飲みすぎで「俺たちなんでこんな事してんだっけー」「さあ、なんでしたっけー?」と何が何だかさっぱりな状態になっていた為、アルコールの力は偉大だと思います;)。
 結局、荒岩主任は自分の舌に嘘をつかず「うまい(`ヘ´)!」と認めはしたていたものの顔はずっとむすっとしていたので、こりゃ~酔いが醒めた翌朝が恐ろしい事になりそう…と、他人事ながら「くわばらくわばら」と思ったエピソードでした。
荒岩主任においしいといわせるそばを作る事に、見事成功!
 今年は冷麦やそうめんばかりであまりザルそばを食べていなかった為、これは夏が終わる前に食べておかないと…と考え再現する事にしました。
 キムチとそばが合うのか非常に疑問ですが、実際に食べて試してみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、卵納豆作り。ボウルに納豆だけ入れてひたすら菜箸でグリグリかき混ぜ、段々白っぽくなって泡がぶくぶく立つまで粘りが出てきたら、刻みネギ、生卵、大根おろし(軽~くさっと程度に汁気は切っておいたほうがいいです)を投入してさらに混ぜます。
おろし卵納豆キムチそば1
おろし卵納豆キムチそば2
 やがて、全体がふわっふわになって一つにまとまってきたら、そばつゆと醤油を自分好みの濃さになるよう加え、もう一度よく混ぜ合わせます。
 淡雪状の卵液に調味料が行き届いたら、上に乗せる卵納豆の出来上がりです。
 ※さっぱりめに仕立てたい時は、醤油は入れなくてもOKです。あと、見た目的にも味のバランス的にも、卵が真っ黒になるまでそばつゆや醤油は入れすぎないのが吉です。
おろし卵納豆キムチそば3
おろし卵納豆キムチそば4
 その間、たっぷりのお湯で茹でて流水で揉み洗いしておいたそば(乾麺でも生麺でも可。ただこの料理の場合、乾麺で充分美味しいと思います)をお皿に盛り付け、先程の卵納豆をドバーッとかけます。
 ※余談ですが、この卵納豆は熱々のご飯に乗せてみたり、醤油代わりに冷奴へかけてみたり、もしくはスパゲティに絡めて食べてみてもおいしいので、色々役に立ちます。
おろし卵納豆キムチそば5
おろし卵納豆キムチそば6
 この卵納豆乗せそばの上へキムチを好きなだけ乗せ、お箸と共に机へ運べば“おろし卵納豆キムチそば”の完成です!
おろし卵納豆キムチそば7
 卵納豆の黄色、ネギの緑色、キムチの赤色が組み合わさっているせいかかなりカラフルで、ざるそばにありがちな地味な印象が吹き飛んでいます。
 匂いもキムチからにんにく臭が強烈に漂っており、そば料理というよりは全く新しい創作料理っぽいな~と思いました;。
 未知の組み合わせなので不安ですが、それと同時に「どんな味がするのか」とワクワクしてきます。
おろし卵納豆キムチそば8
 それでは、キムチと卵納豆をそばによ~く絡ませていざ実食!
 いっただっきまーす!
おろし卵納豆キムチそば9


 さて、味の感想はと言いますと…がっつりいけてスタミナがつきそうな創作そば!ボリュームがあるのにスルッと胃に収まる美味さです!
 卵で適度なとろみがついた大根おろしが、まるで淡雪かメレンゲみたいにフワフワした口当たりになってそばによく絡むのが美味で、納豆のおかげで強い粘りがプラスされている割にはキレがよく後味がくどくないのに感心しました(後々麺つゆと分離してゆるくなり、モロモロっとした舌触りに変化していきますが、これはこれでとろろのようで旨しです)。
 普通のおろしそばだと、大根おろしはそばにはあまりくっつかずに最後まで別々でさっぱりしている感じですが、これはそばへしっかりくっついて一体感が高まる事によってとても食べやすくなっている上、卵のまろやかさな味わいがプラスされていて濃厚な仕上がりだったのが印象的です。納豆のネバネバ部分特有の濃い旨味が全体を一つにまとめあげており、不思議なコクが生み出されていたので、例えるとするなら「冷製納豆カルボナーラ風そば」みたいだと思いました。
 キムチのザクザクした歯応えと刻みネギのシャキシャキ感がいいアクセントになっていて食感に変化がある為、最後まで飽きる事がありません。キムチから染み出た海鮮系の旨味出汁、強烈にピリリときた後はスッと引いていく辛味、野菜類から出ている甘味がふんわり優しい味わいの卵入り大根おろしといい対比になって互いに引きたて合っている印象で、思わず病み付きになる美味しさです。


 キムチが納豆や卵と合うのは知っていましたが、まさかそばとも合うとは思わなかったため意外でした。
 そばではなく、うどんや冷麦に混ぜて食べてみてもいけそうです。

●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2012.08.28 Tue 18:32  |  

あんこさん初めまして。とある寮生と申します。
再現料理楽しみにしています。私もやってみたいんですが、今寮生活で料理が何一つ出来ない(一応共用の電子レンジとオーブントースターはありますが)環境なんですorz
なのであんこさんの記事を見て寮をでたらやってやろうと画策しているところです。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
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 …『百姓貴族』
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 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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