『クッキングピープル』の“オニオンアドボ”を再現!

 ふと、「メロンパンは、どうしてメロンが入っていないのにメロンパンなんだろう」という素朴な疑問が気になってしょうがなくなり、ネットで調べてみたのですが、予想以上に複雑な事情が分かってきて驚きました。
 何でも、明治時代後期に洋食屋でよく使われるライスの型(アーモンドの形っぽいアレ)で形作っていたビスケット生地つきのパンが、当時メロンとして売られていたマクワウリの形にそっくりだった為そう呼ばれるようになり、さらに時が過ぎて今度は日本中のメロンの認識がよく売られるようになったマスクメロンになった際、今度は逆に「メロンパンはマスクメロンそっくりに丸くしないと!」という意識が広まって、徐々に丸くなっていったというのが真相だとの事(詳しくはこちら)。
 よもやここまでややこしい事情が絡んでいたとは思わなかった為、「お菓子やパンの由来は面白いな~」と感心した出来事でした。
 どうも、近頃よく売られている亀の形をしたメロン果汁入りメロンパン・“カメロンパン”が大好きな管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングピープル』にて黒魔術にはまった奥さんが大魔王を呼ぶ日に作った“オニオンアドボ”です!
オニオンアドボ図
 今回ご紹介するエピソードは、最近急速に黒魔術の世界へハマりつつある妻・美奈子さんと、そのご主人であるサラリーマン男性のお話。
 何でも、美奈子さんはそもそもオカルトだの魔術だのといった事に興味を持っておらず、結婚したての頃はごく一般的な暮らしをしていたようなんですが、どういう訳かいつの間にか重度の黒魔術マニアになっており気がついた時にはもう部屋は床に魔法陣が描かれ、コウモリが放し飼いにされる薄暗い儀式の場へ変貌していたとの事でした(内心、「明らかにプロが使いそうな、ゴツイ髑髏の燭台が何台も飾られた時点で気付けー!」と突っ込みまくりです;)。
 大抵、こういう事態になったら普通の男性は全力で止めると思うのですが、驚くべき事にご主人は「多少部屋の中は不気味になったが、性格は変わったわけでもなく、家事もきっちりやってくる」「特に困る事もないので、趣味に没頭する彼女を僕は温かく見守っている」と考え、今やすっかりこの生活に慣れたと満足していたので、度肝を抜かれました。
 まあ、確かに家族が我慢できない程深刻な遊びでもない限りは無理に禁止するより、お互い夢中になれる趣味を持って活き活きと暮らした方が案外和やかな空気になって、家庭円満になりやすいのかもしれません。
 ともあれ、どんな趣味でもドン引きせず寛大に許してくれるご主人に巡りあえて美奈子さんは幸せ者だと思います(^^;)。
 しかし、夜中に上げられる不気味な奇声の事を考えると、隣人には決してなりたくないな~と当管理人は感じました;(注意でもしようものなら、即刻黒魔術で報復されるかもという恐怖もありますしorz)。
今回の主人公は、黒魔術にはまった奥さんを持つサラリーマン男性
 そんなある日の夜、美奈子さんは根気強くネット検索しまくった甲斐あって遂に<大魔王の召還>が出来る黒魔術を見つけ、早速一時間部屋にこもって本格的に呼び出す事を決めます。
 とはいえ、正直な所本当に成功するのかどうか半信半疑だったご主人はのん気な物で、「いいよ、じゃあ夕飯なんか作っとこうか?」まるで好きなTVドラマを見る妻の代理として作るかの如く軽~い調子で聞くのですが、美奈子さんは夕食の下準備は全部済ませたので、鍋に火だけつけて欲しいとお願いします。
 こうして、時折聞こえる美奈子さんのエキセンリックな呪文をバックミュージックにしつつ、ご主人が一時間火力調節だけしている内に出来上がったのが、この“オニオンアドボ”です(日本名は“フィリピン風鶏の玉ねぎ煮込み”)!
 作り方はものすごくお手軽で、玉ねぎ・にんにく・しょうが・鶏肉・お酢・醤油・塩・荒挽きこしょう・ローリエをお鍋の中で混ぜてからフタをして数時間放置し、そのまま火にかけて最初は強火、途中で弱火にして一時間煮るだけで出来上がります。
 最初に材料を切って混ぜて馴染ませさえすれば、後はもう煮込むだけでいいという単純過ぎるほど単純な手順が魅力的で(その為、ご主人は煮込んでいる一時間の間にお風呂へ入ったり、ビールを飲んで一息ついたりとやりたい放題です;←良い子は真似しちゃダメ、絶対!)、疲れて動き回りたくない人にはまさにうってつけの料理です。
 もともと、これはフィリピンに古くから伝わる煮込み料理・“アドボ”をたけだみりこ先生が玉ねぎたっぷりバージョンにアレンジしたレシピ。
 お酢パワーのおかげで肉が柔らかく仕上がる上日持ちもしやすく、おまけにノンオイルなのでヘルシーかつ低カロリーとまさにいい所尽くめな料理だと作中で力説されており、エスニック風に見えて実は日本人好みの懐かしい味わいだとも書かれていました。
火力を調整した後は放置するだけで完成する為、魔術中でも安心!
 その後、“オニオンアドボ”が出来ると同時に美奈子さんが部屋から大声を出しながら出てくるのですが、何とその傍らには「こんばんは、お招きありがとうございます」と話す大魔王の姿が!
 …とは言っても、その外見はどう見ても腰の低い普通の日本人男性にしか見えない姿で、正直近所の市役所から連れてきた三十代の地方公務員と言った方がまだリアルな感じがする印象;。
 はっきり言って、黒衣の見るからに怪しい格好をしている美奈子さんよりも、「召還していただいたとはいえ、こんな夜分にお邪魔して申し訳ございません」とにこやかに頭を下げる大魔王の方が余程常識人のように見えます(´Д`;)。
 結局、ご主人はあまりの出来事にあっけにとられつつも“オニオンアドボ”を三人で食べつつ世間話をし(←ご夫婦揃って度胸があるな~と感心;)、そこそこ楽しい時間を過ごすのですが、食事が終ると同時に大魔王は「じゃあ、そろそろ失礼します」早くも席を立ちます。
 当然、美奈子さんとご主人は引き止めるのですが、大魔王は「そうしたいのですが、これ以上悪い事が起きたら申し訳ないので…」という、非常に意味深な言葉を残して元の世界へ帰っていきます。
 美奈子さんとご主人は「何のこっちゃ?」と頭を捻りつつ、大魔王って案外怖くないね~と話すのですが、その頃外では…と場面が転換して物語は衝撃のラストを迎えます。
 このストーリーも、以前ご紹介したお話に通じるものがある『世にも奇妙な物語』風の不思議な世界観の終り方をしていてちょっぴりゾクッとさせられるので、興味をお持ちになった方は是非本編を読んでいただけますと幸いです
一時間以上かかる召還術の末来た大魔王は、結構腰が低かったです;
 台所が蒸し暑く立ち続けるのがきつい時期、火力に気をつけて放っておくだけで出来る料理は夢のようだと感じて再現を決意しました。
 フィリピン風料理は初めての挑戦ですが、頑張って作中のレシピ通り作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、食材の下準備。大きめの鍋へ、玉ねぎのみじん切り、にんにくとしょうがのすりおろし、ぶつ切りにした鶏もも肉、お酢、醤油、塩、荒挽き黒こしょう、ローリエを入れてよく混ぜ合わせたらフタをし、一時間以上(前日の夜に冷蔵庫へ入れて保存してもOK!)放置します。
 ※時間をもっと短縮したい場合は、しょうがとにんにくをチューブの物で間に合わせたり、玉ねぎをフードプロセッサーにかけて細かくしたりするとあっという間に用意できます。
オニオンアドボ1
オニオンアドボ2
オニオンアドボ3
 次は、煮込み作業。
 先程の大鍋をフタを閉じたまま強火にかけ、グツグツいい出して沸騰してきた気配が伝わってきたらすぐに弱火にし、そのまま一時間じっくり煮込みます。
 ちなみに、上の画像はグツグツし出した時の中身(本当は開けない方がいいのですが、記録する為に開けました)、下の画像は一時間経過した時の中身です。
 全く触らなくても、小まめに様子を見ながら煮込んだみたいに仕上がっていて驚きました。
オニオンアドボ4
オニオンアドボ5
 一時間経って玉ねぎがトロッとしたら火を止め、お皿に盛った炊き立てご飯の上へかけてレタスを添えれば“オニオンアドボ”の完成です!
オニオンアドボ6
 予想外な事に、酢の匂いがむっとする感じは全く無く、それどころか玉ねぎと醤油が入り混じった感じの甘~い香りにうっとりさせられます。
 また、鶏肉は一見少し硬そうに見えますが、スプーンで触っただけでホロリと崩れるほど繊維がほぐれているのに感心しました。
 どんな味になっているのか想像がつかない為、一体どういう仕上がりなのかワクワクします。
 ※食べる途中、レモン汁やラー油でお好みの味にしてもナイスだそうです。
オニオンアドボ7
 それでは、熱々の内にソースをご飯に絡めていざ実食!
 いただきま~すっ!
オニオンアドボ8


 さて、味の感想ですが…予想以上に日本人好みな出来栄え!放置しただけでこの味とは、ひたすら驚愕の一言につきます。
 まず最初に驚いたのが、ソースの味わい。
 お酢特有の酸っぱさがほぼ消えており(強いて言うなら、最後に酸味がわずかに主張してくるくらい)、それどころか玉ねぎのとろけるような甘味と鶏もも肉のこってりしたコクを醤油のストレートな塩気がギュッと濃縮してまとめあげたようなこの上なく奥深い甘辛さに仕上がっています。
 結構濃いめの味付けなのでそのまま食べると塩辛く感じるかもしれませんが、トロットロに煮込まれた玉ねぎがルーのようになってご飯に絡んでちょうどよく緩和される為、そこまで気になりません。
 まるでオニオングラタンスープに入っている玉ねぎみたいに濃密でまったりした旨味出汁が効いたソースがとにかく美味で、しょうが焼きや照り焼きのタレをもっとさっぱりサラッと、それでいて熟成させたような形容しがたい濃口の甘い醤油味が印象強かったです。
 次にびっくりしたのが鶏もも肉の想像を絶しる柔らかさで、丸一日かけて煮込んだ赤ワイン煮込みを彷彿とさせる程ホロホロした口当たりになっていました。
 ソースの美味さが中までしっかり染み込んでいてジューシーで、正直これ単品だけでもメインになりそうです。
 途中、レタスで鶏肉やご飯を巻いて食べるとシャキッとした食感で重厚な味が一転して爽やかな後口なる為、目先が変わるのもよかったです。


 カレーほどこってりしていないのに、食欲を掻き立てること必至な味わいですので、夏にうってつけな量だと思います。
 ビールはもちろん、キンキンに冷やしたチューハイ(特にグレープフルーツとレモン)や焼酎ロックにも抜群に合う為、しばし南国気分に浸れる料理でした。

●出典)『クッキングピープル~使えるカンタン料理コミック~』 たけだみりこ/実業之日本社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2012.09.06 Thu 23:24  |  はじめまして

はじめまして、ズボラ飯の検索でこちらのブログを発見させて頂いて以降すっかりファンになってしまった一読者です。

いつも美味しそうな再現料理ばかりでとても楽しく拝見させてもらっており、何度かこちらを参考に晩御飯のメニューを決めさせてもらったり、一方的ではありますがとてもお世話になっております。
こちらのオニオンアドボもとても美味しくできて好評でした。
鶏肉がなかったので中身は豚コマになってしまいましたが・・・(^_^;)

こちらのブログの影響でクッキングピープルも購入しました。
素敵な出会いを二つも頂きましてとても感謝しております。

あんこ様の書かれる美味しい記事をこれからも楽しみにしております。
それでは乱文失礼致しました。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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