『華中華』の“成人式チャーハン”を再現!

 日本人はナポリタン・カレー・ラーメンなど、他国の料理を「もはや日本料理だ!」と言えるほどアレンジする事で有名になっていますが、逆に日本発祥ではないのに「日本で作られた物だ!」と誤解されているソースがあります。
 その名もずばりサムライソースで、生誕地は何とベルギー。
 味の方はマヨネーズ、唐辛子ペースト、レモン汁などを加えたピリ辛ソースだそうで、あちらではフライドポテトにつけて食べるのが主流との事。
 何と、大きな瓶詰めの物が広く出回っているくらいすっかり定着しているのだとか。
 残念ながらどのような経緯で誕生したのかははっきり分かっていないそうですが、一体ピリ辛味のどこが侍なのか、考えるだけで夜も眠れません…。

 どうも、一昔前は「富士山、芸者、侍、忍者」だった海外での日本の認識が、最近ではそれに「アニメ」が加わるようになったと聞いてびっくりした当管理人・あんこです。


 今回再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんが二十歳になった記念として二十品目の材料を使って作った“成人式チャーハン”です!
成人式チャーハン図
 これは、ハナちゃんが満点大飯店へ来てまだ二年目だった頃のお話。
 数え歳二十歳になるハナちゃんは実家から成人式へ着ていく振袖を贈られてきたものの、通常よりもパーティー予約のお客さんが数倍増えて賑やかになる成人の日に私事で仕事を休むわけにはいかないと考え、修行に専念する為成人式を欠席する事を決めます。
 一日でも早く一人前の中華料理人になるという目標の為とはいえ、ろくに休まず息抜きもせず毎日働きまくっているハナちゃんを見ると、つい目頭が熱くなりました(つД`)。
 ちなみに、この頃のハナちゃんは夜になるとすぐに居眠りしてそのまま朝まで爆睡というシーンがかなり多く、新社会人が慣れない生活の中四苦八苦している様子がヒシヒシと伝わってきます;。
 本当に心底疲れていると、座っていようが立っていようが目の前が急に真っ暗になる感じで半ば気絶するような眠りが訪れやすいですが、ハナちゃんも同じ感じなのかな~と思うと共感すると同時に、非常にヤキモキさせられてしまいます(当管理人自身、遠い地で妹さんが社会人一年生として苦労しているのを案じている為、他人事とは思えませんorz)。
 全く、死後もなお「幽霊達と墓場合コン~(´∀`*)♪」と毎晩水を得た魚の如く活き活きしている楊貴妃さんとは対照的です;。
 しかし、このまま何もせずに成人の日を過ごさせるのはあまりに気の毒になった楊貴妃さんは、ハナちゃんへの餞別代りに、料理人としても一人前の大人としても一歩前進させるためにある料理の課題を出します。
 その課題とは、「成人式…二十歳にちなんだ二十種類の食材のチャーハンを新しく考え出す」というもので、それを聞いたハナちゃんは面白そうだし記念になるという理由で挑戦する事にします。
 言葉にするだけなら簡単そうに見えますし、実際炒め物や煮物などといった料理なら二十種類の材料を使うのも比較的容易に思えますが、問題は課題がチャーハンだという事。
 具材が多すぎるとご飯よりも具のボリュームがありすぎてただの炒め物になってしまう、かといってそれぞれの量を減らしすぎても逆に食材のよさが目立たずに二十種類も使う意味がなくなってしまう…。
 意外にも手ごわい難問に、ハナちゃんは仕事中悩みに悩みぬきます。
急に首が長くなって喋りだす楊貴妃さん、怖すぎです;
 そんな時、ハナちゃんは深夜に帰宅途中、飲み会で遅くなって終発を乗り過ごしてしまった康彦さん(この時はまだお二人は結婚しておらず、お見合いして一回ご破算になったもののちょくちょく会うようになるという不思議な間柄です;)と偶然会い、チャーハンの相談がてらハナちゃんのお部屋に泊まってもらって、一緒に材料について考える事になります。
 ※なお、大抵こういう場合漫画だといい雰囲気になることがほとんどですが、お二人は超がつく程初心で尚且つ二十品目のチャーハンという課題をクリアーする為に真剣に悩んでいたせいか、色っぽい展開は全くありませんでした(^^;)。
 ここまで徹底してピュア展開だと、ある意味お約束だと思わなくもないです;。

 その際、「十五穀米はどうでしょう?雑穀ですが体にいいし、美味しいので人気なんです」という康彦さんのアドバイスや、楊貴妃さんのイタズラでハナちゃんの口から飛び出てしまった「結納」というキーワードで康彦さんが閃いたおめでたい食材・昆布とスルメ、そして基本チャーハンの材料である卵、ネギ、白米を組み合わせて揃った二十品目の材料でハナちゃんが創作したのが、この“成人式チャーハン”です!
 作り方はなかなか独創的で、十五穀米と白米を合わせて炊いたご飯で作った基本チャーハンへ、細く切って醤油・日本酒・マヨネーズで和えて柔らかくさせたスルメ、塩昆布、長ネギを投入し、炒めたら出来上がりです。
 楊貴妃さん曰く、康彦さんはハナちゃんから結婚を即OKされた時に備えて結納の事を勉強したからこそスルメや塩昆布がすんなり思いついたとの事で、「肝心の結婚がダメだった代わりに、チャーハンで役に立つとはね~」と、康彦さんが聞いたらショックを受けそうな独白をしながら笑っていました;。
 けれども、この事がきっかけで一度は遠ざかったお二人のご縁はさらに強まった観がありますので、チャーハンに役立ったことも決して無駄な事ではなかったのだと個人的には思います。
夜中に二人っきりになるものの、色っぽい気配の欠片もないお二人;十五穀米の他には、卵・ネギ・スルメ・昆布を使用!
 その後、早速ハナちゃんは成人の日当日のお昼に上海亭で“成人式チャーハン”をお客さん達に振舞うのですが、「うまい!」「美味しい上に健康的でおめでたいなんて…最高ね!」とおおむね好評!
 さらに、二十歳の方は五百円のはずが二百円に値下がりするというお得なサービスまで行なった為、この日は満点大飯店の勢いに負けないくらい大繁盛した一日になっていました。
 ちなみに、“成人式チャーハン”は楊貴妃さんによって「二十品目の食材を使う→合格!」、「味わい→抜群だから合格!」、「一人前の大人は自分一人の力だけにこだわらず、人の力も借りれる→康彦から気持ちよく借りてたから合格!」という評価を得て百点満点の評価を下されており、課題もしっかりクリア扱いになっていました(^^)。
 それにしても、「大人とは、自分一人だけで何とかしようと意固地になる人ではなく、無理な事は無理・助けてもらいたい時は助けて欲しいと素直に他人から甘えすぎずに力を借りれる人の事を指す」という楊貴妃さんの考え方は深い、と目からウロコが落ちました。
 普通は一人で何でも出来る人が大人のように思われがちですが、よくよく考えてみれば頑固になりすぎて人の意見を聞かず突っ走る人よりも、柔軟に色んな意見や助けを借りれる人のほうが確かに色んな意味で大人のような気もします。
成人式帰りの若者達によって、上海亭はすぐに満員になりました
 成人式はもうとっくに過ぎているのでどうかとも考えたのですが;、久々にこの話を呼んでいくうちに無性に食べたくて仕方がなくなったので、ほぼ衝動的に再現する事にしました。
 巻末の詳細なレシピを使い、なるべく忠実に作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、各食材の用意。ボウルへ調理用ハサミで細長く切ったスルメ、醤油、日本酒、マヨネーズを投入してよく混ぜ合わせ、スルメが水分を吸ってしんなりするまで放置します(約三十分~一晩のどちらでも可)。
 ※分厚い物よりも、やや薄めのスルメの方が食べやすくていいかもしれません。
成人式チャーハン1
成人式チャーハン2
 白米と十五穀米を合わせてからお水と一緒にオカマの中へ入れ、そのまま普通に炊きあげます。この時、やや硬めに炊き上がるよう気をつけます(但し、雑穀が入っている分余計水気が必要になるので、水加減は白米の時よりも気持ち多めがおすすめです)。
成人式チャーハン3
成人式チャーハン4
 次は、チャーハン作り。
 先程用意した十五穀米入りのご飯を使い、中華鍋(又はフライパン)で以前に作り方をご紹介したハナちゃん流基本チャーハンのレシピ通りに基本チャーハンを長ネギ抜きで作りあげ、途中乾燥したタイプの塩昆布を加えて味付けを調整します。
 ※後で醤油マヨ味のスルメを入れますので、ちょっと薄めでOKです。
成人式チャーハン5
成人式チャーハン6
 仕上げに準備しておいた味付きスルメと刻み長ネギを投入し、ざっと混ぜ合わせます。
 その際、スルメについている醤油マヨネーズはチャーハン全体に馴染むのに少々時間がかかる為、一粒一粒のご飯粒へ行き渡るようしっかり炒めます。
成人式チャーハン7
成人式チャーハン8
 チャーハンと具と調味料がきっちり混ざり合ったのを確認したら火を止め、そのまま丸い形に盛りつければ“成人式チャーハン”の完成です!
成人式チャーハン9
 そこまで濃い目に味付けしていないはずなのですが、十五穀米特有の色合いのせいかややこってりそうな色に仕上がりました。
 じっと目を凝らしてみると、白米だけではない様々な粒々があちらこちらに見えて、食べる前からもう「歯ごたえが楽しそう」とワクワクさせられます。
 昆布のいい香りが食欲をそそりますし、期待大です! 
成人式チャーハン10
 それでは、出来立てほやほやの内にいざ実食!
 いただきま~すっ!
成人式チャーハン11


 さて、味の感想ですが…噛めば噛む程さらに美味しくなっていく深みのあるチャーハン!意外にもちょうどいい塩具合でパクパクいけちゃいます!
 一見すると乾物ばかりで何だか硬そうにみえてしまいますが、実際に食べると白米とそう変わらぬふっくらハラリと優しいほどけ加減で、柔らかく戻った乾物の程よい噛み応えが心地よいです。
 塩昆布の磯の香り漂う味わい深い塩気と、マヨネーズのまろやかなコクがチャーハン全体に混ざり合い、しょっぱいだけではなく奥行きのあるマイルドな甘塩味に仕上がっていました。
 粟・ひえ・白ごま・黒ごまのプチプチ感、麦のプツプツ噛み切れる歯切れのよさ、もちきびのもっちりした口当たりがいいアクセントになっており、たまに小豆や黒豆が歯に当たると「お!」という気分になり、口元がほころびます。
 十五穀米は独特の癖があるので苦手な方も多い食材ですが、チャーハンにする事によってその癖が軽減されると同時に旨味へと転化していて、白米だけでは出ない風味豊かな甘味や香ばしい匂いがプラスされているのに感嘆しました。
 噛むごとにスルメや塩昆布から強烈な旨味を感じる出汁がジワジワと溢れだし、食べ進めていくにつれてどんどん複雑な味わいへと変化していくのが面白いです。
 刻みネギのシャキシャキ感が後口を爽やかにしているのが単調さを防いでバランスをよくしていますし、健康にもよくおめでたい、まさにお祝いの席にぴったりな一品だと感じました。


 一見、目新しい要素がないように感じられるチャーハンですが、いざ食べてみると想像とはかなり違った味なので驚かされます。
 十五穀米ではなく、十六穀米や二十穀米みたいにもっと癖の強そうなお米で作ってみてもおいしそうです。
 再現料理を作り続けていると、今回のように見た目通りにはいかない変わった美味しさの料理と出会う機会が多い為、刺激的で当分やめられそうにありません(^^*)。

●出典) 『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2012.07.01 Sun 09:10  |  大人とは

あんこさん、おはようございます。いつも楽しく拝見しています。

「侍」という言葉は日本人にとってあまりに身近になりすぎて
国内では名称に用いる事はあまりないですよね。
「竜田揚げ」的な感じで日本人に馴染みがありつつ、言葉
遊びとしてひねりがある感じにするかと。逆に海外では日本を
良く知らない人にすぐ日本を連想してもらえるよう、あえて
「富士山」とか「相撲」とか使いそうですね。

大人とは何か、といわれると一口に言うのは難しいですが、
仕事においては【「過程」より「結果」にプライドの持てる人】
という事でしょうか。1人で仕事をこなすのも立派な事ですが、
それにのみこだわりすぎて期日を大幅に遅れたり出来栄えが
おざなりだったりしては意味がないのでしょう。たとて人に頭を
下げ、助力を乞うても満足のいく結果を残す事、それが仕事を
する大人、というものかもしれませんね。
だからこそ、家庭を大事にしたい気持ちがあっても仕事も
おざなりに出来ないお父さんのジレンマがあるのかも。

長々書いてすみません。これからも再現料理楽しみにして
います。では、また~。

  • #SFo5/nok
  • kawajun
  • URL
  • Edit

2012.07.03 Tue 01:44  |  

ご飯を炊くとき(雑穀でも良いですが)浸した水を替えて焚いてみてください。野菜の灰汁がぬけて一味変ります。白米もおこげが出来にくく成りますが保温しても変色しにくくなります。お試しあれ。^^

  • #I1nBa9Is
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プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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