『幸せレストラン』の“フォアグラ丼”を再現!

 どういうわけか、最近近所のイ○ンで昔の同級生と何年ぶりかの再会をする機会が増えています。
 ある日は中学生の時の同級生、またある日は高校生の時の同級生…数日前など、元銀行の同期にまでばったり再会しており、おかげでその度に「どこかでお茶しよう」となっている為、臨時出費が凄い事になっています。

 どうも、某同級生が先生と結婚したという情報を知って思わず「いつから付き合っていたの?」と何よりも優先して聞いてしまった当管理人・あんこです。


 今回再現する漫画料理は、『幸せレストラン』にて主人公・山津耕助君の義母・有子さんがお客さんの為に特別に作った“フォアグラ丼”です!
フォアグラ丼図
 漫画『幸せレストラン』とは、幼い頃に志半ばで亡くなった名フレンチシェフの父・テルさんの残した黄金のレシピノートを頼りに、実家のレストランを本格的なフレンチレストランとして再び復活させようと燃える高校生・山津耕助君と、たった三日間だけの結婚生活ですぐに夫を亡くした後もなおシェフ兼店主としてレストランを切り盛りし続け、まだ小さかった義理の息子である耕助君を女手一つで育ててきた心優しい義母・有子さんの二人が、レストラン・<ドールハウス>を舞台にお客さん達を心のこもった料理で幸せにしていくという、サービスを重視したハートフル系レストラン漫画です。
 下の扉絵を見ると仲が良さそうに見えますが、物語当初の耕助君はお父さんの夢の集大成である<ドールハウス>を、「客に合わせて丼物やお茶漬け、肉じゃがまで出してしまう―。仏料理店ではなく、まるで大衆食堂だ(耕助君談)」という姿に変えてしまった有子さんにずっと反発心を抱き続けており、高校生になってからは厨房に立って料理修行をしつつ本物のフランス料理を作ろうと有子さんに対してムキになる毎日を過ごしています;。
 けれども、二人のお料理を食べ比べるとお客さん達は二つとも美味しいと言いつつ最終的には有子さんの作る料理の方を評価することがほとんど。
 そして、有子さんの料理に心震えたお客さんは周囲に「<ドールハウス>に来た人はみんな幸せになる」「ドアを開ける時には、世界が違って見える」という言葉を広めるのです。
 その理由は、耕助君は自分の料理の腕自慢&お父さんのレシピを忠実に再現する事を優先してしまいがちなのに対し、有子さんは「今、お客さんは何を一番食べたいのか」を真摯になって考え心をこめた仕事をする為。

 実を言いますと、耕助君は小さすぎて覚えていなかったようですが、テルさんは死の間際に「来たお客さんが帰る時幸せになって、ドアを開けたら世界が違って見えるような、そんなレストランにしてくれ」という遺言を残したとの事。
 その事もあって、有子さんは忠実な再現よりもお客さんへのサービスを優先するようになったようで、だからこそフランス料理という枠のみに拘らないレストランにしたそうです。
 その為、耕助君の周りの人達は「父さんのフランス料理だけを店で出すんだ!」という情熱が先走って空回りしがちな耕助君に苦笑しつつ、「有子ママにはまだまだ叶わないね」という視線を向けがちです(なので、内心「まるで『美味しんぼ』中期以降の山岡さんが雄山タンがらみでからかわれる様子そっくりだ」と感じました;)。

 これは、作中で耕助君と微妙な仲になっている幼なじみの女の子・江越愛ちゃんが言っていたセリフですが、「有子ママってきっとお客様の<後ろ側>まで見えるのね。レシピとかそういう決まりごとを越えて…何ていうか、その人の望みとか状態とか…」という一言に全てが凝縮されているように思います。
 その昔、当管理人は学生時代にあるデパートでバイトをした事があるのですが、お店に出る前に受ける研修で「サービスとは、決して型にはまったものではない。<相手がしてほしいことをする>、これこそがサービスの原点である」という一文を教わった事がありますが、有子さんがお客さんから選ばれる理由は上記を徹底しているからだと感じました。
 この作品を読んでいると、先代譲りの本格的で美味しい料理も勿論お店には大切な要素ですが、それを提供する人間の方は前の時代のままで留まるのではなく、常に臨機応変に応対して行く事とが必要なのだと実感させられます。
 
 そして、一巻の終わり頃に耕助君もやっとその事実に気付いて徐々に歩み寄ろうとするのですが、残念ながら『幸せレストラン』は途中から何故か耕助君が全国へ料理修行をしに行く超展開になってしまう為、あまり<ドールハウス>がメインにならない話ばかりになってしまいますorz。
 その為、あまり二巻以降はおすすめできないのですが、初期は料理もサービスも感心させられる事しきりですので、そちらの方を推奨いたします(^^;)。 
三日で夫を亡くして以来ずっと義理の息子・耕助君と暮らしている有子ママ
 本日ご紹介するエピソードは、記念すべき第一話にて<ドールハウス>のディナータイム時に小さな息子さんを連れてお食事にやってきた、ある男性のお話。
 普段はあまり食事にこだわらないものの、以前に一度だけランチタイムで食べた“フォアグラ丼”の感動が忘れられず、息子さんの誕生日祝いとしてどうしてもご馳走したくてやって来たと語る男性でしたが、実はそのメニューは有子さんが気まぐれでランチで提供していたメニュー表にないお料理。
 それを知った男性は遠慮して別の料理を頼もうとしますが、散々お父さんからその美味しさを聞かされていたらしい息子さんがフォアグラがどんなに高級か知らずに「ほあぐらっておいしいんでしょ?僕食べてみたい」とあどけなく言う様子を見た有子さんは、ちょうど運よくいいフォアグラを安く仕入れていたのもあって、特別にあの時と同じランチ価格である千九百円円で“フォアグラ丼”二人分をお出しする事にします。
ランチで食べたフォアグラ丼を息子の誕生日に食べさせたいと来店したお父さん
 しかし、丼料理というフランス料理からかけ離れた物をまた作ろうとする事を知った耕助君は「フォアグラ丼なんてそもそもうちのメニューにはないんだ!」と激怒し、うちはボランティアでやっているんじゃないのに原価を割ってしまったらどうするんだと詰め寄ります。
 けれども、有子さんはちゃんと利益を考えつつお客さんにも満足してもらえるような特製“フォアグラ丼”をお二人に提供し、耕助君を不承不承ながらも納得させていました;。
 作り方はそこそこ手が込んでいて、ソテーしたフォアグラと夏野菜をパテにしたフォアグラを混ぜ込んだバターライスの上に乗せ、<ドールハウス>自慢のフォンをベースにした醤油甘辛ダレをかけたら出来上がりです。

 どうやら前にお出しした“フォアグラ丼”は、本格ソースを絡めたフォアグラのソテーをそのまま豪快にシンプルなバターライスの上へ乗せた大人っぽい一品だったようですが、原価を抑える為に「フォアグラはいくつかに切り分け、形の崩れた物はパテにしてバターライスに入れてボリュームアップ」「フォアグラの量がやや少なくなる分は、旬の夏野菜をちりばめる事によってカバー」「ソースはフォンを活かしつつも充分美味しい蜂蜜入り甘辛ダレ」といった風に臨機応変にレシピを変更したそうで、おかげで男性は大喜びで有子さんに感謝していました。
 おまけに、蜂蜜を入れたのはどうやらまだ小さい息子さんの味覚に合うようにと考えたからだとの事で、おかげで男性は嬉しそうな息子さんの横顔を見つつ「ここはやはり幸せレストランだ」と確信していました。
元々ないメニューを原価無視で出す事はないと激怒する耕助君フォアグラを使いながら低価格かつ満足度はそのままな丼を作る有子ママ
 高級食材であるフォアグラと今まで全く縁のなかった当管理人が、いきなりこんなハードルの高い料理を作っていいものかどうか散々迷いましたが、作中に出てくる“フォアグラ丼”があんまり美味しそうで好奇心がうずうずして止まらなくなり、ついに先日思い切って購入しちゃいました;(思い切るのに、ざっと二年かかりましたorz)。
 作中に簡易的なレシピもありますし、驚くべきごとに料理本やネット上でも数多くの資料に恵まれた為、それらを参考に早速再現してみようと思います! 


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、フォアグラの下準備。あらかじめ食べやすい大きさにスライスされたフォアグラを、油をひかずに中火で熱したフライパンに並べ、両面にこんがりした焼き色がつくようにソテーします。
 いい頃合で火が通ったらすぐに取り出し、二口で食べきるくらいのサイズに切り分けます(形が崩れている部分は後にパテにして使用するので、別に取っておきます)。
 ※その際、あんまり焼きすぎてしまうと旨味の素である脂が抜けすぎてしまいますので、余熱で中に火が通るくらいでさっと取り出すのがベストです。
フォアグラ丼1
フォアグラ丼2
フォアグラ丼3
 次は、特製バターライス作り。
 前もってバターと炒め玉ねぎを加えて炊いておいたバターライスへ、ソテーにしたフォアグラを漉し器ですりつぶしながら漉して作ったパテを熱々の内に投入し、さっくり混ぜ込みます。
 ご飯全体にパテが混ざってうっすら色づいたら、特製バターライスの出来上がりです!
フォアグラ丼4
フォアグラ丼5
フォアグラ丼6
 その間に、フォアグラを焼くのに使ってまだ脂分が残っているフライパンへ白ワインを注いで強火でアルコール分を飛ばし、そこへ醤油、蜂蜜、バルサミコ酢、フォン・ド・ボー(残念ながら、市販の物を使用;)を加えて煮詰めます。
 量が2/3程度にまで減り、味見をしつつ自分好みになるよう塩加減の微調整をしたら、特製甘辛ダレは準備OKです。
フォアグラ丼7
フォアグラ丼8
 ここまできたら、いよいよ盛り付け作業。
 丼に先程用意した特製バターライスをよそい、その上へ刻んだキャベツ(意外ですが、作中の絵にそれらしい描写があったので用意しました;)→少量の油でソテーしたアスパラ・ナス・ピーマン→ダイス状に切ったトマト→ソテーした切っておいたフォアグラの順に具を手早く乗せていきます。
フォアグラ丼9
フォアグラ丼10
フォアグラ丼11
 具を全部乗せ終えたら丼全体へ特製甘辛ダレをやや多めに回しかけ、テーブルへお箸と共に運べば“フォアグラ丼”の完成です!
フォアグラ丼12
 トマトの赤、アスパラやピーマンの緑、ナスの紫がソテーによって一層鮮やかになっており、甘辛フォアグラの白によく映えています。
 香りの方も、何ともいえない艶かしい胃袋を鷲掴みにされる素晴らしさで、見た目は丼なのにフランス料理みたいな品のよさを感じさせられました。
 見るからに夏らしいイメージの一品で、一体どんな味がするのか非常に楽しみです!
フォアグラ丼13
 それでは、出来立てほやほやの内にいざ実食!
 いただきまーすっ!
フォアグラ丼14


 さて、味の感想ですが…和と洋がうまく手を取り合って融合した、高級感溢れる贅沢な味わい。夏野菜の爽やかさがフォアグラとよく合っています!
 初めてフォアグラを食べましたが、レバーみたいな独特の奥深いコクがありつつもとろけるように甘い味わいが特徴的で、脂肪を多く含むせいかこの上なく濃厚な旨味を感じました。
 しかし、レバーを連想させる味わいでありながらもぱさつき・筋・硬さという物が全くなく、サラリとどこまでもなめらかに舌の上をすべるような口当たりが印象的で、特に噛んだ時のふんわり柔らかいまるで羽毛布団みたいに優しく儚い食感は、他の食材では類を見ないものです。
 レバーと部位は同じなのに例えようのない無二の味は、さすが世界三大珍味の内の一つだと言わざるを得ません。

 強いて言うなら「癖や苦味を全部抜いてババロアに仕立てた極上のレバー」というイメージで、ムースやババロアにそっくりなジュワジュワした歯触りやまろやかさが強く記憶に残ります。
 濃厚ではあるものの不思議としつこさやくどさを感じさせないまったりした旨さのフォアグラに、バルサミコ酢のフルーティーな酸味と蜂蜜の自然な甘味がベースとなった甘辛醤油ダレと相性抜群で、思わず溜め息をつきました。

 正直、フォアグラのパテ入りバターライスはこってりそうだと覚悟していたのですが意外とあっさりめで、バターの香り高さがほんのり効いたご飯からフォアグラの風味がフワッと控え目に漂うくらいで留まっています玉ねぎとフォアグラのそれぞれ違う甘さが複雑に入り交じり、噛むごとに奥行きが広がる出来栄えでした)。
 夏野菜のはち切れんばかりにフレッシュな味わいがフォアグラの濃い旨味と調和し、味が膨らみすぎる所をバルサミコ酢の優雅な酸味でキリッと引き締める、そんな印象のバランスがいい創作丼でした。



 フォアグラに、キャベツのシャキシャキ感、トマトの甘酸っぱさ、アスパラのサクサクした軽やかな食感、ピーマンのほろ苦さ、ナスのジューシー感とばっちり合っており、いい箸休めになっています。
 肉にありがちな臭味が感じられないので、むしろフォアグラは肉が苦手な方向きな食材ではないだろうかと思いました。
 
●出典)『幸せレストラン』 中西やすひろ/少年画報社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
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