『酒のほそ道』の“うな肝チーズ焼き”を再現!

 今年は丑の日が一回こっきりな為、うなぎは前回の再現料理のみ食べて満足しておこうと考えていたのですが、先日とうとう我慢できずにひつまぶしを作って食べてしまいました;。
 白焼きも美味しいですが、もはや脳内で「うなぎ=タレの味」とインプットされているのだな~としみじみ実感した今日この頃です。

 どうも、その昔文豪の宇野千代さんが自作して食べたというアナゴのバター焼きが気になってしょうがない当管理人・あんこです。


 今回再現する漫画料理は、『酒のほそ道』にて主人公・岩間宗達さんが二の丑が来る前に家で作った“うな肝チーズ焼き”です!
うな肝チーズ焼き図
 丑の日が二度あったある年の夏、宗達さんは「そういえば、こないだの丑の日に食いそびれたな」と一の丑の日が過ぎ去った後にはたと気付きます。
 実を言いますと宗達さんはうなぎが大好物で(と言うより、食べること全般が大好きなんですが;)、毎年夏になると必ずと言っていい程うなぎ屋へ食べに行くお話が掲載されているのですが、この時は珍しく食べ逃してしまった様子。
 案の定、急にうなぎ欲(?)が刺激されてしまった宗達さんは、思い立ったが吉日とばかりに「よし、今日食うか!」と二の丑を待たずに家でうなぎ料理を作る事を決めます。
 本音ではお店で本格的なうな重を食べたかったようですが、「うなぎは家で食べた方が安上がり」だと判断してぐっと我慢したらしき描写が作中でちらりとあり、思わず「ですよね~!」と当管理人も力強く頷いてしまいました;。
 特に、それまでは運がよければ千二百円くらいで買えていた国産うなぎの蒲焼きが、今年はどこへ行っても千六百円~千九百円くらいでしか売られていないという前代未聞のうなぎ高値の年だった為、余計に痛感していますorz(どうやら、今年はうなぎの稚魚が不漁だった事が高騰の原因だったそうです)。
 ただ一つ難点を挙げるとするなら、スーパーで買ったうなぎにありがちな硬さ&脂っぽさですが、これらは宗達さんが推奨していた「表裏に熱湯をかける→水分を拭いてタレを塗る→焼き網で炙る」という宗達流うなぎの下ごしらえ法や、前回ご紹介した市販のウナギをふっくらした焼き立て状態に戻す方法でほぼ完璧に解消できる為、そこまで気にならないと思います。
家でうなぎ料理を作って食べた方が安上がりと判断した宗達さん;
 その際、宗達さんは合計四種類のうなぎ料理(“宗達流肝入りうざく”、“宗達流山いも入りう巻き”、“うな肝チーズ焼き”、“うなぎあんかけそうめん”。ちなみに、全部作中にてレシピが公開されています!)を作成しているのですが、それらの中でも一際創作性に溢れていて目に留まったのがこの“うな肝チーズ焼き”!
 作り方はものすごくお手軽で、温めなおした市販のうなぎの肝・蒲焼きのタレ・青ネギ・チーズをバターを塗った耐熱容器に入れ、オーブントースターで焼いたらもう出来上がりです。
 宗達さん曰く「和洋折衷でボリュームあるね」との事で、見るからにビールに合いそうなんですが、意外にも日本酒のロックと相性がいいと言われていた為ちょっと驚きました。
 ともあれ、作中で宗達さんはこれらのうなぎ料理を前に「しかし、うなぎ屋で飲むより酒がすすんで弱っちゃうな(´∀`*)」全然弱っていない表情で至極満足そうに晩酌をしており、読んでいて思わず羨ましくなりました;。
 確かに、外食している時だと「この料理はお酒にぴったりそうだけど、ビール一杯に五百円は勇気がいる…」とアルコール類の割高な値段に尻込みしてなかなか頼めませんし、仮に調子に乗って注文しまくってしまうとお会計の時にすっかり酔いが醒めてしまいますので、家だと安心してついグラスが進んでしまう宗達さんにはかなり共感してしまいます;。
 何より、周囲への気兼ねなしにのびのびと飲めるのは大いに魅力的ですし、懐が寂しい時期には家飲み万歳ですね。
満足な出来栄えの自作ウナギ料理に舌鼓を打ち、お酒が進む宗達さん
 しかし、気分的にもお財布的にも安心して「ふ~。やっぱり、家で食って正解だった…」と言いながらうなぎを平らげたにも関わらず、宗達さんは二の丑の日になるとうなぎ屋へ駆け込み、衝動的にうな重をかっ込んでいました。
 最初にこのオチを見た時は、「結局高くついてる~Σ(´Д`;)!」と激しく突っ込んでしまいましたが、『酒のほそ道』読者にとって宗達さんの風見鶏並みに頻繁な趣旨変えはもはや日常茶飯事ですので、今ではすっかり慣れました;。
 その為最近では、宗達さんが作中で何かこだわりを主張するのを紙面で読むたび「今回はどれくらい趣旨変えしてくれるんだろう(その時々によって、全面・五割・変わらず・本当は変わったけれど意地を張るのどれかに変化します)」と少しワクワクしながら最後のページをめくるのが楽しみになっています(^^)。
最後の最後はウナギ屋さんのうな重で〆てました
 うなぎの価格が上がっている最中だったので「来年に持ち越そうか…」と諦め気味だったのですが、あるスーパーで国産物が破格のお値段で売られているのを見つけ、内心ガッツポーズをしながらすぐさま購入しました。
 詳しいレシピが作中に載っている事ですし、早速なるべく忠実に再現してみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、うなぎの肝の下処理。市販のうなぎの肝(大抵、串打ちされて素焼きにした状態で売られています)を串から外し、網かグリルで両面をこんがり炙ります。
 表面が香ばしくなってきたら火からおろし、バターを薄く塗った耐熱容器へ入れます。
 ※もし匂いが気になる場合は、日本酒を振りかけてから炙ると大分マシになります。
うな肝チーズ焼き1
うな肝チーズ焼き2
 うなぎの肝全体に蒲焼きのタレを回しかけながらまぶし、その上から刻んだ青ネギとピザ用チーズをたっぷりかけます。
 そのままオーブントースターへ入れ、約五~十五分かけて火の通り具合を観察しながら焼きます(今回は原作レシピ通りの具しか加えませんでしたが、個人的にごぼうの千切りをプラスしても美味しそうだと感じました)。
うな肝チーズ焼き3
うな肝チーズ焼き4
うな肝チーズ焼き5
 チーズの表面がこんがり焼けて縁がカリッとしてきたら取り出し、日本酒のロックと一緒に机へ運べば“うな肝チーズ焼き”の完成です!
うな肝チーズ焼き6
 色味に乏しそうだと予想していましたが、ネギの青さが辛うじて茶色一色の殺風景な料理になるのを防いでおり、バランスがいいように感じました。
 うなぎのタレの香ばしい香りが鼻腔をくすぐって胃袋へ直撃し、「これは日本酒に合いそうだな~」と一気に食欲が呼び覚まされます。
 器の縁にやや焦げてくっついているカリカリチーズが見るからに美味しそうで、早く食べたいと思わず喉が鳴りました。
うな肝チーズ焼き7
 それでは、熱々のうな肝にチーズをたっぷり絡めていざ実食!
 いっただきまーす!
うな肝チーズ焼き8


 さて、味の感想はと言いますと…意外な事に、キリリと冷えた日本酒がぐいぐい進む乙な味!濃いめなうなぎの肝が心もちマイルドになっています!
 うなぎの肝を食べるのは初めてだったのでドキドキしましたが、いざ食べてみると鶏のレバーにも結構似たイメージの深くて密な味わいだった為、びっくりです。
 ただ、鶏のレバーよりもずっと癖や臭みが少なく、やはりどんなにそっくりでも喉に消える時のくどくないあっさり感は「魚!」と実感させられるには十分なもので、予想以上にさっぱりした旨味なのが印象的でした。
 脂分は控え目でほんのり苦味があったものの、蒲焼きのタレのおかげで濃厚な甘辛さがプラスされており、うなぎ本体とは全く別の次元の旨さです。
 また、焼いた肉類のレバーみたいに「ジャクッ!」とした食感が少々あるものの、コリコリした独特の歯触りがあるのがまた違った感じで美味だな~と思いました。

 ほんのり蒸し焼きにされた刻んだネギの鮮やかな香りとしゃっきりした歯触りがわずかに残るうなぎ特有の匂いを程よく消しており、いいアクセントを与えています(考えてみれば、ひつまぶしでうなぎとネギの相性の良さは実証済みでした;)。
 あと、とろけたチーズのコクとまろやかな塩気がうなぎの肝と驚くくらいよく合っており、相乗効果でさらに深い味になっていました。
 バターの風味がなじんでいても違和感がなく、お酒には勿論ご飯にもぴったりそうだったので、いっそドリア風にしてみても良さげです。


 食べながら内心、「うなぎは和洋折衷料理の食材としてはかなり優秀な魚かも…」と思いました。
 国産物を選んだとしても、ウナギ本体よりもぐっとお安く購入できますので、お財布が厳しい時に栄養を漬けたい時にはうってつけの食材なんじゃないかな~と感じました。

○追記
 あのー様、先日は当ブログコメント欄でごもっともなご指摘をして下さり、感謝いたします。
 基本的に、このブログで使用されている記事の画像と文章は、それぞれの出版物等から引用しており、引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 その為、各著作物のご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡を頂き次第速やかに削除させて頂こうと考えております。
 また、他に私が再現料理を始めるようになってから固く誓っている事は、「正式な申し出をせずに人様の作品を使わせて頂いている以上、自身の営利になるような事は一切しない」という事もあります。
 その為、アフィリエイトを始めとする自分の利益に繋がる事は極力控えておりますが、もしこれは営利活動ではないかと気になる点がございましたら、当方までご連絡頂けますと大変ありがたいです。
 
 最後に、無記名様、11様、kawajun様、コメント欄にてありがたいお言葉を下さり、誠にありがとうございました。

●出典)『酒のほそ道レシピ 四季の味特別編』 ラズウェル細木/日本文芸社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
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 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
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