『酒のほそ道』の“カニの卵白焼き”を再現!

 先日、近所にあるマンガ倉庫へ相方さんと一緒にぶらりと立ち寄ったんですが、何故か「クゥ~リスマスが今年もやぁ~ってくる~♪」とあの定番ソングが大音量でガンガンに流れており、ちょっと気圧されました;。
 数分聞くだけだったらほほえましいのですが、何度もエンドレスで聞くと結構精神的にクル物があるので、「もしかしたら、立ち読み客を追い払う為の対策なのかな…?」と少し疑惑の心が芽生えてしまいました。

 どうも、この時期になると昔投稿雑誌で読んだ「ゲームショップの店員さんに<天狗の花嫁というソフトはありますか?>と聞いていたおじいさんは、あの後無事にドラクエⅤを購入できたんだろうか…?」ネタを思い出す管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『酒のほそ道』にて主人公・岩間宗達さんが朧月の夜におつまみとして作った“カニの卵白焼き”です!
カニの卵白焼き図
 それは、ある朧月の夜の事。
 無性にカニを食べたい気持ちになったものの、値段の高さから断念した宗達さんは、本物のカニの代わりにカニカマやほぐし身のカニ缶を使って満足度100%の「なんちゃってカニ料理」を作ろうと心に決め、いそいそと帰宅します。
 確かにこの季節になると、一度くらいは奮発して思いっきりタラバガニや毛ガニを食べたくなりますが、宗達さんの言う通り目の玉が飛び出るくらい高いお値段で諦める事が多い為、大いに共感しました;せいぜい、最安値の冷凍ズワイガニを買って鍋の具の一つにするのが庶民の限界ですorz)。
 「なんちゃってカニ料理」と言っても、ほぐし身のカニ缶はフレーク状とはいえ一応本物のカニなので、ワンコインにも満たないお値段でカニの贅沢出汁がたっぷり効いた料理が楽しめるのはかなりお得な気分になれるんじゃないかな~と思います。
 ちなみに、このお話の後に載っているコラムで作者のラズウェル細木先生はカニカマを「逆に、あんまり本物に酷似していないところがいい。あんまり似てると、<ニセモノ><代用品>といった印象が強くなり、悲しくなっちゃうもんな」と話しており、カニカマはなるべく本物っぽい味の方がいい派な当管理人は少し衝撃を受けました;。
 よくよく考えれば、カニカマは純粋な意味での代用品というより、<カニカマ>という一つの食ジャンルが築けてしまえそうなほどカニとは違った魅力のある食材だと認知されてきた観があるので、ラズウェル細木先生の言いたい事は何となく分かるような気がします。
本物のカニではなく、カニカマとカニ缶でどこまで満足できるか挑戦する宗達さん
 カニカマやカニ缶の調理法といえば、当管理人はカニ玉・サラダ・スープorチャーハンの具くらいしかアイディアが出ず、実際宗達さんの方も無難なカニ玉を作っているのですが、それでも精一杯工夫してゴージャスになるよう調理しているので流石だな~と思いました。
 その中でも、一番個性的で目を引いたのがこの“カニの卵白焼き”!
 作り方はなかなかお手軽で、卵白・カニ缶・えのき・塩・水溶き片栗粉を混ぜた物をふわふわに焼き上げ、その上に生の卵黄をつぶしてかけたらもう出来上がりです。 味が非常に淡白な卵白とカニを合わせることにより、カニの旨味をさらに強調できる異色のかに玉との事で、別に卵黄をかけると一番安いカニ缶でもリッチな気分が味わえると作中で宗達さんが自画自賛していました(^^;)。
 似たような料理を挙げると中国の芙蓉炒蟹粉(カニと卵白の炒め物)がありますが、あちらは炒めた卵白の上に濃く味付けしたカニ餡を乗せるか、もしくは卵黄を使わずごま油やスープなどで調味するかとそこそこ手を加えた感じのレシピが大半なので、この“カニの卵白焼き”は和のテイストを強めにして日本人好みに仕上げた一品といえそうです。 

 こうして、宗達さんはカニカマ玉と“カニの卵白焼き”をおつまみにしてビールをガンガン飲み、お腹いっぱいになって「セールのカニカマとベニズワイ缶でこんなに満足出来るんなら、わざわざお高いカニなんか食わなくてもいいや」と豪語するのですが、そう言った瞬間に宅急便で親戚の叔母さんから送られてきたタラバガニが届き、「一足遅いんだよー!!」と嘆いていました;。
 やっぱり、本心では本物のカニの方が恋しかった模様です;。
卵黄と卵白に分けてふわっふわに仕上げるのがおいしさの秘訣だそうです
 奇遇な事に、当管理人も近所のスーパーでベニズワイのほぐし身カニ缶をいつも以上に安く手に入れられた為、再現と決意しました。
 早速、作中に載っていたレシピ通り作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、卵白液の用意。卵を卵黄と卵白に分け、卵白が入っている方のボウルへ大雑把にみじん切りにしたえのき、ベニズワイのカニ缶、塩、水溶き片栗粉を加えてよく混ぜ合わせます。
 この時、混ぜるのが中途半端だとフワフワ感のあまりない寂しいかに玉になりますので、メレンゲとまではいかなくてもぶくぶく泡立った感じに仕上げるといいです。
 ※卵黄は最後に使うので、別皿に取っておきます。
カニの卵白焼き1
カニの卵白焼き2
カニの卵白焼き3
 次は、焼き作業。
 油をひいて熱したフライパンへ先程の卵白液を一点に集中して流し込み、焼き目がついた所をひっくり返しながらかき混ぜるようにして炒めます(←柔らかすぎていっぺんに返すのは不可能ですので、ちょこちょこ返した方がいいです)。
 この時注意するのは火加減で、弱火でジワジワゆっくり火を通していかないとすぐに焦げてボソボソになる為、火力を上げすぎないよう気をつけます。
 全体が半熟状になったら丸くまとめてすぐに火からおろし、お皿へ盛り付けます。
カニの卵白焼き4
カニの卵白焼き5
 卵白焼きの中心に卵黄をつぶした物(卵黄の皮みたいな部分は、そのまま使っても除いてもOKです)をトロ~ッとかければ、“カニの卵白焼き”の完成です!
カニの卵白焼き6
 正直、もっと淡い色合いを予想していたのですが、カニがうっすら透けて所々が薄ピンク色になっている卵白と、余熱でわずかに熱が入って輝くようなオレンジ色になっている卵黄の取り合わせがとてもキレイでした。
 水っぽくなるかと思いきやちっともそんなことはなかったですし、お酒のおつまみどころかご飯のおかずとしてもいけそうです。
 食べる前から既に美味しそうなので、期待大です!
カニの卵白焼き7
 それでは、熱々の内にいざ実食!
 いただきま~す!
カニの卵白焼き8


 さて、味の感想ですが…淡くて儚い口溶けの卵白が美味!安いほぐし身がここまで化けるとは衝撃です!
 一体どんな食感なのかと思い探ろうとしたものの、辛うじて固まったという風な極限までふわふわに仕上がった卵白は、口へ含んだ途端サッと舌になじんであっという間に溶けていった為、まるで淡雪か薄雲のようとしか例えようがありませんでした。
 卵白のわずかな塩気と、カニエキスのジューシーな甘さがゆっくり合わさって優しくとろけゆく様はまさに溜め息物で、思わず正座をして頂きたくなるような品のよさに溢れています。
 後に残るのはカニの味わい深い出汁の余韻のみで、「ここまでデリケートな口当たりのカニ玉は食べた事がない」とうっとりしました。
 この淡泊な卵白に、卵黄の濃厚でまろやかなコクが加わると口の中が一気に華やかになるのがバランスよく、程よいボリューム感が出ているのがよかったです。
 卵白と卵黄が別々になっている分、それぞれの特徴と良さがはっきりしているのが卵好きにはたまりません。
 カニのほぐし身のしっとりした歯触りと、えのきのシャキシャキした噛み応えが卵白の柔らかさとよく合っている為、ちょうどいいアクセントになって飽きを防いでいるのもいい感じです。
 何気にえのきからにじみ出た旨味成分が、塩味だけの卵白に奥行きを与えていたのに感心しましたし、シンプルながらもよく出来た一品だと思いました。


 全卵使用のカニ玉もとろとろでおいしいですが、気軽にゴージャス気分を味わいたい時はこちらの方がいいんじゃないかな~と思いました。
 レシピ通り一番安いカニ缶でも十分いいお味になりますが、本物のカニを使うとさらに高級感が増してご馳走感がアップしそうです(ただ、材料費がネックですね;)。

●出典)『酒のほそ道』 ラズウェル細木/日本文芸社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2012.11.12 Mon 08:30  |  ひと手間の妙

「酒のほそ道」いいですよね。
小生も愛読しております。
定番ではなくひと手間工夫して作るおつまみのレシピがとても勉強になります。

あえて蟹玉にせず、
卵白だけで焼いて後で卵黄をかけるという発想がすごいですよね。。。
しかもエノキを加えて旨味と食間をプラスしておりますね。
小生としては塩を控えめにして、
卵黄の上に醤油とお酢を少したらして食べたいです。

次回も楽しみにしております。
o(*⌒O⌒)b

  • #86VISOJs
  • しゅてん
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2013.02.10 Sun 21:02  |  試してみました

実家からカニ缶もらったので試してみました

卵白がムースみたいな食感で美味しいですね
普通のカニ玉より好きかも知れません。これからもがんばってくださいませ

  • #nJBm9iLU
  • OROCHI
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まとめ【『酒のほそ道』の“カ】

 先日、近所にあるマンガ倉庫へ相方さんと一緒にぶらりと立ち寄ったんですが、何故か「クゥ〜リスマスが

  • まっとめBLOG速報
  • 2012.11.15 04:30

プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
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 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
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