『華中華』の“肉詰め獅子唐チャーハン”を再現!

 最近、わずか四百円で満足度の高いランチが食べられる定食屋さんへよく足を運んでいます。
 表にぶら下がっている、今時珍しい手書きの木札で「開店中」か「閉店中」かが分かるのですが、先日「開店中」の大文字の上に「不況に負けず」と小さく書かれているのを発見し、思わず胸が熱くなりました。
 おやじさん、おかみさん、いつも安くておいしい定食をありがとうございますm(_ _)m。

 どうも、某トンカツチェーン店が「お得な定食を990円で大サービス!」というのぼりをあげているのを見て「全然お得じゃないよ!」と心の中で突っ込んでしまった管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんが師匠・島野さんの京野菜チャーハンに刺激を受けて作った三百円チャーハン第十弾・“肉詰め獅子唐チャーハン”です!
肉詰め獅子唐チャーハン図
 前回、島野さんが考え出した“賀茂茄子チャーハン”が大好評を博して満点大飯店は今までにない程の賑わいを見せ、連日お客さんが殺到するという嬉しい事態になります。
 おかげでお昼のお客さんの平均単価が四千円近くに跳ね上がり、その上「ランチが美味しかったから、夜もいってみよう!」というお客さんが増えて日に日に売上げは上昇した為、少し前まで下り坂気味だった満点大飯店は一気に華やぎを取り戻していきます(但し、お昼は“賀茂茄子チャーハン”ランチしか注文が来なくなった為料理人の大半が暇をもてあます事になり、その結果こっそりサボる人間まで出るという嘆かわしい状態になってました;)。
 けれども、そんな中ハナちゃん一人はある事で頭が一杯で、上海亭へ向かう途中思わず憂い顔になってしまいます。
 その悩みとは、何とか三百円でも利益が出る京野菜チャーハンを作れないかというもの。
 どうやら、目の前で“賀茂茄子チャーハン”が生み出されるのを見たハナちゃんは同じ料理人として大きな衝撃を受けたらしく、「自分も京野菜でチャーハンを作ってみたい!」という欲がどうしても止まらなくなってしまったとの事。
 しかし、島野さんが使っているような最高級の賀茂茄子は一個六百円はする代物で、とてもじゃないですが三百円で売り出すのは夢のまた夢である為、ハナちゃんは最終手段として野菜のプロである夫・康彦さんに相談します。
 すると、康彦さんは京野菜の仲間だというある食材を上海亭へ持ってきます。
 その野菜とは獅子唐で、康彦さん曰く京野菜として有名な田中唐辛子・伏見唐辛子・万願寺唐辛子・鷹峯唐辛子と獅子唐は全てピーマンの仲間だそうで、多少味に違いはあっても高い品質の獅子唐は京野菜に勝るとも劣らないと力説していました。
 調べてみた所、田中唐辛子は「大きめの獅子唐辛子」と言われるくらい獅子唐と似た品種であるらしく、康彦さんの言う通りこれなら京野菜と同じクオリティで三百円チャーハンが作れると感心したのを覚えています。
獅子唐は京野菜の仲間だとハナちゃんにレクチャーする夫・康彦さん
 ちなみに、康彦さんがその日上海亭に持ってきたのは三浦半島産の獅子唐で、京野菜同様丁寧に栽培されていて味もいいのに価格はリーズナブルだから、無理せずに上海亭らしいチャーハンを作るにはこれを使った方がいいと思うと現実的なアドバイスをし、おじいさんとおばあさんも賛成していました。

 「高価格な分、味も品質も高級なチャーハン」は確かに魅力的ですし、だからこそ未だに京野菜料理は根強いファンが増え続けているのだと思いますが、上海亭の「低価格なのに創意工夫で安さを感じさせない美味しさのチャーハン」の虜になったお客さん達が、それを望んでいるとは限りません。
 そもそも、上海亭でチャーハンを作るようになったのは自分が作りたい料理を押し付けるためではなく、お客さんが毎日でも気軽に来れて笑顔になれるチャーハンを作りたいと思ったからだという初心を思い出したハナちゃんは、やっと冷静さを取り戻します。
 そして、「康彦さんが持ってきて下さったこの三浦半島の獅子唐で、島野さんチャーハンに勝てなくても…少しでも近づけるチャーハンを作ります!!」と心を決めるのでした。
 正直、島野さんに勝とうとして強引に京野菜を仕入れ、値段を高くしたチャーハンを作ったら散々な結果になっていたと思いますので、これは英断だったと思います(`・ω・´)。
みんなと話し合う事によって、上海亭のチャーハンの原点にやっと気付くハナちゃん
 こうして、康彦さんの持ってきた獅子唐を見て閃いたアイディアを十二分に活かし、お客さんに喜んでもらえるようにとの願いを込めてハナちゃんが考え出したのが、この“肉詰め獅子唐チャーハン”です!
 作り方は結構手が込んでおり、下処理した獅子唐の中に塩コショウで調味して練りこんだ鶏ひき肉を詰めてフライパンで焼き、ケチャップ味に仕立てて水溶き片栗粉でとろみをつけた餡を加えて煮込んだものを、輪切り獅子唐入りの基本チャーハンの上へかけたら出来上がりです!
 獅子唐と鶏ひき肉のチャーハンとだけ聞くと平凡なイメージですが、小さな獅子唐を一つ一つヘタやタネを取り除いたり、みっちり肉詰めしたりという苦労を考えると、実はとんでもなく手間のかかっている贅沢チャーハンです(^^;)。
 普通のお店だったら五百円以上かかりそうなチャーハンですが、上海亭は康彦さんとおばあさんの二人が肉詰めしてギリギリまで手間賃をカットしている為、何とお値段据え置きの三百円(?!)という低価格で“肉詰め獅子唐チャーハン”は提供されていました;。
 一日限定・売り切れ御免・小規模店・作り手がハナちゃんだからこそ出来る出血大サービスだと思うので、この時ほど『華中華』ワールドへ三百円を握り締めてワープしたいと願った事はありません(つД`)。
 島野さんの“賀茂茄子チャーハン”ランチの約十三分の一の価格でここまで魅惑的な一品を作り出せるハナちゃんの才能を、改めてすごいと実感させられます。
獅子唐は刻んでチャーハンに入れるだけではなく、肉詰めにして使います!
 残念ながら、現実世界には上海亭は存在しませんので(同じくらいサービスのいい中華料理店もありませんorz)、自分で再現することにしました。
 巻末に詳細なレシピがあるので、なるべく忠実に作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、獅子唐の下ごしらえ。洗って水気を拭き取った獅子唐のヘタと種を取って半分に分け、一方は輪切りにし(これは後にチャーハンへ混ぜ込む分なので、別皿にとっておきます)、もう一方は塩とこしょうで味付けしてしっかり練った鶏ひき肉を詰め込んでおきます。
 なお、この作業は予想以上に肩と腕と目に負担がかかるので、体力気力が充実している時にしないと筋肉痛になる恐れがあるのでご注意を;。
 ※作中では「菜箸の根元を使って鶏ひき肉を押し込む」と書いてありましたが、実際に色々試した結果、竹串の根元で少しずつ詰め込んだ方がやりやすかったのでそちらの方をおすすめします。
肉詰め獅子唐チャーハン1
肉詰め獅子唐チャーハン2
肉詰め獅子唐チャーハン3
 この肉詰め獅子唐を薄く油を引いて熱したフライパンに並べて両面を焼き、中にまで火が通ったのを確認したら、中華スープ・砂糖・醤油・日本酒・ケチャップ・お酢・水溶き片栗粉を小鍋で煮て作っておいたケチャップ餡を入れ、全体に絡ませながら少し煮ます(獅子唐の緑色が消えない程度が目安です)。
 ※これだけでも十分白いご飯に会うおかずになります!
肉詰め獅子唐チャーハン4
肉詰め獅子唐チャーハン5
肉詰め獅子唐チャーハン6
 次は、仕上げのチャーハン作り。
 あらかじめ、以前に作り方をご紹介したハナちゃん流基本チャーハンのレシピ通りに中華鍋かフライパンで基本チャーハンを作っておき、そこへ輪切りにした獅子唐を投入してざっと混ぜ合わせます。
 獅子唐がチャーハン全体に行き渡ったら火からおろし、お皿へ丸く盛ります。
肉詰め獅子唐チャーハン7
肉詰め獅子唐チャーハン8
肉詰め獅子唐チャーハン9
 チャーハンの上に肉詰め獅子唐を飾りつけ、さらにケチャップ餡をトロ~ッとかければ“肉詰め獅子唐チャーハン”の完成です!
肉詰め獅子唐チャーハン10
 獅子唐の緑、ケチャップ餡の赤、チャーハンの黄色の対比がとても鮮やかで、思ったよりもカラフルな出来栄えのチャーハンになりました。
 「あの詰め方でよかったんだろうか?」とちょっと気になったので肉詰め獅子唐を包丁で切ってみた所、ちゃんと鶏ひき肉が隅々まで詰まっていた為ほっと一安心です。
 肉詰めにした獅子唐を食べるのは初めてなので、一体どんな味がするのか楽しみです!
肉詰め獅子唐チャーハン11
肉詰め獅子唐チャーハン12
 それでは、熱々の内にいざ実食!
 いっただっきま~すっ!
肉詰め獅子唐チャーハン13


 さて、味の感想ですが…「こんな身近な材料で、よくぞここまで完成度を高めた!」と感動する程旨し!獅子唐の良さを十二分に楽しめます。
 肉詰め獅子唐はピーマンの肉詰めにかなり近い味わいですが、ピーマンに比べると獅子唐の方はやや肉薄でパリパリした張りのある食感で、そっくりというには決定的な差異が目立つ為不思議な感覚に陥ります。
 時々ロシアンルーレットのように先祖返りしてビリッと強烈に辛い物を噛み当てる場合もあるので、なかなかスリリングなのが印象的でした。
 獅子唐のちょっと癖のある強い苦味をケチャップのフルーティな甘さが程よく和らげているのが食べやすく、食が進みます。
 獅子唐の表面をパキッと噛み破った途端、柔らかな鶏ひき肉の中からそれまで封じ込められていた熱々の肉汁がピュッと勢いよく飛び出してくるのが美味で、まるで小籠包みたいでした。
 鶏ひき肉のジューシーかつあっさりした旨味が獅子唐のさっぱりした後口と相性抜群の組み合わせです。
 肉汁が少し混じったケチャップ餡は結構濃いめの味付けでしたが、塩気を控え目にしたシンプルなチャーハンのいいおかずになっており、ちゃんと味のバランスが取れていた為ちっともくどくありませんでした。
 あと、このまったりしたケチャップ餡は酢豚によく絡んでいる昔懐かしい味わいの甘酢餡によく似ていた為、もっと名前を詳しく表記するなら「酢豚餡風獅子唐の肉詰めチャーハン」がぴったりじゃないかな~と思いました。


 獅子唐に鶏ひき肉をせっせと詰める作業はなかなか骨が折れましたが、苦労した甲斐のある美味しさで満足しました。
 ネットで調べてみると、縦に割ったしし唐で肉詰めにするレシピがほとんどで「これは便利!楽!」と感心しましたが、中に詰め込む方式だと肉汁が一気に溢れ出す醍醐味がたまらないので、少しゴージャス感を出したい時はこちらをお勧めしたいです。

 ○おまけ
 作中の完成図だと肉詰め獅子唐は三本のみなので、やむなく上記のような盛り付けにしましたが、実際に三本だけだと少し物足りないので;、下の完成写真のように大盛り状態にするとさらに満足度がアップします(但し、見た目がちょっとグロい感じになるのが難点;)。
肉詰め獅子唐チャーハン14

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2012.11.19 Mon 09:19  |  こうきましたか。。。

華中華の再現お待ちしてました!!
京野菜でどんな300円チャーハン作るのか楽しみでした。
獅子唐とは意表をつかれましたが、
しかも肉詰めときましたかφ(゜゜)
一度炒めた方が詰めやすそうですが、
あえて生のまま詰め肉汁を閉じこめているのですね。
実際にお店で出そうとすると仕込みが大変そうです。。。
確かに酢豚チャーハンが的を射てますね。
獅子唐の辛味とケチャップの甘味がとてもバランスよさそうです。

次回も楽しみにしております。
頑張ってください(^-^ゞ

  • #86VISOJs
  • しゅてん
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2012.11.19 Mon 13:01  |  

今日も美味しそうですね。

チャーハンに甘酢あんの味が絡むなんて珍しいとりあわせ。
華中華の作者様のアイディアは豊富だなぁと
感心してしまいました。

2012.11.20 Tue 11:42  |  管理人のみ閲覧できます

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  • #

2012.11.20 Tue 13:08  |  管理人のみ閲覧できます

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2012.11.21 Wed 19:30  |  管理人のみ閲覧できます

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
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