『セイシュンの食卓』の“おどん”を再現!

 年末、数の子の薄皮取りや黒豆を煮ている時が一番「2012年ももう終わりだな~」と実感しましたが、元旦はお雑煮を食べている時よりも、TVがお正月特番ばかりでゆる~い空気なのを感じた時に「新年だな~」と実感しました。
 その為、TVは一通り正月ムードを満喫した後は切り、その後はTSUTA○Aで借りてきたDVDばかりを見て過ごしました;。

 どうも、我が家のお雑煮は『美味しんぼ』で「九州の人は、アゴで取った出汁で雑煮を作る」と言っているのとは全く違い、スルメ・昆布・カツオの合わせ出汁である管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『セイシュンの食卓』にてクールで美しい女性が上司を誘って一緒に食べた“おどん”です!
おどん図
 今回ご紹介するエピソードは、ある職場で「氷の花」というあだ名がついている女性・真坂キミエさんと、そんな彼女が気になって仕方ない男性上司のお話。
 感情を滅多に出さないクールさと、シャープで氷を思わせる冷たい美貌とで、職場の皆からは敬遠されているキミエさんですが、上司は「彼女は決して冷たいのではなく、感情を表に出すのが苦手なだけなんだ」と本当のキミエさんを理解しており、何とか自分に心を開いてもらえないかと気を使う日々を過ごしています。
 ちなみに、この上司の勘は当たっており、キミエさんは一見素っ気なく見えて実はかなりユニークな女性で、仕事も気立てもいいのに生まれつき無表情なのが災いして誤解されるのが気の毒なキャラな為(例えるとするなら、綾波レイに天然ボケでちょっとズレた乙女の内面を持たせたイメージ)、こんな彼女の新の姿を見抜けた上司は何気に凄いと思います。
 ただ、キミエさんはあんまり周囲から避けられている事を全くと言っていい程気付いていない様子で、救いの手を待っているどころか伸び伸びと毎日を過ごしている感じなので、上司の思いやりは毎回空振りに終わっているのが気の毒で仕方がありません;(なお、キミエさんは『セイシュンの食卓』の派生作品・『ナニを考えチョるか!』という漫画で主人公になっており、そこでもマイペースぶりを発揮しています)。

 そんなこんなでなかなか進展しない二人ですが、残業で帰りが遅くなった夜、二人きりで一緒に帰るというチャンス到来の日が訪れます。
 上司はその場を和ませようと、半分冗談で「それにしても、今夜は冷えるなー。こんな夜中じゃなかったら、君に熱いうどんを食べに付き合ってもらうとこなんだけどね」と話しかけるのですが、意外にもキミエさんはその話に「食べますか?」と乗ってきます。
 今なら二十四時間営業のうどん屋さんはそこまで珍しくありませんが(九州では<ウエ○ト>が有名)、このお話が展開された一九八九年はそういうお店はまずなかった上、いつもと違い「あそこに、コンビニがあるから…送って頂いたお礼に、特製のうどんをご馳走しますわ」と饒舌になったキミエさんの姿に見た上司は、「そ…それは、君の部屋に行ってもいいって事かい…?」とドキドキします。
氷のような美貌の女性部下と、何となく惹かれている極普通の男性上司の、奇妙な片思いストーリー
 しかし、キミエさんはうどんと出汁の素を買って帰るのではなく、何とコンビニの店員さんとレンジを使って(?!)、その場でオリジナルうどんを作ってしまいます。 この時、キミエさんがコンビニ店員さんから呆れた視線を向けられながら用意したのが、この“おどん”です!
 作り方はある意味難易度が高く、好きなおでん種を汁多めにして店員さんに容器へ入れてもらい、フタを閉める寸前に「ちょっと待って下さい」と止めてカゴに入れてきていたうどんを投入し、「これを電子レンジで温めて下さい」とお願いして温めてもらったら出来上がりです…。

 正直、店員さんへの迷惑・他のお客さんの目・それに伴う羞恥心を考えるととても実行不可能な調理手順ですが、キミエさんは顔色一つ変えずに“おどん”作りをこなしていた為、初見時は「そりゃ、変人扱いされる訳ですよ…orz」と何ともいえない心境になったのを覚えています。
 けれども、おでんとうどんの組み合わせ自体は、数年前よりコンビニ各社が「依頼次第では、うどんいれますよ!」と具の一つとして採用し出している事からも結構人気があるらしく(詳細なニュース記事はこちらこちら)、「一九八〇年代から既にこのアイディアを生み出していたたけだみりこ先生は、只者ではない…!」という想いを、改めて強めました。
 ※昔はどうだったか分かりませんが、現在コンビニおでんの容器は電子レンジにかける事が出来ない素材の物がほとんどな為、作中の手順通りの“おどん”作りは実現不可能になっています(←ひょっとしたら、“おどん”に限らず後々何かを入れて「これ、レンジにかけて」というはた迷惑なリクエストは結構多かったのかもしれません;)。その為、たけたみりこ先生が欄外でおっしゃっている通り、ご自宅で再現なさる事をおすすめします。
何と、コンビニ店員さんにおでんをよそってもらった時にうどんを入れてレンジにかけさせるというすごい作り方;
 その後、キミエさんと上司は家へ向かう事なく、何とコンビニの軒下(!!)で“おどん”を寒風が吹き荒れる中立ち食いし、上司は色んな意味で「冷たい…;」と涙ぐみながらうどんをすすっていました;。
 別にキミエさんも嫌がらせでこんな事をしたわけではなく、どうやら「おどんのような私のこの熱い気持ち、分かってくれたかしら…」と暗に好意を告げる為に“おどん”をご馳走したようなのですが、いかんせん、分かりにくくてどこまでもすれ違っています(^^;)。
 味自体は悪くないそうですが、キミエさんのちょっとずれた愛情表現のせいで、大分しょっぱい結末になったエピソードでした…。
どこまでもすれ違う、ちょっとずれた美貌の女性と、がっかりしながらうどんをすする上司
 コンビニおでんの具にうどんが加わっている今、わざわざ家に持ち帰ってレンジに持ち帰るのは二度手間かもしれませんが、是非とも初代の味が知りたいと思い再現を決意しました。
 作中にて紹介されているレシピ通り、早速作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、コンビニおでんの用意。普段から贔屓しているコンビニへ足を運び(周囲では<セブンイ○ブン>のおでんが一番評判がよかったので、今回はそちらのおでんを採用)、キミエさんが注文した具である大根、卵、タコ(又はイカ天)を汁多めにして容器に詰めてもらいます。
 当管理人のいる九州某地方では、おでんを頼むと必ず和辛子と柚子胡椒がサービスとしてついてくる為、二度楽しめるのが嬉しいです。
おどん1
おどん2
おどん3
 …が、ここで思わぬアクシデントが発生!
 本当なら全ての具が一度で揃ったのですが、九州の方にある店舗はタコがおでんの具として加わっていなかった為(調べた所、北海道・関東・山梨・北陸・東海の方にある店舗だったら扱いがあるとの事)、このままでは不十分な再現になる可能性が浮上。
 それでは何だかな…と思った当管理人は、急遽自宅でそれらしいタコ串を作り、おでんの汁でコトコト煮込んで準備しました;。
 コンビニ産のタコではないので、あんまり忠実な再現ではありませんが、ご容赦していただけますと大変ありがたいですm(_ _)m。
おどん4
おどん5
おどん6
 気を取り直して、次は電子レンジの作業。
 コンビニ容器からおでんの汁と具を(牛すじ串は再現の為ではなく、個人的に好きなので買いました;。もちろん仕上げには使わず、温めた直後に美味しく頂きました)、一旦電子レンジにかけてもOKな器に移し、熱々になるまでレンジで熱を通します。
 その後、具がほかほかになったら元のコンビニ容器に移し、今度はすぐにうどんを入れてレンジで火を通します。
 ※大きな容器があるご家庭でしたら、具とうどんを一緒に温める方がいいです。
おどん7
おどん8
おどん9
 うどんに熱が通ったら、急いで汁ごと具が入っているコンビニ容器へ中身を移し、テーブルへ運べば“おどん”の完成です!
おどん10
 コンビニおでんの容器にうどんがぎゅうぎゅうに入っている映像は初めて見るので、最初は少々戸惑いました;。
 今回は作中にあった具しか入れなかった為、「やっぱり、こんにゃく、牛すじ、もち巾着、がんもどきも入れたらよかったかな…」と途中まで悩んでみましたが、そうすると何が何やら分からなくなっていたと思うので;、少量でまとめるのが一番無難だろうなと感じました。
 おでんとうどんが合うのかどうか、食べて確かめてみようと思います!
おどん11
 それでは、ほかほかの内にいざ実食!
 いただきま~す!
おどん12


 さて、味の感想ですが…結構まともな味でびっくり!一切手間がかからないのに、うどん屋の物に勝るとも劣らない出来栄えです。
 関西風の上品で昆布の勝ったおつゆがツルツルシコシコな喉越しのうどんにぴったりで、数分しか電子レンジにかけていないにも関わらずそこそこ出汁が染み込んでいる為食べやすいです。
 大根からにじみ出たエキスによって少し甘味が際立つおつゆになってますが、うどんとの相性は十分よく、猫まんま感覚でスルスル平らげる事か出来ました。
 調べた所、九州用のおでんつゆには昆布やカツオ節の他にチキンブイヨンが入っているとの事でしたが、主役ではなくあくまで隠し味程度に留まっている感じで、「肉うどんのつゆみたいに控え目ながらもコクがある、あっさり薄口醤油味」と言いたくなるような、和風系統の味わいに仕上っています(むしろ、チキンよりは一緒に鍋で煮られていた牛すじの奥深い脂混じりの出汁の方が強く印象に残りました)。
 しかし、かと言って「うどんつゆの代用品」と片付けてしまうにはあまりに惜しい程複雑かつ力強い旨味を感じるおつゆで、姿はなくとも様々なおでん種達が口の中で存在を主張してくるのに思わずニヤけてしまいます。
 大根・牛すじ・がんも・練り物などは勿論、意外にも卵の風味も溶け込んでおり感心しました。
 強いて例えるなら「寄せ鍋の残り汁」に通じる醍醐味が楽しめる味で、鍋のシメにうどんやご飯を入れるタイプには垂涎物な一品だと思います。
 ホロッと柔らかい大根、コリコリした食感のタコ、ホクホク卵も美味でうどんとなかなか合い、ほっと心温まる一品でした。


 このまま食べてもいいですが、付属の和辛子や柚子胡椒を溶かして食べてみても、目先が変わっていい感じです。
 うどんはもちろん、その後試した結果素麺を茹でた物を入れて食べてもなかなかの物だったので、当分おでんの汁は二度楽しむ事になりそうです。

P.S.
 こくらん様からご質問頂いた、『セイシュンの食卓』に載っていたという「中国の朝ごはん」の収録巻の件ですが、あれから手元を色々探しては見たのですが、とうとう見つからずじまいでした。
 当管理人自身、『セイシュンの食卓』は全巻持っておらず、文庫本ではないオリジナルの物は二巻しか所持していないのですが、二巻には収録されていなかったので、恐らく二巻を除くどの巻かに載っているのだと思われます。
 正確な返答が出来ず、誠に申し訳ございません。

●出典)『セイシュンの食卓(3)愛情編』 たけだみりこと東京ブリタニアン/角川書店
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2013.01.07 Mon 21:22  |  初めまして

ひとくち宝珠で検索していましたらこちらのブログに辿り着きました。
記事のレシピ再現度と本のレビューがとても素晴らしいです。お見事
としか言いようがありません。

おどんを再現するとこうなるのですね。どちらかというと
漫画の内容の方で笑っていたので本当にこれが美味しい
かどうかはあまり考えてなかったですね(笑)。

当方もささやかですが、再現クッキングをたまにやってブログに掲載しています。かなりいい加減で手抜きではありますが(^_^;)。もし宜しければご覧頂けると幸いです。

セイシュンの食卓に載っていた中国の朝ごはんはオリジナルの1巻収録です。

2013.01.09 Wed 00:42  |  1巻に収録されていたのは

1巻に収録されていたのは「中国のばんごはん」でしたね。
オリジナル1〜3巻を見てみましたが、中国の〜と言うのは上記のばんごはんしか見当たらなかったです。
もしかしたら4巻かな?

2013.01.10 Thu 18:41  |  

中国の"朝ごはん"ではなく"ばんごはん"ですね。
巨大な焼き餃子のような料理であり、一つでかなりのボリュームがあります。
(コンビニのおにぎりより少し小さいくらい)
子供の頃、母に頼んで作ってもらいましたがすぐにお腹いっぱいになりました。
ちなみにセイシュンの食卓は全巻持ってます。

  • #-
  • URL

2013.01.16 Wed 23:03  |  

はじめまして
自分も「信長のシェフ」や「美味しんぼ」が好きなので楽しく拝見させていただいています

自分が貧乏時代(現在もか)バイトしていた某コンビニにもありました
冷凍麺(100円)を小容器に入れ つゆを3杯程かければ出来上がりです
醤油たれを別途渡します
極たまに売れました

やばい 書いていて食べたくなりました

  • #GNyOvXEA
  • 774ズム
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2013.01.21 Mon 07:15  |  

次は【うでん】ですね

  • #-
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プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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