『おかわり飯蔵』の“余り物水餃子”を再現!

 近所にあるごみ収集所の扉の鍵の管理は当番制で、もう数十年以上も同じ鍵が使われているのですが、先日母が「この鍵の札、お母さんが昔かまぼこ板で即席的に作った物なんだけど、まだ変わってないんだね」としんみり言っているのを聞き、仰天しました。
 すっかり角が丸まり、濃い茶色に変色した札の姿からはとてもかまぼこ板だった頃の面影はなく、「かまぼこ板って意外と頑丈なんだな…」と複雑な気持ちになりながら当番をこなしました。

 どうも、何故か「大きな古時計」のメロディーを思い出した管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『おかわり飯蔵』にて飯蔵さんがテレビ番組の収録中に飛び入りで参加して作った“余り物水餃子”です!
余り物水餃子図
 以前、“イカす月見丼”を教えて助けた事があるTV局のスタッフ・美智子さんから、「プリンス柳生のクリスタル厨房」の収録に大好きなグラビアアイドルの井沢ハルコちゃんが出るという情報を聞いた飯蔵さんは、さくらさんと一緒に収録現場へ見に行く事になります。
 「プリンス柳生のクリスタル厨房」とは、名門・柳生料理学校(おそらく、モデルは服○料理学校だと思います;)の初代校長の息子である柳生純一郎さんが、毎週ゲストと名門料理店の味に迫るという企画なのですが、“簡単お夜食の皿ソバ”の件から分かる通り陰険な性格の柳生さんはゲストに嫌味な毒舌を吐くこともあり、私情が絡むこともしばしば;。
 当然、この日の収録も影で一波乱あり、トイレの帰りに飯蔵さんは偶然「あのグラビアアイドルの料理をまずいと判定しろ!」と言う柳生さんと、番組で味の判定をしているマスコットキャラ・クマチューの着ぐるみを着たグッピィ松木さんが「勘弁してください…」と揉めているのを目撃します。

 どうやら柳生さんは、番組中「柳生さんこそ、衣装のセンスをよくしたほうがいいんじゃない(^^)?」とハルコちゃんから無邪気に突っ込まれたのを根にもったらしく、どうしても恥をかかせたかったようなんですが、グッピィ松木さんは判定だけはヤラセをしたくないと拒否。
 その結果、「売れねぇお笑い芸人のお前が、テレビに出られてるのは誰のおかげだと思ってるんだ?」と逆上した柳生さんによって小突かれ、その拍子で階段から転がり落ちたグッピィ松木さんは、足をくじいて動けなくなってしまいます。
 正直、そんな子どもっぽい理由で番組を左右する程怒らなくても…と初見時は呆れたものでしたが、考えてみればうっかりした一言がきっかけで人間関係は案外簡単に炎上しちゃたりするのは周囲でもよくある事なので、ため息が出ましたorz。
 このエピソードを見るたび、ここまでひどくなくても似たようなパワハラは業界で星の数ほどあるんだろうな~と思い、複雑な心境になります(´・ω・`)。  
柳生さんに押されてバランスを崩し、足を負傷してしまったグッピィ松木さん
 その後、「いつか売れる日を信じてやってきた。今の俺には、これしか仕事がないから穴を空けられない」と言って無理に立とうとするグッピィ松木さんを止める為、急遽飯蔵さんはクマチューの着ぐるみを着てグッピィ松木さんと入れ替わり、テレビに出る事にします。
 本当は、味の判定を正しく下すだけで身代わりの役目は終わりだったのですが、番組中全く反省の色がみえない柳生さんへの怒りが頂点に達した飯蔵さんは、柳生さんよりも美味しくてすごい料理を観客の目の前で作って大恥をかかせてやろうと考え、「いつも味見ばかりでつまらんから、たまにはワシにも作らせてちょ!」と台本にないセリフを大声で言います。
 番組内のゴタゴタを極力表面化したくない柳生さんは、はらわたが煮えくり返りそうになりながらもやむなく飯蔵さんの提案を受け入れ、「今からクマチューに料理を作ってもらいます!観客の皆さんも、判定をお願いします!」と番組をさらに続行させていました(ただ、観客の方はあくまで脚本の流れでこうなったとしてしか見ておらず、「クマチューが反乱を起こしたぞ、やれやれ~!」「クマチューも、今まで本当は料理したかったんだー」とのん気にあおってました;)。
グッピィ松木さんの無念を晴らす為、柳生さんに料理でお灸をすえることに
 けれども、意地の悪い柳生さんは日を改めて料理を作らせるのではなく、「今すぐ、この場にあるもので料理を作ってもらおう!」と条件を出し、意地でも失敗するような展開に持っていこうとします。
 仕方なく、飯蔵さんはキッチンで余っている食料を探すのですが、「もともと、材料は収録分しか用意してないんだって…」というハルコちゃんの言葉通り、食べられそうな物は調味料くらいしか見つからず、最悪何も作れないかもしれないというピンチに陥ります。
 幸い、ハルコちゃんも探すのを手伝ってくれたのですが、見つかったのはほとんど芯ばっかりの白菜やキャベツに、にんじんと大根の切れっぱし、長ネギの青い部分、数本しかないオクラ、中途半端な量の豚ひき肉、全く戻していない状態の乾物、なくなりかけている小麦粉など、扱いに困る食材ばかり。
 乾物はともかく、その他の食料はどのご家庭の片隅でもひっそり眠っていそうなリアルな顔ぶれで、当管理人自身「あれとこれを除けば、うちにも揃ってる…」と内心ぎくりとしたのを覚えています;(野菜は大量にあるならともかく、少量ずつだと対処に悩み、結果ついつい余らせては慌てて「ええい、全部まとめてスープに投入!」と雑に調理する事が多いです…orz)。
 しかし、飯蔵さんはこれらの半端食材を見るなり「オオッ…!お宝じゃあ!!」と大喜びし、早速料理にとりかかります。
野菜の余り物しかないのに、「宝の山じゃ!」と大喜びします;
 その際、飯蔵さんが慣れない着ぐるみに苦しみながらも、中途半端な食材を全部使い切って作ったのが、この“余り物水餃子”!
 作り方は結構簡単で、白菜・キャベツ・大根・にんじん・長ネギ・オクラ・豚ひき肉が入っているボウルへ、ミキサーで粉々に砕いた干し貝柱、干ししいたけ、干しエビ、昆布の粉末を投入してよく練り合わせ、小麦粉で一から作った皮に包んで茹でたら出来上がりです!
 飯蔵さん曰く、「乾物も砕けば、肉や野菜の水分だけですぐに戻るんじゃ。そして、こうすれば色んな乾物の旨味が絡み合って、深い旨味になるんよ」だそうで、粉末状にすることにより、短時間で長時間戻した乾物の出汁に匹敵する旨さが出ると分かりやすく説明していました。
 確かにこの方法なら野菜は一気に消費できそうですし、味の方も野菜の種類が増えれば増えるほど美味さが膨らみそうなので、「余った野菜が増えたから、いい加減きれいにしよう!」と気合の入った日に作ると一石二鳥で助かりそうです。

 ちなみに、柳生さんは観客達から“余り物水餃子”が「うまい!」「本場の味に近い」と好評なのを認めたがらず、無理やりまずいと言わせようとして「餃子は上品に小ぶりに作る物なんだ!素人め!」とある観客に詰め寄るのですが、何とその観客は中国の方で、「餃子は中国北部地方では主食なんです。だからこの餃子のように皮が厚いし、具も家によって違うんですよ」と逆に本場の味をレクチャーされてしまうという恥の上塗りをしてしまい、完敗するのでした;。
簡単なのにコクが出た秘密は、ミキサーで砕いて作った乾物四種の粉末!
 前々から「乾物の粉末で味付けする水餃子…一体どんな味がするんだろう」と興味はあったのですが、なかなか思ったように材料がいいタイミングで揃わず、ずっと先延ばしになっていました;。
 しかし、先日たまたま残り物の種類が合致した為、「今がチャンスだ!」と思い、再現する事を決めました。
 作中のレシピ通り、早速作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、具作り。ミキサー(又はフードプロセッサー)に、軽く砕くか切るかしておいた昆布、干しエビ、干ししいたけ、干し貝柱を入れてスイッチを押し、出来るだけ細かい粉末状にします。
 ※そのまんまの形でミキサーにかけると、なかなか粉末になりにくい上機械が傷みやすくなるので、ある程度細かくしてからミキサーに入れた方がいいです。
余り物水餃子1
余り物水餃子2
 一方、白菜、キャベツ、大根、にんじん、長ネギの青い部分、茹でたオクラはみじん切りにしてボウルに入れておき、続けて豚ひき肉と先程の乾物粉末を投入し、粘りが出てくるまでよ~く練り上げます。
 練っている時、本格的な中華料理屋さんで漂ってくるようなホタテスープのいい香りが猛烈に漂ってきた為、これだけでお腹がすいてきたのを覚えています(´Д`*)。
 ※水分の出る野菜ばかりなので水っぽくならないか心配になりますが、乾物が吸収剤みたいな役割を果たしてくれる為、結構しっかりした具になります。なお、具の味付けについては作中で何も語られていませんでしたので、入れても入れなくても自由なんですが、当管理人の場合は醤油・こしょう・日本酒を香り付け程度に少し入れておきました。
余り物水餃子3
余り物水餃子4
余り物水餃子5
 その間、皮作り。
 小麦粉に塩入りの水を加えて混ぜ、粉に水気がなじんできたら一つにまとまるまでひたすらこね続け、表面にツヤが出てきたら少し寝かせます。
 時間が経過して粉と水が完全に一体化したのを確認したら、生地を少しずつ千切って丸め、打ち粉をした台と麺棒で適度にのばしていきます。
 全ての生地をのばし終え、それぞれくっつかないよう打ち粉を両面まぶしたら皮は準備OKです。
余り物水餃子6
余り物水餃子7
余り物水餃子8
 ここまできたら、いよいよ仕上げ。
 さっき出来たばかりの皮に具を乗せて丁寧に包んでいき(市販の物と違い、手作りの皮は結構伸びるので、やや多めの具を入れちゃっても大丈夫です)、鍋に沸かした熱湯で茹でます。
 入れたばかりだと沈んでいた餃子が徐々に浮かび、三分~四分くらい経った頃が大体の茹で上がりなので、頃合を見計りながら茹で上がった餃子を網じゃくしですくって湯きりします。
余り物水餃子9
余り物水餃子10
余り物水餃子11
 この水餃子を器に入れて上から大根おろしと刻みネギをかけ、最後に酢・醤油・ラー油を混ぜて作ったタレをかければ“余り物水餃子”の完成です!
余り物水餃子12
 見るからにむっちり茹で上がった皮が如何にも本場風という感じで、たったあれだけの行程で出来たとはとても思えません。
 ラー油の赤とネギの緑がいい具合に彩りになっており、食欲をそそります。
 中を割ってみるとすぐにスープが溢れてこぼれ落ちたので、期待大です!
余り物水餃子13
余り物水餃子14
 それでは、熱い内に大根おろしを絡めていざ実食!
 いっただっきまーす!
余り物水餃子15


 さて、味はと言いますと…様々な香りと旨味成分が口の中に飛び出し、びっくり!今までに食べた事がない、新しい水餃子です!
 大抵の餃子は肉々して野菜は完全に脇役になってますが、これは野菜のヘルシーな味わいが全面的に出てあっさりしつつ、豚肉の肉汁をも楽しめるというダブルスター式な餃子です。
 にんじん・白菜・キャベツのザクザク感、ネギのしゃっきりした歯触り、オクラのねっとりしたとろみが体に優しい美味しさで、大根おろしのおかげでさっぱりキレのいい後味が特徴的でした。
 また、干しえびの香ばしさと大根の滋味が強いせいか大根もちに近い味になっており、その上えびミンチか入ってるっぽい味にもなっていて、二度驚きです
 しっとりした豚ひき肉を噛み締めると、まるで中華料理店で出されるような乾物の奥深い旨味成分が効いたスープがジュッと飛び出すのが美味で、それがまたしょっぱ辛いラー油酢醤油によく合っていました。
 一方手作りの餃子皮ですが、作中で言われている通りツルツルした舌触りとムッチリトロンとした食感が心地よく、噛むごとに小麦の素朴な甘さがジワジワ染み出てくるのがたまりません。
 焼き餃子用の皮に比べるとずっと分厚く食べ応えがある為、おかずというよりは本当に主食っぽい感じでボリューム満点です。
 不思議な事に、中のスープが染みている部分の皮が「肉汁でふやけている部分の肉まん」とそっくりな味だったので、これは「肉まん風水餃子」と名付けてもいいんじゃないかな~と感じました。


 日本で定番の薄皮でカリッと焼きあがった焼き餃子もおいしいですが、本場風の手作り皮を使った水餃子もやはりいいな~と再確認した再現でした。
 皮に包まず団子状にして茹でるといい出汁が出るので、スープ風にして食べるのもおすすめです。

●出典)『おかわり飯蔵』 原作:魚柄仁之助 作画:大谷じろう/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2013.01.21 Mon 00:33  |  

おいしそうですね。興味深い試みをなされているので、更新を楽しみにしています。頑張って下さい。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
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 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
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