『華中華』の“豪華絢爛甘鯛チャーハン”を再現!

 今では考えられない事ですが、その昔鯛とマグロは下魚として扱われた過去があるとの事で、それを知った当初はかなり驚きました。
 何でも、鯛は「縁起物」として広く定着する前はあまり食さない地域が多かった事、マグロは江戸時代逆にとれすぎて値段がつかなかった事が頻繁にあった事から下魚になった理由だそうで、その後食の意識が徐々に変化してからは現代のように高級魚扱いされるようになったそうです。
 こうして考えると、下魚になる基準は結構曖昧な事が分かってくるので、今後も下魚→高級魚とレベルアップする魚は増え続けていきそうな気がします。

 どうも、去年は安価な塩サンマが売られることが多く、生のサンマは高級品扱いで買えないのにため息をついた管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『華中華』にて島野さんが女性客向けに考えた新しいランチに入れる予定の新作・“豪華絢爛甘鯛チャーハン”です!
豪華絢爛甘鯛チャーハン図
 それまで、満点大飯店は陳料理長が厨房の指揮権を持ち、島野さんは外の世界に向かって派手な料理を作って宣伝するという感じでうまく役割分担をしていたのですが、「陳の基本的な中華より、島野の創作中華の方が人気がある。それに、経費節減をしたい」というマダム奈可子さんと計太郎さんの思惑により、陳料理長はスキルアップの為という名目で、東京ニューオリエントホテルの料理長として転職する事を半ば強制されます。
 最初は抵抗した陳さんでしたが、自分がいなくても島野さんがいれば店は回るというマダム奈可子さんの言葉や、師匠である前オーナー・竹三郎さんが「料理に正解はない…だが、今の時代には島野の料理の方がマッチしている」「今度は外で学んで、今まで以上に成長してくるんだ!」と諭した事により、陳さんは東京ニューオリエントホテルへ移る事を決意します。
 確かに、料理には何が正しくて何が間違っているかという明確な線引きはありませんが、その時代に受ける・流行する料理という物は確実に存在しますので、今何が世の中に受けるのかという勘を育てる為に外へ修行しに行くのは、決して無駄な経験ではないと読んでいて思いました。
 ※例えば鍋一つとっても、1990年代はもつ鍋やキムチ鍋といった男性向けのがっつり味系が流行ったのに対し、ここ数年は餃子鍋やトマト鍋といった女性受けするあっさり系が流行ったりと、移り変わりが激しい気がします;。流行のファッションが繰り返されるのと同様、料理も流行はコロコロ入れ替わる物なのかもしれません。 

 こうして陳さんは満点大飯店を去る事になり、ある日送別会が開かれる事になるのですが、新料理長となった島野さんがその前日に「送別会の前に新しいランチメニューを試作したいから、手伝って!」と言い出した為、ハナちゃんとブーちゃんは送別会に遅れて行く事になります。
 それにしても、とっさにとはいえ上司の前で「早く終らせないと、送別会の料理が食べられなくて会費を損しちゃう!」と本音をこぼしちゃうブーちゃんはうっかりさん過ぎで、こりゃ出世できそうにないな~とつい苦笑しました(それに引き換え、ハナちゃんは「島野さんは、今日から満点大飯店を背負って立つ料理長ですから!」とさりげないヨイシャがうまく、尊敬です^^;)。
会費制で、少しでも遅れたら料理を食べそびれて損をすると話すブーちゃん
 そして、島野さんはハナちゃんやブーちゃんと一緒に送別会が始まるギリギリ前まで満点大飯店の厨房に立ち、一尾一万円以上もするという若狭産の甘鯛を使って京野菜チャイナの新作を作ります。
 それが、この“豪華絢爛甘鯛チャーハン”です!
 作り方は手が込んでおり、長ネギ・塩・こしょう・片栗粉・甘鯛を合わせミンチにして丸めて焼いた物を基本チャーハンに入れ、仕上げにソテーした甘鯛を飾り付けたら出来上がりです。
 島野さん曰く、どうやら中華街では上海亭のチャーハンが有名になったのにあやかろうとちょっとしたチャーハンブームが来ているとの事で、「他では真似できない物を」と考えて高級魚の甘鯛を採用したそうです。
 せっかくの甘鯛を練り物にするのはもったいない気がしますが、柔らかい甘鯛の身をグチャグチャにせず美味しいままチャーハンに混ぜ込むにはこれしか方法がない為、なかなかの妙案だと感じました(甘鯛を最も美味しく食べる方法ではありませんが、美味しく頂けるチャーハンを作る方法ではあると思います)。

 ちなみに、この時調理風景を見ていた楊貴妃さんが言うには「甘鯛ってどんな味がするんだろう。千二百九十年世の中を見てきたアタシだけど…実は食べた事ないんだよね~」のようで、興味津々に甘鯛が捌かれる風景を眺めていました。
 しかし、夢中になるあまりろくろっ首状態になって人に見つかりそうになった為、ハナちゃんから張り手をくらって涙目になっていたので少し気の毒でした;(幽霊というか、ほとんど妖かry)。
甘鯛を二種類の調理法で楽しんじゃおうという、贅沢なチャーハンこういう時、「ああ、楊貴妃さんってやっぱり死んでいるんだな…」と実感します;
 その後、ハナちゃんとブーちゃんは“豪華絢爛甘鯛チャーハン”を試食しようとするのですが、島野さんは待ったをかけ、「これは、アタシから陳料理長への餞別よ。みんなで食べて、別れを惜しんでいらっしゃい!」と言って二人を送り出します。
 実を言いますと、島野さんは自分が送別会に行ったら陳料理長や他のみんなが気を使ってお別れを惜しめないのと思い、最初から参加する気はなかったとの事。
 ただ、「いつか陳料理長が満点大飯店に戻られるまで、しっかり厨房を預からせて頂く」という想いだけは伝えたかったそうで、だからわざわざ送別会当日に自信の新作を作ってはなむけにしたようでした。
 去る者も、残る者も、それぞれ感慨深いものを感じるラストで、また陳料理長が戻ってくる日がくるのを願わずにいられません(つД`)。
自分が送別会に出たら陳料理長が心から楽しめないと気遣い、チャーハンを送る島野さん
 先日、偶然甘鯛が手に入った為、再現するのにいい機会と思いました。
 作中に載っているレシピ通り、早速忠実に作ってみます!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、練り物作り。フードプロセッサーへ、ヒレや骨を取り除いて小さめに切った甘鯛、刻んだ長ネギ、塩、こしょう、片栗粉を投入し、細かいミンチ状に仕立てます。
豪華絢爛甘鯛チャーハン1
豪華絢爛甘鯛チャーハン2
 ねっとりした粘りのあるミンチになったら、油をぬった手で一口大に丸めてまとめ、ごま油をひいて熱したフライパンで両面をこんがり焼き上げます。
 中まで火が通ったら、練り物は準備OKです!
 この練り物を、あらかじめ用意しておいたハナちゃん流基本チャーハンへ加え、ざっと混ぜ合わせます。
豪華絢爛甘鯛チャーハン3
豪華絢爛甘鯛チャーハン4
 その間、太白ごま油(無い場合は、普通のサラダ油でも可)をひいて熱したフライパンで両面を丁寧に焼き上げます。
 よく、「川の物は皮から、海の物は身から」焼くのがいいと言われますが、甘鯛に限って言うとクッキングシートをひいたフライパンで皮から焼いた方が見た目も味も良くなるので、おすすめです。
 ※なるべく皮はパリッと、中はしっとりなるよう焼くのがベストです。
豪華絢爛甘鯛チャーハン5
豪華絢爛甘鯛チャーハン6
 お皿に丸く盛った練り物入りのチャーハンの上に、先程ソテーした甘鯛を飾り付ければ“豪華絢爛甘鯛チャーハン”の完成です!
豪華絢爛甘鯛チャーハン7
 甘鯛の淡いピンク色はいつ見ても美しく、見た目だけで思わずうっとりします。
 当初は甘鯛をすり身にしちゃっていいものかとビクビクしましたが、出来上がってみると思ったよりちゃんとした感じで、これはこれでよさ気でした。
 皮がパリッと焼けた方の甘鯛も見るからにおいしそうですし、これは味が楽しみです!
豪華絢爛甘鯛チャーハン8
 それでは、出来立ての内にいざ実食!
 いっただっきま~す。
豪華絢爛甘鯛チャーハン9


 さて、味はと言いますと…地味な見た目を裏切る、ゴージャスな美味さ!甘鯛好きにはたまらない一皿です!
 パッと見は固そうに見える練り物ですが、食べてみるとまるではんぺんみたいにムチムチプリンッとした張りのある弾力がすごく、思ったよりもふんわりした食感なのに衝撃を受けますえび団子のプリプリ感にも似ている気がします)。
 作中では一番近い味としてさつま揚げが挙げられていましたが、さつま揚げにしては淡泊かつ上品な味わい、そして控え目ながらも洗練された甘味がすごい為、どちらかといえばカマボコの方にそっくりだと思いました。
 一言で例えるとするなら「甘鯛の中華風ぷりぷり焼きカマ」というイメージで、粉っぽさがまるでないなめらかな舌触りは、甘鯛の蒸し物並にさっぱり食べられてよかったです。
 ごま油の香り豊かなコクと、ネギのシャキシャキ感がいいアクセントをプラスしているのも単調さを防いでおり、言う事なしでした。
 一方焼いた甘鯛は、パリッと焼けた香ばしい皮としっとりジューシーな身が美味で、こちらは打って変わって和風な仕上がりになっています。
 練り物同様、こちらもシンプルな塩こしょうのみの味付けなのですが、練り物の徐々に増してくる優しい甘さに比べると、焼き物の方は直接舌へビビッと響いてくる強烈な甘さが印象的で、甘鯛の美味さを二重に楽しむ事が出来ました。
 この練り物と焼き甘鯛に、醤油の塩気が濃いチャーハンがばっちりの相性で、おかげでお酒にもよく合う素晴らしい一品になっています。


 さすがに、若狭一汐ものの甘鯛を使うのは勿体無いないように思いますが、スーパーで売られている手の出しやすい小ぶりな甘鯛を使うのなら、断然ありなチャーハンです。
 特に、すり身を焼いた物はとってもおいしいので、おすすめです!

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2013.01.26 Sat 00:11  |  

評価の変わった魚といえば魚河岸三代目でもよく取り上げられますね
鮮度落ちが早い、見た目が悪いといった理由で主に現地で消費されていたような安い魚が輸送技術の発達、産地によるブランド化などで味が評価され、庶民の手に届かなくなったというのが多いです

甘鯛の練り物を油で揚げずに焼くのは、揚げてしまうと繊細な味が分かりにくくなるとかでしょうか?

  • #Smnpav3M
  • とくらこ
  • URL
  • Edit

2013.01.26 Sat 21:59  |  

毎日仕事帰りの電車内で見てます
夕飯前にここ見るとめしうまー(°_°)

  • #-
  • URL

2013.02.07 Thu 08:36  |  

華中華の漫画家の方 お亡くなりになったようですね 残念です
連載分のチャーハン 全部再現できるといいですね

  • #-
  • しがない会社員
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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
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