『クッキングパパ』の“塩味チャンコ”を再現!

 先日、オープンしたばかりのオシャレ系カフェで軽食を取ったのですが、ソファーとテーブルの高さがまるであっていなかった為非常に食べにくく、おかげで膝の上に皿を置いてクラブサンドを頬張る羽目になってしまいました。
 周囲をさりげなく見ると、当管理人と同じようにする方・腰を曲げた俯き姿勢のまま食べる方・開き直って食器やサンドをそのまま持ち続けている方など色んな方々がおり、思わず「中学時代、遠足や林間学校でお弁当を食べる時もこんな風景だったような…」とノスタルジーに浸りました。

 どうも、パスタを頼まなくてよかったと後ろ向きなんだかポジティブなんだか分からないことを考えた管理人・あんこです。


 本日再現するのは、『クッキングパパ』にて荒岩主任の知り合い・大山さんが昔の恩返しする為に作った“塩味チャンコ”です!
塩味チャンコ図
 それは、まこと君が小学六年生、みゆきちゃんが幼稚園に通っていたくらいの頃のお話。
 荒岩主任と虹子さんがまだ仕事から戻らず、二人揃って留守番をしていた時、突然とてつもなく体が大きくて強そうな男性が荒岩家を訪ねてきます。
 男性の名前は大山さんで、当初は見たことも聞いた事もない男性の姿に一瞬身構えたまこと君でしたが、玄関口で「おまえ!もしかして、まことくん?へぇーっ、そうか、大きくなったなー!」と気さくに話しかけてくる様子と、一見怖そうな外見に見合わずとても優しい目をしている事に気付いてからは少し警戒心をゆるめ、「上がって待たしてもらっていいか?」という大山さんの言葉を受け入れて家へ入ってもらいます。
 実を言いますと、最初に大山さんを応対したのはみゆきちゃんだったのですが、遅れてやって来たまこと君が怯えつつもみゆきちゃんを後ろへ下がらせてさりげなく庇うシーンは微笑ましく、「体は小さくとも、しっかりお兄ちゃんやってるな~」と温かい気持ちになりました。
ある日、まことくんとみゆきちゃんが留守番をしている家へ、お相撲さんが突然やってきます!
 中に入った大山さんは台所を貸してもらい、あらかじめ持参してきていた材料を手馴れた包丁捌きでザクザク切り次々と料理していくのですが、傍でその様子をじっと見守るまこと君に気を使って「俺の仕事なんだと思う?」とクイズっぽく質問したり、自分の過去話を穏やかに語ったりしていました。

 実は、大山さんのお仕事はお相撲さんで、その昔荒岩主任と虹子さんに助けられたおかげで今日まで頑張ってきたとの事。
 今から約十二年前、ケンカのし過ぎで高校を退学になった大山さんは知り合いの勧めで相撲部屋に入門したものの、生意気な性格だった為先輩達からしごきにしごかれ、いい加減嫌になっていたある日、自転車の空気が抜けて転がり落ちたのを機に「やめたやめた!」と逃亡しかけた事があったそうです。
 しかし、偶然そこを通りがかった荒岩主任によって大山さんは家に招かれて自転車を修理され、二日がかりで作ったタンシチューを鍋一杯分ご馳走されるというもてなしを受けた上、「頑張ってね、応援するから!」という夫婦揃ってのエールを送られた事があったそうで、それがきっかけで大山さんは「やれるとこまでやってみるか」と活力が出て現在まで頑張れたそうです(それにしても、荒岩夫婦は昔っから面倒見がよかったんだな~と改めて尊敬しました;)。
 その際、育児休暇を取っていてまだ赤ちゃんだったまこと君を抱っこした虹子さんから「あなたの血となり、肉となってあなたの相撲に活きるんだもの。タンシチューだって大喜びしてるわよ!」と言われたのを大山さんは未だに忘れられないらしく、まるで大事な宝物を扱うかのような表情になっていたのにほんわかさせられます。
 この時、まこと君は口には出していませんが、昔の思い出話を懐かしげにする大山さんを眺めている内、知らない人を見る目から徐々に歳の離れたお兄さんを見るような目へと変化していった為、少しほろりとした気分になりました。

 ちなみに、まこと君は大山さんの本業がお相撲さんである事を一発で当てており、それを聞いたみゆきちゃんは興奮してTVをつけ「おしゅもー、おしゅもー!!」とキャッキャ喜んでいたのですが、大山さんは「もっとも、下っ端の方だからテレビには滅多に映らないお相撲さんだけどな」「いや…お相撲さんだったというべきかな…」と少し自嘲気味に話していた為、初見時は何となく嫌な予感がしたのを覚えています。
 全ての人の夢が叶うわけではないのはよく分かっていますが、それでも努力が必ずしも報われるわけではないという現実は何とも切ないです(´・ω・`)。
その昔、荒岩主任と虹子さんの応援とタンシチューによって「もう一度頑張ろう」とやる気を取り戻しました
 そうこうしている内に、やっと荒岩主任と虹子さんが帰宅してくるのですが、その時になって大山さんはようやく「今場所で廃業したので、挨拶に来ました」と本来の来訪理由を告げていました(←初見時は、ちょっとショックでした;)。
 どうやら、荒岩主任と虹子さんは十二年前からずっと大山君の試合を影ながら応援し続けてきたようで、「残念ね~っ、一時は幕下のいい所までいってたのにねー!」ととても残念がっていましたが、大山さんは悟った顔で「やれるとこまでやったので悔いはないッス!」と断言していた為、強い人だな~と思います。

 そして、しんみりした空気を吹き飛ばすように「昔、ご馳走になったタンシチューが忘れられんです。いつか、自分で美味しいチャンコを作れるようになってご馳走したいと思っとったとです」と元気に言った大山さんが荒岩主任達に振る舞ったのが、この“塩味チャンコ”です!
 作り方はそこそこ手がこんでおり、カツオ節と昆布の出汁が入っている鍋へごま油で焼いた鶏肉を入れて煮込み、調味料で味付けしたらキャベツ・油揚げ・糸こんにゃく・ニラ・長ネギ・えのき・しいたけ・木綿豆腐を入れてさらに煮、最後に白ゴマを振りかけたら出来上がりです!
 ポイントは、鶏肉は絶対もも肉を使う事で、胸肉を使用するとどうしてもパサつきが出るのでお勧めできないとレシピ欄で語られていました。
 あっさりしているのにコクがある、万人受けしやすい味だそうで、実際荒岩主任のような大人からみゆきちゃんのような幼児にまで「おいしいー!」と大好評でした。

 なお、このお話には大山さんの断髪式の模様が描かれた後日談もちょろっとあるのですが、色々と感慨深いラストなので、よろしければ『クッキングパパ』四十二巻でご確認していただけますと幸いです。
タンシチューの味を忘れられず、いつかその御礼をしたいと考えてやってきたとのことでした。
 二月になっても寒さはまだ収まらず、自分がいつも作るお鍋にもマンネリを感じてきていたところだった為、再現を決意しました。
 作中にあるレシピ通り、早速作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、材料の下ごしらえ。キャベツは大きめのザク切り、油揚げは二つ切り、長ネギは斜め切り、椎茸は四つ切り、糸こんにゃくは熱湯をかけてから大雑把に切り、ニラは長めに切り揃え、えのきは下の軸部分を切り取って適度にほぐしておきます。
 その間、ごま油をひいて熱したフライパンへ一口大に切った鶏もも肉を並べ、焼き始めます。
塩味チャンコ2
塩味チャンコ1
塩味チャンコ3
 鶏もも肉の両面がうっすらと色づき、鶏皮がパリッとしてきたら火からおろし(中は生でもいいです)、あらかじめ昆布とカツオ節で取って温めておいた出汁入りの土鍋へ投入して、アクと脂を取り除きながら小一時間コトコトと煮込みます。
 なお、煮込む際あんまり強火過ぎると、如何に鶏もも肉といえどパサつきやすくなってしまいますので、弱火~中火くらいの火加減でじっくり根気強く煮た方がいいです。
 やがて、時間がたってスープが澄んできたら日本酒、塩、こしょう、ごま油で味付けし、続けて玉じゃくし等で粗く切り取った木綿豆腐を加えて煮ます。
 ※出来れば地鶏がいいですが、難しい場合は銘柄鶏を使うことをおすすめします。
塩味チャンコ4
塩味チャンコ6
塩味チャンコ7
 豆腐にやや火が通ってきたら、椎茸、えのき、長ネギ、糸こんにゃくを投入して煮込み、段々沸騰してきたら油揚げとキャベツを入れてさらに煮ます。
 この時、もう一度味見をしながら塩、こしょう、ごま油で味を整えつつ、全ての具に火が通りきる寸前にニラを加え、数十秒間火を通します(ニラは結構短時間で火が通るので、傍で注意深く観察した方がいいです)。
塩味チャンコ8
塩味チャンコ9
塩味チャンコ10
 全ての具がちょうどよく煮えたら火からおろし、上から白ゴマをたっぷり振りかければ“塩味チャンコ”の完成です!
塩味チャンコ11
 白ゴマを多めにふりかけたせいか、鍋にしては珍しく香ばしい匂いが漂う出来栄えで、おかげでますます食欲が湧いてきました。
 カツオ節・昆布・鶏肉でしっかり出汁を取ってから煮込んだ為、まるでお店で食べる鍋みたいに本格的な感じになっており、ちょっと感動しました。
 塩味タイプのちゃんこ鍋とは一体どんな味なのか、実際に食べて確かめてみようと思います!
塩味チャンコ12
 それでは、一人前分だけ器へ取り分けていざ実食!
 いっただっきま~す!
塩味チャンコ13


 さて、味はと言いますと…鍋のつゆというよりは、もはや極上のチキンスープで美味し!お店で出されてもおかしくない、本格派な味です!
 一時間近く煮た割に、鶏もも肉は歯に触れた途端ホロホロッと崩れる程柔らかく、それでいてちゃんと肉の味が残っているのに感心しました。
 鶏皮の方も、最初にこんがり焼いて余分な脂を抜いたせいか脂っこくなく、噛んだ分だけ程よいコクがにじみ出てくるのがナイスです。
 一言で言うなら「ピェンロー風塩キャベちゃんこ鍋」というイメージで、ごま油の奥深い風味が効いたあっさり塩味がたまりませんでした。
 カツオ節と昆布の上品な出汁と、鶏肉の濃い旨味エキスがいい具合に調和した、和中折衷風の白湯スープに仕上がっていて、野菜類と相性ばっちりでよかったです。
 あと、かなり初期の段階で豆腐を入れるので、どうしてもあちこちにスが入っしまうのですが、レシピ欄に書かれていた通り出汁がよく染み込んでいて味わい深くなっており、確かにこれなら舌触りと引き換えにしてでもアリな旨さだな~と感じました。
 どの具もそれぞれ美味ですが、中でも印象的だったのはシャグシャグして甘いキャベツ、ブリンブリンした歯応えの椎茸、出汁がジュワッと溢れる油揚げで、これらは必須です。
 トッピングの白ゴマがプチプチ弾けるたび、何とも香ばしい香りがフワッと漂うのがいいアクセントになっており、それがまた塩・こしょう・ごま油のみのシンプルな味付けのお鍋とよく合っていました。


 「煮詰まってきた時に牛乳を入れてもうまい!」と書かれてあったので、それも試してみたのですが、確かにぐっとコクととろみが増して美味でした。
 シメは、鍋を終えた当日にちゃんぽん麺、その翌日に余った出汁で雑炊を作ったのですがどれも絶品で、また作ってみようと強く感じた再現でした(^^*)。


P.S.
昨夜、『華中華』の原作者である西ゆうじ先生が亡くなられた事を知りました
(コメント欄にていち早く教えて下さったoxy様、しがない会社員様、ありがとうございます)。
直接お会いした事はございませんでしたが、日頃『華中華』の再現料理を作らさせて
頂くという形で大変お世話になっていた為、とてもショックを受けております。

西ゆうじ先生のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。


●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2013.02.10 Sun 05:08  |  ごま油が

大振りに切った鶏肉とキャベツと共に、いい感じにマッチして、
ありがちなようで、ちょっと珍しい味の鍋になってますね。

年齢によって感じるところが違うのでしょうが、大山さんのエピソードは
「おいしそう! でもちょっと切ない…」感じで印象的です。

具材の種類が多いので、1つ1つの具の量は抑え目にしておかないと
鍋からあふれて大変、というのがこの料理を作る時のコツでしょうか?

虹子さんのステキな笑顔とあんなに美味しいタンシチューをごちそうに
なったら、そりゃあがんばっちゃいますよね。

  • #SFo5/nok
  • kawajun
  • URL
  • Edit

2013.02.28 Thu 23:27  |  名作の塩ちゃんこですか!

お久しぶりです。
クッキングパパの中で泣ける作品(一位は田中くんが成人になったまことを飲みに誘う回です)の塩ちゃんことは、恐れ入ります。
僕もこの話は荒岩夫妻の人柄の良さを改めて実感するエピソードだなと
思います。嫁もこのエピソードに触発され、塩ちゃんこ作ってましたよ〜。レシピ参考にします!

  • #-
  • はかたのひと
  • URL
(編集・削除用)
管理者にだけ表示を許可

Trackback

URL
http://luckyclover7.blog27.fc2.com/tb.php/889-db2a7026
この記事にトラックバック(FC2Blog User)

プロフィール

あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

Copyright © あんこ