『天使のフライパン』の“特製新じゃがカルボナーラ”を再現!

 実を言いますと、当管理人は六歳まで両親が転勤族だった関係で知らぬ間に引越しを繰り返していた為、アルバムを見ると全く記憶にない場所での写真が残っていたりして結構びっくりします(一番遠かった場所は、岩手県)。
 中でも残っていた写真が多かったのが東京にいた頃の写真で、当時完成して間もなかったディズニーランドでの写真や、上野動物園での写真が色々見つかり、「覚えていなくても、写真でこういう事実があったと確認できるのは面白いな~」と写真の素晴らしさを実感しました。

 どうも、上野動物園で幼き日の当管理人が一番好きだった動物はキリンだったと今更教えられた管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『天使のフライパン』にて主人公・国見聡君が初めてお店にやってきた女優さんの為に作った“特製新じゃがカルボナーラ”です!
特製新じゃがカルボナーラ図
 食中毒疑惑が元で閉店した実家のレストランに引きこもっていた国見君は、同じ中学の不良風少年・辻君からの呼びかけを機にやっと登校するようになるのですが(詳しくはこちら)、行方不明の父を知る凄腕の総料理長・村上信平シェフが引退する前に全ての技術を学びたいと思い、高校進学ではなく帝都ホテルのメイン厨房へ就職する道の方を選びます。
 こうして、帝都ホテルで国見君はぶっきらぼうながらも気にかけてくれる先輩シェフ・宮本恒夫さん、心優しい人気パティシエ・城之内綾さん、何らかの因縁がありそうな天才料理人・夏川仁さんに出会い、色んな経験を積んでいくのですが、二巻から三巻にかけて行なわれた料理勝負で夏川さんに負けたのが原因で、せっかく入ったメイン厨房を追い出されるという不運に見舞われてしまいます。
 最初は落ち込んだ国見君ですが、高校を抜け出してはちょくちょく手伝ってくれる辻君の励ましと、宮本さんの「仁はメイン厨房を出てけとは言ったが、帝都ホテルを出てけとは言ってねェぞ」「ホテル内で別の厨房に行けばいい」という言葉によってやっと立ち直り、今度は唯一自分を受け入れてくれたホテル内のイタリアンレストラン・<アル・カポネ>でもう一度料理修業をする事を決意します。
 しかし、実は<アル・カポネ>は周囲から「時の止まった厨房」「アル・カポネ行きになったら終わり」と呼ばれる程閉店秒読みなお店で、一見倉庫と見紛うくらい汚く荒れた店内・近所の公園で一日中ひなたぼっこしている料理長・昼前に無断で帰宅する店員といったツッコミ所満載な問題店で、またまた国見君と辻君は頭を抱えていました;。
 それにしても、物語初期は食中毒ネタでいじめられて引きこもり、実家のレストランは閉店中、父親は行方知れず、帝都ホテルに入った後しばらくは新人いびりでいじめられ、やっと認められたかと思えば厨房から追い出されて問題店に転属するなど、国見君の不運っぷりは料理漫画界で一~二を争う程で、一巻から三巻を続けて読んでいると本当に気の毒になりますorz(←その分、四巻から五巻にかけての熱い展開が輝いて見えるのかもしれませんが…;)。
勝負に敗れ、セントラルキッチンから追い出されてしまった国見君は、再起をかけてつぶれかけたイタリア料理店に入ります
 けれども、「アル・カポネは潰させないよ…!他に…僕の道…ないから」と覚悟を決めた国見君は、辻君と一緒に丸一日かけてお店を片付け、翌朝にはすぐ開店出来る状態にまで<アル・カポネ>を綺麗に生まれ変わらせます。
 が、運がいいのか悪いのか、偶然近所の公園でロケ中だった有名女優・小沢真由さんが営業中と勘違いして席に座り、「あまり時間ないの」「カンタンなのでいいわ。ここイタリアンよね。スパゲティのカルボナーラくらい出来るでしょ?」と急に注文してきた事から、国見君達はいきなり料理をする羽目になります;。
 しかし、掃除が終わった直後でまだ何も買い出しておらず、手元にあるのはたまたま残っていた新じゃが・にんにく・牛乳・ベーコンくらいで、カルボナーラには必要不可欠な卵もチーズもパスタもないという絶体絶命な状態に国見君は追い込まれてしまいます…。

 これまで内気でシャイな国見君は、アクティブでグイグイ引っ張るタイプの辻君に半ば引っ張られるようにして頑張るシーンが多く、その為「い…言いづれーけど帰ってもらうしかねェ!変な料理出して悪評が広まっちまうよりマシだ!!」という辻君の意見にてっきり賛成すると思ったのですが、この時は珍しく「や…やらせてよ辻君…!僕が帝都ホテルで迎えた、初めての客さんなんだ」と初めて自分の意思を押し通しています。
 一巻では誰かと話す事すら稀だった国見君が、正直こんなに急成長するとは意外だった為、初見時は不覚にも「社会に出て大分たくましくなったな~」と胸が温かくなりました(←『ダイの大冒険』に出てくるポップ君みたいに、初期のヘタレっぷりが信じられないほど成長するキャラが、個人的に好きからかもしれませんが;)。
タイミングが悪い事に、レストランの大掃除が終った直後に女優さんが来店します;まだ何も買い出しに出ていなかった為、卵もチーズもパスタもないというピンチにみまわれます!
 その後、国見君が時間的にも材料的にも余裕がない中、「カルボナーラは昔山の中の炭焼き職人がとぼしい食材でカロリーをたっぷり取ろうとして作ったスパゲティだとも言われているよ」「とぼしい食材から生まれたのがカルボナーラの原点ならば、食材のとぼしさを恐れずにやってみよう…!」と考えて即興で作ったのが、この“特製新じゃがカルボナーラ”です!
 作り方はそこそこ簡単で、バター・にんにく・ベーコン・牛乳・コーヒーミルクを炒めた物に千切りした新じゃがを投入して和え、最後に何ときなこを入れて混ぜたら出来上がりです。
 国見君曰く、「牛乳とコーヒーミルクで卵のクリーミー感を代用」「チーズのこってり感をきなこで代用」する事でカルボナーラらしさを演出したようで、特にきなこはかなり重要な役割を果たすと言われていました。
 何でも、きなこは非常に乾燥している為、食べる前に軽く和えただけでクリームをたっぷり吸い込んでコクのある旨味をアップさせる上、卵の代わりにソースのつなぎとなってとろみを増す効果もあるとの事で、初めて読んだ時は感心したのを覚えています(興味が出たので調べた所、驚くべき事に一部では広く知れ渡っていた技法だそうで、二度びっくりでしました;)。

 幸い、小沢真由さんはこの“特製新じゃがカルボナーラ”を痛く気に入って大喜びし、最終的には「また絶対来るわ!」「スタッフにも宣伝しとくわね~♪」という嬉しい言葉を残して帰っていきました。
 ちなみに、小沢真由さんが食事している時のリアクションは期待を裏切らず相当にエロイ斬新なので、一見の価値ありだと思います(その様子は、こちらのサイト様が一番効果的にご紹介されていますので、詳細は控えます^^;)
一見チグハグな組み合わせが、カルボナーラの美味さをさらにアップさせました!舌の肥えた大女優を満足させた上、「スタッフのみんなに宣伝するわ」という約束まで!
 正直に言いますと、ずっと長い間「きなこで本当にカルボナーラらしさが出るのかな…どうもゲテモノっぽいイメージが…」「それも、チーズと卵とパスタなしで…」と疑いの眼差しで見ていたのですが、「分からないなら作ってみればいい」という当ブログのポリシーに従い(←おかげで何度も痛い目を見てますが…orz)、再現を決意しました。
 ちょうど新じゃがも手に入ったことですし、作中のレシピ通り作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、新じゃがの下ごしらえ。泥を洗い流して皮をむいた新じゃがを包丁で二~三ミリの太さに千切りにし(千切りスライサーを使うとぐっと楽な上、より麺っぽくなります!)、氷水に少し浸けて引き締めたらすぐザルにあけ、水気を切ります。
 その間、フライパンにバターと芯を取ってつぶしたにんにくを入れ、弱火でジワジワ熱しておきます。
特製新じゃがカルボナーラ1
特製新じゃがカルボナーラ2
特製新じゃがカルボナーラ3
 にんにくからいい香りが漂い出したら、短冊切りにしたベーコンを投入し、カリッと香ばしくなるまで中火で炒めます。
 やがて、ベーコンに火が通ったら牛乳とコーヒーミルクを加え、沸騰させすぎない程度にフツフツと熱してゆっくり煮詰めていきます(この時、フライパンの底にこびりついている旨味を木ベラでこそげ取りながら混ぜた方がいいです)。
特製新じゃがカルボナーラ4
特製新じゃがカルボナーラ5
特製新じゃがカルボナーラ6
 ソース全体にゆるいとろみがついてベーコンの旨味が混ざりきったのを確認したら、先程用意した新じゃがを入れてよく混ぜ、続けてきなこを加えてさらに混ぜ合わせます。
 きなこは少なすぎても多すぎても効果を発揮できませんので、少しずつ入れながら味見して量を調節する事をおすすめします(個人的に、「ソースがほんのり茶色っぽくなってきたかな~?」くらいがちょうどいいように感じました)。
特製新じゃがカルボナーラ7
特製新じゃがカルボナーラ8
特製新じゃがカルボナーラ9
 きなことソースがまんべんなく混ざって新じゃがに絡んだら火を止め、そのままお皿へ盛って上から荒挽きブラックペッパーをふりかければ“特製新じゃがカルボナーラ”の完成です!
特製新じゃがカルボナーラ10
 さすがに「カルボナーラスパゲティにそっくりだ!」という外見にはなりませんでしたが(下からきなこ由来の茶色い液体が出ているのが激しく気になりますし;)、これはこれで美味しそうです。
 卵やチーズこそ使ってない物の、にんにくや牛乳のこってりした香りが空腹時にはたまらない感じで、撮影中何度もお腹がなりました。
 匂いだけではきな粉を連想させる物はありませんが、果たして味はどうなのか…食べて確かめてみようと思います!
特製新じゃがカルボナーラ11
 それでは、熱々の内にいざ実食!
 いただきまーす!
特製新じゃがカルボナーラ12


 さて、味の感想ですが…想像していたよりもまとまな美味しさで衝撃!一口食べただけでは、きなこが入っている事に気付けません!
 アルデンテ状に火が通ってシャキシャキサクサクと弾むような食感になっている新じゃがに、きなこによって卵黄で和えたみたいなとろみがついた濃厚ソースがねっとり絡み、噛めば噛む程クリーミーな旨さが口の中いっぱいに広がります。
 正直、本物のカルボナーラに比べると若干あっさりした感じでボリューム感も落ちるのですが、基本的な味付けはそっくりなので、「カルボナーラ風」としてなら十分名乗る資格があると感じました。
 きなこ自体の味はほぼ消し飛び、それどころか牛乳と合わさる事によってまろやかで臭みのないクリーム感、ベーコンと合わさる事によってチーズみたいな塩気、そしてコーヒーミルクと合わさる事によってカルボナーラソースに酷似したコクが生まれており、これなら卵やチーズの匂いが苦手な方でも抵抗感なく頂けるんじゃないかな~と思います。
 あと、中でも重要な役割を果たしていたのは実はにんにくで、独特の力強くてがっつりくる旨味が全体にさらなる深みを与えていたのがよかったです。
 ベーコンや牛乳の脂分だけでなく、バターのふくよかで香り高い風味も溶け込んでいる為こってり感もカバー出来ていますし、言う事なしでした。
  きなこは入れ過ぎにさえ気をつければ粉っぽさは感じませんので、普通のカルボナーラに少し足してみてもいけるかもしれません。


 きなことカルボナーラという一見突拍子もない組み合わせが、ここまで美味しいとは衝撃です(今度は、“ふのりのスパゲティ”も作ってみたいな~と考えています)。
 新じゃがをスパゲティにして作っても美味しく、よりカルボナーラ度がと高まった感じだったので、お勧めです!

●出典)『天使のフライパン』 小川悦司/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2013.03.25 Mon 21:13  |  無茶な(^_^;)


と、思いましたが感想を読んでると食べてみたくなります(笑)

最近『週刊少年ジャンプ』で連載を始めた『食戟のソーマ』っていう、(ジャンプでは珍しい)料理漫画も手軽で美味しそう且つ(ジャンプとしては)リアクションがエロいですよ(^w^)

  • #-
  • URL

2013.03.26 Tue 12:16  |  昼時のお楽しみ

ここ最近で「くーねるまるた」「最後のレストラン」「天使のフライパン」を新たに入手しました
お腹を減らし 本棚を満たしてくれるいいブログとして日々堪能させていただいています

マガジンでも最近新たに料理漫画始まりましたね

  • #-
  • しがない会社員
  • URL
(編集・削除用)
管理者にだけ表示を許可

Trackback

URL
http://luckyclover7.blog27.fc2.com/tb.php/908-f2709dcc
この記事にトラックバック(FC2Blog User)

プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

Copyright © あんこ