『美味しんぼ』の“カキの清蒸風”を再現!

 先日、スーパーで買い物をして列に並んでいた時、ふと傍にあった棚の商品を暇つぶしに見ていたのですが、チャッカマンの一つに「点火無双」という商品名の物があったのを発見し、思わず吹き出してしまいました;。
 個人的には、評価したいです。

 どうも、ある猫缶の側面に書かれていた「キャッと喜ぶ!」はイマイチだったな~とどうでもいい事を思い出した管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『美味しんぼ』にて山岡さんが究極のメニューVS至高のメニューのカキ料理対決で出した“カキの清蒸風”です!
カキの清蒸風図
 これは、究極のメニューと至高のメニューがまだ戦い始めたばかりで、海原雄山氏に対して山岡さん達がまだ一度も勝利出来ていなかった、『美味しんぼ』初期の頃のお話。
 中松警部や歌子さんと一緒に歌舞伎見物に行った山岡さん達は、その帰りに偶然、雄山氏が包丁を持った男性に「こ…殺してやるぅ…」と言われ、詰め寄られている現場を目撃します(ちなみに、雄山氏は眉一筋動かさず涼しい顔をしていました。もしや、こういう修羅場は慣れているんでしょうか;?)。
 幸い、相手の男性の覚悟が決まっていなかったのと、雄山氏が「私を殺したら、お前の店の味が上がるとでも言うのか?では、殺してみるがよい」「ほら、どうした、早く来んか!」と一喝したのに恐れをなして崩れ落ちたおかげですぐに警察に取り押さえられ、事なきを得ていました。
 実は意外な事に、山岡さんは男性が逮捕される直前、雄山氏を助けようとして男性に飛びかかろうとしています(←男性が本気でないのに気付いた中松警部によって、止められていますが;)。
 この頃から既に憎しみだけでなく、愛憎入り混じる感情で苦しんでいたんだな~と、山岡さんの複雑な心境を再確認です(´・ω・`)。

 その後中松警部が取り調べたところ、男性の名前は川地郁一さんで、京橋にある<元気亭>という自由な料理を出す事が売りのレストランを開いているオーナーシェフだという事が分かります。
 川地さんが言うには、以前雄山氏が来店した時、「料理の国境とか縄張りだとかにこだわらず、自由で柔軟な発想による、新しい味の発見をしたい」と言っておきながら、生カキのレモン添えという平凡な一品を出したのに対し、雄山氏が「ここには真心を込めて人をもてなそうという真摯さも、新しい味を発見しようとする気概もない」と怒ってマスコミに悪い評価を流し、その結果客が激減したのを恨んで刺し殺そうとしたとの事で、これにはさすがの山岡さんも「不用意すぎるよな…あんなひねくれた男に、生カキをそのまま出すなんてさ…」と呆れていました;。
 正直、雄山氏は街のカレー屋さんに「店主に問う。カレーとは何か?」と壮大な質問をしたり、山岡さんへ「ポン酢のポンとは何か?」と唐突に聞いたりするなど、結構な無茶振りが目立つキャラではありますが、この時ばかりは雄山氏の言う通りだな~と納得したのを覚えています。
このシーンを見たときは、緊迫しているはずなのに思わず「雄山タンらしいな~」と笑ってしまいました;
 結局、川地さんは警察の上層部にこっそり手を回した雄山氏の計らいですぐに釈放されるのですが(←雄山氏の心の広さが窺い知れます)、すっかり気落ちしているのを見過ごせなくなった山岡さんから、「雄山は刃物で刺しても倒せない。料理で刺すんだ」とはっぱをかけられ、もう一度料理で雄山氏にリベンジを果たそうと考えます。
 タイミングがいい事に、ちょうど究極のメニューVS至高のメニューの次の対決日時が迫っていた事もあって、テーマは山岡さんの思惑通りすんなりカキ料理に決定し、川地さんはめでたく究極のメニュー側の助っ人として、カキ料理対決で腕を振るう事が決まっていました。

 ※これは後々分かった事ですが、どうやら雄山氏は悪意を持ってマスコミに話したのではなく、「独自の味の発見と創造に力を尽くす事が料理人の心得の一つ」である事をTVで分かりやすく説く為、つい悪い例として口を滑らせてしまっただけに過ぎなかったようで「私としたことが、店の名を出したのはうっかりした…」と雄山氏にしては珍しく後悔した様子だったのが印象に残っています(←個人的に、この一連の流れは雄山タンの希少なドジッ子シーンだと解釈してます;)。
元気亭を救う為という山岡さん達の思惑は、究極と至高がカキ勝負をするきっかけになります
 こうして、川地さんと協力して雄山氏をあっといわせる新しいカキ料理を探し始めた山岡さんと栗田さんですが、なかなか「これ!」といった料理が見つからず、作業は難航します。
 唯一、山岡さんと川地さんが共同で発明したフランス風料理・“カキのシャンパン蒸し”(←これも後日作ってみる予定です)だけはいいセンをいっていたのですが、試作中に様子を見に来た雄山氏によって「焼きガキは、シャンパン蒸しの持っていない物を持っている」「シャンパン蒸しは、いわば‘看板に偽りあり’みたいな物だからな」「ま、対決当日に審査員の多くがカゼでも引いてくれたなら、シャンパン蒸しでもよいかもしれんがな」ヒントの出血大サービス挑発をして帰っていき、山岡さん達を「香りだ!シャンパン蒸しには、香りの鮮烈さがない…」「シャンパン蒸しも焼きガキも手の内を見られたから、もう使えない…」と大いに慌てさせていました;。

 なお、当管理人は上記三つの雄山氏のセリフを「シャンパン蒸しには焼きガキのように鮮烈な香りがないから不利だ」「もっと上をいく蒸し料理があるから、もう一度探せ」「いいな、香りがカキ料理の秘訣だぞ、大事な事だから繰り返したぞ」と翻訳した為、「優しいな~」とほのぼのしました(´∀`)。
何だかんだ言いつつ、シャンパン蒸しの弱点を教えるヒントを教えるツンデレ雄山タン;
 しかし対決前日、中松警部と大石警部に連れられて行ったお店でタンメンが作られる様子を見た山岡さんは、やっと焼きガキやシャンパン蒸しを上回るカキ料理を思いつき、「できたああああ!!」「おう!俺みたいに中華料理が大好きな人間が、どうしてこの料理を思いつかなかったんだろ!」と興奮して喜んでいました;。
 そして、究極のメニューと至高のメニューがカキ料理で対決する当日、山岡さんが雄山氏のヒントやタンメンの調理行程を元に考え出し、川地さんに作ってもらったのが、この“カキの清蒸風”です!
 作り方は意外と簡単で、片方の殻をむいたカキに醤油・紹興酒・香菜・長ネギを乗せてから蒸し器に入れてさっと蒸し、最後に煮えたぎった落花生油を回りかけたら出来上がりです。
 山岡さんと栗田さん曰く、「これは中国料理の技法なんだ!それを思い出させてくれたのは、あのタンメン屋の親父さんだ!熱したスープのぶつかり合いが、素晴らしく香ばしい香りをたてるんだ!」「海の香りが立って、しかも潮の香りが強過ぎたり、生臭かったりする事もない!」という油を活かした料理だそうで、落花生油を審査員の目の前でかけた事もあり、唐山先生や京極さんはまるで子どものように盛り上がっていました;(調べた所、この技法を使った料理は「清蒸」というのだそうで、本場中国ではカキではなく、尾頭付きの白身魚を使って作られる事が多いとの事。作中では正式な料理名がついてなかったので、勝手に“カキの清蒸風”と名付けちゃいました)。

 海原雄山氏率いる至高のメニューのカキ料理は‘洗練’、山岡さんと川地さん率いる究極のメニューのカキ料理は‘興奮’であるとされ、審査員の結論は最後の最後まで揉めますが、最終的には鮮烈な香りを持つ“カキの清蒸風”の方が高く評価され、見事山岡さん達は雄山氏に対して初勝利していました。
 ただ、川地さんも「この勝利は、私の店にとって大変な宣伝になるでしょう。海原雄山は、自分が私の店を減らした償いをしてくれたんじゃないでしょうか?」と気付いていた通り、この勝負は雄山氏がわざと勝ちを譲ったような闘いだった為、なかなか苦い勝利だったのではないかな~と感じました。
中松警部が行きつけにしているタンメン屋さんのおかげで、いいアイディアを思いつきます!煙が出るまで熱々にした落花生油を上からかけることにより、カキの香りを十二分に引き出すことに成功!
 当管理人の近所では、殻つきのカキはなかなか手に入らない為再現を半ば諦めていたのですが、先日珍しく近所のお店が仕入れていたので、めでたく作れる事になりました。
 作中のレシピ通り、早速作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、材料の下準備。加熱用のカキの殻を片方だけ取り除いたら、カキの身にゴミや殻の破片が残っていないかチェックし(残っていた場合は、水でさっと流します)、耐熱皿に並べます。
 その間、落花生油を小さめのフライパンなどに入れ、いつでもすぐに熱する事ができるようスタンバイさせておきます。
 ※生食用でももちろん可ですが、加熱用の方が味が濃いのでお勧めです。
カキの清蒸風1
カキの清蒸風2
カキの清蒸風3
 これらのカキの上に、あらかじめ紹興酒と醤油を混ぜて作っておいた調味液をふりかけます。
 ※カキ自体にも甘みと塩気がありますので、醤油があまり強すぎないよう気をつけて調合した方がいいです。また、紹興酒は日本酒で代用すると味がガラッと変わってしまいますので、ここは本物を使った方が絶対いいと思います。
カキの清蒸風4
カキの清蒸風5
カキの清蒸風6
 調味液をかけ終えたら、細い千切りにした長ネギと大雑把に切った香菜を散らし、そのまま蒸気がモワモワ立ち上る蒸し器の中へ置き、短時間だけ軽く蒸します。
 後で熱した油をかけるので、七~八割程度火が通ればOKです。
 この時点で、先程フライパンに入れておいた落花生油を、煙が上がるまで熱々に煮えたぎらせておきます(←この作業中も、カキにかける時も、油はかなり危険な状態になっていますので火傷に要注意です!!)。
カキの清蒸風7
カキの清蒸風8
カキの清蒸風9
 カキが蒸し上がったらすぐに蒸し器から取り出し、火傷に気をつけながら熱々の落花生油をジャワアァァーー!!と回しかければ“カキの清蒸風”の完成です!
カキの清蒸風10
 長ネギと香菜の芳しい香り、落花生油の香ばしい匂いがふわりと漂う為、食べる前からおいしそうな予感がプンプンします(^^)。
 落花生油とスープがぶつかった時は「怖っ!」と一瞬ひるんでしまいましたが、こんなにもいい香りがするなら耐えられるかも…と思うくらい、高級感溢れる風味でした。
 蒸しカキと落花生油の相性は如何ほどなのか、実際に食べて確かめようと思います!
カキの清蒸風11
 それでは、熱々の内にいざ実食!
 いっただっきま~っす!
カキの清蒸風12


 さて、味の感想ですが…網焼きしたカキとはまた違った美味しさ!カキ料理には珍しく、結構こってりした後味です!
 ギリギリ火が通っているカキのジューシーで柔らかな口当たりと、ふっくらツルンとしたなまめかしい舌触りが嬉しい一品。
 蒸されて身が適度に引き締まり、落花生油で隙間なく包み込まれたおかげで旨味が程よく内に封じ込められたカキが美味で、熱々を噛み破るとカキのミルキーな甘味が一気に口の中を満たしていくのがたまりません。
 生だと磯の香りが強いので好き嫌いが分かれますが、熱した落花生油をかける事によって生臭みが完全に消え、潮の香りがいい具合に凝縮されているのよかったです。
 作中で言われている通り、「熱した油とスープのぶつかり合いが素晴らしく香ばしい香りを立て」、カキ本来の味わいをさらに鮮烈かつ洗練させた物にしているのが印象的でした。
 香菜の清々しくて胸をすくような風味、即席ネギ油の濃厚かつ香り高いコク、紹興酒の熟成された旨さによって奥深い醤油味になった調味液が、まるで極限まで澄ましてまろやかにした海水を思わせるカキのエキスと混然一体となるのが堪えられず、正直このスープを味わう為だけでもこの料理を作る価値はあると思います。
 長ネギのシャキシャキと爽やかな食感がいいアクセントになっていますし、言う事なしです!


 それまで、カキといえば焼きカキか生カキが最高だと考えていたのですが、“カキの清蒸風”を食べて考えを改めました。
 香菜がそこまで好きではない当管理人でもすんなり受け入れられた味なので、お勧めです。


P.S.
 oguogu さん、お久しぶりです。西ゆうじ先生がお亡くなりになった件は、直後にコメント欄にてお知らせして下さった方々がいらっしゃったので、何とか知ることが出来ていました。お気遣いして下さり、ありがとうございます。
 あと、その事を当管理人の代わりにコメント欄にて教えて下さっていた里さん、誠にありがとうございました。
 

●出典)『美味しんぼ』 原作:雁屋哲 作画:花咲アキラ/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2013.03.22 Fri 11:34  |  

初めまして!
ミスター味っ子からこちらへたどり着いて、実はもう2年以上こっそり拝読して楽しんでおりました。毎回、更新の早さと内容の丁寧さ・濃さに感心しております。
美味しんぼ大好きです。このカキの清蒸風は、山岡さんかなりのお気に入りらしく、その後もチラホラ登場しますよね。実際にあんこさんの作られた料理を見て、私も作りたくなりました!

・・・が、子供が産まれたので手も目も離せず、ゆっくり料理に時間をとれません((+_+)) あんこさんのブログで自分も作った気になっております。 そこで、図々しくも美味しんぼからリクエストを。

行方不明の母を探しに来た女の子が、おばあちゃんから教えてもらったという「フレンチ・ホットケーキ」というお菓子を作る話があったんですが、実際に作るとどんな感じかなぁと気になっていました。
もし、機会があれば再現してみてください。

長文になってしまいました(^_^;) これからも応援しております!
子供がぐっすり寝た時を狙って、たまにコメントさせていただきますね☆

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あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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