『丼なモンダイ!』の“国崇特製・ホッキ貝のカレー丼”を再現!

 先日、ご厚意で頂いた「八女ジビエ イノシシカレー」というレトルトカレーを食べたんですが、思ったよりも獣臭がせずまろやかなカレーで、びっくりしました(こちらに詳しい感想文が載っています)。
 元々は農作物に被害を与える害獣としてしか認識されなかったようなんですが、いつしかその美味しさに「これはいける!」と有効活用する考えが思いついたとの事。
 何でも、カレーの他に猪骨ラーメン(?!)という新ジャンルが出来上がりつつあるみたいなので、いつか旅行する機会があったら食べに行きたいな~と思いました。

 どうも、今度はワニ肉を食べてみたくなった管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『丼なモンダイ!』にて主人公・米野国嵩さんが相棒である及川栞さんのお祖父さんに作った“国崇特製・ホッキ貝のカレー丼”です!
国崇特製・ホッキ貝のカレー丼図
 農林水産省直営の丼専門店・<丼ぶり一丁>が開店して数か月が過ぎた頃、夏休みも取らず働いている孫の栞さんを心配したお祖父さんが(残念ながら名前不詳なので、お祖父さんで通します)、栃木県からわざわざ抜き打ちでお店にやって来ます。
 栞さんが公務員になる前、日本の米余り問題を何とかしたいと燃える姿をお祖父さんは身近で見ていた為、「農水省に入って本当にやりたかった事はこんな事だったのか?場末の丼屋じゃないか!」と怒りをあらわにするのですが(←正直、身内としては至極当然な不満ですね;。国崇さん自身、最初は左遷同然だと嘆いていましたし;)、国崇さんの作る丼の力を信じるようになっていた栞さんは「何も知らないくせにそんな風に言わないでよ、国崇さんの作る丼は最高なんだから」と反論します。
 すると、お祖父さんは国崇さんの顔つきに何か感じる物があったらしく、一つ課題を出す事にします。
 それは、「最高のカレー丼を作る事」
 お祖父さん曰く、はるか昔の学生時代、故郷の村にただ一軒だけあった蕎麦屋さんで有り金をはたいて食べていたカレー丼が未だに忘れられないとの事で、そのカレー丼を超える味を作る事が出来たら「丼ぶり一丁」を認めようと約束します。
認めてほしかったら、若い頃に食べた物と同じくらい美味しいカレー丼を作れというおじいちゃん
 その話を聞くや否や、早速国崇さんは定番の純和風なカレー丼を作ってお祖父さんに食べてもらうのですが、一口食べた途端普通に美味しい事は認めつつも、「だが、まだまだだ」「もう一度だけチャンスをやる、ワシに美味いと言わせるカレー丼を作ってみい!」と返されてしまい、結局明日までにお祖父さんの納得するカレー丼を考えなくてはならなくなります。 
 その夜、国崇さんはお祖父さんの思い出の味を探る為に栞さんへ電話し、お祖父さんに関する情報を少しでも集めようとするのですが、この時「お祖父ちゃんはもう80近い歳なのに味覚はとても若いんです。たとえば今時のラーメンなんかも大好きなくらいで…」、「村に一軒だけあった蕎麦屋はお祖父ちゃんの生まれ故郷、確か福島県の相馬にあると思います。お祖父ちゃんが栃木に来たのは婿養子になってからなので」という二つの重要なヒントを得る事が出来、やっと国崇さんはお祖父さんのカレー丼の正体が何か突き止めるのに成功します。
 その正体とは、何と肉ではなくホッキ貝を使ったカレー丼!
 国崇さんが言うには、かつて福島県の海側ではカレーの具としてホッキ貝が一般的だったとの事で、だから肉を使ったカレー丼は旨みの本質が違っていたのだろうと推測していました(作中によると、その昔肉が高かった頃に代用品として使われだしたのが始まりだったそうです。その他の情報は、こちらこちらにあります)。
今は栃木に住んでいるお祖父さんですが、その昔は福島県は相馬に住まわれていたとの事福島県の海側に面している地域では、かつてホッキ貝がカレーの具となっていたとの事。
 なお、実は国崇さんがカレー丼作りに奮闘している時、栞ちゃんはアパートに泊まったお祖父さんから「本気でコメ問題でどうにかしたいと思うなら、お前自身が農業をやればいい」「あの男が明日ワシを満足させられなければ、お前を田舎に連れて帰る!!」と無茶苦茶強引な発言をされていたのですが、「私は国崇さんを尊敬してるの!」「あの人なら…本当に丼ブームを巻き起こして、日本のコメ余り問題を解決できるわ!」と負けず劣らず壮大な宣言をしており、お祖父さんを一瞬口ごもらせていました;。
 はっきり言って、この時点で<丼ぶり一丁>はまだたった一店舗の弱小新規店に過ぎなかったので、連載時にこのセリフを見た時は「確かに国崇さんは凄腕だけど、さすがにそれはちょっと無謀なんじゃ…(´Д`;)」とハラハラしたものです。
 しかし、後にある意味チェーン展開するよりも<丼ぶり一丁>や国崇さん達はすごい出世をするので、栞ちゃんはかなり先見の明があったのだと今なら思います;。
国崇さんを信じるあまり、日本中に丼ブームを起こせると断言した栞ちゃん
 そして翌日のお昼、国崇さんがお祖父さんに自信をもって出したのが、この“国崇特製・ホッキ貝のカレー丼”です!
 作り方は意外とお手軽で、ホッキ貝のヒモと昆布で取った出汁にホッキ貝・玉ネギ・じゃがいも・鶏ガラスープ・カレー粉を入れて煮込み、最後に片栗粉でとろみをつけてグリーンピースをトッピングしたら出来上がりです。
 ポイントは、ホッキ貝や昆布の出汁だけではなく鶏ガラスープもプラスする事で、そうする事によってラーメンのWスープの原理で味にぐっと深みが出るのだとか(←お祖父さんは今時のラーメン好きというヒントで思いついたアイディアだそうです)。
 今回は昔の味の再現がテーマだったので、本来なら鶏ガラスープの工夫はいらなかったはずなのですが、国崇さん曰く「記憶は美化される。過去に美味いと思ったものと全く同じものを作っても、人の記憶を満足させる事は出来ない。それ以上のものを作らない限りはな!」と考えたからこそ一歩踏み込んだカレー丼を作ったようで、それを聞いたお祖父さんはやっと国崇さんの力量を認め、栞さんを自由にすることを決めていました。
 大抵のグルメ漫画だと、昔そのままの味を再現できればそれで合格!みたいな展開が数多かった為、初めて読んだ際は国崇さんの言葉に一種の新鮮さと、妙なリアリティを感じたのを覚えています。
おじいちゃんがラーメン好きなのをヒントに、鶏ガラスープもブレンドしていました想い出は日々美化されることを見透かしていた国崇さんは、さらに上の味を目指しました
 生のホッキ貝を手に入れる事が出来なかった為、ずっと再現がのびのびになっていたのですが、先日近所の肴屋さんで偶然発見できたため、迷わず買って再現を決意しました(←失敗したくなかったので、殻はあらかじめ剥いてもらいましたが;)。
 ずっと食べたくて仕方がなかったので、早速張り切って作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、出汁を取る作業。ホッキ貝の殻を剥いて下処理したら、あらかじめ昆布を入れて出汁を煮出していた小鍋へホッキ貝のヒモだけを投入し、弱火でじっくり出汁を取ります(ホッキ貝の身は、後で使います)。
 この時、沸騰させてしまうとヒモが硬くなりすぎてしまいますので、火加減に注意します。
国崇特製・ホッキ貝のカレー丼1
国崇特製・ホッキ貝のカレー丼2
国崇特製・ホッキ貝のカレー丼3
 途中、食べやすい大きさに切ったホッキ貝の身をザルに入れて小鍋の中へ沈め、慎重に火を通しつつ出汁を取ります(←あんまり火を通すとゴムみたいに味気なくなりますので、先っちょがほんのり紅色に染まったくらいで引き上げるのがベストです)。
 火が通ったホッキ貝の身は、そのまま別のボウルに取っておきます。
 不思議な事に、加熱する前のホッキ貝は肌色がかった乳白色で全く赤くないんですが、火が通ると徐々に美しい紅色に変化していくので、思わず見惚れてしまいます(・∀・*)。
国崇特製・ホッキ貝のカレー丼4
国崇特製・ホッキ貝のカレー丼5
 やがて、ホッキ貝の身と昆布から出汁が十分に取れたら昆布のみ取り出し、代わりに鶏ガラスープ、くし型に切った玉ネギ、一口大に切ったじゃがいもを加え、中火で煮込みます。
 鶏ガラスープは隠し味程度に留めるより、結構大胆に加えた方が味が濃くて美味しく仕上がりますので、味見をしながらどんどん足していくのをお勧めします。
 ※じゃがいもは生のまま入れるより、一旦軽く蒸してから入れた方が煮崩れしにくく、すぐに火が通ります。
国崇特製・ホッキ貝のカレー丼6
国崇特製・ホッキ貝のカレー丼7
国崇特製・ホッキ貝のカレー丼8
 玉ネギやじゃがいもに火が通ってきたら醤油、麺つゆ、塩で味を調整し、ちょうどいい塩梅になってきたらカレー粉を投入してさらに煮ます。
 カレー粉と出汁が混然となって少々煮詰まってきたら、水溶き片栗粉を回し入れてとろみをつけ、火を消す数分前に取っておいたホッキ貝の身を加えてざっと混ぜ合わせます。
 ※作中では詳しい味付けが載っていなかった為、醤油などは想像で付け足しました。あまり再現度が高くなくてすみません。
国崇特製・ホッキ貝のカレー丼9
国崇特製・ホッキ貝のカレー丼10
国崇特製・ホッキ貝のカレー丼11
 ホッキ貝が硬くならない内にすぐ火からおろし、炊き立てご飯をよそった丼へたっぷりかけて仕上げにグリーンピースを散らせば“国崇特製・ホッキ貝のカレー丼”の完成です!
国崇特製・ホッキ貝のカレー丼12
 茶色いカレールーの中でもなお浮かび上がるホッキ貝の鮮やかな紅色が美しく、普通のカレー丼よりも見栄えがいい感じです。
 カレーのスパイシーな香りに、貝類特有の甘やかな匂いがほのかに混じって香る為、かなり食欲をそそられました。
 グリーンピースの緑色もあるので思っていたよりも彩りがよく、味が楽しみです。
国崇特製・ホッキ貝のカレー丼13
 それでは、熱々の内にすくっていざ実食!
 いただきま~す。
国崇特製・ホッキ貝のカレー丼14


 さて、味の感想ですが…ほっと癒される穏やかな旨さでうっとり。これは、一度食べたら忘れられなくなります!
 カレーライス用のルーに比べるとやや薄味ですが、ゆったりとまろやかな薄口甘辛醤油味の和風ルーが妙に癖になり、食べ進む内に段々ちょうどよくなっていきます。
 例えるとするなら「海辺のお蕎麦屋さんの海鮮カレー丼」というイメージで、ピリッと程よくスパイシーな辛さに、優しく甘い貝のお出汁がぴったりの相性でした。
 肉を使ったカレーに比べるとパンチにはかけますが、しみじみする深い味わいが印象的です。
 また、作中で国崇さんが言った通り、鶏ガラスープの複雑なコクが合わさる事によってホッキ貝の風味と旨味がくっきりと際立っていた為、感嘆しました。
 具のホッキ貝は肉厚で弾力があり、グニグニコリコリした食べ応えのある食感が特徴的ですが、中でも感動したのがその甘味!
 カキを上回るミルキーさ、ハマグリよりも滋味深い甘味、それでいて後味はさっぱりしていて、正直貝の中で一番濃い旨味を持つのはホッキ貝ではないかと感じました(ヒモもいい出汁が出るだけではなく、しっかり煮込まれてシコシコした食感になっているのが美味)。
 時折プチプチと弾けては、瑞々しい汁気が飛び出すグリーンピースがいいアクセントになっています。


 生のままのホッキ貝を調理するのは初めてだったんですが、冷凍ものとは比べ物にならない想像を絶する美味しさで、感動しました(鶏ガラスープとよく合っていたのも衝撃!)。
 このままでも十分美味ですが、ホッキ貝とバターの相性の良さを考えると、もしかしたらバターカレー風にしてもいけるかもしれません。

●出典)『丼なモンダイ!』 原作:花形怜 作画:吉開寛二/日本文芸社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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Author:あんこ
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・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
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