『クッキングパパ』の“棒棒鶏冷麺”を再現!

 当管理人が通う職場の近所に小さなラーメン屋さんがあるのですが、その傍らには川と呼ぶのもためらわれてしまうような、これまた細くて小さい清流があります。
 下水はきちんとしており、廃水を垂れ流しにする事は一切していないのですが(すくって飲めそうなくらい透明度がすごいです)、厨房の目の前に川があるせいかその付近はとんこつ臭がすごく、おかげで「見た目は涼しげで綺麗なのに、常にとんこつラーメンの匂いがして暑苦しい川」と評判になってます;。
 なので、当管理人はこの川を密かに「とんこつ川」と呼んでいます。

 どうも、某ラーメン屋で「NO TONKOTU」のプレートが貼られているのを発見し、「九州でこの決意はすごい!」と感動した管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて幸子さんが漬け物しか食べないお義母さんの為に作った“棒棒鶏冷麺”です!
棒棒鶏冷麺図
 荒岩主任ら営業第二課チームが行きつけにしている昼食店の一つに、大衆中華料理店・<やえ>というこじんまりとしたお店があります。
 口が大変達者で、お客相手でも容赦なく毒舌を吐くことで周囲から恐れられているチャキチャキの博多っ子・やえさんと、そんなやえさんに女手一つで育てられた手前頭が上がらない息子さんと、その奥さんの三人で切り盛りされているお店なんですが、安くて美味しい料理が魅力的なのは勿論、やえさんの気風の良さに惹かれてやってくるお客さんは未だに多く、おかげで不況に関係なくいつも繁盛しています。
 とはいえ、歳をとってますます元気なやえさんの勢いにタジタジなお客さんも少なくなく(←田中君なんかその筆頭で、「いくらうちの料理がうまいけんというても、そげんバカ食いしよったら、その内ブクブク太って早死にするバイ!」ときつい言葉を言われ、目を点にしていました;)、そのせいかお店に緊張感が走る時もしばしばあるのですが、そんな時に絶妙なタイミングで場を和ませてくれるのが、息子さんの妻・幸子さん。
 見た目も性格もおおらかで、いつもおっとりしている幸子さんは唯一やえさんの毒舌が通じない最強キャラで、口では「私なんてお義母さんに怒鳴られるたびに身がすくんじゃってー、いつも身の細る思いをしてるんですよー」とのんびり言いつつも一向に応えていない様子なので、やえさんから「どこの身が細ってんじゃ~っ!!」と痛烈な突っ込みを受けていました(^^;)。
 普通の人なら怯みそうなやえさんの口撃も、「だってこんなにいいお天気なんだも~ん」「うふふ…お客さんたちも、怒られちゃいましたね」と、まるで闘牛をヒラリとかわすマタドールのように華麗にかわしており、おかげでお客さんたちもほっこり癒されていました。
 正直、幸子さんという緩和剤がなければ徐々に足が遠のいていたのではないかというお客さんはかなりの割合でいそうなので、読んでいて「いいお嫁さんが来たな~」としみじみしました(←これがもし、大人しい奥さんか同タイプの奥さんだったら、お店の雰囲気は大分違っていたと思います;)。
 夫婦漫才ならぬ嫁姑漫才という感じで、微笑ましい組み合わせです。
中華料理屋「やえ」に嫁いだ幸子さんはふっくらおっとりした女性で、やえさんとは正反対;
 けれども、そんな悩み知らずに見える幸子さんも、夏の暑さに食欲をなくして漬け物とご飯しか食べなくなり、自分の作るサラダや和え物を一切食べようとしないやえさんの身を密かに案じており、ある日買い物帰りに偶然幸子さんと会った荒岩主任は、その事について相談されることとなります。
 今は元気でもこのままだったら体を壊すのではないかと心配しているものの、頑固で短気なやえさんはいくら言っても素直に聞き入れてもらえない状態で、「いつになったら、お義母さんが私の作った料理を食べてくれるのかなーと思って…」と、幸子さんは寂しそうに笑ってました。
 すると、荒岩主任は「私の母も短気でしてね、口も悪いしよく似てますよ」「私が作った料理を食べて、一度だってうまいと言った試しがないですし…」と笑い話風に言って幸子さんの苦労を共感すると同時に(←このシーンを見た時「なるほど!やえさんを見てデジャブを感じたのはそういう事か!」と合点がいったものです;)、「でもね、あのタイプはその都度発散しているから、全然根に持つことはないんですよ」「自信もって!幸子さんの作るサラダ美味しいですよ!」と言って幸子さんを慰めていました。

 正直、荒岩主任自身もまだカツ代さんから「おいしい!」と褒めてもらえていない為確実なアドバイスが思い浮かばず、それゆえにただただ勇気づけるしか出来なかったんだと推測されますが;、それでもやえさんが普段「あたしゃね、高菜とキムチと梅干しがあれば生きていけると!」と豪語していることを幸子さんから聞いて何かピンとくるものがあったらしく、「そうですね、あれくらいの年齢になるとこってりしたものは好まなくなりますね」「キムチや高菜がお好みなら、少しピリッとしたものが」などと助言しており、幸子さんにインスピレーションを与えるのに成功していました。
やえさんとカツ代さんは似ているタイプなので、お二人とも大いに盛り上がっていました;仕事中、荒岩主任の言ったアドバイスを参考にしながらのんびりレシピを考えてました
 こうして、毎日サラダや和え物を作り続けて腕をあげた幸子さんが、荒岩主任のアドバイスをヒントにやえさんの事を考えて新しく生み出したのが、この“棒棒鶏冷麺”です!
 作り方はそこそこ凝っているものの単純で、鶏もも肉、長ネギ、しょうが、紹興酒を蒸して作ったスープや蒸し鶏、お酢・砂糖・醤油・芝麻醤・刻みネギ・刻みしょうが・ラー油・ゴマ油を混ぜて用意した棒棒鶏ダレを茹でて冷やした中華麺の上に乗せ、最後にきゅうりの細切りを添えたら出来上がりです。
 幸子さん曰く、やえさん好みのすっきりピリッとした味を目指して完成させた料理との事で、おなじみの棒棒鶏をアレンジしたのだとか。
 ポイントは、「タレをそのまま麺にまぶすと濃厚すぎるから、鶏を蒸した時に出るスープでのばす」事で、こうするとこってり系の棒棒鶏でもさっぱり頂けると幸子さんが説明していました。
 中華料理店の奥さんらしくかなり本格的なレシピですが、所々日本人好みにしているのが垣間見える為、以前からどんな味なんだろうと興味を抱いたものです。

 その後、幸子さんが“棒棒鶏冷麺”をやえさんに勧めてみた所、かつてはあんなに拒否していたというのにやっと一口食べ、その結果「これなら何とか…食えるたい。なかなか―うまかたい」とようやく認めてくれ、思わず幸子さんは一粒の涙を流していました。
 その際、やえさんは「けっ、何泣いてんだよ、暑苦しいね!この料理ばもっと完成させるばい」と強烈なツンをかましているのですが(←相変わらずの口の悪さに閉口しそうになりましたが、厄介な事に悪気は全くないんですよね~;)、翌日田中君や荒岩主任の前で「幸子のアイディアたい、うまかろうが!!」「毎日食べにこんと承知せんけんねーっ!」と特大のデレを見せていました;。
 やえさんに限らず、好き嫌い、そして怒りと喜びのふり幅が大きい人と接するのは何かと苦労が絶えませんが;、嘘もごまかしもないその竹を割ったような気性は見ていて清々しいですし、独特のペースに巻き込まれるのも楽しいから憎めないんだよな~と、苦笑した回でした。
照れくさそうに笑いつつも、どこか誇らしげな幸子さんがよかったです^^
 近所にあったおいしい中華料理屋さんが潰れて以来、ずっと満足のいく棒棒鶏を食べていなかった為、「それなら作ってみよう!」と思い、再現を決意しました。
 幸い、作中には詳しい分量つきのレシピが記載されていましたので、その通りになるよう早速作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、蒸し鶏とスープの下ごしらえ。耐熱容器へブツ切りにした長ネギ→黄色い脂肪を切り取った鶏もも肉の塊→皮ごと薄切りにしたしょうがの順に材料を重ね、上から紹興酒をふりかけます(下の画像では途中で容器が変わっていますが、これはより大きい器に変更したからで、特に意味はありません;)。
 この耐熱容器をそのまま蒸気が噴き出す蒸篭に入れてフタをし、様子を見ながら二~三十分かけてじっくり蒸しあげます。
棒棒鶏冷麺1
棒棒鶏冷麺2
 鶏もも肉の芯まで火が通ったら容器を取り出し、こぼさないよう気を付けながらスープを漉して、両方とも冷蔵庫で冷やします(←たったこれだけなのに、すごく手間暇かけたようないい香りの鶏スープになります)。
 これで、蒸し鶏とスープはそれぞれ準備OKです。
棒棒鶏冷麺3
棒棒鶏冷麺4
 次は、棒棒鶏ダレと麺用のタレ作り。
 別のボウルにお酢、砂糖、醤油、芝麻醤、刻みネギ、刻みしょうが、ラー油、ごま油を加えてよ~く混ぜ合わせ、特製の棒棒鶏ダレを作ります。
 このタレを、単行本に載っている配合で先程のスープと合わせて混ぜたら、麺用のタレは出来上がりです(この時点で、二種類のタレが手元に用意されている事になります)。
棒棒鶏冷麺5
棒棒鶏冷麺6
 その間、蒸し鶏は好きな大きさにスライスし、きゅうりは板ずりしてから所々皮をむいて細長く切り、中華麺はたっぷりの熱湯で茹でた後に冷水でキュッとしめておきます。
棒棒鶏冷麺7
棒棒鶏冷麺8
棒棒鶏冷麺9
 この中華麺をお皿に乗せて上から麺用のタレを注ぎ、そこへさらに蒸し鶏ときゅうりを盛り付け、仕上げに棒棒鶏ダレを蒸し鶏にかければ“棒棒鶏冷麺”の完成です!
棒棒鶏冷麺10
 芝麻醤入りのタレから漂う、炒ったゴマ特有の香ばしいふくよかな食欲をそそります。
 中華麺の透明感を帯びた黄色と、きゅうりの鮮やかな緑色が涼しげな感じを演出しており、思わずのどが鳴りました。
 棒棒鶏と冷麺を一緒にすると果たしてどうなるのか、実際に食べて確かめてみようと思います。
棒棒鶏冷麺11
 それでは、タレを鶏肉にまぶしていざ実食!
 いっただっきまーっす!
棒棒鶏冷麺12


 さて、味はと言いますと…かなり本格派なピリ辛棒棒鶏で美味し!夏場でもスルッといけちゃいます!
 しょうがによってすっきりと、ラー油によってピリッと、そして芝麻醤によって濃厚かつ香ばしい油分でパンチがきいた中華風こってり甘辛ゴマ醤油タレが、脂が落ちてあっさりしつつも十分ジューシーな蒸し鶏と抜群に合っており、正直これ単品だけでも冷菜としてすごい完成度で、思わず感動しました。
 芝麻醤が入っているので決して軽い味付けではないのですが、様々な香味野菜や調味料によって複雑な刺激がプラスされた美味しさになっているせいか、不思議と後を引きます。
 長ネギのわずかに辛味があるシャリシャリ感が程よいアクセントを与え、きゅうりのシャキッと爽やかな食感が濃いタレを緩和するのもバランスがよく、おかげで最後まで飽きずに頂く事が出来ました。
 スープは鶏からたっぷりにじみ出た自然なチキンエキスが効いてじんわり奥行きのある仕上がりになっており、紹興酒の芳醇でこっくりとした深い余韻の残る風味が癖になりました。
 基本的にはタレと同系統のゴマ味ですが、鶏から出た肉汁で割っている為そこまでしつこくなく、逆に上の棒棒鶏との相性を高めるのに成功しています。
 少し加えたタレと、皮から出たゼラチンによってとろみがついて冷たいシコシコ麺にしっかり絡んでいるのが食べやすくていい感じで、例えるとするなら「さっぱり冷やし鶏坦々麺」というべき旨さになっていました。


 スープは中華麺だけではなく、そうめんやうどんにかけても合いました。
 中華料理屋さんの棒棒鶏に匹敵するほど美味で、ゴマ好き&棒棒鶏好きな方なら絶対気に入るであろう一品ですので、多くの方におすすめしたいです!

●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
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