『たけだみりこの極楽ゴハン』の“月見ごはん&ナスの梅ジソあえ”を再現!

 当管理人がまだ小学校にあがるかあがらないかの頃、友達の家にあった『ジャングル大帝』の単行本を熱心に読みふけったことがありました。
 何度も読み返しましたが、初期のシーンの中で一番心に残ったのは、主人公レオの父・パンジャと、当時妊娠中だった妻・エライザのあるエピソード。
 普段はジャングルの王として皆から畏怖されているパンジャですが、狩りを終えると真っ先にエライザの元へ行って丸々獲物を渡して食べさせ(←エライザの食事中、パンジャはじっと空を見て微動だにしないのが泣かせます;)、自分はエライザが食べ残した骨をチビチビ舐めて食事を終えるというたった数コマのシーンなのですが、良くも悪くも九州男児な父を持った当管理人にとって、この行為はかなり衝撃的だったのを覚えています。
 そして、子ども心に「将来は、レオのお父さんみたいに美味しい食べ物や意見を奥さんに譲れるような人と結婚したいな~」と空想していた為、当時から食い意地が張っていたのだな~と思い出すたび苦笑してしまいます;。

 どうも、成人後も無意識にその願望を持ち続けたのか、気が付けば好物をニコニコ譲ってくれる相方さんと歳月を共にしていた管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『たけだみりこの極楽ゴハン』にてかまどの神様が十五夜の夜に現れて作り方を教えた“月見ごはん&ナスの梅ジソあえ”です!
月見ご飯図ナスの梅ジソ和え図
 それは、日本に中秋の名月シーズンが到来した時の事。
 某所アパートの二階にあるベランダで、奥さんが部屋の中にいるご主人に「ねえ、出てこない?いい月よぉ」と呼びかけるのですが、ご主人はゲームでそれどころではないらしく、「今いいとこなんだ、それより飯まだ?」と素っ気なく返されてしまいます。
 正直、仕事が終わって家でやっと一息つき、「さあ好きな事やるぞ~!」モードの時は部屋の中から出る事すら億劫になるのもままある為、ご主人の気持ちも分からないでもないのですが、奥さんの「今しか楽しめないことは、今しようよ~!」という気持ちも分かる為、初見時は「うーん、どちらの言い分も分かるだけ難しい…」と頭を悩ませたものです(^^;)。
 とはいえ、中秋の名月を見上げられるのは一年に一度だけで大変貴重ですので、本格的にお供え物を用意して数時間単位でのんびり鑑賞するとまではいかなくとも、「そういえば、今夜はそういう日だったな~」と少し話題に乗りつつ、数分だけでも一緒に月を見てくれたらそれだけでもう嬉しいな~と個人的に思います;。
お月見をしようと夫をさそいますが、ゲームに熱中していて断られてしまいます
 そんなご主人のつれない反応に、奥さんは「…もったいない…今日はこんなにいい月なのに」と思わずため息をつくのですが、偶然にもその場へ空飛ぶお鍋でお月見飛行をしていたかまどの神様が立ちより、話を聞いてくれます。
 奥さんが言うには、どうやら単にお月見が出来なくて寂しいというよりは他に月を見て欲しい理由が存在するそうで、「ねえ、何かいい方法ないかしらー?どうしてもあの人にこの月を見せたいんだけど…」と真剣に相談されます。
 最初は「そうよのぉ…」と思案顔だったかまどの神様ですが(←そこそこ難題ですので、当然ですね;。ちなみに、当管理人は月見団子やとろろそばを食べさせるという案くらいしか思いつきませんでしたorz)、真ん丸なお月見様を見ていて何か閃いたらしく、「おおっ、そうじゃ!この月をご飯の中に閉じ込めるというのはどうじゃ!!」と提案します。
 その際、かまどの神様が奥さんにレシピを教えたのが、“月見ごはん&ナスの梅ジソあえ”です!
 作り方は両方ともすごく簡単で、“月見ごはん”は炊飯器のご飯に人数分の穴を開けて生卵を落とした後十分蒸らし、茶碗によそってから醤油ともみ海苔を散らすだけ、“ナスの梅ジソあえ”は切ったナス・青ジソ・梅干し・かつお節・日本酒・醤油・塩をボウルに入れて混ぜたらもう出来上がりです(←珍しい事に、ナスの下ごしらえは塩もみではなく、塩水に浸けて絞ると書かれていました)。
 かまどの神様曰く、「炊き立てご飯の余熱で卵がちょうどいい半熟に仕上がるのじゃ。余計な味付けをせず醤油で食べるのが一番じゃ」「出盛りの新鮮なナスで作るとうまいぞよ。酒のつまみにもなかなかじゃな」との事で、いずれにせよ秋の新米の季節に作ると一際おいしいと紹介していました。
 うっすら半透明の膜で覆われた半熟卵の黄身が朧月そっくりに仕上がるのだそうで、これを見たらつい頭の中で「半熟卵=月見」と連想され、いい話題作りになるのではとアドバイスされていました;。
満月を丼に封じ込めた料理として紹介されたのは、半熟卵が乗った白ご飯でした炊飯器のご飯に人数分の穴を開けて卵を落とし、そのまま数分蒸らしたらもうOK
 その後、奥さんは出来立ての“月見ごはん&ナスの梅ジソあえ”をゲームに夢中の夫がいるテーブルへ運ぶのですが、何故かご主人は「うわっ、つ、月だーっ!!」と驚き、「ま…満月だ…それも美しい」とワナワナ震えだします一瞬、奥さんが一服盛ったのか勘ぐっちゃいました;)。
 この時点でもうすでにおかしいのですが、驚くのはこのすぐ後で、何とご主人は“月見ごはん”を持ったままいきなり狼男に変身(゜Д゜;)!
 実はご主人は人間に変身できる狼男で、現在ではすっかり野性を忘れてずーっと人間形態のまま過ごしているはぐれ者みたいなんですが、奥さんが言うには年に一度はちゃんと変身しないと体に悪いとの事で、それで執拗に満月を見せて変身させようとお月見に誘っていたと説明していました。
 大抵、こういう人間に変身できる動物は身分を隠して生活するパターンがほとんどですが(『おおかみこどもの雨と雪』然り、『平成狸合戦ぽんぽこ』然り)、この作品は完全にギャグテイストのせいかご主人は狼男である事をご近所に受け入れられている模様で、狼姿で「九月に毛皮は暑いんだよぉ!ワオオ~ン!!」とベランダで遠吠えしても、奥様方から「あら、あそこのご主人今年もっ!」「もう秋ねぇー」と風物詩扱いされていました;。
『おおかみこどもの雨と雪』の二人とは違い、この夫婦に切ない事情は一切なしです;
 ちょうど新米が近所のお米屋さんで手に入った矢先でしたので、再現を決意しました。
 レシピは分量つきで作中に記載されていますので、早速作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、“ナスの梅ジソあえ”作り。ナスは軸を切り取った後、薄くスライスしてやや強めの塩水に浸けて十~十五分程度放置します(塩水は、なめてしょっぱいくらいがベストです)。
 一方、ボウルには種を取って包丁で細かく叩いた梅干し、日本酒、醤油、薄く削ったかつお節を入れ、よ~く練り合わせておきます。
月見ごはん&ナスの梅ジソあえ1
月見ごはん&ナスの梅ジソあえ2
 ナスを両手で挟んで握りしめてギュ~ッと絞り、余計な水分を取り除いたら先程のボウルへ投入して菜箸でかき混ぜ、最後にみじん切りor千切りにした青ジソを加えてざっと混ぜ合わせます。
 これで、“ナスの梅ジソあえ”は出来上がりです。
 一方、炊飯器で普通にご飯を炊いてスイッチが切れたらすぐにフタを開け、スプーンで真ん中へ小さな穴を掘った後生卵を割り落としてまたすぐにフタをし、そのまま約十分放置します。
月見ごはん&ナスの梅ジソあえ3
月見ごはん&ナスの梅ジソあえ4
 黄身が半熟っぽく固まったのを確認したら、玉子が崩れないよう慎重にご飯ごと茶碗へ盛り付けて周りにもみ海苔を散らし、仕上げに傍らへあえ物入りの小鉢を添えれば“月見ごはん&ナスの梅ジソあえ”の完成です!
月見ごはん&ナスの梅ジソあえ5
 トロリとした半透明の膜に覆われた真ん丸の黄身が満月、真っ黒なもみ海苔が夜の闇を連想させ、何とも風流な一品です。
 あえ物の方もナスの紫、青ジソの緑、梅干しの赤が如何にも「和」な感じで目にも美しく、見るからに秋らしいと感じました。
 半熟卵と白ご飯の取り合わせは数多く存在しますが、果たしてこちらはどんな味なのか、実際に食べて確かめようと思います。
月見ごはん&ナスの梅ジソあえ6
 それでは、お箸で黄身を突き崩して醤油を回しかけ、いざ実食!
 いっただっきまーす!
月見ごはん&ナスの梅ジソあえ7


 さて、味の感想ですが…これ以上ないくらいシンプルなのに、十分美味し!ナスもご飯のおかずとして最適です!
 炊飯器で蒸した卵は半熟というよりむしろ温泉卵に近いイメージで、醤油をかけてさっとかき混ぜてから一気に口へ運んだ所、目玉焼きご飯から香ばしさやお焦げを抜いたらこんな味わいになるんじゃないかな~と思いました。
 噛み締めるたびにパリパリと砕ける海苔の磯風味と、醤油ご飯のストレートな塩気に卵が加わるとまさにゴールデントリオといった感じで、卵かけご飯同様バクバクいけます。
 白身はまるで茶碗蒸しのようにフルフルしたとろけるような柔らかさですが、黄身はご飯に染みないギリギリの半熟加減でねっとり濃厚に変身しており、正直同じ調理法と調理時間でここまで火の通り加減が違うのは珍しいと感じました。
 じんわりゆっくりと熱が中央にまで浸透していったせいか、生の卵黄特有の臭みが消えている上、黄身の濃い甘味が何倍にも増幅されているのがナイスで、これなら目玉焼きや半熟卵といった半生系卵が苦手な方でも大丈夫なのでは…と思わずにはいられません。
 一方ナスは、カツオ節の出汁が効いた醤油によってマイルドになった梅干しの酸味がいい具合に馴染み、何とも言えないさっぱりした甘塩っぱさに仕上がっているのがご飯にぴったりでした。
 直接塩をふりかけず塩水でアクや水分を抜いたせいか、身がパサパサにならず瑞々しくキュムキュムした歯応えのままなのがよかったです。
月見ごはん&ナスの梅ジソあえ8


 新米が入った時期には、ぜひ一度は挑戦したい組み合わせです。
 単純な材料だけ使う料理なので、その分品質の高い素材を用意する事をお勧めします。

●出典)『たけだみりこの極楽ゴハン』 たけだみりこ/竹書房
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
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