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『華中華』の“きのこチャーハン”を再現!

 その昔、当管理人のいる地域ではエリンギが「常念坊」「エンリギ」と称されてひっそり売られていた時期があったのですが、時が経つにつれておなじみのエリンギという名前でしか売られなくなった為、最近までその事実をすっかり忘れていました(名前が変わった途端にどんどん売れて定着したというと、今はすっかり有名なお笑いコンビ・くりぃむしちゅーのお二人を彷彿とさせ、複雑な心境になります;)。
 常念坊の意味を調べてみても、「毎年暮れ、常念岳の麓にある酒屋へお酒を買いに現れた山姥or坊主」という分かるような分からないような説明しかありませんし、一体なぜエリンギの名前に常念坊が採用されたのか、未だに分からずにいます…。

 どうも、エリンギを生で食べると食中毒になると知ってちょっと怖くなった管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんがある謎の旅行者にご馳走した“きのこチャーハン”です!
きのこチャーハン図
 それは、横浜のみなとみらい区で国際会議が開かれ、お忍びで訪れるVIPがいた事から中華街に厳重警戒態勢がとられていた時の事。
 ハナちゃんはやや重苦しくなった街の様子をもろともせず、「私のチャーハンを楽しみにして来て下さるお客さん達の為に、今日も頑張ろう!」といつも通り昼休みに上海亭へ向かうのですが、その途中、裏路地で一人不安そうにうずくまる、一人の若い外国人女性を見つけます。
 心優しいハナちゃんは当然そのまま通り過ぎる事が出来ず、つい「どうかされたんですか…?具合でも悪いんですか…?」と声をかけるのですが、その女性は相当切羽詰っていたのか急にハナちゃんの両手を握り、「ヘルプ・ミー!助けてください、お願いです!」「人に追われています!」と唐突なお願いをし、ハナちゃんを驚かせていました;。
 正直、外国人でなくても誰かから追われているらしい見ず知らずの人の手助けをするのは、口では「大変ですね、どうしましょうか」と言いつつも、内心「厄介だな…怪しいな…」と感じる方がほとんどだと思うのですが(←というより、薄情な当管理人がそうなんですが;)、お人よしのハナちゃんはいち早くこの日本語を少し喋れる女性・タミルさんを信頼し、上海亭へかくまっていました。
 つくづくこういう時、人間としての器の差が出るのだな~と猛省しますorz。
 ※実を言いますと、この頃横浜中華街では「こんなに警備が厳しいのは、国際会議の為だけじゃなく、テロの警備もしているからだ」という噂がまことしやかにささやかれていた事もあり、楊貴妃さんは「あの子、テロ犯ってことはないよね…?!」とハナちゃんを心配していましたので、少なくとも楊貴妃さんからは非難されなさそうだと思い、ほっとしました;。
路地裏で寂しそうに座り込んでいた謎の外国人女性・タミルさんを、お店に連れてきます
 その後、上海亭で出された温かいお茶によって大分落ち着いたタミルさんは、自分は東南アジアのある国からやって来たと少しずつ身の上を話すんですが、詳しい話をしようとすると急に口を閉ざす為、おばあさんは困惑します。
 けれども、ちょうどこの時ハナちゃん達は今日の分のチャーハンを用意している真っ最中だったので、タミルさんから事情を聞くのはひとまず置いておき、先に下ごしらえをすます事を優先していました(←つくづく、ハナちゃんはお客さん&チャーハン命なんだな~と苦笑;)。
 その際、ハナちゃんがおじいさんに安く仕入れてもらった大量のきのこを使って作ったのが、この“きのこチャーハン”です!
 作り方は簡単で、椎茸・エリンギ・舞茸・ぶなしめじを醤油と日本酒で味付けして炒めた物を、基本チャーハンへ投入して混ぜ合わせたら出来上がりです!
 ポイントは火加減で、最初は弱火でじっくり火を通して旨味エキスを引き出し(←何でも、きのこに含まれるグアニル酸は弱火で加熱すると活性化しやすいのだとか)、最後に調味料を入れる時は強火で炒めて香ばしさをプラスすると、より一層きのこの美味しさが際立つと作中で説明されていました。
クッキングはしたことがないものの、ハナちゃんが料理する様子が気になって覗きに来ていました
 どうやらタミルさんは誰かが料理する姿を見るのは初めてだったみたいで、ハナちゃんが鍋をふるう姿を見て「楽しそうですね!」「カッコいい、クールです!」と興奮し、俄然料理に興味を抱いた様子でした(^^)。
 そんなタミルさんを見たハナちゃんは、持ち前のサービス精神を発揮して「食べて、チャーハン!」とすすめ、「お金を持っていませんから…」と躊躇するタミルさんに“きのこチャーハン”を食べてもらうのですが、案の定タミルさんは「おいし~いっ!!」と猛烈に感動しており、ハナちゃん達を喜ばせていました。
 結局、タミルさんのお話を聞くのは営業後にしようという事になり、タミルさんは食事代を皿洗いで返していましたが(三十分皿洗いすれば料理が無料で食べられる某店を思い出しました;)、その頃TVではとんでもないニュースが流れていました。
 それは、国際会議に父親と共に出席していた、東南アジア方面にあるパルネイ王国という小国の王女・タミル王女が病気になって様々なイベントをキャンセルする事になったというニュースなんですが、何とそのタミル王女の顔は、今ハナちゃんの横でお店の後片付けをするタミルさんと瓜二つ!
 さすがに偶然とは考えにくいので、タミルさんはボディーガードの元から脱走してきた王女様と考えてほぼ間違いなさそうですが、困った事にハナちゃんを始めとする周囲の人達が現代人とは思えない程全くTVを見ない為、タミルさんの正体に全く気づきません;。
 果たして、ハナちゃんはタミルさんの正体に自力で勘付けるのか、そしてタミルさんは一体何をしたくて中華街へ逃げてきたのか…続きは次回ご紹介します!
食器洗いをするタミルさんの背後にあるTVでは、訪日中の某国王女のニュースが!
 近所できのこの大セールが行われていた為、いい機会だと思い再現する事にしました。
 作中にもレシピ欄にも詳しいレシピが載っていることですし、早速作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、きのこ炒め作り。きのこは四種類とも軽くはたいて泥を落とし、椎茸は一センチ角に切り(石突きは小さく輪切りにして使います)、エリンギは縦半分に切ってから五センチ幅の半月切り、舞茸とぶなしめじは軸を少し切り落としてから手で大きめにばらします。
 これらのきのこを、薄く油を引いたフライパン(又は中華鍋)に入れて弱火でじっくり時間をかけて火を通します。
きのこチャーハン1
 やがて、きのこから水分がにじみ出てきて全体に火が通ってきたら、醤油と日本酒を回しかけて味付けし、強火にしてざっと炒め合わせます。
 きのこの食感が壊れてしまわないよう短時間だけ炒め、火を止めたらきのこ炒めは出来上がりです。
 ※実は、作中では唐辛子を入れたバージョン、レシピでは唐辛子を入れていないバージョンと作り方に少し違いがあった為、どちらの作り方にするべきか迷ったのですが、『華中華』はどちらかというと唐辛子を足してピリ辛にしたレシピが多い印象をうけましたので、今回は入れないバージョンを作る事にしました。
きのこチャーハン2
きのこチャーハン3
 次は、チャーハン作り。
 フライパン(又は中華鍋)でハナちゃん流基本チャーハンを作り、仕上げる直前に先程のきのこ炒めを三分の二だけ加えて混ぜ合わせます。
 この時、あんまり火にかけすぎないよう要注意です!
きのこチャーハン4
きのこチャーハン5
 きのこがチャーハン全域へ行き渡ったらすぐに火からおろして丸く盛り付け、上から残り三分の一のきのこ炒めを飾り付ければ“きのこチャーハン”の完成です!
きのこチャーハン6
 きのこのかぐわしい香りがフワ~ッと湯気と共に漂って来るため、思わず喉が鳴ります。
 茶色一色なので見た目はそこまでよくありませんが、この心とろかすような匂いだけで十分食欲がそそられました。
 きのこオンリーのチャーハンは初めてで見当がつかないため、一体どんな味がするのか楽しみです。
きのこチャーハン7
 それでは、一口分すくっていざ実食!
 いただきまーすっ!
きのこチャーハン8


 さて、味はと言いますと…きのこ好きなら必ず頬が緩む美味しさ!確かに、大ぶりなきのこが贅沢感を出しています!
 じっくり弱火で熱してグアニル酸をより引き出した効用か、きのこ特有の噛めば噛む程しみじみ滋味深い出汁がやや強めに出ており、そのせいかただ単に炒め合わせただけとは思えないくらいあっさりかつ奥深い醤油味がチャーハン全域へ染み渡っています。
 干し椎茸の熟成された出汁程ではありませんが、醤油や日本酒と炒め煮する事によって豊潤な旨味成分がギュッと凝縮されたきのこのエキスが効いており、例えるとするなら「きのこの炊き込みご飯風チャーハン」だと感じました。
 砂糖とみりんは一切入れていないものの、エリンギの甘味が濃い汁気のおかげでわずかながらも甘さが出ていた為複雑な後味に仕上がっており、単調さを防げていたのがよかったです。
 椎茸の柔らかいようでグニッと弾力のある食感、舞茸の張りのあるシャキシャキ感、しめじの瑞々しいプリプリした歯触り、エリンギの噛み応えのあるコリコリ感など、一見同じようで実は全く違うそれぞれ個性的なきのこの味わいが楽しく、一口食べるだけで口の中が賑やかになりました。
 さっぱりシンプルな味付けなので最初は物足りなく思いますが、徐々に満足感が増して気がついたら癖になっている類の美味しさで、秋の訪れを実感出来る一皿です。


 チャーハンに混ぜるだけではなく、スパゲティに和えてもおいしそうです。
 作中でハナちゃんが上海亭用に作っていた唐辛子入りバージョンも作ってみましたが、こちらもピリッとくる辛味が程よいアクセントになってて美味でしたので、辛いもの好きな方におすすめです。

P.S.
 いつも楽しく拝見してますさん、前回はコメントをして下さりありがとうございます。私としては、男性を断罪するという意識は全くございませんでしたので、ご指摘を受けて大変驚きました。勿論、私自身そのような体験があったわけでも、ましてや私怨を晴らすために文章を書いた事は、この時もこれまでにもございません(←ただ、愚痴は少しありました;)。けれども、そのような誤解を招いてしまうような表現をしていたらしい事に、深く反省致しました。ご不快なお気持ちにさせてしまい、誠に申し訳ございませんでした。

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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2013.12.18 Wed 00:39  |  管理人のみ閲覧できます

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『どんぶり委員長』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『ミスター味っ子』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『BAR・レモンハート』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』


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