『華中華』の“横浜三塔物語チャーハン”を再現!

 大宰府天満宮付近で売られている餅菓子・梅が枝餅は、福岡県民なら知らぬ者はいないと言っていい程有名なお菓子ですが、贔屓店は人によってかなり違います。
 お餅と餡子だけの極めてシンプルな焼餅なのですが、それだけに製法や材料による僅かな差で味に違いが生じますので、食べ比べしてみるとなかなか面白いです。
 ちなみに当管理人は、幼い頃からの馴染みで一番しっくりくるやす武さんと、大学時代に初めて知って以来お気に入りのきくちさんを贔屓にしています(^^)。
 やす武さんはあっさり上品で甘さ控えめな素朴餡&パリッと香ばしいお餅、きくちさんは味が濃くてちょうどいい甘さの餡&もっちり重視で弾力のあるお餅が魅力的ですので、どちらもおすすめです。

 どうも、薄紙で包まれた梅が枝餅を片手に天満宮をぶらぶらした記憶がよみがえって来た管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『華中華』にて島野さんとハナちゃん達が力を合わせて作り上げた新作ランチ・“横浜三塔物語チャーハン”です!
横浜三塔物語チャーハン図
 それは、パワースポットが少しブームになっていた2010年9月頃のお話。
 キングの塔(神奈川県庁本庁舎)・クイーンの塔(横浜税関)・ジャックの塔(横浜市開港記念会館)と呼ばれている三塔を一望する事ができる大桟橋、赤レンガ倉庫、県庁正面の三か所を巡れば願いが叶うという、通称「横浜三塔物語」と呼ばれる都市伝説の噂が、ハナちゃんの周囲で広まります。
 楊貴妃さんは全く信じていない様子でしたが、ハナちゃんは「世界一の料理人になるという夢を叶うべく、いつか行きたい」と実家宛のお手紙に書いて送るくらい興味津々だったらしく、楊貴妃さんから「パワースポットなんか信じちゃうとは…ハナちゃんも、やっぱり女の子なんだね~」「ハナちゃんの努力とあの才能があれば、そんなものに頼らなくても、世界一の料理人になれるさ!」と微笑ましく思われていました。
 正直、当管理人もこういうお祭り騒ぎに乗るのは嫌いではないのでハナちゃんの気持ちも分からなくはないのですが、どちらかというと島野さんの「あたしが願掛けなんてやる訳ないでしょ!頼るべきは自分のみよ」という考えの方が共感できるので、楊貴妃さんの意見に賛成でした;。
 けれど、島野さんは横浜三塔物語を全然信じていないもののその経済効果には目をつけていたらしく、この流行に乗っかってランチを出さない手はないと思って早速マダム奈可子さんに新作ランチ作成の相談をし、見事了承を得ていました。
 キャッチコピーは「このチャーハンを食べれば願いは叶うかも…」で、仮に叶わなかったとしても神社にクレームをつける人がいないように文句のつけようがないのだから、信じる者こそ救われるメニューとして売り出せばいいと島野さんは強気に宣言していて、思わず苦笑しました;。
 調べてみると、何とあの崎陽軒もかつてオリジナル三塔弁当を売り出していたり(現在は販売終了)、各店でもスティックケーキなどといった様々なお菓子が販売されるようになったり、遂には「3月10日は横浜三塔の日」と決められるに至るなど、横浜三塔物語の都市伝説は地域活性化に役立っており、島野さん同様あやかっていた方はいっぱいいたんだな~としみじみしました;(なお、島野さんみたいに「願いがかなうかも」という大胆なキャッチコピーを使っている所はさすがにありませんでした;。強いて言うと、神奈川県のHPが「この3つのスポットには目印が設けられています。皆さんも探して、少し幸せになりませんか」というほのぼのとした呼びかけがされているくらいでした)。
 元は単なる噂でも、大勢の人が存在を認知するようになると途端に真実に近い力を得るようになるのだという事を、実感させられます。
横浜で噂になっているパワースポットにあやかった新作ランチ作成の、ゴーサインが出ます
 こうして、マダム奈可子さんからゴーサインが出された島野さんは、その日の内に昼食を食べる時間を削ってまで案を練り、残りのお昼時間を使ってハナ・チビ太さん・ノッポさん・ブーちゃんと共に試作品を作り上げます。
 その際、島野さんがハナちゃん達に色んなアドバイスをしながら仕上げたのが、この“横浜三塔物語チャーハン”です!
 作り方は結構手間がかかり、塩こしょうとタイムをはたいたカジキ・四川唐辛子と塩をまぶした海老・カレー粉と塩で味付けした豚ロース肉を砕いたコーンフレークの衣をつけて揚げ、カジキフライは細長く成形した基本チャーハン、海老フライは低めに成形したピリ辛トマトチャーハン、一口カツは中くらいの高さに成形したカレーチャーハンの上に飾り付け、最後に横浜の海に模したサラダと一緒にお皿へ盛り付けたら出来上がりです。
 島野さん曰く、カジキフライ&基本チャーハンはジャックの塔、海老フライ&ピリ辛トマトチャーハンはクイーンの塔、一口カツ&カレーチャーハンはキングの塔をイメージして作ったのだそうで、衣にコーンフレークを使ったのも揚げる事によってカリカリになるだけでなく、見た目もレンガ造りの塔に似るので採用したと語っており、単なるネタ料理にさせない工夫がなされているのに感心します。
 ポイントは、フライに使う具材は塩味を強めにしてソースを使わなくても美味しく食べられるようにする事、揚げ油からフライを引き上げる時に下の方を一ミリだけ浸して数秒待ち、油切れを完璧にしてから引き揚げる事の二つだと作中で語られていました(←何でも、表面張力の作用で余計な油がスーッと下へ流れていくのだとか)。

 ちなみに、千切りキャベツを海に、そしてきゅうりやカラーピーマンを船型に仕立てたサラダを考案したのはハナちゃんで、彩りと口直しを一挙に解決するこの名案に島野さんは「まあ、それはグッドアイディアね!」とすぐに取り入れていました(美味しいだけではなく、見る人の気持ちがパッと華やいで食欲もそそられるような料理を作れるのは、ハナちゃんならではの強みだと改めて思いました^^)。
パン粉の代わりに、何とコーンフレークを衣にしてカラッと揚げていました!カジキマグロ、海老、豚ロースの揚げ物、それに三種類のチャーハンを合わせて作ります
 その後、島野さん達は出来立てほやほやの“横浜三塔物語チャーハン”を急いでオーナー室へ運び、マダム奈可子さんに食べてもらうのですが、「まあ素敵!食べるのが勿体ないくらいだわ」「美味しい!ピリ辛で見た目よりも大人の味ね」と大絶賛で、皆ほっとした表情になっていました。
 実を言いますと、その場にはマダム奈可子さんだけでなく夫・計太郎さんもおり、「私の大好きな海老フライは残しておいてくれよ」とお願いされていたのですが、マダム奈可子さんは「ダメ!海老フライは私がもらうわ。だって私は、このお店のクイーンですから」(←妙に説得力があります;)とすげなく断っていて、計太郎さんをがっかりさせていたのですが、何と楊貴妃さんが一瞬の隙をついて海老フライを掠め取っていったものだから、大騒ぎ!
 楊貴妃さんの存在など知る由もないマダム奈可子さんは、唯一近くに立っていた計太郎さんを当然の如く疑って「計太郎さん、私に黙って食べちゃったのね!」「お、俺は知らないぞ!そんなことを…;」「ホント、あなたって人は…子供みたい!」と他愛ない夫婦喧嘩を繰り広げ、島野さん達を苦笑いさせていました(←ただ、ハナちゃんだけは薄々勘付いていて「もう…楊貴妃さんったら…!」と困っていました;)。
 一方、楊貴妃さんは満点大飯店の屋上で下の騒ぎなどどこ吹く風でニコニコ海老フライを頬張り、「この海老フライ、カラッと揚がってて本当に美味しいわ~♪」と高笑いしていました(^^;)。
 美味しい物を目の前にすると、つい見境がなくなる横浜中華街影のクイーン・楊貴妃さんのお茶目さが際立ったエピソードです。
満点大飯店のクイーンたる自分が、クイーンチャーハンの海老フライを食べるべきと主張する奈可子さん;楊貴妃さんは海老フライをこっそり取った後、屋根の上でのんびりつまみ食いをしていました;
 作るのに相当時間と労力がかかりそうだったので躊躇していたのですが、一体どんな味がするのか気になって仕方がなかった為、再現を決意しました。
 作中にも巻末のレシピにも作り方が詳しく乗っていましたので、なるべく忠実に作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、フライの下準備。カジキの切り身ととんかつ用豚ロース肉を二等辺三角形に切りわけ、カジキはタイム・塩・こしょう、豚ロース肉はカレー粉・塩で味付けして、そのまま放置します。
 一方、海老は殻と背ワタを取ってから塩と四川唐辛子のみじん切り(←種を取ってから刻まないと、激辛になりますので要注意!)をまぶしておきます。
 ※ソースをつけずにいただくので、塩味は強めがいいです。
横浜三塔物語チャーハン1
横浜三塔物語チャーハン2
横浜三塔物語チャーハン3
 その間に、チャーハン作り。
 最初に、ハナちゃん流基本チャーハンを作って三等分にし、一つはそのままでジャック用チャーハン、もう一つはトマトピューレと細かく刻んだ四川唐辛子を混ぜて炒めてクイーン用チャーハン、さらにもう一つはカレー粉を振りかけながら混ぜ合わせてキング用チャーハンにし、三色のチャーハンを用意します。
横浜三塔物語チャーハン4
横浜三塔物語チャーハン5
横浜三塔物語チャーハン6
 ジャック用チャーハンは細長い容器、クイーン用チャーハンは背の低い容器、キング用チャーハンは中サイズの容器に入れて塔の形になるよう形作り、白くて大きなお皿に乗せます(左からキング→ジャック→クイーンの順に、トライアングル状になるよう並べます)。
 一方、キャベツは千切り、きゅうりは包丁と飾り串で船型に細工、カラーピーマンは種とヘタを取って斜め切り、プチトマトは小さなくし型切りにし、三つのチャーハンの中央へ横浜の海を模すようにして盛り付けます。
横浜三塔物語チャーハン7
横浜三塔物語チャーハン8
 次は、いよいよフライ作り。
 先程準備したカジキ、豚ロース肉、海老へ小麦粉→溶き卵→細かく砕いたコーンフレークの順に衣をつけ、170度に熱した揚げ油でカラッとなるまで揚げます。
 引き上げる時に数秒だけフライを揚げ油に一ミリだけ浸けて油きれを完璧にし、キッチンペーパーに置いて余分な油分を吸い取らせます。
 ※ノンシュガータイプのコーンフレークがスタンダードな美味しさでいいですが、シュガータイプを使っても何とも言えない甘塩っぱさが絶妙なアクセントになりますので、甘味のある揚げ物に抵抗がない方はそちらで試してみてもいいと思います。
横浜三塔物語チャーハン9
横浜三塔物語チャーハン10
横浜三塔物語チャーハン11
 カジキフライをジャック用チャーハン、海老フライをクイーン用チャーハン、一口カツをキング用チャーハンの上に乗せてしっかり固定すれば、“横浜三塔物語チャーハン”の完成です!
横浜三塔物語チャーハン12
 コーンフレークをつけて揚げたせいか、やや固めの衣に仕上がったのですが、おかげでチャーハンの塔にしっかり刺さったのでほっとしました;。
 千切りキャベツの海にきゅうり、カラーピーマン、プチトマトの小船が浮かんでいるのがとてもきれいで、見ているだけで心癒されます。
 三種の揚げ物とチャーハンの組み合わせが、それぞれどのような味わいを生み出すのか…楽しみで仕方がありません。
横浜三塔物語チャーハン13
 それでは、出来立ての内にいざ実食!
 いっただっきま~っす!
横浜三塔物語チャーハン17


 さて、味の感想ですが…どのチャーハンもフライも相性抜群で旨し!ソースなしでも十分満足出来ます!
 パン粉の代わりにコーンフレークを使ったせいか、サクサクというよりはカリカリザクッとした軽くてクリスピーな香ばしい食感が特徴的で、脂っこさをあまり感じさせないのに感心しました。
 パン粉だと時間が経てばへしゃげますが、コーンフレークだといつまでもポテチに似た小気味良い歯触りが持続するのがいい感じです。
 海に模した千切りキャベツのサラダが後味をさっぱりさせているのがナイスで、見た目も味も楽しめるお得なプレートでした。

 ジャックの方は、タイムの清涼感と気品を兼ね備えた華やかな緑の香りが、ただのフライをまるでハーブパン粉焼きのような洒落た味わいに変身させており、それがシンプルな基本チャーハンとよく合っていました。
 カジキの癖がないあっさりした白身も、フライにする事によって適度な油分がついて食べ応えのある味わいになってて、バランスのとれた美味しさになっていると思います。
横浜三塔物語チャーハン14
 クイーンの方は、普通の唐辛子よりも香りがさらに複雑で痺れるような辛味が効いた四川唐辛子が、いい仕事をしています。
 チキンライスともちょっと違う独特なトマト味のチャーハンによって、エビチリのような味に変身しているプリプリの海老フライがまた秀逸です。
 アラビアータ風の辛いようでじんわり甘酸っぱい、刺激的な味付けのチャーハンが海老フライとぴったりでした。
横浜三塔物語チャーハン15
 キングの方は、三種の中で最もパンチの効いたスパイシーな仕上がりのカレーチャーハンが、濃厚な一口ロースカツの旨味に負ける事なくぴったりマッチしています。
 カレーの心とろかす風味が豚肉特有の臭みをかき消し、パン粉よりも少し硬めなコーンフレーク衣がカツに絶妙なアクセントを付け足していました。
 ピラフでなく、チャーハンにする事によりガツンとコクが増したご飯がよかったです。
横浜三塔物語チャーハン16


 作る前は「コーンフレークだとボロボロに崩れそう…」と少し心配でしたが、実際に揚げると意外にしっかりくっついて揚がったので驚きました。
 大人でも楽しめそうですが、どちらかというとお子様ランチに似た可愛らしい印象を受けたので、周りにハンバーグやオムレツなども添えてお祝いごとの日に作ってみるのもありだと思います。

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
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 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
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 …『夢色パティシエール』


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※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
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※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
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