『華中華』の“ギンナンチャーハン”を再現!

 昔々、当管理人が現在も住んでいる住宅街は全然開発されておらず、あちこちに空地が残っていたのですが、そこで大量に生えてきていた植物の一つに、ピーピー豆(カラスノエンドウとも呼ぶそうです)というのがありました。
 見た目はミニすぎるさやえんどうという感じで、茹でたらそのまま食べられる為、小学校低学年の頃に友達とワイワイ言い合いながら摘んではよく家に持ち帰っていたのを覚えています。
 周囲が開発されきった今では滅多に見られなくなっており、少し寂しく感じています。

 どうも、明日でいよいよ二十八歳になってアラサー二年目を迎える管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんがおばあさんが拾ってきたギンナンで作った“ギンナンチャーハン”です!
ギンナンチャーハン図
 これは、まだハナちゃんが康彦さんと結婚する前だった時のお話。
 十一月ももう終わりに近づいた頃、上海亭のおばあさんはギンナンを近所の公園で沢山拾ってくるのですが、その割にはあまり元気がなさそうな様子で、ハナちゃんはおじいさんにその理由を尋ねてみます。
 何でも、おばあさんは約二十年前から十一月の第三月曜日にギンナン拾いへ行くのが毎年の恒例になっていたようなのですが、その時期になると必ず顔をあわせるようになっていた同年代の女性がいたとの事。
 始めは軽く挨拶をするだけの間柄だったそうですが、月日が経つにつれ一緒にお弁当を食べるようになったり、ちょっとしたおしゃべりをするようになったりしたみたいで、いつしかギンナンよりもその不思議な交流をするその女性と会う事の方が秋の楽しみになりつつあったようでした。
 電話番号も、住所も、それどころか名前すらお互い知らなかったそうですが、それ故に伸び伸びと気の置けない話をしあう時間は、おばあさんにとって心の慰めになっていたみたいです。
 しかし、今年は未だ一度も会えておらず、内心「病気か、それとも…」と不安になって沈んでいると、おじいさんは心配してました。
 当管理人自身、おばあさんみたいに長いスパンではなく言葉を交わすまでには至っていないものの(せいぜい会釈し合う程度)、駅や電車・図書館・スーパーでそれぞれ特定の時間に現れる顔見知りの方はちらほらいて、しばらく見ないと「どうしたんだろう?」と少し気になったりする為、おばあさんの気持ちは何となくわかる気がしました。
 ましてや、おばあさんと同じくご高齢の方でいたなら不測の事態に陥っている可能性も十分に想像が出来ますので、尚更気持ちが沈んでしまうのだろうな…と思います。
毎年、近所の公園で銀杏の実が落ちる時期に偶然出会う謎のお友達が、おばあさんにはいます
 そんなおばあさんを見ていられなくなったハナちゃんは、一度おばあさんと一緒にギンナン拾いに行くのですがやはり姿は見当たらず、最終手段として楊貴妃さんに「おばあさんの友達を探してください!」とお願いします。
 当初は「あたしは探偵じゃないよ」と素っ気なく断った楊貴妃さんですが、「楊貴妃さんは世界一の幽霊なんですから」というハナちゃんの必死の訴えに気がよくなったせいかすぐに引き受け、何と公園に植わっている銀杏の木々の精霊たちを相手に情報集めをしていました(←初期はこういうトンデモ展開が頻発するので好きです^^;)。
 幸い、精霊たちはおばあさんの友達の特徴を覚えていて詳しく話してくれるのですが、毎年しょっていた古いリュックに「青空小学校六年二組 富永計太郎」と書いてあったらしい事から、満点大飯店の娘婿・計太郎さんのお母さんが探し人である事がわずか数分で分かっていました。
 どうやら、計太郎さんが小学校を卒業してとっくに成人した今もお母さんはお古のリュックを愛用してギンナン拾いをしていたようで、身近に妹のパーカーを冬季の部屋着に再利用している母がいる身としては「どこの<お母さん>も、物持ちがいいと同じような事をするものなんだなぁ」と思わず苦笑しました;。

 その後、楊貴妃さんはたまたまおばあさんが気になってあの公園へ向かっていた友達の姿を見つけ、銀杏の葉を巧みに使って上海亭へと誘導しようとします(ちなみにギンナン拾いが出来なかったのは、今年から同居していた計太郎さんから「オーナーの母がそんな事をしていたらみっともないだろ、少しは世間体を考えてくれよ」と止められたからでした)。
 途中、落ち葉を掃除中だった肉まん屋のお兄さんにほうきで銀杏の葉をつまんでいた手をひどく叩かれて痛い思いをしますが(←もちろん、楊貴妃さんは幽霊ですので友達にもお兄さんにも見えていません)、それでも楊貴妃さんは「ハナちゃん…あたしも苦労してんだから、美味しいチャーハン、食べさせておくれよ~」と涙目になりつつ、諦めずに友達を誘導し続けていました;。
 楊貴妃さんは否定していましたが、ここまで優秀な特殊捜索能力&完全隠密行動が出来るスキルがあるのなら本気で探偵として活躍する事も夢ではなさそうですので、その気がなくてつくづく残念だと思ったものです;。 
何と、楊貴妃さんは公園にある銀杏の木の精霊相手に尋ねて調査していました!銀杏の葉で案内中、掃除中の店員さんにほうきで思いっきり手を挟まれるという災難に;
 その間、ハナちゃんは落ち込むおばあさんを心配しつつも、おじいさんと共におばあさんが前もって乾かしていたギンナンの実を使って新作チャーハンをこしらえます。
 それが、この“ギンナンチャーハン”です!
 作り方は手間がかかるもののお手軽で、薄皮をむいたギンナンを高温の油で揚げて塩をまぶし、砂糖で味付けして刻んだ薄焼き卵と一緒に基本チャーハンへ加え、最後に銀杏の葉の形に切った薄焼き卵を乗せたら出来上がりです。
 ポイントは、新鮮なギンナンの実を使ってしっかり塩を振る事と(←あんまり古いとシワシワで食感も悪いです)、薄焼き卵は甘味を強めにして作る事の二点です。
 ハナちゃん曰く、醤油などで味付けするとせっかくの美しい黄緑色が台無しになるのでシンプルな塩味のギンナンにしたようで、相変わらず素材の良さを大切にしているんだな~と頷きました。
 薄焼き卵をギンナンの葉に見立てるところも風流で、それも見た目の為だけでなく甘く仕立てる事によって味にアクセントをプラスしようとしているのにも感心です。

 この“ギンナンチャーハン”が完成したまさにその時、楊貴妃さんの案内によって友達はやっと上海亭にたどり着いておばあさんと再会でき、大いに喜びあっていました(←一方、楊貴妃さんはへとへとになっており、早速ハナちゃんにチャーハンをおねだりしていました;。一見ワガママそうに見える楊貴妃さんですが、よくよく考えれば美味しい物を食べるだけですべてを帳消ししてくれるので、実はかなり心が広い女性なのかもしれません)。
 おばあさんから「あの公園で拾ったギンナンがいっぱいですよ!」と“ギンナンチャーハン”を食べさせてもらった友達は、嬉しさのあまり思わず泣いてしまい、これからも時々会ってはお話ししましょうとおばあさんと約束し合っていました。
 友達は年を取ればとるほど簡単には出来なくなるというセリフをどこかで聞いた記憶がありますが、それだけに思わぬ交流が芽生えた時は殊更胸にしみるのだろうな…と感じたエピソードでした。
甘く味付けした薄焼き卵を、銀杏の葉に切って飾るというアイディアも光ります楊貴妃さんの体を張ったあんないのおかげで、無事上海亭へ到着できていました;
 久々にギンナンの実をたっぷり食べたいという誘惑に負け、再現することにしました。
 チャーハンのレシピと作り方のコツは作中にちゃんと明記されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、ギンナンの下処理。ギンナンの殻をペンチかハンマーで軽く割って中身を取り出し、熱湯につけてふやかしながら薄皮を丁寧に剥ぎます。
 ※行平鍋で浅く水を張って沸騰させ、薄皮付きのギンナンを入れて少し熱を加えてすぐに火を消し、お玉の底で優しく円を描くようにしてギンナンを鍋底にこすりつけるとすぐに薄皮がとれますので、お勧めです(←母直伝の下ごしらえです)。
ギンナンチャーハン1
ギンナンチャーハン2
ギンナンチャーハン3
 このギンナンをキッチンペーパー等でよーく水気を拭き取り、170度に熱した揚げ油へそっと投入して軽く素揚げにします。
 ギンナンの表面がほんのり色づく前にすぐ取り出し、塩を振ってややしっかりめに味付けします。
 その間、砂糖をきかせた溶き卵で薄焼き卵を焼き上げ、ペティナイフか小ぶりな包丁で銀杏の葉の形に飾り切りにし、余った残りの薄焼き卵は適当な大きさに刻んでおきます(←片栗粉を入れるとコシがついて破れにくくなります)。
 ※砂糖を入れ過ぎますと焦げやすくなりますので、加減して加えてください。
ギンナンチャーハン4
ギンナンチャーハン5
ギンナンチャーハン6
 次は、いよいよチャーハン作り。
 中華鍋(又はフライパン)であらかじめ作っておいたハナちゃん流基本チャーハンへ、先程の揚げギンナンと刻んだ方の薄焼き卵を投入してざっと混ぜ合わせます。
 この時、あんまり火を通し過ぎますと揚げギンナンはぼそぼそ、薄焼き卵はボロボロになって固くなりますので、なるべく短時間で合わせた方がいいです。
ギンナンチャーハン7
ギンナンチャーハン8
 チャーハン全域へ具が行き渡ったら丸く器に盛り付け、仕上げに銀杏の葉の形に切った薄焼き卵を飾れば“ギンナンチャーハン”の完成です!
ギンナンチャーハン9
 見事な翡翠色に仕上がったギンナンが美しく、これだけでもう食欲がそそられます。
 薄焼き卵を切り出して作った銀杏の葉も、想像していたよりもずっとそれらしく出来上がったので、満足しました。
 ギンナン入りチャーハンはもちろん、ギンナンを揚げて調理したこと自体ありませんでしたので、どういう味になったのか興味津々です。
ギンナンチャーハン10
 それでは、熱々の内にいざ実食!
 いただきまーすっ!
ギンナンチャーハン11


 さて、味はと言いますと…程よく揚がったギンナンがチャーハンにぴったりで美味し!今たからこそ食べられる、秋の味覚です!
 揚げギンナンの外側はしっかりした噛み応えなものの、じっくり噛み締めて行くと素朴ながらも味わい深いホコホコ感とわずかに効いた柔らかなほろ苦さが口の中へ溢れ、地味ながらも心惹かれる旨さに仕上がっていました。
 普段食べているギンナンは茹でている物がほとんどでしっとりした食感とあっさりした味が特徴的ですが、揚げた方は肉にちょっと似た不思議なコクとボリューム感があり、中心部にむっちりした歯応えがあるのが印象的でチャーハンと相性がよかったです。
 パラパラ基本チャーハンのちょうどいい塩気と、砂糖をたっぷり入れた薄焼き卵のまるで上等な和菓子みたいに品のいい甘さが互いが互いを引き立てあっていて、「甘い→少ししょっぱい→甘い→やっぱりしょっぱい」がずっと繰り返される事により、いつまでも飽きずに絶妙な味の変化を楽しめました(面白い事に、同じ卵でも炒り卵と薄焼き卵は全く異なる具みたいでした。正直、焼き方が違うだけでここまで差が出るとは…驚きです)。
 長ネギのシャキシャキと小気味良い歯触りが、グニグニした弾力の薄焼き卵に対していいアクセントになっているのがナイスでした。


 作る前は「ギンナンって下処理に手間がかかりそう…」と心配していましたが、実際にしてみると案外簡単な方で拍子抜けしました;。
 塩味の揚げギンナンはそのまま食べてもおつまみとして最高ですので、また近い内に作る予定です。

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2013.11.11 Mon 00:24  |  銀杏かぁ・・・。

銀杏炒飯良いですねぇ。
連載時にこの回を読んで「ほぉー」と言ったものです。
(炒飯に銀杏というのは珍しい組み合わせなもので。)
銀杏というと、小学生の頃学校行事(但し五年生のみ。)で
銀杏拾いをやったのを思い出します。
あと、銀杏といえば鈴木小波先生の「ホクサイと飯」ですかね。
売れない漫画家である「山田ブン」先生が迫る締め切りなんのその
と料理をつくり楽しむ漫画です。あっと、「ホクサイ」というのは
山田ブン先生が偏愛する縫いぐるみの名前です。
この作品の第3話でビニール袋に銀杏の実を入れて
種を取るという描写があったりします。では。

  • #qWIVIPuE
  • 波多野鵡鯨
  • URL
  • Edit

2013.11.11 Mon 19:02  |  遅ればせながら

あんこさんこんばんは!
遅ればせながら、お誕生日おめでとうございます♪
何気なく読んでいたらお誕生日のこと書かれてて、すでに誕生日過ぎてたのでびっくりしました。
遅ればせながら、おめでとうございます。

はなちゃんの銀杏チャーハン、おいしそうですね。あんまり性格よくないオーナーのお母さんがとっても優しい人で、しかもはなちゃんのお世話になってるおばさんと仲良しという設定にほっこりした覚えがあります。

  • #-
  • りく
  • URL
(編集・削除用)
管理者にだけ表示を許可

Trackback

URL
http://luckyclover7.blog27.fc2.com/tb.php/972-07216ff5
この記事にトラックバック(FC2Blog User)

プロフィール

あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

Copyright © あんこ