『華中華』の“本鰹節チャーハン”を再現!

 卵かけご飯というと、ほとんどの方が「朝」のイメージを頭の中で描かれるのでは…と思うのですが、当管理人には実は「夜」のイメージが強いです。
 と言いますのも、その昔まだ当管理人も妹も幼かった頃、食が細くて一気に大量のご飯を食べられなかった母が、夜更けに小腹がすいて軽く一杯分の卵かけご飯を作って食べるのを、ちょくちょく見かけたからです。
 ご飯より卵が少し多めで、茶色がかって艶のある黄色に照り輝くご飯は、子ども心にすごく美味しそうに見えたの覚えています。
 たま~に姉妹揃って一口二口分けてもらったりした事もあったのですが、この「ちょっとだけ分けてもらう」卵かけご飯が妙に美味しくて、未だに印象に残っています(←意地汚いお話でお恥ずかしいです;)。

 どうも、鰹節と醤油のみの猫まんまにネギのみじん切りをちょい足しして食べるのが好きな管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんが実家の飼い猫・チコを思って作った“本鰹節チャーハン”です!
本鰹節チャーハン図
 それは、ハナちゃんが横浜中華街に来てまだ一~二年目くらいだった頃の事。
 満点大飯店が閉店した後、いつも通り最後の点検をしてお店を出たハナちゃんは、帰り道の途中、不思議な出会いをします。
 それは、徳島の実家で長年飼われている白猫・チコによく似た猫で、最初は気づかなかったものの、去り際に振り向いた顔がチコにそっくりなのに驚いたハナちゃんは、「そういえば、チコは今どうしているんだろう…」と妙な胸騒ぎがします。
 とはいえ、月給三万円(←いつ見ても、驚愕する金額です;。寮費や保険料が天引きされていると仮定してもやり過ぎな額面ですので、もはやブラックという言葉では生温い気がします;)のハナちゃんは携帯電話を持つ余裕がなく、おまけに部屋にも固定電話が備えられていなかった為、もどかしく思いつつもお手紙でご家族にチコの安否を尋ねていました。
 ちょうどそんな時、ハナちゃんは横浜中華街に住むノラ猫達がなかなかご飯にありつけないのを見てチコの姿をだぶらせ、「かわいそう…」と思わず同情するのですが、それを見た楊貴妃さんは何か企んだ顔で「そう思うんだったら、猫ちゃん達が喜ぶチャーハンでも作っておあげよ」「猫ちゃん達が喜んで食べるなら、人間だって…いや、その逆かしら?」と囁きます。
 最初は怪訝そうな顔になったハナちゃんでしたが、たまには違った角度からチャーハンを作ってみるのもいいかも…と思い至り、「猫が喜んで食べるチャーハン」の構想を色々と練っていました。
 ちょっと突飛な気もしますが;、毎日なるべく違ったオリジナルチャーハンを作ろうとしても、日々忙しさに追われているとどうしてもマンネリ化してしまうのは否めない所ですので、楊貴妃さんの提案はハナちゃんの成長を考えるとなかなかいい助言だったのでは…と感じました。
仕事帰り、ハナちゃんは横浜中華街で飼い猫・チコによく似た猫を見かけます
 その日の夜、同じような発想でハナちゃんの為になりそうだと思った上海亭のおじいさんとおばあさんも、「猫が喜んで食べるチャーハン」作りについて一緒に悩んでくれます。
 当初は「今時の猫はペットフードしか食わないんじゃないのか?」と言っておばあさんから「そんなのお客さんにはお出しできませんよ!」と当然の突っ込みをされていたおじいさんですが(←猫ではなく、保健所がまっしぐらですね;)、その内しらすチャーハンはどうかとハナちゃんに薦めだします。
 しらすチャーハンは以前作った事がある為、一瞬乗り気になったハナちゃんですが、おばあさんが「それも悪くないけど…鰹節の方がいいんじゃないかしら?」と言ったのを聞いて、チコの大好物が鰹節ご飯なのを思い出し、早速鰹節をメイン材料に選んでいました。
 こうして、ハナちゃんが実家のチコを思い出しつつ夜中の上海亭で作り上げたのが、“本鰹節チャーハン”です!
 作り方は簡単で、いつも通りの基本チャーハンを仕上げる寸前に昆布茶・鰹節・醤油を投入してざっと混ぜ、最後に鰹節と一味唐辛子or七味唐辛子をふりかけたら出来上がりです(←ちなみにこれは人間用のレシピで、猫用はちゃんと調味料、ネギ、油を控えた体に優しい仕様になっていると思われます;)。
 ポイントは昆布茶を入れる事で、鰹節と昆布というそれぞれグルタミン酸が強い食材を組み合わせる事により、旨味の相乗効果で味に深みが増すと作中で紹介されていました。
 醤油を鍋肌に沿ってやや濃いめに効かせるのも、鰹節の香りをさらに引き立たせるためには有効みたいで、読んでいるだけで喉がゴクリとなったのを覚えています;。
今回は猫が喜ぶようなチャーハンがテーマ!という事で、かつお節が選ばれます鰹節チャーハンに入れた隠し味は、今ではすっかりおなじみの調味料・昆布茶でした
 その後、ハナちゃんは翌日まで待ちきれずに出来立ての猫用の“本鰹節チャーハン”を外へ持っていき、チコによく似た白猫に差し出すのですが、幸いにも気に入られたみたいでハグハグ食べてもらえます。
 しかし、他の猫たちも引き寄せられてお皿の周りがあっという間に大混雑になった頃、何故かチコに似た白猫は忽然と姿を消してしまい、ハナちゃんは不安でたまらなくなります。
 果たして翌日、ハナちゃんの嫌な予感は的中し、実家から届いた「お前が手紙を書いてくれた日に、猫のチコは逝ってしまったんだよ。歳だったからからね…。お墓は裏山に作ったから、帰ってきた時に参ってやってくれ」という残念な知らせの手紙に涙していました(´・ω・`)。
 修行中の身の上な為、こういう突然の別れはある程度覚悟していたものの、それでも「会いたかったのに…」「私の作ったご飯を食べてもらいたかったのに…」と後悔ばかりが募っていたハナちゃんでしたが、そこで楊貴妃さんが衝撃の告白をします。
 それは、あのチコによく似た白猫は、死んで幽霊となったチコ本人だったという事。
 楊貴妃さん曰く、魂だけとなって色んなことから自由になれたチコは、ハナちゃんを気にかけてはるばる徳島から横浜中華街へと尋ねてきてくれたようで、それを知った楊貴妃さんの粋な計らいで「猫が喜ぶチャーハン」を食べる事が出来て満足し、昨日の夜に天国へ旅立ったそうです。
 死んでしまった命が同じ形で戻ってくることはもう二度とありませんが、それでも何らかの形でかつての縁を思い起こさせるような存在に姿を変えて返って来てくれたら、これほど嬉しい事はないと個人的に感じる為、本当によかったとほっこりしたエピソードでした(幽霊でなくとも、本人が残した遺物、それが誰かに及ぼした影響、その子に残る面影など、色々あると思います)。
故郷で死んでしまった白猫のチコが、ハナちゃんに会いにはるばる来ていたとの事
 猫用のチャーハンだと淡泊すぎますので躊躇しますが;、人間用の“本鰹節チャーハン”ならぜひ食べたいと感じた為、再現を決意しました。
 巻末には分量つきの詳細なレシピがある事ですし、なるべくその通りになるよう作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、基本のチャーハン作り。熱した中華鍋(又はフライパン)で、以前作り方をご紹介したハナちゃん流基本チャーハンのレシピ通りにチャーハンを作り、途中昆布茶を加えて炒め合わせます。
 ※後々また醤油を使いますので、通常よりも塩や醤油の量を控え目にした方がいいです。
本鰹節チャーハン1
本鰹節チャーハン2
 この基本チャーハンが出来上がる直前、本鰹の削り節をたっぷり加えてざっと混ぜ、仕上げに醤油を鍋肌に沿わせながらちょっと多めに回しかけ、よく混ぜ合わせます。
 ※普段は、あんまり醤油の匂いが付き過ぎますとメイン食材の風味が損なわれる為そこそこにしますが、今回は猫まんまっぽさを出すのが狙いですので、焦がし醤油風味を強めにプラスしてください。
本鰹節チャーハン3
本鰹節チャーハン4
 鰹節と醤油がチャーハン全域へ行き渡ったらすぐに火からおろしてお皿に丸く盛り付け、その上からさらに本鰹の削り節と一味唐辛子(又は七味唐辛子)をかければ“本鰹節チャーハン”の完成です!
本鰹節チャーハン5
 鰹節と醤油によって茶色一色に染まったチャーハンは一見地味ですが、一味唐辛子の赤味がある為あまり気になりません。
 とにかく焦げた醤油と鰹節の香りが食欲をそそる感じで、うっとりさせられます。
 猫まんまとまるっきり同じ材料ですが、炒めるやら一味唐辛子をかけちゃうやらしたので、どういう味に変化しているかちょっと気になります。
本鰹節チャーハン6
 それでは、熱々の内にいざ実食!
 いっただっきま~すっ!
本鰹節チャーハン7


 さて、味はと言いますと…これ以上ないくらい和な味付けで旨し!鰹節の良さを活かした粋なチャーハンです!
 一瞬、「出汁醤油を使ったっけ?」と混乱してしまったくらい強烈な出汁が染み渡っており、噛めば噛む程和風醤油の風味と旨辛い塩気が口の中へ広がっていきます。
 仕上げに醤油をたっぷりいれたおかげで猫まんまっぽい美味しさが出ている上、鍋肌に沿わせて加えたせいか焦がし醤油の香ばしさもプラスされていてより味に膨らみが増しており、シンプルながらも後を引く一品になっていました。
 上に散らされた鰹節をギュッと噛み締めた途端、熟成された旨味がジワジワと溢れてご飯粒に絡み、鰹のエキスが二重に効いていくのがたまりません。
 鰹節のキレのある深い辛口出汁と、昆布茶のまったり優しい甘口出汁が入り混ざる事によって奥行きが生まれていたので、ある意味これは鰹節だけではなく醤油が主役のチャーハンではないかと感じました。
 時々、一味唐辛子のピリッとくるドライな辛さがいいアクセントになって全体を引き締めているのがナイスです。
 以前、同じく鰹節をメインにした『クッキングパパ』の"おかかチャーハン"を食べた事がありますが、旨味の元が魚由来なので濃口にも関わらず後味があっさりしている所は同じものの、あちらは紅しょうがの酸味が主張してくる分たこ焼き生地を彷彿とさせる出来なのに対し、こちらは関西風うどんのおつゆみたいな純和風なイメージなのが決定的に違うな~と思いました。


 いい鰹節でも、さほどでもない鰹節でも、ちゃんと美味しく出来ますのでとても便利なレシピです。
 意外とビールに結構合いますので、おつまみ代わりに食べてもいいかもしれません。

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
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