『酒のほそ道』の“宗達風うなぎご飯”を再現!

 最近、今更ながら「夜のお菓子 うなぎパイ」の対となる銘菓・「昼のお菓子 しらすパイ」が存在する事を知り、興味をそそられています。
 しらすをパイにするというだけでも大胆な発想ですが、グラニュー糖を振りかけた甘いタイプだけではなく何とわさびを利かせた辛いタイプもあるのだそうで、余計どんな味か気になって仕方がなくなっている今日この頃です。

 どうも、最近頂いた旅行土産の中で気に入ったのは「お月様のほっぺ」(残念ながらHP見当たらず。黄身餡の入った黄色い和風饅頭でした)だった管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『酒のほそ道』にて宗達さんが半身のうなぎでも満足感を得ようとして作った“宗達風うなぎご飯”です!
宗達風うなぎご飯図
 土用丑の日が近づいてきたある日、宗達さんは毎年恒例のうなぎでの暑気払いをしようとあちこちのうなぎ屋さんへ下見しに行くのですが、今年は例年よりうなぎの値段が高いのに閉口し、「出来るだけ経済的にうなぎを食べたい…」と思うようになります。
 そこで、自宅でうなぎ料理を自作してお店に行くよりもお得にうなぎを食べようとするのですが、結局国産うなぎのあまりの高さに半身しか買う事が出来ず、一体何を作ろうか思案していました。
 正直、『う』に出てくるうなぎが好きで好きでたまらない主人公・藤岡椒太郎さん程ではないものの(←こちらも『酒のほど道』と同じく、ラズウェル細木先生の作品です)、宗達さんのうなぎへのこだわりや愛着は相当なものがありましたので、今年は家で食べるだけという展開はかなり意外だったのを覚えています;。
 ただ、ネット上をあちこち見回ってみますと、それまでならうなぎ一尾が丸々乗っかったお重を注文できた金額でも半身丼を食べるのがせいぜいになっていたのが衝撃的でしたので、これは如何に宗達さんといえど手が出なかったんだろうな…と妙にリアルに感じました
 まあ、それでも「じゃ、今年は食べるのやめよう」と考えるのではなく、「しょうがない、今年はいつもの半分の量を食べよう」と何が何でも折れない食い意地だけは健在で非常に宗達さんらしいので、一安心です;。
鰻がものすごく高くて、結局半身しか買う事が出来なかった宗達さん;
 とはいえ、宗達さんは半身だけでもそう悲観しておらず、「でも、半身でも満足できる方法があるんだな。へっへっへ」と不敵な笑いを浮かべ、前向きに調理を開始します。
 こうして、途中お風呂に入ったりしながら宗達さんが一時間以上かけてのんびり作ったのが、“宗達風うなぎご飯”です!
 作り方は時間がかかるものの簡単で、うなぎのタレや醤油などを入れて炊いた味付きご飯の上へ、日本酒・水・醤油・みりんで煮たててから食べやすいサイズに切ったうなぎ、青じそ、しょうが、青ネギ、揉み海苔を乗せたら出来上がりです。
 ポイントは、うなぎを煮る前に必ず表裏に熱湯をかける事と、ふっくら蒸し煮にする事だそうで、前者はギトッと嫌な感じの味の濃さや油っぽさが改善され、後者はガチガチに固いのが程よく柔らかくなると作中でラズウェル細木先生がおっしゃってました。
 宗達さん曰く、「タレを炊き込んであるから、ご飯もいいつまみになるんだよ」だそうで、上機嫌でビールや日本酒を一杯やってました。

 これまでうなぎを温め直す時、炊飯器でご飯と一緒に炊いたりフライパンで蒸し焼きにしたりした事はありましたが、蒸し煮にするのは一度もしたことがなかった為、初見時は少し面くらいました。
 煮ると身がグズグズにならないだろうか…という危惧があったからですが、ラズウェル細木先生がおっしゃるにはちょうどいいフワッと感になるとの事で、俄然興味がわいたものです。
 また、一見ひつまぶしに似ているような気もしますが、あちらは白ご飯で薬味は最初別々にしているのに対し、こちらは始めからタレを炊き込んでご飯を濃いめに味付けしたり、薬味の風味をなじませていたりなど結構相違点が目立ちますので、どういう味なのかちょっと想像がつきません。
鰻のタレをご飯に炊き込んだり、鰻を表裏熱湯をかけて余計な脂を取ったりと、工夫つくし
 その後、宗達さんはすっかりいい気分になって「少ないうなぎでも満足できる宗達風うなぎ晩酌」「最後はうな茶で締めれば完璧だ」と高笑いするのですが、飲み過ぎてつい箸が進んでしまい、気がつかぬうちにうっかりうなぎを全部食べてしまうという大失態が三十分後に発覚;。
 おかげで、このまま出汁を注いでも具なしの何とも寂しいうな茶になってしまうという悲惨な事態になってしまいます←タレ味のご飯だけでも確かに美味しいですが、前半に思う存分うなぎを食べまくった分どうしても見劣りがしますので、寒々しい気持ちになる事必至ですね;)。
 散々悩みまくった結果、宗達さんは「えーい、行ったれ!」とスーパーへまた半身のうなぎを買いに駆け出し、最終的にお店で食べたのと変わらないくらいの大散財をしてしまうのでしたorz。
 本末転倒な気もしますが、こういうトホホな結末の方が宗達さんらしいといえなくもありませんので、失礼ながら「やっぱりそうくるか~」と妙な安定感を感じたものです(^^;)。
何と、鰻茶を作る前にうっかりウナギを食べきってしまい、結局また鰻を買いに走っていました;
 実はこの再現は来年夏まで持ち越そうと思っていたのですが、今回運よくスーパーで見切り品として半額になっていた国産うなぎのかば焼きを偶然発見した為、「今を逃したらチャンスは当分ない!」と思い再現する事にしました。
 作中には詳細なレシピが書かれていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、炊き込みご飯の準備。あらかじめ研いでザルにあけた後数十分おいた生米を炊飯器に入れ、そこへかば焼きのタレ、醤油、日本酒を混ぜて作った合わせ調味料を水と一緒に回しかけ、普通に炊きます(←水加減は通常通りで大丈夫です)。
 炊けたらさっくりと切るように混ぜ、十分くらい蒸らしたら炊き込みご飯はOKです!
宗達風うなぎご飯1
宗達風うなぎご飯2
宗達風うなぎご飯3
 次は、うなぎの下ごしらえ。
 スーパー等で買った国産うなぎのかば焼きの表裏に、熱湯をまんべんなくかけて脂を落としたら、水・日本酒・みりん・醤油を沸騰させておいたフライパンに加えてフタをし、弱火で蒸し煮にします。
 徐々に水分が煮詰まり、うなぎにふっくら味が染みてきた頃が火の止め時です。
宗達風うなぎご飯4
宗達風うなぎご飯5
宗達風うなぎご飯6
 うなぎをフライパンから取りだしたらまず半分にカットし、1.5センチ幅に切り分けます(皮の部分がグニャグニャなのに身は柔らかいので、かなり切りにくいです;。お気を付けください)。
 これで、うなぎは用意万端です。
 その間、炊き込みご飯を丼によそい、その上へ千切りにした青じそ、皮を取ってみじん切りにしたしょうが、小口切りにした青ネギ、揉み海苔をたっぷり散らしておきます。
宗達風うなぎご飯7
宗達風うなぎご飯8
 先程の丼ご飯の上へ焼きたてうなぎを乗せれるだけ乗せ、お箸と共に食卓に運べば“宗達風うなぎご飯”の完成です!
宗達風うなぎご飯9
 青ジソやネギの鮮やかな緑、海苔の艶やかな黒に、照りっ照りになったウナギが所狭しと並び、この見た目だけでもう喉がゴクリと鳴ります;。
 焦げた甘やかな醤油の香りが鼻腔を心地よくくすぐるのが、またいいです。
 パッと見だとうな丼風ですが、実際に食べてみるとどういう味がするのか楽しみです。
宗達風うなぎご飯10
 それでは、熱々の内にいざ実食!
 いっただっきま~っす!
宗達風うなぎご飯11


 さて、味の感想ですが…外れなしの安定感のある味わいで旨し!ビールにも日本酒にもばっちり合います!
宗達風うなぎご飯12
 今まで様々なうなぎ再現料理を作ってきましたが、どれも微妙にうなぎの味が違っているのが面白く、例えば“うなぎと高菜と卵の混ぜご飯”“うなぎ寿司”はほぼ同じ「炊飯器で後乗せ蒸らし方式」でフワフワに柔らかく余分な脂が落ちた上品な関東風うなぎっぽい味、“国崇特製うな丼”は「フライパンで蒸し焼き方式」で余分な水分のないふっくらパリッと香ばしくて濃厚な関西風うなぎみたいな味でしたが、こちらは煮て火を通したせいかトロッともパリッともしていなかったものの、煮詰まった甘辛醤油だれによってねっとりトロリとしたゼラチン質の塊のような独特の弾力性溢れる舌触りやちょうどいい柔らかさが美味で、一瞬うなぎの柳川風を思い出しました。
 事前に表も裏も熱湯をたっぷりかけて下処理おかげで、スーパーのうなぎ特有のガチガチな固さと妙な脂っぽさが消えており、皮のとろけるようなプルプル感が増しているのがよかったです。
 うなぎのほのかな旨味エキスを吸ってしみじみ味わい深くなった甘口醤油味のご飯に、こってりした脂分の効いたうなぎが相性抜群で、このままだとやや単調になるのをネギの香味を帯びたわずかな辛味とシャキシャキ感、青じその清涼感とサクサクした歯触り、海苔の香ばしい磯の香りとパリパリ感、しょうがのピリッとくる爽やかな風味とザクザクした歯応えがいい刺激となって味に幅を与えているのがナイスで、ひつまぶしに近い醍醐味を堪能出来ました。
 薬味がたっぷり入っているせいかあっさり上品な後口なのが特徴的で、最後にお茶をかけてサラサラッとしめられるのがあっさり感に拍車がさらにかかっています。


 少ないうなぎでも十分満足できますので、重宝しそうです。
 食べ終わる直前、熱々のお茶orお出汁をかけてうな茶にしますとまた違った美味しさになりますので、そちらも是非お勧めしたいです。

●出典)『酒のほそ道』 ラズウェル細木/日本文芸社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2017.07.15 Sat 04:31  |  作りました!

あんこさん、こんばんは。いつも楽しく拝見しています。
うなぎの蒲焼き(冷凍)をいただいたので、久々に作ってみました。味付けご飯をパクリ、蒲焼きをモグモグ。キンキンに冷えた酎ハイをグビーッ。
たまりませんε-(´∀`; )
前回はレシピ通りに作りましたが、今回は薬味類は炊き上げたご飯に混ぜ込み、器に持ってうなぎを乗せました。薬味のフレッシュな歯ざわりは弱まりましたが、こっちの方が食べやすいですね。
豪雨に心配しましたが、ご無事なようで何よりです。ご結婚の準備やお仕事もお忙しいでしょうが、健やかにお過ごし下さるよう、願っています。
そういえば、ジャンの息子が主人公の「鉄鍋のジャン2nd」の単行本、買いました。心の料理を謳いながら一癖二癖もある2代目秋山醬の活躍が楽しいですね。
長々失礼しました。では、また〜。

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あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
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※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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