『華中華』の“クリスマス・ロールチャーハン”を再現!

 ブッシュドノエルの発祥話には、色々と諸説があるのですが、「貧しく、恋人へのクリスマスプレゼントも買えないある青年が、せめてもと、薪の一束を恋人に贈った」という一説が存在すると知りました(こちらに記載があります)。
 一見ロマンチックですが、これは現代の物に置き換えると、カセットガスか灯油を贈られたようなものなのかな~と、身もふたもないような空想をしてしまいました;。
 けれども、寒い冬には暖が取れるのが一番嬉しいですので、少々無骨なようでも気の利いた贈り物でいいと思います(但し、相方さんは除く)。

 どうも、一人用クリスマスケーキを複数買って色んな味を楽しもうと考えている管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんがタミルさんをもてなす為に作った“クリスマス・ロールチャーハン”です!
クリスマス・ロールチャーハン図
 前回、上海亭で食事代代わりに手伝いをした後一段落したタミルさんは、今後どうするべきかを心配したハナちゃん達と一緒に、少し話し合う事にします。
 どうやらタミルさんは身分を隠したまま、一人の外国人観光客として日本のごく普通の生活を体験したかったらしく、王女の身分を隠して「国際会議の仕事がある友達と来日して一人で中華街を歩いていたものの、バッグもパスポートもスリにとられて失くしてしまった。友達に事情を伝えようにも、今は極秘の仕事をしていて邪魔したくないので、連絡できない。日本に来る前、あらかじめ明後日に山下公園で落ち合う約束はしているので、それまでどこかで目立たぬよう過ごしたい」という作り話をわざわざハナちゃん達に話し、最終的にはハナちゃんの何とか力になりたいという意を汲み取った康彦さんが、「何にもない、畑ばかりの田舎だけど…美味しい物はいっぱいあります…よかったら一緒にきませんか、タミルさん?」と提案してくれ、無事三浦半島にある斎藤家で過ごせることになっていました。
 タミルさんがとった行動はかなり無謀かつ行き当たりばったりで、読んでいてドギマギした為(←俗世間を知らない王女様だからこそ、却ってここまで大胆な行動がとれたのかもしれません;)、他人事ながら「これがハナちゃん達でなかったら強引に警察へ連れていかれて大騒ぎになっていただろうから、強運だな~」と感心したものです;。

 こうして、ハナちゃん達の好意で一時的に保護されたタミルさんですが、「大事な嫁さんが、初めて友達を連れてきてくれた」と言ってのほほんと歓迎してくれるお義父さんとは正反対に、突然の来客&宿泊・結構な量のご馳走を用意して痛い出費・大根の収穫日前日だというのに人手が足りなくなりそうな予感(←タミルさんをもてなす為、東京観光へ行こうかという話が出ていました)に対してむっすり不機嫌顔になった義母・淑子さんが、「ちょっと予定外の出費でしたけどね」「おやおや、大根の収穫を休んでかい…明日は花子さんにも手伝ってもらうはずじゃなかったの?」とさりげなくチクリチクリと不満をこぼしていたせいか、温室育ちで空気を鋭く察知できないタミルさん以外は皆焦り、当初は空気が張りつめてしまってました;。
 はっきり言って、淑子さんの「いきなり何?」と主張したい気持ちも分からなくはないのですが、お客さんを前に真っ向からそういう嫌味を言っても場の雰囲気が悪くなるだけで大抵物事はすっきり解決せず、周囲からも「確かにそうけど、よりによってこういう場で当てつけなくても…」と白い目で見られて自分の立場が悪化するの明らかですので、もうちょっとやりようはなかったのかな~と、初見時はこちらまでいたたまれなくなったのを覚えていますorz(←なお、意味深長な事に、淑子さんが嫌味を言う時ハナちゃんの顔は影で見えないようになっていて、一体どういう表情になっていたのか分からないようになっているのですが、恐らく胃が痛そうな表情だったのではないかな~と推測しています;)。
 結局、日本の農業を積極的に体験したがったタミルさんが「私もお手伝いさせてください!」とお願いしたことによってやっとその場の空気はおさまり、淑子さんも一気に機嫌がよくなってタミルさんに食事を勧めていたので、ほっと一安心しました;。
ハナちゃんの義実家に泊まらせてもらう事になったタミルさんは、農作業を手伝う事に
 そして翌日、タミルさんはハナちゃん達と一緒に大根を収穫して丸一日を過ごしたのですが、タミルさんは初めての畑仕事がよほど楽しかったのかずっと笑顔で、「収穫って最高ですね!」と大根を片手に満足そうでした。
 おかげで、その日の収穫作業は予定よりも順調に終わったらしく、淑子さんは昨日の言動についてちょっと反省したのか、「今夜もご馳走にしましょうかね」「康彦とお父さんは、クリスマスケーキを買ってきてくださいな」「クリスマスはまだ先だけど、タミルさんの日本の思い出に、クリスマスパーティーをやってあげたいのよ」とタミルさんに優しく接しており、和やかなムードになっていました(←もっとも、皮肉屋の楊貴妃さんは「全くもって、ここんちの姑は現金だね~。まあ…でも世間ってそんなもんか!?」と素直に喜べない様子でしたが;)。

 その夜、ハナちゃんは淑子さんのアドバイスによってクリスマス風のチャーハンを作る事にし、タミルさんの希望で共に台所へ立って調理する事になるのですが、この時にハナちゃんが即興で作り上げたのが“クリスマス・ロールチャーハン”です!
 作り方は意外と簡単で、大根・鶏のひき肉・赤唐辛子・醤油・ごま油の炒め物と基本チャーハンを薄焼き卵でロール状に丸め、最後にクリスマス風の飾りつけをしたら出来上がりです。
 「タミルさんに自分で収穫した大根を食べてもらいたい」「タミルさんの好きな辛い味付けにしたら喜ぶはず」というハナちゃんの思いやりから誕生したチャーハンで、いつもながら気が利いているな~とほのぼのします。
 実はこの時、タミルさんは「帰国したら結婚するんです」「彼は石油関連の会社を経営しています」と、珍しく本当の話もしています。
 正直、どうして危険を冒してまでハナちゃんの元へ逃げてきたのか最初は分かりませんでしたが、もうすぐ結婚すると知った時、「今までは王家の王女として、そしてこれからは結婚して上流貴族の妻として生きる事になるけれど、自由が許されない生活を送るという点だけは変わらないはず。多分、監視の隙をつきやすい外国の地で(しかも、日本なら一、二を争うほど治安のいい国)、最初で最後の自由を味わってみたかったんだろうな…」と何となく理解出来る気がしました。
巻きすで巻き寿司風にクルクルと巻き、ブッシュドノエル風に仕立てていました
 ハナちゃんの“クリスマス・ロールチャーハン”を食べてその美味しさに大喜びしたタミルさんは、翌日の朝、満足感と寂しさの入り混じった表情で山下公園でハナちゃんと別れ、侍女とSPが待つ場所へと戻って行ってました。
 そして数時間後、上海亭のおじいさんとおばあさんは、TVの生放送の中継でタミルさんが本当はパルネイ王国の王女だった事を知り、大いに驚きます。
 とはいえ、顔が似ているだけだったらさすがに「き、気のせいよね…」と思われていたかもしれませんが、取材陣を前にタミルさんが「私をとても幸せにしてくれたものが、日本にはございました。それは、私の友達が作って下さったクリスマスチャーハンです」「モチのロン!日本の友人です」と言ったり、前日夜にうっかり切って絆創膏を貼った指を見せたりした為、この王女様はあのタミルさんと同一人物だと確信されていました(←淑子さんはTVを見ておらず、その事実を知らないままだった様子ですので、これからも「ごく普通のガソリンスタンドのお嫁さん」としてタミルさんを誤解し続ける事になりそうですが;)。
 残念ながら、ハナちゃんは満点大飯店でお仕事中でしたのでその事実は後々おじいさんとおばあさんから聞いて初めて知っていましたが、「お友達と言って下さって、最高に嬉しいです」と家族への手紙に書いてしみじみ喜びをかみしめていました。
 将来、ハナちゃんが世界的に有名な中華料理人になった時、お忍びで遊びに来てくれたら面白そう…と夢が広がったエピソードでした。
帰国する時、ハナちゃんを大事な友達、そしてチャーハンの味が忘れられないと話してました
 もうすぐでクリスマスという時期にさしかかり、その影響か妙に食べたくなったので、再現する事にしました。
 作中には詳細なレシピがある事ですので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、大根の炒め物作り。ごま油を引いて熱したフライパンへ、皮を剥いて一センチ角のダイス切りにした大根と鶏ひき肉を投入してざっと炒めます。
 種を取って輪切りにした赤唐辛子を加えてさらに炒め、大根が軟らかくなり出したら醤油で濃いめに味付けします。
 全体に味が染みてきたら、大根の炒め物は出来上がりです(もし水気が多いようでしたら、ザルである程度汁をきっておきます)。
クリスマス・ロールチャーハン2
クリスマス・ロールチャーハン3
クリスマス・ロールチャーハン4
 その次は、巻き作業。
 砂糖を少し入れて調味した卵液でやや大きめの薄焼き卵を焼き、粗熱を取ったらラップを敷いておいた巻きすの上に広げます(大ぶりな卵焼き器で焼いてもいいですが、丸いフライパンで焼いて海苔型に切ってもOKです)。
 この上へ、あらかじめ中華鍋(又はフライパン)で作っておいたハナちゃん流基本チャーハンを平らにしながら置きます。
クリスマス・ロールチャーハン5
クリスマス・ロールチャーハン6
 この基本チャーハンの上へ、先程用意した大根の炒め物を多すぎず少なすぎず置き、海苔巻きの要領でクルッと巻いていきます。
 その際、両端が不恰好で見栄えが悪くなっていた場合、包丁で切って綺麗に揃えた方がいいです。
クリスマス・ロールチャーハン7
クリスマス・ロールチャーハン8
 四角い大皿の中央へさっきのロールを乗せ、仕上げにその周りへクリスマス風の飾り付け(「メリークリスマス」と書かれたプレート、もみの葉風の飾り、リース付きの鈴、サンタ人形など)をすれば、“クリスマス・ロールチャーハン”の完成です!
クリスマス・ロールチャーハン9
 当初、チャーハンや薄焼き卵の上にお菓子風の飾りをゴテゴテ乗せるのは抵抗感がありましたが;、やってみるとそこまであからさまに変ではなく、意外でした。
 目にも鮮やかな黄色のロールは、食卓をパッと華やかにしてくれますので、お祝いムードを出したい時に向いていると思います。
 辛い大根と甘い玉子の取り合わせはどういう感じなのか、食べて確かめようと思います。
クリスマス・ロールチャーハン10
クリスマス・ロールチャーハン11
 それでは、出来立てほやほやの内にいざ実食!
 いっただっきまーす!
クリスマス・ロールチャーハン12


 さて、味はと言いますと…大人しい見た目によらずガツンとくる旨さ!大根の良さが際立つ一品です!
 炒められて絶妙なシャグシャグ感へと変身した大根が美味で、噛むごとにジュワッとほとばしるほんのり苦い汁気が、パラッとしたチャーハンの中でいいアクセントになっています。
 焼いて火を通した大根は、味的にも食感的にも「固めに煮たふろふき大根」みたいになるのですが、柔らかいようで不思議と張りのある口当たりと瑞々しいジューシーさは普通に煮ただけではまず出ない為、面白い味だな~と思いました。
 唐辛子の刺激的な辛味が活きたピリ辛醤油味の鶏ひき肉に、大根から溶け出た甘苦いエキスが絡んで複雑な甘辛さが生まれているのが基本チャーハンにぴったりで、他の肉と違ってどうしても淡泊になりがちなのが一転して力強い美味しさになっているのがよかったです。
 極度にさっぱり仕上げた、しっとり柔らかな和風クレープといった感じの甘い薄焼き卵は、醤油特有の旨味の濃い塩気を吸った大根といい対比になっていて、全体をマイルドにまとめあげるのに役立っていました。
 作中では赤ワインが出されていますが、正直ビールの方が圧倒的に合うこってり系ですので、雰囲気は台無しでもビールを合わせた方がいいと感じました。


 見た目の可愛らしさと、味の和風っぽさのギャップが面白い一品です。
 この大根の炒め物はチャーハンだけではなく白いご飯にも合い、冷めても美味しくお弁当のおかずにしても十分いけますので、色々と応用がききそうだと思いました。

P.S.
 いつも楽しく拝見してますさん、前回は非公開コメントをして下さりありがとうございます(今回アップした記事が『華中華』だったのは挑発の意は全くなく、あらかじめ書いていた予約投稿記事が偶然『華中華』の記事だった為です。御気に障りましたら、すみません)。
 私は全く気にしておりませんので、謝っていただいて逆にいたたまれなくなりました。却ってお手間をかけさせてしまい、申し訳ございません。
 ご質問とご希望頂いた、「本格的な料理」と「自分なりの分量の表記」の件ですが、前者は『華中華』のようなお手軽な料理と共にこれまで同様なるべくご紹介致しますという意味では対応可能ですが、後者は誠に心苦しく思いつつも、完全には承諾致しかねます(←今まで通り正確な原材料・大体の時間・制作中に気づいたコツは表記するつもりです。また、今回言及するのは分量が載っているタイプの作品ではなく、レシピが非常に曖昧なタイプの作品の事です)。
 大変勝手ながらそれぞれ理由を述べさせて頂きますと、本格的な再現を喜んで下さるいつも楽しく拝見してますさんのような方もいらっしゃる一方、身近な材料で作れる再現を喜んで下さる方もいらっしゃる為、どちらのご希望にも沿う為に偏りのある再現をしていくという方針変更は出来ないというのが、まず前者の理由です。一方後者の理由は、最適な基本分量の割り出しを模索してから現在アップしているような記事を今のペースのまま発表していく事はほぼ不可能な事が一つで(←他の方の類似レシピを参考にしてちょっと手を加えただけの物なら速やかに分量つきでアップできるかもしれませんが、他の方が苦心してアップされたレシピを少しアレンジしただけで「自分のレシピ」という顔をする事は、個人的に最もしたくない事の一つです)、もう一つは、如何に中立的な味になるような分量をアップしても最終的にご自分の舌に合う分量はご自分にしかお分かりにならない可能性が非常に高く、それゆえに私の味覚と近い方だけが喜ばれるブログをアップするよりは、あえて試行錯誤して「このくらいが一番ちょうどいい」という量を見つけ出した方がその方にとってもっと美味しく、より感動も深くなるのでは…と傲慢にも考えたからです(ご本人の好みで作っていたら口にあっていたはずの再現料理を、当管理人の味覚が原因で「美味しくない」という感想になってしまうのを防ぎたいという想いもあります)。
 誠に恐縮なのですが、以上が当管理人の現時点での返答となります。
 自分本位な事ばかり書き連ねて胃が痛くなっておりますが、もしご了承して頂けましたら、幸いです。

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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2013.12.22 Sun 00:26  |  管理人のみ閲覧できます

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プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
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※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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