『酒のほそ道』の“鰤のづけ山かけ”を再現!

 先日、右の柱に載せている「再現料理を予定中の漫画」一覧に、『浅草人~あさくさびと~』、『ハルの肴』、『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』を新たに追加しました。
 前者二つは人情噺系の心温まる作品、後者はびっくりする程簡単で身近な材料のみで作れちゃうレシピ満載ですので、近々ご紹介できたらと思います。

 どうも、大掃除も年賀状書きも数の子の下ごしらえも仕事納めも忘年会も終えてほっと一息ついている管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『酒のほそ道』にて宗達さんが十二月三十一日の夜に作った年越しメニュー・“鰤のづけ山かけ”です!
鰤のづけ山かけ図
 ある年の大晦日、宗達さんは一人で年越しの宴をする事を決め、街中をぶらぶらしつつ年末年始に必要な物を買いそろえようと大型スーパーへ向かいます(←神社に一足早く行って柏手を打ったシーンを見た時は「何事?」と頭の中がはてなマークだらけでしたが、「後ほど年が明けたらお神酒を頂きにきますんで、よろしく」と挨拶していたのを見てずっこけました。本当に飲兵衛なんだな~と、呆れを通り越して天晴れな気持ちになります^^;)。
 大型スーパーには年始に向けて買いだめをしようとする人々でごった返しており、初売りの時特有の華やかでめでたい活気とはまた違った、クライマックスに向けていそいそと足早になる独特の活気に満ち溢れていて、読んでいるだけで「これこれ、この何とも言えない慌ただしい空気こそ年末!」と大きく頷かされました。
 いつもと同じに見えて、あちこちに「れんこん」「昆布巻き」「くわい」「黒豆」「栗きんとん」と書かれたチラシがこれ見よがしに貼られているのも「あるある!」という感じで、思わずニヤニヤします。
 なお、宗達さんはメイン食材を肉ではなく魚を選び、お酒もちょっと奮発して大吟醸を選んで帰宅していました(←やはり、お正月間近だと和食寄りのセレクトになるみたいです)。
年末年始のスーパーって、独特の浮足立った雰囲気があっていいですね(^^*)
 ちなみに、宗達さんが選んだ魚は鮭と鰤の二種類。
 宗達さんが言うには、東日本は鮭・西日本は鰤が年取り魚(かつて日本には、大晦日にその土地で釣れる魚を調理して年越しをする風習があったのですが、年取り魚とはその際に食べられていた代表的な魚です)だとの事で、今年は贅沢にも東西のどちらでも通用するようなメニュー作りに勤しんでいました。
 この時、宗達さんが作った四種類の年越し料理の内の一つが、この“鰤のづけ山かけ”です!
 作り方はとても簡単で、あらかじめ麺つゆに浸けて下味をつけた鰤の刺身にすりおろした山芋をかけ、青海苔とわさびを上からかけたらもう出来上がりです。
 マグロの山かけはよく聞きますが、鰤の山かけは初耳だったため、初見時は「お!」と目に留まったのを覚えています。
 鰤も鮭も味が美味しいだけではなく、EPA・DHA・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンB1・タウリン・鉄分・良質なタンパク質と脂質など、多数の優れた栄養素を持つ非常に健康にいい魚でもありますので、新しい年を健康的に過ごせるよう祈りながら食べるのに相応しい食材といえそうです。
年取り魚は地域によって異なり、東は鮭、西は鰤がそれにあたります。
 その後、宗達さんはさりげなく紅白歌合戦にチャンネルを合わせ、大吟醸もキンキンに冷やし料理を全てコタツの上に並べて宴の準備を完了させ、「今年一年お疲れさまーっ!」と自身を労いつつ飲もうとしたのですが、タイミングよく一本の電話が鳴ります。
 電話をかけてきたのは、行きつけの飲み屋でちょくちょく顔をあわせている常連仲間・リサさんで、要件は年越しパーティーのお誘い。
 なんでも、居酒屋<スマイル>で偶然いつもの面子がそろったリサさん達は、自然と「みんなでしゃぶしゃぶやりながら年越ししよう」と和気藹々とした雰囲気になったそうで、どうせなら宗達さんも誘ってみんなで盛り上がろうという話になって電話をかけたとの事でした(←日頃から自分の世界に浸りがちでみんなから「ま~たやってる」と苦笑されがちな宗達さんですが、何だかんだ言って「仲間」として受け入れられている様子なのが読んでてほっとしました;)。
 当初は「そんなに大勢じゃなあ。年越しは一人で静かにやるに限るよ」と、またいつもの通ぶりたい心理が働いた宗達さんは「やめとくワ、俺は。うん、じゃあよいお年を、バイビー」と素っ気なく電話を切っていましたが、案の定わずか十分後に猛烈に寂しさが募ったようで、「年取り魚は正月にゆっくり食えばいいや。おーい、肉とっといてくれーっ!」と急いでリサさんに電話をかけ、除夜の鐘が鳴る中<スマイル>へ駆け出していました←肉がないしゃぶしゃぶは悲惨の一言に尽きますので、慌てているように見えてしっかりしてるな~と、安定した食い意地っぷりに苦笑しました;)。
 確かに、一人で侘び寂びを噛み締めながらのんびり過ごす年越しムードも乙なものですが、気の置けない仲間たちと鍋をつつきながら賑やかに迎える新年も楽しいものだと思いますので、早い内に素直になってくれてよかったな~と安心しました。
 おそらく、リサさん達は電話を切った後「岩間ちゃん、やっぱり来るって」「だと思ったよー、最初からそう言っとけばいいのに~」「いつもの事、いつもの事」と軽口をたたき合いつつもちゃんとお肉を残して待っているんだろうな~と推察されますので、その様子を想像するとついニコニコ顔になったエピソードでした。
年取り魚の料理を用意し、年越しパーティーの準備が完了します最初は断った物の、少し経ってから「やっぱりみんなと年越しいいや!」と思い直してました;
 生食用のいい鰤が近所で見つかりましたので、再現する事にしました。
 今まで生の鰤といいますと、せいぜいわさび醤油をつけて刺身にして食べるくらいしか想像がつきませんでしたので、山かけにしたらどういう感じになるのか食べて確かめたいと思います。


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、下ごしらえ。約一センチ弱の分厚い刺身状に切った生食用の鰤をボウルに入れて麺つゆをそそぎ、さっと混ぜてラップをしたら冷蔵庫へしまい、十五分以上かけて漬け込みます。
 あんまり漬け過ぎますと、鰤の風味が損なわれますので要注意です。
鰤のづけ山かけ1
鰤のづけ山かけ2
 次は、仕上げ作業。
 鰤に下味がついたのを確認したら余分な汁気を切って器へ盛り付け、その上になめらかなペースト状になるまでよくすりおろした山芋をトロリとかけます。
 ※おろし金ですった山芋をそのまま入れてもOKですが、すり鉢で丹念にあてた山芋を使った方が、より繊細な口当たりになりますのでお勧めです。
鰤のづけ山かけ4
鰤のづけ山かけ3
 その上から青のり(出来れば国産のすじ青海苔がいいです)をふりかけ、最後にわさびをちょこんと飾り付ければ“鰤のづけ山かけ”の完成です!
鰤のづけ山かけ5
 真っ白な山かけの中からうっすらとのぞく鰤の身と、わさびの緑色の組み合わせがとても風流で艶めかしく、見るからに食欲をそそられました。
 青のりから漂う磯の香りが鼻腔を心地よくくすぐるのも、ポイントが高かったです。
 それまで、山かけに合わせる魚はマグロだとばかり考えていましたので、鰤だとどんな風になるのかとても楽しみです。
鰤のづけ山かけ6
 それでは、全体をざっと軽くひと混ぜしてからいざ実食!
 いただきまーす!
鰤のづけ山かけ7


 さて、味はと言いますと…マグロの山かけとはまた違った味わいで美味し!鰤の良さを活かした一皿です。
 鰤はトロどころかマグロの赤身程も柔らかくはなく、なめらかな舌触りでもないのですが、幾重にも折り重なった細かい脂と筋繊維の層を噛み破った時のあのジャクッとした独特の歯応えと、舌に沿うようなしなやかな口当たりが特徴的で、それがトロトロの山かけの中でいいアクセントになっていました。
 ツルンとすべるようなつややかな張りや、しっかりとプリプリした身は、溶けるようとまではいかないものの濃厚な脂をたっぷりと蓄えており、噛むごとに豊潤なコクが口の中へと溢れ出します。
 麺つゆのかすかな塩気、そしてわさびの風味豊かな辛味によって余計引き立つ強い甘味が美味で、しみじみとした余韻が残る乙な一品でした。
 淡泊な味で素材の旨さをぴったり包み込む山芋と、こってり濃い鰤の取り合わせは思いの他ぴったりで、醤油ではなく麺つゆであっさり和風出汁仕立てのが功を奏し、意外と上品に仕上がっていたのがよかったです。
 当初は「山芋に全く味付けしてないと、物足りないのでは…」と心配でしたが、さっぱりした山芋がかえって鰤の味の輪郭をくっきりと浮き立たせていましたので、感心しました。
 青海苔の強烈な磯の香りも山かけ鰤と相性抜群ですし、言う事なしです。


 冬に旬を迎える魚の中でも、一~二を争うほどこってりした味わいの鰤を思う存分堪能できる一皿でした。
 そのまま食べるのはもちろん、ご飯の上に乗せてとろろ丼風にして食べてもよかったです。

●出典)『酒のほそ道レシピ 四季の味特別編』 ラズウェル細木/日本文芸社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
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